原発通信 146号2012/02/01発行
●「都民投票」署名 今月9日までです!(一部、変更有―八王子市など)
●「橋下大阪市長の核武装発言」と題したT生さんからの寄稿掲載(本通信末に)
●浜岡原発:発電コスト、国試算上回る 県の専門部会報告 毎日新聞。 「専門部会委員の大島堅一・立命館大教授(経済学)が、70年から10年までの40年間で試算。中電の火力発電のコストは9.37円だった。川勝平太知事は『原子力発電は安いといわれてきたが、高い』と話した」とのことです。あたりまえです。これに、使用済み核燃料処理費(できるかどうかというより無理難題なもの)や、もしもの時のことを考えたらもっと高いというより青天井でしょう。 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120201k0000m040090000c.html
●北電、耐震再評価ずれ込む 泊原発 再稼働判断に影響 北海道新聞2月1日付。 「北電は同12月27日、連動する活断層の想定範囲を全長81キロとする中間報告を提出。しかし、保安院の専門家意見聴取会で『南方向に断層がもっと長い可能性がある』と複数の委員が指摘したことなどから、北電は再評価をまとめられない状況」とのことです。「再評価によって、泊原発1、2号機で想定している最大の地震の揺れや津波の高さが大きくなり、北電が昨年12月に提出した1、2号機のストレステストの1次評価で前提とした数値を超える可能性も否定できない」とも。 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/347547.html
●福島県の懸念を黙殺した国の"大罪" コンクリートの放射能汚染、急拡大 週刊朝日2012年2月3日号配信 「経産省の担当者には何度も回答を催促しました。でも、『検討中です』という返事ばかりで、回答はもらえませんでした」と、そう、検討中としておけば、一応「仕事をしている」となりますから。そして、「検討はしていた」(?)結果は…、です。 http://www.wa-dan.com/article/2012/01/post-259.php
●民主党政権下だけではないでしょ! 阪神・中越沖も「議事録作成していない」 「現代ビジネス」というところで、磯山友幸なる人物がシッタカさんをしています。「民主党政権になって多くの会議で議事録が作られていないことは折に触れてメディアなどで指摘されてきた」「人為的なミスが原因でないことは明らかだ。民主党政権の『体質』あるいは『情報に対する考え方』とも言えるものが根底にある」などと、知ったかぶり全面展開です。ところが、そんなこと今はじまってではないことが明らかになりました。毎日新聞2月1日付です。それによると「95年の阪神大震災で設置された緊急対策本部や07年の新潟県中越沖地震の際の会議でも、議事録や要点をまとめた議事概要が作成されていなかった」といいます。平野防災担当相、記者会見で「会議の後に記者会見で報告し、資料を公表すれば十分という判断だった。政府の慣習のようなものがあった」と釈明したそうです。「慣習」だって! これ、民主党云々とかいう問題ではなく、霞が関そのものの体質でしょう。 こんな、一大事が起きると「平常心を失う」(意識的な隠ぺいか――責任回避のため)ような連中ばかりだということです。わが身の保身しか考えていない連中に私たちの「命」が握られているということです。 「危機管理」などといっても、その体をなしていないという情けない姿です。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120131-00000047-mai-pol ▼お調子者が書いた記事 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31685
●電子地形図から消える 電力10社情報拒否 1月30日付毎日新聞。 「送電線や鉄塔の記載が消えたのは、国土地理院の電子国土基本図。従来の紙の地形図(縮尺2万5000分の1)に代わるものとして、昨年2月からインターネット上で公開している」地図から、テロ防止とのわけのわからぬ理由で情報を出すのを拒否しているといいます。Googleの航空写真でも確認できるのにです。もう、これ、八つ当たりというものでしょう。俺たちのいうことを聞けない奴にはこうしてやる、というような子どもじみた話です。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120130-00000005-mai-soci
●3原発でも監視システム送信不能 保安院公表せず もう、原発を動かすなどという資格そのものがないということ! 「大震災発生時、日本原子力発電東海第2原発(茨城県)と東北電力女川原発(宮城県)、同東通原発(青森県)の3原発で、国の原子炉監視システム(ERSS)に原子炉の温度や圧力などのデータを送信できない状態が生じていたと発表した。東京電力福島第1原発でも同様の問題が起きていたことが分かっている。保安院はいずれの事象も早期に把握しながら原因特定を怠り、公表もしていなかった」といいます。「まずは、隠せ!」、もうDNAに書き込まれたような体質なのでしょう。情報を独占し、「お前ら知らないだろう」という、これまた、いじめっ子の子供がよくやる手を体質は同じです。しかし、問題は、いじめっ子ではないということです。 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120201ddm002040208000c.html
●商社が上位ズラリ 東電100位圏外に 東京新聞2月1日付。 まあ、フツーはそうなるでしょう。就職厳しい折、何もどうなるかわからない、そして入ったところで東電のバッジなど付けて電車に乗れないだろうと思うのは当然でしょう。 http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012020102000029.html
●東電 原発再稼働で黒字化 値上げも条件 「原発動かさないというなら、値上げですよ」と、これまた子供の発想と同じです。というより、人間いくつになっても発送することは同じという証明です。それをいかに「大人っぽく」言うか、言えるかの違いです。そして、そのおおもとは、「カネ」です。 http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/scheduledstop/list/CK2012012602000196.html
●どっちでもいい? 名古屋のユニホームから「中電」消える…出資は継続 中部電力の企業名が掲示されていたユニホーム左袖には、新たに公式スポンサーとなった豊田通商の企業名が入った。 中部電力は08年から公式スポンサーを務めていたが、浜岡原発(静岡県御前崎市)の停止で業績が悪化し、撤退を検討していた。出資は継続されるという。愛知県豊田市内で記者会見したJ1名古屋の福島義広専務は『(業績が)回復すれば、再び支えてもらいたい』と」のことです。ところで、「豊田通商」、なんだかだいぶ前、インチキ商法でTVなどのカメラの前でマンションに入り込み、なかの社長が銃剣で刺殺された事件を思い出しました。 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120129k0000m050056000c.html
▼寄せられた原稿
橋下大阪市長の核武装発言
T生
はじめに
現在マスコミが報道している、都市連携による政界再編の中心となっている橋下大阪市長と石原東京都知事は、ともに「核武装論」で一致しているが、マスコミは、まったくこれについて批判していない。個人的見解であればかまわないとのようだが、都知事のように作家であればまだしも、橋下の場合は弁護士であり、いわば法的常識(リーガルマインド)を持ち合わせていなければならないのである。そこで、彼の発言は、完全に憲法違反の発言であることを以下証明し、もって、広く彼に限らず「核武装論」の話題になったときには、まず、憲法違反であること、特に政治家等公務員は、憲法尊重擁護義務があることを伝えなければならない。なぜなら、彼らのような「愚か者」には「愚か者」であることを伝える義務が、われわれにあるからである。沈黙は、ファシストの台頭を許すことになる!
憲法違反であることはもとより、 核拡散防止条約を締結=国際的に「核武装はしません」と約束
憲法98条によれば、その二項で「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」となっている。しかるに、わが国は、すでに核拡散防止条約を締結しているのである。正式には、この「核兵器の不拡散に関する条約」によれば、その第二条で、「締結国である各非核兵器国(日本のこと)は、核兵器その他の核爆発装置又はその管理をいかなる者からも直接又は間接に受領しないこと、核兵器その他の核爆発装置を製造せず又その他の方法によって取得しないこと及び核兵器その他の核爆発装置の製造についていかなる援助をも求めず又は受けないことを約束する」として、日本は国際的に「核武装はしません」と約束しているのである。 しかも、憲法前文では、外交の基本は「日本国民は、恒久の平和を祈念し、人類相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」としており、ここには、核兵器という大量破壊兵器による平和など入る余地はまったくないのである。
この憲法を尊重し擁護する義務を負っている橋下
そのうえ、いくら一私人、一個人といえども、彼は、大阪市長であり特別公務員である。憲法99条では、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」としてあり、大阪市長は、「その他の公務員」に該当し、したがって、この憲法を尊重し擁護する義務を負っているのである。 橋下は、弁護士として失格であるばかりか、司法試験に受かったとはとても思えないぐらい法的常識(リーガルマインド)すら、持ち合わせていないのである。しかも、大阪の教職員に服務規程の遵守を強制しておきながら、自分は愚かに、そして、無自覚にも、憲法が定めた義務を無視し違反しているのである。
問題は、「核武装論」を「お気楽に連発すること」で、 国民感情としての被爆国意識や原水爆に対する拒否反応を消し去ること
右翼の「核武装論」のはじまりは、かつて、岸信介が、総理大臣の頃、「純粋に防衛目的であれば、小型の原子爆弾を保有しても、憲法違反にはならない」と国会で答弁してからである。しかし、当時は、核拡散防止条約締結前であり、かつ、彼がA級戦犯であったこと、さらに冷戦時代で、米国の核の傘に入ることを政府が公言する前であり、さらに、小型で純粋防衛といったことで聞き流されてきた論であった。その意味で、内容的には冷戦時代の骨董品的議論である。しかも、技術的にも不可能である。具体的に簡単にいえば、核爆弾には、プルトニウム型とウラン型の二種類あって、前者は、材料となるプルトニウムは、原発から出る核廃棄物として大量に日本にはあるが、難しいのは球状にしたプルトニウムを均等圧縮する起爆装置が完成しないと、核爆発は起きないのである。しかも、実験が必要であり、米国やIAEAの目を逃れてできるものではない。 他方ウラン型は、材料があれば、通常爆薬を使って二点間のウランをぶつければ核爆発は起きる。しかし、その材料である、濃縮したウラン235をつくるのが大変なのである。ウラン鉱石から採取できるウラン235は約7%でしかなく、それを、遠心分離機を連続的に使用してできる10~20%ぐらいの濃縮ウランが原発用ウランであるが、原爆用ウランの材料となると、さらに80~90%ぐらい濃縮しないと使用できないのである。そのためには専用の巨大製造工場が必要となり、これも、わが国で定期的に行われているIAEAの査察からして無理である。しかも、核武装する前に、54基もある原発に通常ミサイルを打ち込まれたら、原爆と同じ効果が出てしまい、そちらのほうが恐怖である。 したがって、核武装論は単なる「こけおどし的議論」であるが、問題なのは、「核武装論」を「お気楽に連発すること」により、国民感情としての被爆国意識や原水爆に対する拒否反応を消し去る、まさに、究極の「毒を持って毒を制する」言葉の武器として使用されていることに対して、満身に怒りを感ずるのである。かつて、1955年当時、わが国6,000万有権者の時代に3,200万人の「原水爆禁止」の」署名が集まった歴史的事実を誇りとし、「核武装論」という狂った議論を全国民的に拒否し、軽蔑していく必要がある。 「愚か者」には「愚か者」と言う義務が、われわれにはある。彼らが己を「賢者」と思い込まないために! (2012年1月31日)
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