原発通信 192号2012/04/16発行
北朝鮮ミサイル騒動のどさくさに紛れて再稼働決めるのではないかと危惧していましたが、やはりやったなという感じです。 本通信188号で「原発再稼働:民主2PT見解は正反対」との記事を報告しましたが。その際、なぜか仙谷のPTのことが書かれていなかったのです。おかしいなと思っていたところ、東京新聞4月11日に【「チーム仙谷」再稼働主導 首相・閣僚4者協議 形だけ】との記事があるという情報が寄せられました。なお、この記事は、東京新聞のHPでは現在削除されてしまっていますので、概要を紹介します。大飯原発再稼働へ向け関係閣僚が集まって「会議」をしていますが、取り仕切っているのは、「チーム仙谷」と呼ばれる枝野、細野、古川元久国家戦略担当相、斎藤勁官房副長官と仙谷だというのです。 東京新聞によれば、 【仙谷氏は国家戦略担当相、官房長官、党代表代行などの要職を歴任。枝野氏、古川氏も一員の前原誠司政調会長を支持するグループを束ねている。昨年八月の党代表選では決選投票で野田氏支持に回り、首相誕生の立役者となった。その政策力と政治的腕力には野田首相も一目置く。 仙谷氏は菅政権で官房長官、副長官としてエネルギー政策を担当し、官邸を去った後も仕切り役を続ける。野党時代から電力会社とのつながりがあり、霞が関や党内ににらみが利く仙谷氏が頼られ続けている格好だ。】 というのです。 この五人組の動きは、【昨年七月。九州電力玄海原発2、3号機(佐賀県玄海町)の再稼働が政治日程に上っていた時】からだといいます。【東京電力をどう再建するか。電力会社の地域独占体制をどう破るか。そして再稼働問題。政府の新成長戦略の旗振り役を担ってきた】のが仙谷だと。 【当時の菅直人首相は閣内に根回しなく「新たなルールを作って、国民が納得できる判断が出るよう指示する」と表明。再稼働を考えていた他の閣僚と衝突した。当時の菅氏は、脱原発を進めて延命を図る野心もあり、衆院解散も頭をよぎっていた。 この時は当時官房長官だった枝野氏が、再稼働の決定は、首相だけでなく官房長官、経産相、原発相を含めた四人で決定することを提案。菅首相にのませた。つまり四者協議は脱原発に走る菅氏を止めるためにできた。再稼働のツールだった。】 というのが東京新聞の見立てです。 毎日新聞に、どうして仙谷のPTのことが書かれていないのか、また、TVで関係三閣僚会議にいつも端に座ってニラミをきかせているように映る仙谷が気になっていたのですが、この記事で、なるほどと思いました。読売新聞にも同様の記事(下記)。 古賀茂明はツイッターで次のように言っています。 【枝野さんのシナリオ通り。再稼働反対のふりして、最後は裏切り。東電処理の銀行の債権放棄も同じ。債権放棄させなきゃ国民は納得しない!なんて言ってましたね。結局税金を入れて銀行に全部返すんですから、あいた口がふさがらない】と。 それで、14日に枝野が、再稼働への説明と称して福井県知事に会いに行ったとき、仙石も同行し、民主党福井県連で、議員連中を集めて、恫喝していたのかと納得です(下記に記事)。おまけは、その後、仙石の選挙区・徳島に回っていることです。 そもそも、これまでウソを言い、「安全神話」を振りまいていた連中=原子力安全委員会、原子力安全・保安院など=が自己批判もしないで、この機に及んでも「専門家」だとし、ありがたがっているということ自体が大問題です。 ところで、マスコミは、原発=大飯原発再稼働より、「覗き」趣味的に木嶋事件の方が関心ごとのようです。
▶大飯再稼働:関西圏の理解が必要…経産相要請に福井知事ら 毎日新聞 2012年04月14日 20時44分(最終更新 04月15日 01時01分) 【枝野氏は知事、町長、田中敏幸県議会議長らと相次いで会談した。大飯原発の現行の安全対策や関電が9日提出した中長期の安全対策の実施計画(工程表)が、政府の策定した判断基準に沿っていると最終確認したことを報告。また、関電の全原発が停止し続けた場合、夏場の電力供給不足の割合が最大18.4%になるとの試算を示した上で「(原発を)引き続き重要な電源として活用する」と強調、再稼働の必要性を訴えた】
▶大飯再稼働に反対して福井県庁前で抗議行動
▶大飯再稼働:「福井の貢献理解されず」…知事が批判 毎日新聞 2012年04月14日 22時20分(最終更新 04月14日 23時56分) 【原発立地の福井県に安全神話はなく、大臣には、こうした安全への努力の跡についてぜひともご理解いただきたい。これは福井県民はもちろん、消費地・関西一円の安全を守る努力でもあった」と強調。「電力消費地の理解がなければ再稼働について県民の理解を得ることは困難だ」と】はいうものの…。
▶福井・大飯原発:再稼働、政府決断 地元町長が歓迎 反対派は批判 おおい町の時岡忍町長、「まだかまだかと待っていたものが確認され、結論が出たことは歓迎したい」と。
▶原発安全評価は机上の計算 政府自ら“不十分” 認める 【「コンピューターの解析だけで評価し、さらに机の上でチェックして『はい、OK』というのは納得できない。消防が民宿を訪れて防火査察するように、世間一般の常識なら、現場をチェックしないと安全確認にならないはずだ」】とは、おおい町大島に住む無職大道定雄さん(67)の話とのこと。まったくその通りです。普通はそう考えるものです。そう考えないところがマフィアや村の連中と、野田政権です。
●「再稼働五人組」の親分・仙谷も福井へ 「枝野は県や各自治体を説得しろ! 俺は県議会議員連中を黙らせるから」と仙谷 ▶再稼働主導?仙谷氏、福井の民主議員に理解訴え 【枝野、仙谷氏の「同時福井入り」は、枝野氏が主に自治体、仙谷氏が党県連と、政府、党を代表する両氏が役割分担して再稼働の必要性や安全性を説明することで地元の不安や反発を和らげる狙いがあるとみられる。 仙谷氏は党東電・電力改革プロジェクトチーム会長も兼ね、一貫して再稼働に前向きな考えを示してきた。枝野氏や細野原発相ら原発政策にかかわる閣僚はいずれも仙谷氏に近いことから「仙谷氏が再稼働を主導した」(政府関係者)との指摘は少なくない。実際、仙谷氏をリーダー格に、枝野、細野、古川国家戦略相、斎藤勁官房副長官の5氏は国会近くのホテルなどにひそかに集まり、再稼働を政治決断するタイミングや東京電力の経営改革などについて協議を重ねてきた。】
▶大飯再稼働:仙谷氏、福井の地元説明会に出席 毎日新聞 2012年04月14日 22時22分(最終更新 04月15日 01時42分) 民主党福井県連が開いた地元説明会で、【大飯原発3、4号機の再稼働について「政治決断せざるを得ない」と所属議員らに理解を求めた】といいますが、ほとんど恫喝でしょう。言うこときかないと、次の選挙は…とか何とか含みを持たせて。セオリー通りです。
▶他の原発も再稼働目指す=仙谷氏 仙谷、大飯原発以外の定期検査中の原発についても「安全性、必要性が確認され、地元の理解があれば再稼働をお願いする」と発言。
▶仙谷氏表舞台に 地方議員説得「拙速ではない」 ついに、「仙谷氏が地元の説得という難しい局面で表舞台に乗り出してきた」と。
▶福井知事:中間貯蔵施設、関西に…「痛み分担を」 毎日新聞 2012年04月14日 22時36分(最終更新 04月15日 01時24分) 西川一誠福井県知事、【「電力を消費してきた地域にも、痛みを分かち合う分担をお願いしないといけないと思う」と述べ、県内だけでなく関西に中間貯蔵施設を造る必要性があるとの認識を示し】、【燃料貯蔵容量は9703体(4420トン)で、既に7割程度が埋まっている。今後も関電だけで処理すると約7年でプールはいっぱいになる計算で、再稼働が実現しても使用済み燃料の処理が課題となる】ため。道理としてはその通り。だから、原発はそもそも「無理がある」ということを住民は知らなければなりません。
▶大飯再稼働:福井知事、立地県の貢献強調…周辺県をけん制 毎日新聞 2012年04月14日 22時08分(最終更新 04月14日 23時38分) 「日本中が地元というように話がぼんやりしたような状況ではいけない。不満な気持ちだ」。
●仙谷の選挙区・徳島へあいさつ回り ▶一時的に「原発ゼロ」へ=大飯再稼働間に合わず―枝野経産相 枝野【経産相は「後戻りせず一直線に原発を減らしていく」と説明。さらに「半年、1年だけ原発がゼロになっても、また原発に依存してしまうのでは仕方がない」とも述べ、原発依存からの脱却を着実に進める考えを強調】と、15日に徳島でいったそうですがとても信用できません。徳島は、仙石の選挙区です。大飯原発再稼働で同行した仙谷がついでに選挙区へ行ってあいさつ回りについていっての話でしょう。
▶<大飯再稼働>「原発ゼロ」に焦り 安全と必要、疑問符
●これぞ無責任の見本。御用学者の見本です。 ▶大飯原発工事未完了でも十分安全? 政府お墨付きも尽きぬ課題 【福井大附属国際原子力工学研究所の竹田敏一所長は「新たな安全基準で出発(再稼働)して問題ない」との認識だ。ただ「今(の想定)より大きな津波、地震など、新たな知見が出てくる可能性が十分ある」と指摘し、新知見が判明すればプラントを止めてでも安全性に反映する姿勢がより求められる】と。つまり、先のことはよく分かんないが、そんなこと心配していたら何もできない。その時はその時だといっているということです。無責任そのものです。
▶<大飯再稼働>「5月」に黄信号…迫られる「地元」線引き 【枝野氏は理解を得る「地元」の範囲をあいまいにしてきたが、県などが「関西圏の理解」を求めたことで、線引きを明確にすることが求められる】と。
▶菅前首相 政府の議論 不十分 「電力不足は供給側視点」 【再稼働をめぐり、菅直人前首相(65)が本紙との単独会見に応じた。「電力が足りないと言っている供給側の視点に偏り、議論が不十分だ」とし、早期の再稼働を目指す野田佳彦政権の姿勢に懸念】。
▶関西電力:太陽光発電を計上 夏の電力需給見通しで 毎日新聞 2012年04月14日 02時30分(最終更新 04月14日 02時33分) 関電はこれまで太陽光発電は不安定だとして、供給力には入れていなかったが、今後、供給力に太陽光発電を計上する方針を取るとのこと。
●派遣切りはする、雇止めはする、などしていたくせに、「従業員ら負担重く」だと ▶自動車業界、今夏は土日操業困難 毎日新聞の記事がWeb版にないので、こちらを。毎日新聞の見出し、「従業員ら負担重く」とありました。いつから日本の大企業経営者は「従業員想い」になったのでしょうか。近年では、リーマンショックで派遣労働者・季節労働者など非正規労働者を無慈悲に切り捨てていったことをお忘れですかと。さも慈悲深い経営者面をして、原発再稼働だということが見え据えています。
●国民の生命・財産より東京電力・株価が大事──野田 ▶「東電弱める発言は控えて」 財務相時に野田氏が発言 前号191号で昨年3月12日の首相官邸でのやり取りが明らかになったという東京新聞の記事を紹介しましたが、株式相場への懸念を表明した閣僚というのが出ていましたが、野田だったようです。
▶福島第1原発:2号機の温度計1個異常 「正常に作動している他の温度計は45度前後で推移しており、東電の担当者は「炉内の温度は安定しており、冷温停止状態を維持している。異常を示した計器でも温度の傾向は把握できる」と東電。
▶山林のセシウムどこへ 雪解け水下流域に不安 独立行政法人・森林総合研究所(茨城県つくば市)が、森林に降ったセシウムが渓流に入るのかどうかの調査を行なうとのことです。
▶食品セシウム新基準:相次ぐ出荷停止 頭抱える生産者ら 毎日新聞 2012年04月15日 15時34分(最終更新 04月15日 18時02分) 4月から規制値が100ベクレルになり、シイタケ等から規制値以上のものが次々に見つかっています。ということはこの3月まで(500ベクレル)は、そういうものも市場に出ていたということです。当たり前のことですが。
▼寄せられた情報 ▶原発再稼働、58%が反対=廃止派、昨年5月以降最高に-時事通信3月世論調査 原発の再稼働については、「再稼働すべきでない」(0点)が25.4%と最多。 http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012041500082
◆雨の中、「げんぱつ?YES/NOパレード」に行ってきました。 「げんぱつ?YES/NOパレード」が先週土曜日(14日)の【「原発」都民投票条例制定を求めるデモ】(新宿)に行ってきました。北朝鮮のミサイル騒動のどさくさにやるのではないかと思っていたら案の定、再稼働。また、あいにくの雨でしたが、200人ほどが集まり、伊勢丹・三越前、アルタ前、西口を通って中央公園までデモを行いました。
●北朝鮮ミサイル騒動でわかったこと 発射された7時38分から米韓に遅れること40分以上も後になって、あの婿殿大臣田中防衛相が「何らかの飛翔物体」発表。その混乱のわけを毎日新聞によると、「日本のレーダーが届かない韓国沖でミサイルの航跡が途絶えたことだ」といいます。7時40分には防衛省へ伝わったが、その後、航跡が消えてしまった(爆発してしまった)からというのです。しかも、同記事によると【防衛省中央指揮所では「どうしたんだ」と焦る声が起きた】といいます。 打ち上げ後、爆発してしまうかもということも想定されていなかったのでしょうか。想定していたとしても、結果としては想定していなかったということと同じことになってしまったのです。米国は当然としても、「米韓は自前の衛星やイージス艦で早々と発射を確認」といいます。どうも、原発同様、底が抜けているということがわかってしまったということ? 最悪を想定して対策を練ることがどうも苦手のようです。旗はあげるのですが…。それこそ、「費用対効果」からみたらどうなのでしょう。
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