原発通信 134号2012/01/16発行
簡単で便利なのですが… 本通信、新聞の切り抜きをPDF化するよりも簡単ということもあり、ここのところ、Web上に載っている記事の場合、そのアドレスを貼るようにしています。簡単なのはいいのですが、紙面ではどのような扱いなのか(何面で、どの辺になどレイアウトも)ということが不明で、全て同じに見えてしまいます。トップの見出しもすべて同じ扱いですから。違いは記事の文字数ぐらいです。簡単に保存や引用ができるという利点はあるのですが、この情報を発信者(新聞社等)がどのくらいの価値、重要度を持っているのかという視点などが見えづらいところがあります。その点にも注意しなければと思っています。 「脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA」 両日で1万以上の人が集まったとのことです(東京新聞)。「原発のない世界のための横浜宣言」を発表。同宣言には「原発事故被害者の権利を守る」「政府、東京電力は完全に情報公開し、説明責任を果たす」「核燃料サイクルから段階的に脱却し、原発の廃炉に向けた工程表をつくる」など、8項目の提言が盛り込まれたといいます。 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012011602000036.html 岡本孝司・阿部 豊・山口 彰ら原子力マフィアの一員たちへ抗議をと呼びかけているブログがありました。参考にしてください。 献金つき3委員がまだ辞めないままの意見聴取会;抗議呼びかけ 2012-01-15 02:40:14 原子力安全・保安院は、三菱重工からの献金を受けている「利益相反」の3委員を辞めさせないまま、18日の意見聴取会で傍聴者を排除して、大飯3、4号機のストレステスト報告書への「安全」評価案を提示しようとしています。「はじめに再稼働ありき」の傲慢な姿勢は許されません。旧態依然たる「原子力ムラ」による政策決定を変えさせない限り、脱原発の達成は不可能でしょう。その意味で、ここは決定的な正念場です。 DU(劣化ウラン弾)などのウラニウム兵器禁止キャンペーンUWBANの方が「利益相反」3委員への直接メールとFAXのあて先を調べて広報されていますので以下に転送します。大至急メールやFAXを集中してください。短くても構いませんので、なるべくていねいな文章で要請されることをお薦めします。[転送・転載歓迎] http://ameblo.jp/datsugenpatsu1208/entry-11136142236.html 「日本人はどんな悲劇も情緒にすり替えてしまう」 毎日新聞1月13日付夕刊です。「特集ワイド 日本人よ! 悲しみを超えて この国はどこへ行こうとしているのか」で作家の丸山健二さんのインタビュー記事です。 丸山さん、大震災と原発事故を太平洋戦争に続く「第二の敗戦」と位置づけ、いずれの敗因も「身のほど知らず」と指摘し、日本人の欠点が丸出しになったといいます。そして、「日本人はどんな悲劇も情緒にすり替えてしまう。問題の核心が涙でぼやけてしまう」と指摘し、「怒りも感情的なものではなく、正義に裏打ちされた怒りでなければなりません」といい、教訓を学べない日本人、何故かとの問いに、日本人が持つ心性の一つ、「粋とやぼ」にあるといいます。 「本当のことを言っちゃあ粋じゃない、やぼだという文化がある」と。しかし、「言わずにおくことが、問題の本質から目を背けさせる口実にな」り、また、「日本人には権力に過剰に適応するくせがある。政府や東電はそんな国民性を知り抜いているから、時間さえたてば国民は黙る、今さえごまかせば、何年後のことなんか知ったことじゃないと、高をくくっている」と指摘します。 「震災直後、暴動も起こさず、整然と行動した日本人を海外メディアは称賛した」。しかし、丸山さんは「あれは外国の権力者たちの『自国の民もこれぐらい従順であってくれたら』という願望」といいます。そして、「その裏には『お前らは羊か』というからかいも含まれています」と。 本通信でも何度か書きましたが、「お涙ちょうだい」式の報道、「でも、…」などというものなら、冷たい人みたいにそっぽを向かれるということ、「悲しみの前に」思考停止してしまう日本人とよくいわれます。丸山さんは言います。いま日本人に求められているのは、「自立」、そのための勇気が必要と。まったく同感です。 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120113dde012040049000c.html 関電、「偽装請負」で不正派遣 工藤会系組長の妻らを逮捕 【原発関連工事への労働者派遣を巡って暴力団の関与を視野に入れ強制捜査するのは極めて異例。全国の原発労働のあり方に影響を与える可能性もある】と、毎日新聞は書いています。前々から、原発労働については言われていたことがようやく(?)明るみに出たということでしょう。 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120113k0000e040149000c.html 東電、国有化受け入れ検討 毎日新聞1月13日付。賠償、廃炉、燃料費の増加で経営が圧迫されているとし、公的資金注入による実質的国有化受け入れへ向け検討に入ったといいます。いい気なもんです。儲けは全て自分のもの、ベロ出すのも嫌だとし、損することになったから、みなさん助けてくださいと。助けてくれない? じゃあ停電ですよ、いいんですかと恫喝。奴らの本性が見えたというものです。 http://mainichi.jp/select/biz/news/20120113ddm002020089000c.html 福島第1原発、トレンチに300立方メートル汚染水 【東京電力は12日、福島第1原発3号機西側のトレンチ(トンネル)で、約300立方メートルの放射性汚染水が見つかったと発表した。東電によると、放射性セシウムの濃度は1立方センチ当たり約100ベクレル】だそうです。 あれだけざぶざぶ水をかけていればどこかにたまっているのは当たり前だし、また放射性物質で汚染されているのも当然です。さて、これをどうするかが大問題です。(この記事など経済面の隅「ファイル」というところにちょこっと出ているベタ記事) http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120113ddm008040084000c.html 原発運転員の研修、「自習と講義」のみだって! 毎日新聞1月15日付。「時代の風」「原発事故の原因」東大教授・加藤陽子さんです。加藤さん、中間報告を読んで、重要なポイントは「俯瞰と総合」という点にあるといいます。 事故調査・検証委員会の中間報告末尾に「これまでの原子力災害対策において、全体像を俯瞰する視点が希薄」であったと書かれているそうです。 「(1)情報収集と意思決定の両面で四分五裂していた政府中枢(2)原子力災害対策マニュアルで、情報入手の中枢とされていた経済産業省緊急時対応センターが全く機能しなかったこと(3)甚大な事故を想定したマニュアルに、地震・津波など外的事象による問題発生について一切載せていなかった東電の教育体制(4)対策を電力事業者の自主保安にまかせず、法令要求事項とすべきであったのにしなかった政府」と。 驚くことは、1号機の非常用復水器についての構造等を全く知らなかったということ。加藤さん、それは「専門家集団としては恥ずべき知的退廃」と喝破します。続けて、その運転員の教育ですが、「年1回、方法は自習と運転責任者による講義だけ」だったことを指摘します。 「旅客機の操縦士であれば、心身の健康チェックから始まり、機器としての飛行機につき、実地と仮想両面から訓練を受け、操縦マニュアルも血肉化しているはずだろう。多数の生命を預かる仕事だからだ。運転員は原子炉の向こう側に、被ばくしつつ避難を余儀なくされる人々の姿を想像しつつ運転したことがあったか」と。 そういえば、ビジネスの世界で、ここ最近「スペシャリストよりジェネラリストを」という流れがあるというのを聞きました。専門性に特化した人間の視野の狭さを知ったということなのでしょう。 http://mainichi.jp/select/opinion/jidainokaze/news/20120115ddm002070083000c.html 「国の原子力規制当局に研修期間はなかった」 この発言、細野自己担当相の発言です。毎日新聞1月15日付、ベタ記事です。前の加藤陽子さんの寄稿記事に書かれていますが、いったいこの50年間何をしてきたんだということにつきます。 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120115ddm008010078000c.html 丸写しした検査手順書 この問題も根はみんな同じです。下記は、毎日新聞と東京新聞の記事です。 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120113ddm001040050000c.html http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012011302000046.html ▼寄せられた情報 東電に株主代表訴訟提訴へ 株主が現・旧経営陣を提訴するよう求めたのに対し、東電は提訴しない方針を決めた」 http://jp.reuters.com/article/kyodoNationalNews/idJP2012011201001993
下記このブログの主も言っていますが、東電の面の皮は何処まで厚いのか。全く責任をとろうとしない、感じていない。作業員が死んでも知ったことじゃない。 株主代表訴訟は当然起きるでしょうが、それとは別に何故刑事のメスが入らないのか!告発を受けても動かない検察。人が死んでも東電の発表をそのまま鵜呑みにし、原因すら調べない警察。この現実に私達はもっともっと怒りの声を上げていかなくてはなりません。 http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1383.html 「脱原発は困る」電力労組、民主議員に組織的な陳情 電力総連=「原発マフィア」を守る陣笠部隊の互助組織ということですね。 http://www.asahi.com/national/update/1201/TKY201111300881.html * 「全国の電力系労組13団体が組合員らから集めた「政治活動費」は総額約7億5千万円。この資金は、主に同党議員の支援に」「東電出身の小林正夫・民主党参院議員(比例区)の関連政治団体と選挙事務所に計2650万円、川端達夫総務相の政治団体に20万円などを献金」ということです。どんな「支援」を頼んだのか知りたいものです。 放射線等に関する副読本掲載データ:文部科学省 こういうことだけは手早くやる文科省。ざっと斜め読みしましたが、自然界にある放射線と話を混ぜて、意図的に放射線に対する危険を薄めているように感じました。特に「日本の教科書(副読本)」なのに! 原爆症や黒い雨の記載がないのは納得がいきません。こういう時こそ頑張れ、日教組!! http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1313004.htm 中川恵一『連載がんの時代を暮す』 前号あたりから、原発事故については全く触れなくなりました。まあ、がんになったらとか死生観とかの内容です。それはそれで納得する内容なのですが、原発問題については要注意です。毎日新聞2012年1月15日付連載 | ||