原発通信 143号2012/01/27発行
●組織として安全を目ざすために重視されるべき事項 HRO(高信頼性組織High Reliability Organization)という言葉があるそうです。 「HROは、常に過酷な条件下で活動しながらも、事故発生件数を標準以下に抑えている組織のことで、航空管制システム、原子力航空母艦、原子力発電所などがそれにあたるといわれています。このような組織では、複雑な技術が使われること、関与する人々やその要求レベルが多岐にわたることなどの理由から、“不測の事態”に直面する可能性が高いのですが、作業員のマインドを高めることで信頼性を確保しているといわれています。 HROの安全の方針は5つあり、①失敗から学ぶ、②単純化を許さない、③オペレーションを重視する、の3つの方針でトラブルを防ぎ、④復旧能力を高める、⑤専門知識を尊重する、の2つの方針で発生してしまったトラブルを抑制しようとしています。」 * これを読んで、ホンマかいなと思われる人が多いかと思います。“不測の事態”に直面する可能性が高いので原発に従事している人たちは、マインドが高く、信頼性を確保している? 安全の方針が5つ? どれも福島第一原発事故では、まったくいかされていないし、そうなっていなかったということや、復旧能力など疑問符がいくつも付き、①の失敗から学ぶに至っては、冗談でしょうと思ってしまいます。でも、それは、3.11以降の現実を知ってしまったからです。原発の現場、いかにいい加減で、デタラメで、よくわかっていない連中が動かしていたのだということを知ってしまったのです。それも高い代償を払って…。 そして、ダメ押しともいえる以下の文言が続きます。「一般産業界において、組織として安全を目ざすために重視されるべき事項としては、リーダーシップ、アサーションや積極的傾聴を含むコミュニケーション、失敗事例を含めた情報の共有、などがあげられます」と。このどれもが貫徹できなかった事実を私たちは知っています。情報隠し、議事録をつくっていない(?)、あげたらきりがありません。この一文、仕事で目にしたものです。そして、この原稿が書かれたのは、そう、当然3.11以前でした。 ●これで、稼働中の原発は全国で3基に 島根原発(松江市)2号機(82万キロワット)の運転を定期検査のため停止 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120127-00000015-jij-bus_all ●枝野経産相、今夏、いかなる状況でも=原発稼働ゼロでも電力制限令せずと 枝野、「これは強い意思だ。それができる可能性は相当程度ある」と言ったそうです。実際、「まじめな日本人」ですから、昨夏でもできたのですから、というより、もっと「家庭で」は「省エネ」(意識も含め)が進んでいるでしょう。問題は、使えば使うほど安くなる大口契約者です。「たかが電気のために」、孫子の代にツケを回してはならないということです。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120127-00000031-mai-bus_all ▼今さらですが 家庭向けも値上げ!? 電気料金、カラクリは(毎日新聞) http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120118dde012040010000c.html?inb=yt ●特集ワイド:ザ・るぽ 茨城・東海村議選 「見えざる声」票に 脱原発を掲げる相沢さんは、前回の699から大幅に票を伸ばし1040票を獲得。得票順位も16位から4位へとジャンプアップしたとのことです。 本通信141号で「シカタガナイ」について書きましたが、この記事に、開沼博著『フクシマ論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』の一節が引用されていました。僕はこの本を読んではいないのですが、何年たっても根っこは同じで、変わっていないということなのでしょう。というより、それが「日本」ということ。 その本の一節だそうです。【全体に危機感が表面化しない一方で、個別的な危険の情報や、個人的な危機感には「仕方ない」という合理化をする。そして、それが彼らの生きることに安心しながら家族も仲間もいる好きな地元に生きるという安全欲求や所属欲求が満たされた生活を成り立たせる。(略)原子力ムラの側が自らで自らの秩序を持続的に再生産していく】(ここまで) http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120125dde012010004000c.html ●<放射線量>関東一部で一時上昇 雪で自然界の物質降下か 毎日新聞1月25日付です。【関東地方の一部で23日夜、大気中の放射線量が一時的に上昇する現象が起きた。専門家によると、東京電力福島第1原発由来ではなく自然界の放射性物質が、深夜の降雪で地上に落ちたとみられる】 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120125-00000002-mai-soci ●東日本大震災:福島第1原発事故 福島・川内村、31日に帰還宣言 避難区域で初 「早すぎる」の声も 「3月末までの全員帰村を目指し除染作業を進め、4月からは役場や学校も再開するという」ということのようですが、大丈夫なんですかね? http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120125ddm041040086000c.html ●除染工程表に疑問 本日27日の毎日新聞です。こちらの方が現実的なのですが。本当に「除染」と称して水で洗うわけですが、その水、どうするのでしょうか。これでは放射性物質なんて恐れるに足らぬという物質になってしまいます。 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120127k0000m040088000c.html http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/radioactive/news/20120127k0000m040049000c.html ●アメリカも困っているようです 「使用済み核燃料の最終処分場の建設地選定を急ぐようオバマ政権に勧告した」そうです。 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012012700722 ●テロによる原発の全電源喪失に備えて米国で義務化された対策を2008年までに研究していたにもかかわらず、電力会社などに伝えず 口を開けば、「米国では、欧米では」という連中ですが、事このようなことについては違うようです。 http://www.asahi.com/national/update/0127/TKY201201260723.html ●どうでもよくないことです。 先日の野田の施政方針演説、聞きましたか。麻生と私は同じだと告白しているのです。つまり、自民党と私は変わりませんよと。よくもそんなことを言えるものだと逆に感心してしまいます。この男にとって、政権交代と言っていたことはなんだったのでしょうか。というより聞く方、思う方が野暮というものなのでしょう。 | ||