原発通信 205号2012/05/08発行
だいたい、まだ3.11前と同じメンバーでやっているということ自体が信じられません。 ▶<原子力委>大飯再稼働への影響懸念、議案隠し 新大綱策定 【関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)再稼働の妨げになるとして、内閣府原子力委員会が4月、有識者によって長期的な原子力政策を決める原子力委の「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案の一つから「(原子力と)地域社会との共生」を外していたことが、毎日新聞の入手した議案書で分かった】とのことです。 なんでも、「地域」とはどの範囲だという議論になったらまずいという判断からだそうです。 近藤委員長、「選定なんて一貫して透明じゃない」と開き直り ▶原子力委:議案選定、際立つ不透明…委員長は隠蔽を否定 原子力委員会の近藤駿介委員長、【「不公平ではないか」との質問に「アンフェアかどうかは知らない」「議事選定が不透明ではないか」との指摘には「選定なんて一貫して透明じゃない」と独自の理論を展開】したそうです。「選定なんて一貫して透明じゃない」、これ、もう開き直りもいいところです。 【原子力委員会が新大綱策定会議の議案を隠蔽した問題は、政府が何度も強調してきた原子力政策のゼロベースの見直しに疑問を投げかけ、国民の不信感を増大させる裏切り行為だ。原発再稼働推進派を利するよう裏で立ち回る原子力委に、重要な会議を取り仕切る資格はない】との指摘は、至極当然です。 今夏に電気の使用が制限された場合、「我慢できる」と答えた人74% ▶毎日新聞世論調査:大飯原発の再稼働「反対」は63% 【関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について「反対」は63%を占め、「賛成」(31%)を大きく上回った。稼働する原発がなくなり、今夏に電気の使用が制限された場合、「我慢できる」と答えた人が74%に達しており、原発再稼働を急ぐ政府に対し、民意の「脱原発依存」志向が強まっている】 そう、何が大事かということ、よくわかり、知ったのです。「命あっての物種」です。 やるところが違うだろ! 東電! ▶東電、家庭向け電気料金値上げ申請 時間帯別料金体系設定へ 【東京電力は、家庭向け電気料金の値上げ申請について、節電を促すために、夏のピーク時を高くするなど、時間帯別の料金体系を設定することがわかった】といいます。 家庭の電力消費量などより数倍使っている企業、大口契約者に対して行うのがまず先でしょう。日中外に出られない病気もちの人、歳を召された方々、幼児など弱者に大きな負担を負わすことになります。 ▶原発全停止 暗闇から明日が見えるか 福井新聞社説 【一度「脱原発依存」を明言した民主党政権が再稼働へ政治力を駆使する状況に、国民の戸惑いや反発は強い】というのはその通りです。 【場当たり的な政府の初期対応、遅れた情報開示、事故責任が問われる経産省原子力安全・保安院が政府と一体化し、再稼働へ向けた新安全基準を自前でつくる矛盾、ダブルチェックの役割を放棄した原子力安全委員会、それに代わる原子力規制庁設置の大幅な遅れ、40年以上たっても漂流する核廃棄物。】 民主党政権の無責任さは当然追及されてしかるべきですが、歴代自民党政権の問題がその前にあるのだということを押さえなければなりません。「40年以上たっても漂流する核廃棄物」、これは、歴代自民党政権が推し進めてきた結果だということ、というより「そもそも論」になってしまいますが、原発・核の基本的な問題で、それがクリアできないのに推し進めたというところに問題があるということを忘れてはなりません。 政府の問題点は追及しなければなりませんが、これから、どうするのかという点が、この福井新聞の社説からはうかがえないのが残念です。政府が決めることではないのです。私たちが決めなければならないのです。 櫻井よしこ、原発輸出は必要 ▶『通販生活』最新号 先日お知らせしました『通販生活』最新号にある櫻井よしこの発言です。 見出しは、「世界における日本の地位向上とエネルギー安全保障上のリスクを減らすためにも原発輸出は必要。」です。 この人、いつも自分だけは冷静だとまず言って、反対論者は感情的であるとくくるところから始めます。そういえば、昔この人がキャスターを務めていた日テレの「今日の出来事」というのがありました。番組の最後、さも自分は冷静かのように「では、ごきげんよう」(だったか)と、すまし顔での決め台詞。覚えている方いるかと思います。 まず最初に、「できるだけ感情論を排して、事実に対して誠実でなければならないと思います」といい、「原発の運用を情緒的に否定するのではなく」などと、あたかも、脱原発をいうものは、感情的で情緒におぼれ、事実に誠実でないかのように決めつけます。(東大話法規則12か) そして、事故は管理運営がずさんなため起きた人災だとし、地震で壊れなかったのだから日本の技術は優秀だと三段跳びです。彼女、原子炉圧力容器は優秀だと胸を張るのですが、その容器の底が抜けたのです。で、何が問題かというと、民主党政権は政策が定まっていないからだというのです。政策を定めてやった自民党政権時代につくったものが爆発したということでは……。(東大話法規則17か) で、何で脱原発に反対かというと(あっ、この記事のなかでもはっきりと「私は『脱原発』には反対です」と言っています)、石油や天然ガスは輸入品だからだというだけ。中東に何かあれば止まってしまうと。しかし、ウランなどはもっと偏在しているもので、それこそ、何かあったら…です。そして、いずれ枯渇する化石燃料と言っているのですが、この人の頭には核燃料の処分問題はないようです。どこまで行っても自分だけは冷静に見ているのよと例のすまし顔です。 この人の政治的スタンスを考える時、その成育史に目を向けるとわかるような気がします。 1945年ベトナム・ハノイ生まれ。ハワイ州立大学卒。お前のアイデンティティは、と米国社会で繰り返し問われて育ってきたのでしょう。 山下センセイ、いろいろ並べるのですが、では、どうなんですか ▶『通販生活』最新号 福島のお母さんたちとの緊急座談会 「福島のお母さんたち、県の甲状腺エコー検査の最高責任者、山下俊一さんに率直な不安をぶつける。」 甲状腺検査の結果のお知らせについての疑問からはじまります。「(A2)小さな結節(しこり)や嚢胞(液体が入っている袋のようなもの)がありますが二次検査の必要はありません」との通知を受けた8歳の娘さんのお母さんの不安。それに対し、人手がないから、データがそろっていないからと山下センセイ。挙句は、「一刻も早く全国の協力体制づくりをしていくことが重要であると思っています」などと、??といくつ付くのかという話になっています。しまいには、「ちょっとかみ合っていませんけど」と言われるしまつ。 低線量長期被曝については、さらに??が付きます。長くなりますが引用します。 安田 山下先生の低線量被ばくに対する考え方はどうなんですか。 山下 私は、基本的には規制防護の立場と、それから健康リスクの立場の両方から、ずっと現場で話をさせてもらってきました。 まず、規制防護という意味では、100ミリシーベルト以下であってもしきい値なし、できるだけ被ばくをさせないという立場が防護の基準です。 一方、今回の事故は非常事態でありましたから、このときにとった言動は、ひたすら健康リスクの立場から皆さんに説明をさせてもらいました。100ミリシーベルト以下であれば発がんリスクがはっきりしない、わからない、あるいは検出できないという中で、「すぐには100ミリシーベルトにならないので心配しないでください」という発言になりました。これは、決して100ミリシーベルトまで浴びていいということではありませんし、100ミリシーベルトが安全のレベルだということを規定しているわけでもありません。 ダスト・サンプリングのことを聞かれて、 山下 ダスト・サンプリングはずっとやっています。 和田 だったら、その数字をどこかで発表していただかないと。 山下 阿武隈山系の高い地域の森林とか、汚染レベルが高いところには立ち入らないというのが大原則だと思うんですね。(中略)私はずっと初期のころから、1時間当り1マイクロシーベルト以下であれば本当に心配要りませんよと申し上げています。 と、まあこんな具合なのです。のらりくらりというか、東大話法規則の見本みたいな話ですので、興味のある方は『通販生活』180円ですのでご購入のうえ、「東大話法規則」(本通信177号に抜粋)を置いて、どれに当てはまるか見ながら読んでください。 【「すぐには100ミリシーベルトにならないので心配しないでください」という発言になりました。これは、決して100ミリシーベルトまで浴びていいということではありませんし、100ミリシーベルトが安全のレベルだということを規定しているわけでもありません。】 だから、どうなんですかと突っ込みたくなります。 毎日新聞朝刊に毎日掲載されている「大気中の環境放射線量」(下記アドレス)によると、福島はこの間ずっと1.08マイクロシーベルト/h前後です。ということは…。 もう一つ、福島県内の放射線量をアップしてあるサイトを掲示しておきます。 ▶「子どもを放射能汚染から守れ NYで小出氏講演 【子どもを持つ女性から「帰国しても安全か」との質問が多数寄せられ、小出氏は「一人一人の判断だと思う。できれば小さな子どもは連れていかない方がいいが、おじいさん、おばあさんに(孫を)会わせるのも人間の営みとして必要だ」と答えた】 ▼行動予定 ▶「原発」都民投票総決起集会&げんぱつ?YES/NO パレード 6月3日(日)午後 新宿中央公園水の広場 詳細は後日。 請求代表者の鳥羽晴美さんが中心になって行うとのことです。 ▶本請求は、< 5月10日木曜日 > @都庁第二庁舎正面玄関(1階)です | ||