原発通信 130号2012/01/06発行
青森・六ケ所村の核燃再処理工場:再開へ準備作業に入った(毎日新聞1月6日付) 【日本原燃(本社・青森県六ケ所村)は5日、トラブルで08年から停止している使用済み核燃料再処理工場の試験運転再開に向け、4日夕から準備作業に入ったことを明らかにした。作業が順調なら、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の製造試験が1月下旬から2月上旬に始まる見通し。(神崎修一)】 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120106ddm012040056000c.html * 懲りない連中というか、自分だけが金儲けできればあとは野となれ山となれという連中です。 臨界・腐食防止で使用 処理水の有害物質放置(東京新聞1月6日付) 【福島第一原発で、高濃度汚染水を処理した水には、腐食防止などのため大量の化学物質が含まれ、この水が海に放出されると、放射性物質とは別に汚染を引き起こす可能性のあることが、東京電力などへの取材で分かった。水は原子炉の冷却に使われるが、建屋地下への地下水流入で、使い切れないほど水量が増え、既設タンクは残り容量が少ない。混ぜられた化学物質はいずれも有害だが、東京電力も国も、この問題を放置している。投入されている化学物質は、ホウ酸やヒドラジン。】 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012010602000034.html 池澤夏樹さん、「その先に希望はあるか」 毎日新聞1月5日付夕刊です。「特集ワイド 日本よ!悲しみを越えて この国はどこへ行こうとしているのか」という脱原発を掲げ活動している作家の池澤夏樹さんへのインタビュー記事です。題は、「流されるな 論理をもて」。 池澤さん、原発事故を天災と受け止める人は今回少なかった。東電が想定外と言ってすり替えようとすることに抗議し、追及している。しかし、頭のどこかで「大変な津波だったから仕方がない」とあきらめてはいないか。それを乗り越えるには論理の力が必要だといいます。論理がないから先の大戦でも「総懺悔」してしまった。「お父さん」の責任追及より「家族みんなで団結を」と問題をすり替えてしまった。続けて、今回でもみんなで、がんばろうだの、絆だのという言葉にうんざりだといいます。確かに震災後、人々が見出し、求めたものは人と人との繋がりだったが、絆は縛りにもなるといいます。同様のことは、先に精神科医の斎藤環さんのことを書いた時に私も書きました。そして池澤さんは言います。「地震や原発事故は、絆を結ぶと同時に、分断する力でもあったのです」とも。 「原子力は人間の手に負えません。流浪の民を生んでしまった。大きな罪です」「世の中の毒は焼けば消失しますが、放射性物質は違う。取り除けないのだから『除染』ではなく『移染』。そんなものをまき散らしてしまった日本。日本にいるもので、責任の外にあるものなどいない。だからこそ、日本が変わらなければと説きます。 東北で希望は見いだせるのかとの記者の問いに、池澤さん、キッパリと、「見つかりますよ」と。 福島で急増=なぜ、こんなに放射性物質は降下したのでしょうか? 【福島県の1月2日・3日の2日間で降ったセシウムは合計で558Mbq/km2、11月の月間降下量より多い(東京の4月の月間降下量と同じくらい) 福島県の定時降下物環境放射能測定結果が12月に入ったくらいから少しずつ上昇しているように感じていたのですが、1月2日に急上昇しました。2日と3日のセシウム134と137を合わせると1平方キロメートルあたり558.1メガベクレルという結果でした。(1平方メートルあたり558.1ベクレルのセシウムが降ったということです。)同じ福島県の結果で比較すると、2011年の11月の30日間に降った月間降下量はセシウム134と137の合計で1平方キロメートルあたり347.7メガベクレルだったので、1月2日・3日の2日間で降ったセシウムの量は11月の30日間で降ったセシウムの量よりも多いということになります。】 http://savechild.net/archives/14495.html http://nucleus.asablo.jp/blog/ ▼福島県「定時降下物環境放射能測定値(第8報)について) http://www.pref.fukushima.jp/j/koukabutsu8.pdf * 「事故収束はオンサイト(発電所構内)の話」と言いつくろうと、まだまだ事故は終わっていないというより、続いているということです。 SPEEDI「当初から公表必要」文科省が問題認める 【「当初から公表する必要があった」と運用に問題があったことを認めたほか、地震と原発事故による複合災害に対応した危機管理体制の見直しが必要とした。】(産経新聞引用) 昨年12月23日のことです。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111223-00000557-san-soci 東電、またウソ発表していた。91年の浸水事故、電源起動できなかった 年末31日の本通信(126号)でお伝えした1991年に起きたタービン建屋地下での浸水事故ですが、毎日新聞1月5日付によると、東電は4日、年末に発表したときは、非常用電源は機能していたとしていたが、実は起動できない状況だったと「訂正」しました。また、こういう発表です。何言っても信用してはならないということです。「地に落ちた信用」なんて言うもの以上です。それも、例のごとく、後でちょこっと(ベタ記事扱い)、「実は詳細に検討した結果、間違っていることが判明しました」です。 九電、記載ミスだって 毎日新聞1月5日付。ストレステストの1次評価を12月14日に国へ提出した九州電力、提出した原子炉3基すべてのデータに転記ミスがあったといいます。川内原発1、2号機と玄海原発2号機だそうです。メーカーからの報告書を国への報告書に「転記」する際、「転記ミス」という「単純ミス」があり、大半を占めているとのこと。こういうことがあるからとでも本当は言いたいのでしょう。「だから、表紙を変えただけでこれまで国へ出していたんです。そうすれば間違いをすることがないから」とでも。つまり、事故後明らかになった(以前から指摘していた人はいましたが)すべて丸投げ、報告書は表紙を変えるだけ、だって「自分らでやっていたら日が暮れてしまう」と言っている連中です。 政府、原発の公的運営検討…事故責任を明確化 読売新聞 1月6日(金)3時15分配信 【政府は、民間電力会社に任せている原子力発電の運営形態を抜本的に見直す。40年以上にわたって政府の方針に沿って民間が運営してきた「国策・民営」の原子力政策を転換し、公的機関への運営委託や原発の所有形態の変更などを検討する。原発運営に対する政府の関与を強めることで賠償などの責任の所在をはっきりさせ、原発再稼働に地元自治体の理解を得る狙いもあるとみられる。】 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120105-00001321-yom-pol コメの出荷停止続々 福島県伊達市産のコメ、伊達市旧堰本村産のコメだそうです。暫定規制値を超えたものが見つかり1月4日、出荷停止命令と。これで福島県では3市9地区になったとのこと。 日光、修学旅行の「安心」に悩む 保護者ら線量検査要請 朝日新聞(2012年1月5日17時0分)によると、首都圏の多くの小学生が修学旅行で訪れる栃木県日光ですが、放射線量検査や宿の食材の産地公表などを求める動きが出ているそうです。昨年末、横浜市教育委員会の担当者が測定しにきたそうです。測定の結果、「年間1ミリシーベルト未満という横浜市の基準に照らし、2~3日の滞在では問題ないレベル」だったということですが、じゃあ、1週間いたら問題なの?と。 http://www.asahi.com/national/update/0105/TKY201201050156.html トンデモナイ話 こういう「知ったかさん」は社会の毒です 年頭からトンデモない連中のことばかり書いていますが、毎日新聞1月5日付夕刊のコラム「憂楽帳」です。題は、「悪あがきデモ」。読んで、びっくり仰天です。何が書かれていたかというと、米国の「ウォール街占拠運動」です。 このコラムを書いた毎日新聞の斉藤信宏という記者、これは「反格差デモではない」と断じ、野放しの資本主義を批判しているとの論調もおかしい、では何かというと、「私の答えは『先進国の既得権者による悪あがきデモ』」だというのです。続けて何と言っているかというと、「『我々は99%だ。1%の裕福層を優遇するのは許せない』。だが世界を見渡せば、これまでの数十年間『恵まれた1%』の側に属していたのは彼ら自身だったのではないか」と。 この記者、頭がおかしいのじゃないかと思います。「恵まれた1%の側に属していた」というが、立ち上がった彼らが倒産したリーマンブラザーズ社の社員だったとでもいうのか。いえいえ、“賢い”記者ですから、その1%は全世界規模で見てのだという「言い訳」をちゃんと用意しているのです。世界の富の多くを独占する米国です。アフリカや発展途上国には1日1ドルにも満たない金額で生活を余儀なくされている人々が何十億人もいます。それは事実です。 しかしです、「先進国の既得権者による悪あがきデモ」とはよくも言ったものです。そんなことを言うなら、大航海以降の西洋列強の歴史についても異議を申し立てなくてはならなくなります。「お前ら、自由だ、博愛、平等だ、民主主義だ、人権だなどと言うが、既得権者の贅沢だ。そんなものとは無縁な民がこの地球上にはごまんといるだろう」と。それをしてから言えと言いたい。また、「毎日の食い物があるのに、何を無農薬だ、遺伝子組み換え作物は嫌だ、なにが放射能汚染だ、セシウムが怖いだなんて言っているんだ。世界を見よ、飢えて餓死している人々、子どもたちがいるではないか、贅沢なことは言うな。食うものがあるだけましだろう」と言っていることと同じです。かつ、この斉藤という記者、途上国の人々がテレビや冷蔵庫も持てるようになったのはグローバル化の恩恵だという。確かにそうではあるが、その負の面を見ようともしない。まったく市場原理主義者の片棒担ぎです。 それもそのはず、金もうけのモノしか読んでいないようで(これまったくの独断です。本当は知りませんし、知りたくもありませんが)、このコラムの最後、“インテリ”ぶって、英紙ファイナンシャル・タイムズのコラムニストの言葉などを引用して「大収れんの過程になる」だの「世界の地殻変動がある」など偉そうなことを並べて、駄文を終えています。 こんないい加減な、味噌もくそもいっしょにした論を平気でインテリぶって書ける人間が出てきているということです。日本人の劣化というべきものです。それを生み出したのは社会=日本というシステムだというなら別ですが。 経産省原発官僚、ただいま「冬眠中」 毎日新聞1月5日付の「ザ・特集」に「経産官僚のホンネ」と題する記事がありました。それによると、「福島で多くの経産省の職員が住民に頭を下げている一方で、原発を推進してきた原子力ムラのエリートは、福島に足を運ぶこともなく、世論の潮目が変わるのを霞が関の奥で息をひそめて待っています」というある官僚の声を紹介しています。 別の推進派官僚は、原発を止めたらエネルギーはなくなり、経済は疲弊し失業者が増える。その覚悟が国民にできているのかと恫喝し、TPPについても賛成で「反対派は『遺伝子組み換え食品が入ってきて日本の農業がダメになる』などと言っているが、これこそ消費者をバカにした主張」だとし、「消費者は不安なものは買わないと、きちんと選択できる」などとのたまう。そりゃ、年収1千万もおとりになっているあなた方なら、「安全」なものをいくらでも買うことができるでしょう。でも、非常勤労働者はじめからかすかすで暮らしている人にとって、買いたくても買えないという状況があるのです。そうしたことに思いを寄せる「想像もできない」人間、これも劣化でしょう。 原発官僚らですが、目を覚まさせることなく、このまま「眠らせ」葬らなければなりません。 | ||