原発通信 132号2012/01/11発行
この正月に福島でセシウムの降下量が増加したわけ 緊急速報 セシウム降下物が急増した原因 (武田邦彦 ブログ1月10日付より) 【もしも東電が真面目な会社で反省していれば、福島の人を少しでも被曝させたくないと考えるでしょうから、原発からの漏れを毎日、詳細に出すはずです。でも、記者会見で記者の人の質問に答えて「二次飛散じゃないですか」と冷たく言い放っているぐらいですから、どうにもなりません。この意味からも東電は相変わらず国民を被曝させるのに懸命ですから、犯罪者でしょう。】 http://takedanet.com/2012/01/post_27dd.html 日本政府の脆弱な危機管理 内閣官房の危機管理部門幹部16人中11人が異動 「団塊の世代の大量退職」(2007年)ということで「技術の継承」などあらゆるところで経験の継承ということが問題になっていることはご記憶かと思います。このようの問題、一朝一夕でできるものではないということは論を待たないと思います。それなのにです。3.11という大災害を経験しておきながらなんら学ばず、その時の経験を継承しようとしない人事のあり方に危機管理体制の脆弱さが指摘されています。幹部の7割もが交代することに対して、米連邦緊急事態管理局(FEMA)の元危機管理官のレオ・ポスナー氏、「アンビリーバブル」と言い、「日本政府はなぜその機会(3.11)をみすみす手放すようなことをするのか」とあきれたそうです。 たまたま仕事で労働安全衛生についての原稿を読んでいるとき、「安全衛生技術伝承への危惧」という項目がありました。そこでは、次のように言っています。「その一方で次世代は、実災害に遭遇する機会が少なくなっており、いざという時の対応が可能であるかどうかばかりでなく、安全衛生意識の向上、安全文化の豊穣へ向けた危惧は現場では少なくありません」。また、別の原稿では、「労働安全衛生管理計画を策定するうえで最も重要なことは企業のトップポリシー(わが社の安全と健康のあるべき姿はこうだという大方針)」だとも言っています。そのためには「現状認識が欠かせない」とも言います。「わが社」を「わが国」と読み替えた場合、さて、わが国のトップ、野田政権に「トップポリシー」はあるのでしょうか。 そうしたマネジメントシステムをどう構築するかと頭を使うところもあれば、ノー天気に異動の季節だとばかりに、やれやれ厄介なところとこれでおさらばだとやっている我が政府。これではとても安心などできません。やはり、霞が関村は仕事の場所ではなく「互助組織」の集団ということでしょう。 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120109ddm001040047000c.html http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120109ddm003040151000c.html 危険な「もんじゅ」 元京大原子炉実験所講師の小林圭二さんの指摘 毎日新聞1月10日付夕刊「特集ワイド:もんじゅ、三つの危険 火災が怖い、地震に弱い、核暴走も」です。 このもんじゅですが、他の原子炉と違って冷却材にナトリウムを使っている点です。このナトリウム、「水と爆発的に反応し、高温のナトリウムは空気に触れると燃える」というものです。私、理科で、この金属ナトリウムは非常に反応しやすいので取り扱いに注意するようにと習ったことを覚えています(でも、こんなもの、なぜ中学校で、理科の教師が見せたのでしょう)。 そんなものを冷却材に使い、かつ、ナトリウムの性質から配管の肉厚も内と外での温度差が出ると破断してしまう危険があるということで他の水を使う原子炉より薄くつくられているそうです。ということは、地震に対してぜい弱ということでもあります。 そして、もっとも重要なのが、冷却ができなくなった時、「核の暴走」が起き、制御できなくなるということだといいます。 いろいろテクニカルなことがあるので、そのことは下記のサイトを見ていただくとして、このもんじゅを管理している日本原子力研究開発機構敦賀本部広報課の「言い訳」、いつも通り、「大丈夫」「安全に設計されている」ともう誰も信用していないことを繰り返しています。しかも、そもそも事故を起こしている原子炉なのですから。 「言い訳」では、「想定される最大の揺れ760ガル」としていますが、新潟県中越沖地震では最大の揺れ993ガルを観測しています。つまり、それ以下で計算しています。 また、傑作なのは19本ある制御棒は、炉の上から差し込むようになっており、電源が喪失しても重力で自然落下するから大丈夫という論理です。ということは、福島第一などの沸騰水型原発は、ご存知の通り、重力に逆らって、炉の下から差し込むようになっているわけですから、「危ない」ということを認めているということです。 こんなもの一日も早く廃炉にしなければなりません。がしかし、それでも、それで「ハイ、おしまい」とならないところに、動かしてしまった原子炉の始末の悪さがあります。 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120110dde012040013000c.html EUの原発、4か国で改善要求 毎日新聞1月8日付です。ストレステストの結果、ドイツ、オランダ、ハンガリー、ブルガリアの原子力規制当局は、電気事業者などに対して安全性強化などの改善を要求していることが判明したとのことです。 http://mainichi.jp/select/world/news/20120108ddm002030107000c.html 原発検査とは名ばかり 表紙を変えただけ 独法・原発検査:「丸写し」03年設立以来 【原発関連施設の唯一の法定検査機関で独立行政法人の「原子力安全基盤機構」が、検査対象の事業者の作成した原案を丸写しした検査手順書(要領書)を基に検査している問題で、機構の第三者委員会(委員長・柏木俊彦大宮法科大学院大学長)が、同様の手法が機構発足当初(03年10月)から常態化しているとする調査結果をまとめた】 自分でやっていたら日が暮れてしまうと言ってはばからない連中です。仕事をするなんて言う気が鼻からない連中ですから。 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120111k0000m040093000c.html 東電、1200億円供託 福島第一が無保険状態になることを回避 読売新聞 1月10日(火)22時44分配信 【東京電力福島第一原子力発電所の保険契約問題で、東電は保険金額と同額となる1200億円を法務局に供託する方針を固めた。 東電は海外保険大手と新たな損害保険契約を結ぶ方向で交渉していたが、条件面などで交渉が難航し、現在の保険が満期となる15日までに契約できるメドが立たなくなったためだ。】 * この1200億円も電気料金に上乗せするのでしょう。何せ「総括原価方式」ですから。何にも彼らの懐が痛むわけではありません。 EU(European Union)環境政策を規定する4原則 「EU(European Union)環境政策を規定する4原則」というものがあるようです。以下にあげる4原則、東電はじめ原子力関係の事業体と政府に学んでほしいです。 ①予防原則(precautionary principle):十分な科学的根拠がない場合であっても、環境および人間の健康に重大な損害を与えている兆候がある場合は、立法措置をとることが適切である。 ②事前防止原則(prevention principle):発生した被害を事後に除去するよりは、汚染の発生を未然に防止する手段を講じたほうが、通常費用の負担は少ない。 ③発生源での対応原則(ratification at source principle):廃棄物は発生した場所に最も近い場所で処理されるべきである(汚染が広範囲に広がるのを防止できるため)。 ④汚染者負担原則(polluter pays principle):汚染に責任を有するものが、汚染の除去と削減および汚染の未然防止の必要を負担すべきである。 そして、「『因果関係が科学的に不確実な場合や、いまだ結論に達していない場合には、脅威の解明はその時点において科学の限界と認め、さらなる時間を費やすことなく、早期に対策を講じるべきである』という原則に留意しなければなりません」と、この原稿の筆者は付け加えています。 これも、仕事で読んでいる原稿で見つけました。まさに原発にぴったりとあてはまることだと思いませんか。これからいえば、とてもまき散らしたセシウムをはじめとした放射性物質のこと「無主物」だなどとは言えません。しかし、これとて「問題」がないわけではないようです。この原則、どうもいわゆる「放射性物質」は想定していないようなのです。「非電離放射線」は想定内なのですが、「電離放射線」は除かれているようなのです。やはり、原子力は「別物」にしておかないとまずいということなのでしょう。これ、すべて適用したら原子力関係のものまったく進まないことになってしまうからでしょう。 | ||