原発通信 186号2012/04/06発行
再稼働へ「突進」する野田政権 枝野経産相が、「再稼働には反対です」と言ったら、一晩で「前言取り消し」です。その晩、相当な恫喝があったのでしょうか。原子力マフィアの見えないところでのある種の圧力というものは相当のものだと思います。枝野もその圧力にさらされたのでしょうか。
毎日新聞4月3日付夕刊「近時片々」に【政府は京都、滋賀も地元としての知事の「理解」は求めるが、手続き上は「同意」は必要ないとの認識と。どういうこと。子どもに聞かれたらどう応えよう。】とありました。 つまり、「ねえ、わかってくださいよ。でも、あなたが賛成しようが反対しようがどうでもいいのですが、こうしますから。お伝えしましたよ。いいですね」ということです。こんなこと、許されると本気で思っているので…しょうね。 それとともに、保安院など、いかに「仕事をしていない」かということ、次から次と明らかになってきます。 「法律の枠組みで同意が義務付けられているわけではない」…、えっ! ▼「地元の同意」不要=原発再稼働-藤村官房長官 「何らかの法律などの枠組みで同意などが義務付けられているわけではない」と、「開き直り」です。つまり、「やりますよ」と言えばそれでいいということ? では、今までのことはなんなのでしょうか。
野田、ただただ再稼働一直線です。 ▼<大飯原発>枝野経産相、来週にも福井へ 再稼働に向け説明 野田、「再稼働に向けた説明のため、早ければ来週にも枝野氏を地元自治体に派遣し、理解を得るための作業に入る」と言っています。ただただ再稼働一直線です。
▼大飯原発、再稼働へ緊急対策13項目 「30項目の安全基準は、〈1〉外部電源〈2〉建屋内の電気設備〈3〉原子炉冷却機能〈4〉水素爆発対策〈5〉事故対応――の5分野に」ということですが、福島の事故調査結果も出ていないのにという各方面からの指摘がありますが、まったくその通りです。はじめに結論=再稼働ありきです。
中川委員長、「安全に一応ってあるんですか?」 ▼大飯原発再稼働:「これで十分」 福井・原子力委員長 毎日新聞 2012年04月06日 02時40分(最終更新 04月06日 02時44分) 【県原子力安全専門委員会の中川英之委員長(福井大名誉教授)が同日、毎日新聞の取材に応じ、「私自身はこれで十分だと思う」】と言ったそうです。 しかし、福島の事故後に、「一応」はないでしょう。下記の記事にある通り、いあや、お金もらっているんですね。これでは…、信用しろといわれてもと思うのです。
「今後、検討する」という関電。でも、「よくできました」と評価 ▼県原子力専門委員会:3事業者が報告 安全対策、取り組み評価 /福井 「今後、検討する」ということでOKとは。何に対してかと言ったら福島第一で起きたことについて、そういうことが起きた時を想定してほしいということに対してです。「事故は起きない」という呪文を唱えて起きなければ世話ないことです。次の記事2つを見てください。カネです、カネ!
▼福井県原子力委:関電側から寄付 4人に790万円 泉佳伸・福井大教授が30万円(10年度)▽西本和俊・大阪大教授360万円(06~08年度)▽三島嘉一郎・元京都大教授300万円(06~07年度)▽山本章夫・名古屋大教授100万円(09~10年度)。
▼福井県原子力委:寄付問題 別の委員1人も700万円 飯井俊行・福井大教授に、三菱重工業が計500万円(06~10年度)、敦賀原発(同県敦賀市)などを運転する日本原子力発電が200万円(07年度)
安全評価もコピペです。 ▼<福井・敦賀原発>2号機の安全評価報告、119カ所の誤り この記事、翌日の今日(6日)には毎日新聞HPから削除されています。短いので全文。 【日本原子力発電は4日、敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の安全評価(ストレステスト)1次評価の報告書で119カ所の誤りがあったと発表した。安全評価は再稼働に必要な手続きの一つ。経済産業省原子力安全・保安院は同日、原因究明と再発防止策を求め、報告書を再提出するよう指示した。 日本原電は安全評価への影響はないとしている。原因について、日本原電は「コピーアンドペースト(複製)で作成した箇所の修正忘れ」などを挙げている。【岡田英】】
また、「コピペ(コピーアンドペースト)」ですって。そりゃ、119か所も直すのめんどくさいかもしれませんが。もうあいた口がふさがりません。こんなことばかり繰り返していたのでしょう。ルーティングワークそのものです。
今度は12トンもです! 汚染水処理システムはただの「塩抜き装置」ということ ▼汚染水、また配管から漏れ=12トン、海に流出の恐れ―作業員対処中に増加―東電 【汚染水処理システムのうち、放射性セシウムなどを減らす淡水化装置を通った後の塩廃水が配管から漏れたと発表した。漏れた水の量は推定約12トン、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質を多く含んでいるとみられる】と松本君クン、例によって、しらーっと言ったのでしょう。 180号でも書きましたが、「浄化処理装置」が、いつの間にか「汚染水処理システム」に。セシウムだけを取り除いているとか、わけのわからないことばかりです。「汚染水処理システム」とはいったい何をしているものなのでしょうか。ただの「塩抜き装置」ということです。「汚染水」を「処理」して、何になったのでしょうか。ストロンチウムなどたっぷり入った水が12トン流れ出たとは…。
「がれき処理」にみる分断工作 ▼震災がれき:札幌市は拒否 「安全の確証ない」 毎日新聞 2012年04月05日 02時46分(最終更新 04月05日 07時21分) 【札幌市の上田文雄市長は4日、「国から示されている(放射性物質の)基準や指針では安全の確証が得られる状況にない」として、拒否する回答文書を細野豪志環境相に郵送した】といいます。
「がれき処理をみんなで」という一見反論できないような話ですが、本通信でも何回は伝えていますが、脱原発派の分断工作に使われているという指摘もあります。ここは情報を集めてしっかりと見ていかないと、どんでもない方向へ誘導されてしまいかねません。小出さんが言っているように、「現地」できちんと処理することの方がいいのです。処理費用もトン当たりの価格が高騰しているといいます。
一企業の要請で「安全基準」が変わっていいものか。事故後、東電が要請し、保安院が厚労省へ ▼福島第1原発:作業員被ばく上限350ミリシーベルト要求 毎日新聞 2012年04月05日 03時06分(最終更新 04月05日 03時47分) 【昨年3月14日に被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトへ引き上げた直後、経済産業省原子力安全・保安院が東電などの要請を受け、上限を事実上350ミリシーベルトまで緩めるよう厚労省に求めていたことが、保安院の内部文書で分かった】といいます。 事故後の混乱のせいにしていますが、相当危機的な状況であったということが最近明らかになっていますから、「混乱のせい」とだけは言えないでしょう。「別枠」でと言っていることからも推察できます。
反・脱原発運動にレッテル貼り。原発・放射能の問題を扱っただけで「非国民」扱いか ▼高校教科書検定 「反原発」押し付け 留意必要 【修正で「反原発」を色濃く出す可能性もあり】、【教科書に記載されたことで、「反原発」を特定のイデオロギーに結びつけ、公然と授業で押しつける恐れもあ】ると。 反・脱原発をイデオロギーにして、「特定イデオロギーに結びつけ」てデマを振りまいているのは、彼らです。
▼損賠交渉窓口4カ所を増設 この窓口、「原子力損害賠償紛争解決センター」というそうです。損害賠償で東電と被災者の直接交渉が不調の場合に仲介するところだそうですが、それだけ「不調」に終わるところが多いということでしょう。
責任なんて初めから考えてもいません。 ▼核燃料:福島原発からは受け入れない…青森・中間貯蔵施設 毎日新聞 2012年04月05日 20時00分(最終更新 04月05日 20時36分) 【「リサイクル燃料貯蔵」(RFS)の久保誠社長は5日の記者会見で「福島原発の使用済み核燃料は、きちっとした安全確認が必要。協定通り右から左に受け入れることはしない」】とのことですが、記事によると「当面」です。使用済み核燃料を最長50年間貯蔵する会社だそうですが、この社長にしたって、50年先までは生きてはいないでしょう。責任なんて初めからとるもとらないもないのです。「今さえよければ」の世界そのものです。
▼福島除染:子供のいる家から作業 川内村6日学校再開 毎日新聞 2012年04月05日 10時58分(最終更新 04月05日 11時28分) 写真が載っていたので。子ども部屋、窓のすぐ前で水洗い。本通信183号にありますが、効果ないといわれているのにもかかわらずです。
東電が払うのではありません。税金でです。 ▼福島除染:撤去の庭木や土を補償 環境省、基準策定へ 毎日新聞 2012年04月05日 02時30分(最終更新 04月05日 08時25分) 【環境省によると、伐採で原状回復が困難となった庭木などの財物に対し、市場での取引価格や樹木の健康状態をもとに補償金を支払う方向で検討している】と言いますが、東電が払うのではありません。国がです。国=税金です。
▼非常電源の冷却ポンプ停止=予備機で対応、暴風影響か―女川原発 「発達した低気圧による暴風で送電線に何らかのトラブルが生じ、電圧が急変して悪影響を与えた可能性もある」とのこと。こういうことでも止まってしまうのですから、そして事が起きたら甚大な影響を及ぼすのですから、もう、何をしても無理と思ったほうがいいのです。つまり、原発は停止=廃炉しかないのです。
体のいい「恫喝」です。 ▼<福島第1原発>被ばく線量、収束か作業員安全か 【「通常時の線量と合わせた管理により、熟練作業員が早ければ6月ごろに不足する見通しで、事態の収束は難しくなります。放射線管理の業務に携わる者の不足も緊急作業に支障をきたします」。言い回しこそ丁寧だが、収束作業を「人質」に取ったかのような調子】とか。 放射線管理なんて、あるようでないもの。そんな安全基準なんてほかにありますか。ことほど左様にすべてがいい加減、その場しのぎだということです。しかし、東電、世界が違いすぎます。
▼時間外手当削減すら、いまも労組と協議中 東電のスローリストラ「破たん企業」とは思えない 東電の平均年収は761万円(11年12月、平均年齢40.9歳)の水準、だそうです。例の「顧問」は年報酬1500万円とか。
▼それでも東電顧問の報酬、一人1500万円とか 日テレ5日早朝のニュースです。批判にさらされ、東電、夏のボーナスなしにという方針とのことですが、例の「顧問」の報酬、一人1500万円と言っていました。 ▼東電を矢面に立てる経産省の姑息さ 【例えば、石油や天然ガスの輸入コストが増大するのはやむを得ませんが、為替レートが前回の料金改定時の水準(1ドル107円)のままなのか、原油や天然ガスの価格をいくらに設定しているのかも不明なまま】と岸博幸さんはいいます。東電に対しての世間の風当たりが強いことをいいことに、東電のせいにすべてして、逃げ切ろうとしているといいます。 人件費、一般社員の給与は2割しかカットされておらず、りそな銀行に公的資金が投入されたとき(3割カット)より甘いと。 電力会社が勝手に値段を決められ、政府は何もできないかのように思われているが、そんなことはないといいます。電気事業法の第30条(業務の方法の改善命令)があるといいます。
わざわざ呼びつけて、「税金泥棒」を告白 ▼【大飯原発・再稼働】 「制御棒挿入時間改ざん疑惑」-保安院に呼びつけられた 【原子力安全技術基盤課の技術官僚のA氏だった。A氏は着席するなり経緯と結論を述べた。「1・88秒という数字は関連情報として関電(関西電力)から来たものを『関電はこう言ってます』という意味で載せた。(環境団体から)要求された削除をするつもりはない」と。】 【関電が伝えてきた『1・88秒』という数字について、A氏は「保安院としては審査していない」と、いとも簡単に話した。】 【「電力会社がこう言っている」。A氏は語るに落ちた。保安院とは電力会社の代弁機関だったのである。】 保安院のこの職員、自分の責任ではないというつもりだったのでしょうが、何も仕事などしていませんと告白したようなものです。こういうの、まさに「税金泥棒」というのでしょう。 「脱原発をめざす首長会議(仮称)」、今月28日に設立総会 ▼脱原発 首長スクラム 脱原発を掲げる城南信用金庫の本店(品川区)で開催するとのことです。 【設立趣意書では、事故で「原発の安全神話は完全に崩壊した」と断じ、「住民の犠牲の上に経済が優先されていいわけがない」と主張。その上で「黙することなく原発に依存しない社会を目指し、再生可能なエネルギーを地域政策として実現させなければならない」】 【茨城県東海村の村上達也村長、福島原発に近い福島県南相馬市の桜井勝延市長らが賛同し、呼び掛け人に加わった。うち十一人が現職の首長。さらに福島県の佐藤栄佐久前知事、自民党の河野太郎衆院議員、民主党の篠原孝衆院議員、社民党の福島瑞穂党首らが顧問に就任する。】
◎寄せられた情報 ▼双葉町長「人間扱いとは、こういうこと」と評価 朝日にも記事はありますが、こっちに双葉町長のコメントがあるので。 余談ながら、これに限らず本当に朝日の記事は血が通ってない、と思うのは私だけ?
【井戸川町長は「世界最大規模の事故なのに、何ら特別な対策をしない中で収まったと言い、住んでいいという発想が我々をバカにしている。事故を矮小化しようとしているようにしか見えない」と断じた】。 まったくその通りです。異論ありません。 | ||