原発通信 135号2012/01/17発行
阪神大震災から今日で17年がたちました 早いもので1995年1月17日午前5時46分に起きた大震災から17年がたちました。昨年起きた東日本大震災が起きたのが、3月11日14時46分でした。どうということはないのでしょうが、同じ46分に起きています。これらから何を学ぶのかということが問われているのですが、17年たち、風化が目立っているといいます。まだ1年もたっていない福島第一原発事故でさえ、関心が薄れつつあると先日、日曜日の夜のNHK Eテレで菅原文太も言っていました。 「水で冷やせばいいということが分かった」??!! 昨日NHK ラジオの「私も一言!夕方ニュース 原発の廃炉をどう進めるのか」を聞きました。そこに元原研(現職も言っていましたが聞き取れませんでした)に勤めていたマフィアの一員が出ていたのです。聞いていて驚きました。なんと言っていたかというと「今回の福島での事故での知見は水で冷やせばいいのだということです」などと、私にしてみればとぼけたことを今ごろ言っているんじゃないよと。これが、いや、この程度だということです。こういう連中が原発を動かしていると思うと恐怖です。そして、転んでもただでは起きないではありませんが、この福島第一の事故をビジネスチャンスと考え、処理方法などパテントを取って一儲けを企てている連中もいるとのことです。 米軍へは、スピーディーに情報提供 SPEEDIによる試算結果、事故直後の昨年3月14日、外務省を通じて米軍に提供していたそうです。松原仁国家公安委員会委員長の発言(下記)ではありませんが「外国の脅威」からは守るそうですが、「自国内部の脅威」からは守らない? http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012011702000021.html http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120117/t10015315481000.html 東電、太っ腹です。みんな上乗せできますから 【静岡市は16日、福島第1原発の放射性物質を含む汚染水を貯蔵するため東京電力に提供した人工浮き島「メガフロート」を約5億900万円で譲渡する仮契約を結んだと発表した】【市は減価償却分を差し引いた3億7000万円を譲渡価格として提示したが、東電は将来の代替施設整備費用も含めた5億円に上げ一括して支払いを済ませることにしたとのことです】とのことです。 「東電は将来の代替施設整備費用も含めた5億円に上げ一括して支払」うそうです。将来のことも考えてくれるとのことです。住民に対しては? 自分たちが出したもの、あれは無主物と開き直れる連中ですから、考えてないでしょう。後は、例の「統括原価方式」というのがありますから。 http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20120117ddlk22040220000c.html 「福島の事故? 私たち(すべての取締役)に責任あるわけないだろう」と 北海道新聞1月16日 福島原発事故 「全取締役に責任なし」 株主に東電が通知 【東京電力の福島第1原発事故をめぐって歴代役員に損害賠償を求めて提訴するよう請求していた株主に対し、同社監査役が16日までに不提訴理由通知書を送付した。「津波対策や、発生から事態収束に向けた対応について、全ての取締役に責任は認められない」としている。】 もう、何と言っていいか言葉がありません。 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/343843.html 原子力安全委員会、「住民の被ばく線量の測定も実施すべきだ」と 【原子力安全委員会(班目春樹委員長)は16日、東京電力福島第1原発の事故発生後から国などが行っている放射線モニタリングについて、「住民の被ばく線量の測定も実施すべきだ」などとする考え方をまとめた】そうです。 あれ?? 山下俊一(最新の「通販生活」に対談が掲載)や中川恵一らは、大したことない、心配するなと言っていたと思うのですが。 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012011601002203.html NHKスペシャル シリーズ 原発危機「知られざる放射能汚染~海からの緊急報告」 【原発事故による放射能汚染は、どこまで広がり、いつまで続くのか。その謎を解く鍵が「水」だ。NHKでは専門家とともに初めて原発から20キロ圏内の海の本格的な汚染調査を実施。さらに関東地方の陸から海にかけての広域調査も行った。その結果、次々と新たな放射能汚染の実態が浮かび上がってきた。放射性物質はいかなるメカニズムによって魚介類に濃縮され、私たちの暮らしを脅かしていくのか。知られざる実態を明らかにする。】(番組案内から) * NHKが船を仕立てて独自に調査をしたドキュメント。福島第一原発の事故でまき散らされた放射性物質、そして、高濃度汚染水のばらまき。番組で、ある専門家は「何とも言えません。少なくともチェルノブイリの経験からすると(安心できるまで)2年半はかかるのでは」と言います。 福島原発沖からポイントを定め測定していました。いわき沖では300ベクレル、高萩で28~30ベクレル(海底は岩でした)、ひたちなか市では急激に上昇380ベクレル(泥)、銚子沖では10月では38ベクレルだったものが12月には112ベクレルまで上昇という結果でした。どうも海底が岩盤か、砂地かでも違いがあるとのことです。そして、以前にも本通信で書きましたが、沿岸流の影響を指摘していました。沿岸流、河川から海に出たところで北半球の場合、時計回りに渦を巻くそうです。つまり福島原発近郊の河川で見ると、南側に流れるといいます。ゴカイから、ヒラメなどの底にいる魚、スズキなどへと転移するのではと言います。中川恵一は、食物連鎖はないと言っていましたが、果たして…。 また、ホットスポットとでもいうのか、群馬県・赤城大沼が汚染地帯だといいます。ワカサギから640ベクレル検出され、プランクトンを調べると296ベクレルだった。プランクトンは寿命が数週間であるから変だと思って底の泥を測定すると950ベクレル検出。 東京湾です。関東平野や北関東山岳地帯に降り積もった放射性物質が結局は東京湾に流れ込んでくるといいます。湾奥く(浦安周辺)は流れがなく淀みやすいといいます。調査の結果江戸川河口から8キロの地点がホットスポット(河口の872ベクレルの2倍、1623ベクレルを測定)になっているようです。そして、これから2年半後が危ないと言っていました。河口から8キロ上流、まさかあそこではと思い地図を見ると、やはり、金町浄水場近郊です。 東京都民の飲料水(東京だけではありませんが)、江戸川、利根川、多摩川(奥多摩が汚染地帯と出ています)を経由して山間部の放射性物質がこの春雪解けとともに流れてくることは間違いないでしょう。 北海道・泊町長選で 先日、泊町長選が無投票で現職の原発容認の町長が再選しました。送られてきた東京新聞1月13日付「こちら特報部」に原発マネーにどっぷりとつかった人口2千人に満たない泊町の実情が載っていました。一部紹介すると、家を新築すると200万円、高齢者には原価700円する弁当が100円で自宅に届けられる。パソコンは無償貸与でインターネット回線は無料とのことです。 2011年度の原発関連の固定資産税は約27億円、電源立地対策交付金は約5億4千万円で一般会計の8割を占めているといいます。しかし、いつまでも続くとは村の幹部連も思っていないようですが、とはいえ、「原発が止まって廃炉になるまで何十年とあるから国も北電も補償してくれるだろう」と。ここでは(泊に限らないでしょうが)原発のことを口にすることは禁忌のようです。でも、いずれ炭鉱のようになる、北海道の他の町がやっているように原発なしの町をつくっていかないという町民もいます。 http://blog.goo.ne.jp/nishidenjigata/e/ed4df0298c602820af901cd8551bea32 建築骨材に汚染採石 もう、何をか言わんの世界です。こうして全国各地にばらまかれていくのでしょう。「直ちに影響があるわけではありません」との「言説」とともに。 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012011602000176.html ![]() 週刊『Spiegel』誌 「3月の4日間」 週刊『Spiegel』誌51/2011号に掲載された、フクシマ関係の記事を簡単に紹介します。 大見出しが「3月の4日間」。これは、3・11原発事故に遭遇した、「Namie」(浪江町)の市民の4日間の状況を、現時点からインタビューを通して振り返った記事です。 * 町長(Tamotsu Baba=馬場有)のインタビューから始まります。当時、災害援助計画も、東京(政府)や東電からの援助もなかったと言います。だから町長は一人で災害非難、援助をしなければなりませんでした。住民は2万1千人。この間に44都道府県に分散して避難しました。それを彼は自分たちでしなければならなかったと言うのです。 特に年配者の間に、元の生活(町)に戻りたい要求が今でも強まってきています。東電は、補償を約束していますが、彼らの意図は見えています。「時間と共に、エモーショナルな傷は癒されていく」と思っているのでしょう。しかし、町長は逆の見方をしています。「時間と共に、(精神的な傷は)もっともっとひどくなって行く」と判断しています。 避難途中でさえ、どの道を通れば放射線汚染から免れ安全かも、誰からも知らされなかった。 町長のアシスタント(Naka Shimizu)さんが、シュピーゲルの記者を、今ではゴーストタウンになってしまっている浪江町周辺を車で案内します。その帰り際に、押し黙ったままの彼が、「どうか私達を助けてください! フクシマを助けてください! どうかヨーロッパの皆さん、私達を助けてください!」と記者に呼びかけたと言います。 それに続いて、独りで子供を育て、働いていた女性達の話が紹介されます。仕事と共に子供達、祖父母の身の安全も確保しなければなりません。しかし浪江町の住民達には、警戒情報も原発事故情報も、そしてまた放射線汚染の危険性も知らされることなく、住民は自分の力で難を逃れたと言います。 Hangai Masaoさん(75歳)の経験が紹介されています。「(原発事故)翌朝、消防署の人が来て、なんとなく「避難するように」と告げただけで、放射線の危険性には言及しませんでした。17歳と19歳の孫の世話をしなければなりません。(子供達の)母と父は仕事をしています。車で避難しますが、途中でパンクしてしまいます。「誰も、私を助けるために止まってくれませんでした」。 記事の最後に浪江町の馬場町長の談話が載っています。 町長は原発事故以降、自分の国の問題を根本的に問い始めています。「私達の国が文明化され、原発がその文明化の証しだ」と言われてきました。 しかしフクシマの破壊された原発の絵を見るにつれ、「何故、我々はコントロールできないのか? 我々は自分達が作ったモンスターと闘っている」。 * こうして事故後の4日間が生々しく紹介されています。 こうした記事を読みながら、原発とは結局何なのかと考えます。言えることは、原発とは単なるテクノロジーや技術ではなく、人間生命の破壊ということでしょう。自然と人間が必要とする、また築き上げてきた生命圏がそれによって破壊されていくのです。言うまでもなく自然動物圏もそれに含まれます。それと同時に人間相互の関係性も壊していきます。
<自分だけが生き残れれば>と言う考え方が、原発を進めてきた論理なのでしょう。だから強引さが付きまとうのです。札束で豊沃な農場と漁業権を奪い取った連中の頭の中にあるのは、ただこれだけでしょう。彼らは今も生き延び、自然を育て食料を生産してきた人たちは「死の灰」を被ることになりました。子供たちの教育と成長はどのように保障されるのでしょうか。ここからは何も希望が持てません。 人間の生命が問われているように思います。どうあるべきかの意味を問いただすことによって、新しい人間―自然生活の可能性が生まれれば、我々はもっと強くなれるように思うのですが、いかがでしょうか。 さて、言うことは簡単です。私に何ができるのかを、この間ずっと考えてきました。皆さんの反原発運動に連帯して、カッセルとフルダの私の生徒が折ってくれた鶴の折り紙をお送りします。機会があったら使ってください。いろんな人たちが皆さんの運動に注目していることを忘れないでください。頑張りましょう。 ▼寄せられた情報 脱原発世界大会YOKOHAMA (続報) 脱原発世界大会へ行って来ました。入場料が高い割りに、結構盛況でした。東京からの参加者も多数あり、原発都民投票の署名も取れました。学生も参加していましたが、集団ではなく個人参加がほとんどで、唯一、一橋大学が日本山妙法寺や祝島と同じ場所でブースを出して頑張っていました。場外の通路では、成城大学の首都圏ネットが机一つでパンフを配っていた程度でした。かつての大御所、東大・早稲田はどこへ消えたか情けないですね。 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012011502000023.html
▼どうでもよくないこと 松原 仁の世迷言 国家公安委員会委員長 内閣府特命担当大臣 (消費者及び食品安全)拉致問題担当になった松原仁(1956年生まれ、55歳)です。この男、任命されてのインタビュー(記者会見だったか)で「国民の生命、財産を守ること」と言いかけ途中で、その前に「国外から」と付け加えるような輩です。国外(彼の眼中には中国、朝鮮しかないのでしょう)からは守るが、例えば、原発事故で国民が生命・財産を脅かされても「関係ない」とほざくのでしょう、わざわざ、「国外からの」と付け加えたのですから。 | ||