原発通信 209号2012/05/14発行
大飯原発再稼働をおおいまち議会が容認 今日(14日)開かれた全員協議会で決定されたとのこと。反対は共産党の議員只一人だったそうです。「慎重意見は思いの外、少なく、原発停止による町税収や交付金の減少を危惧する声が多い」なかでの決定だそうです。班目センセイではありませんが、要はお金という話です(立地自治体、交付金依存体質問題は別途検討しなくてはならない問題です)。安全性が担保されているとかどうとかはどうでもいい理屈。 6月21日告示の鹿児島県知事選に、「反原発・かごしまネット」事務局長で出版社代表の向原祥隆(むこはら・よしたか)氏(55)=鹿児島市=を擁立とのこと(下記に記事)。 町議会、いつから専門家集団に? 班目委員長も言わない「十分な安全性が担保されていることを認める」と ▶<大飯原発>おおい町議会が再稼働容認、町長に報告へ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120514-00000019-mai-bus_all 【「慎重意見は思いの外、少なく、原発停止による町税収や交付金の減少を危惧する声が多い」「十分な安全性が担保されていることを認める。日本経済の活性化のためにも動かしてほしい」など容認の意見が相次いだ】とのこと。福井県原子力安全専門委員会の意見など聞く必要はないじゃないのということです。自分たちで「十分な安全性が担保されていることを認める」と言えるのですから。といって、県原子力安全専門委員会が信用に値するということではないのですが。 どうであれ、おおい町、何かあったら責任とれるのでしょうかね。 大飯再稼働のためなら、何でも ▶原子力規制「3条委」設置へ=自公案丸のみ-政府・民主 「新組織の実現を急ぎ、関西電力大飯原発の再稼働につなげる狙い」とのことです。 ▶原子力規制庁:政府・与党譲歩、自公案受け入れで調整 「ただ、事故発生などの緊急時、どこが指揮権を持つかという最大の論点で溝が埋まっておらず」だそうで、これでは何の規制庁かということです。 ▶社説:原発規制組織 実効性の確保が大事だ 【いずれにせよ大切なのは、原子力の安全と事故時の緊急対応を確実に実行できる人材確保と組織構築だ】と。もっともです。今までの原子力安全・保安院のように「私、文系です」「専門能力がなかった」「広報も不十分」「連携もできていなかった」等々(本通信202号保安院反省)では困るのです。 「みんながそう言った」ということに何とかしたいと。 ▶大飯原発 町議会が運転再開同意へ 【14日に開かれる全員協議会で「町の財政や雇用を守るためやむをえない」として、運転再開に同意する方向で意見をまとめ、時岡忍町長に伝えることに】で、町長はというと、「町議会の意見と県の専門家会議の検証結果を踏まえる」と。町議は、町長に。町長は県にと、県は国にと、みんな“貧乏くじ”は引きたくないというのが本音なのでしょう。 ▶「大飯再稼働で不足解消」の見解批判=嘉田滋賀知事 滋賀県の嘉田由紀子知事、「最初から計算していた、できあがったストーリーのような数字だ」と批判しました。本通信でも書きましたが、再稼働ありきの数字など誰がこの機に信用するものですか。 繰り返します。なんら危機は去っていないということです。今も2号機から毎時750万ベクレルの放射性物質を大気中に放出という事実! ▶<福島第1原発>2号機排気口、年度内に閉鎖…補修計画 【放射性物質の放出が続く2号機原子炉建屋側面にある排気口を年度内に閉じて放出量を減らす工事など14項目の対策を盛り込んだ】 【排気口は「ブローアウトパネル」(縦4.3メートル、横6メートル)と呼ばれ、発電中に建屋内の気圧が高まった際に開放するために設置されている】ということは、通常も圧があがれば、放出しているということ。このことは以前から言われていましたが、「出していない」ということがたてまえでしたから。 しかし、このような記事、毎日新聞本紙では、最後の数行が省略。それにしても内面ベタ記事扱いです。 ▶汚染水処理、不具合続き 大震災14カ月の第1原発 【高濃度の放射性物質を含む汚染水の処理装置はトラブルが絶えず、燃料の状態や格納容器の損傷状況などは、いまだに正確に分かっていない】【4号機はプール底のコンクリートの強度低下が懸念】と。しかし、2号機については触れられていません。 ▶福島第一汚水システム、長期運用向け切り替えへ 【東京電力は12日、福島第一原子力発電所内の汚染水処理システムを、廃炉までの長期間、安定的な使用に耐えられるようにしたい」と。 建屋内で処理してそのまま原子炉に注入するシステムを2016年度末までにつくる。また、汚染水を処理した水をためるタンクから外部へ漏えいしないように、9月までにタンクの周囲にコンクリートの壁と土のうを設置する】と言っているそうですが、つまり、行なわれていなかったということです。ということは今のシステムはとりあえずのものだということで、何かあったら汚染水は外へ洩れる等のことが起きるといっていることです。 タービン建屋への地下水の流入、相当問題だということでしょう。 ▼東電のプレスリリース http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1203491_1834.html ▶<敦賀原発>原子炉直下の「破砕帯」、11月までに調査完了 【約12万~13万年前以降に動いた活断層と認められれば、「立地不適格」となり、廃炉に追い込まれる可能性】 【国の基準では後期更新世(約12万~13万年前)より新しい時代に動いた断層は活断層とみなし、真上に原発を建設することはできない】 ▶東電社長「最低限の値上げ」=家庭向け料金、厳格に査定-枝野経産相 枝野経産相、「予断を持たず厳格に」「透明性を持った査定」「電気の利用者に対する徹底的な説明責任を果たすよう」と注文したとのこと。しっかり守ってほしいものです。 まだまだ、考える手はあるということです ▶東電、家庭向け値上げ申請 「7月」「10%」高い壁 上げ幅圧縮、要求必至 【高原一郎長官は「徹底的な説明責任を果たすようお願いする」と強調。西沢氏は身を縮め「分かりやすい説明にしっかり取り組んでまいります」と蚊の鳴くような声で応じるのがやっとだった】 【原価の半分近くを占める燃料費も、「調達手段見直しで圧縮可能」(大手ガス会社幹部)との見方がある。政府関係者は「東電の言い値を認めていては政治的に持たない」と主張】 東電、自分に都合のいいことしか出していないということです。それにしても、このような記事で、「蚊の鳴くような声で応じるのがやっとだった」などと書かれては…。 ▶<需給検証委>関電に4社融通拡大 5%節電で制限令回避へ 【仮に関電管内の電力不足を西日本の4社からの融通や強制力を伴わない節電で解消できれば、大飯原発3、4号機の再稼働をめぐる政府の判断基準の一つ「再稼働の必要性」に疑問符がつく可能性もある】 ▶枝野経産相:「浜岡再開の確約知らない」中部電と食い違い 【昨年5月、中部電が当時の海江田万里経済産業相から得たとされる「運転再開の確約」について、枝野幸男経産相は11日の閣議後会見で「そうした約束は聞いていない」と述べた】 ▶<細野原発事故相>核燃最終処分場「福島は適さず」 【国内の原発から出た使用済み核燃料の最終処分場について「福島は適地ではないと、少なくとも私は考えているし、政府としても基本的に違いはない」と述べた】そうですが、では、どこへ? どこにもありません。 読売新聞は、「福島では大きな津波があり、最終処分場の適地ではない」と。 ▶電力需給 「言い値」追認 政府検証委 国民に節電迫る 【「(原発なしでも)安定供給する計画を当然持っているはずなのに(供給力を増やさない関西電力の)回答に驚いた」。委員の植田和弘・京大院教授は十二日の委員会で、強い口調であらためて関電を非難】 【さらに関電の担当者は会合で電気料金の値上げをちらつかせ、北海道電力からは「一番の費用削減は原発の再稼働」との声も出た】 ▶大飯再稼働で協議会新設を検討 京都、滋賀も「地元」に 【政府が福井県に京都府、滋賀県を加えた安全規制監視のための協議会新設を検討していることが11日、政府関係者への取材で分かった】 当然でしょう。 ▶東電事業計画 既に破綻してないか 東電の事業計画についての意見は、他と大差なしです。これからのことについては、【これを機に、電力業界全体の在り方にも踏み込んでもらいたい。依然として原発を主電源に位置づけたい電力会社の下では、再生可能エネルギーへと軸足を移す「脱原発依存」は遅々として進まないだろう。発電と供給を分ける「発送電分離」や、地域独占の見直しなども含めて、あるべき姿を探ってもらいたい】と。玄海原発、佐賀県、佐賀県知事についての言及はありません。 汚染は止まることはないでしょう。 ▶野ネズミから高い放射性セシウム 福島県川内村三ッ石、茨城県北茨城市関本町小川地区の山林でそれぞれ去年10月と12月に野生のアカネズミから、3100ベクレル(川内村)、790ベクレル(北茨城市)検出。 ▶天然ナマズで基準超放射性セシウム 【埼玉県は今月1日、吉川市の中川の新川橋の近くで採取した天然のナマズから、国の新しい基準の1キログラム当たり100ベクレルを上回る130ベクレルの放射性セシウムを検出】 ▶東京湾の海底土のセシウム、7か月で13倍に 【東京湾の海底土に含まれる放射性セシウムが、昨年8月から約7か月間で1・5~13倍に増えたことが、近畿大の調査で分かった】 ▶福島第1原発:川内村で試験作付け ボランティアら田植え 【福島県川内村で13日、試験田への作付けが始まった。村商工会などが呼びかけ、首都圏から訪れた家族連れのボランティアら約50人が泥に足をとられながら、昔ながらの手植えを楽しんだ】そうです。WEB版にはありませんでしたが、本紙では、小学生くらいの女の子が田植えをしている写真を掲載。なにも…と思うのですが。 ▶日本地震学会:大震災想定できず、反省の論文と提言公開 【「既存の理論に過度に依存した『思い込み』があった」(海洋研究開発機構・堀高峰氏ら)との声】。本通信(204号)で報告しましたが、原子力学会より、謙虚です。 ▶反原発・向原氏の立候補確実か 鹿児島県知事選 【6月21日告示の鹿児島県知事選に、「反原発・かごしまネット」事務局長で出版社(南方新社)代表の向原祥隆(むこはら・よしたか)氏(55)=鹿児島市=の擁立を検討している】とのことです。向原祥隆さん、南方新社代表です。 「脱原発実行委員会・かごしま」、向原祥隆氏を全面的に応援とのことです。 ▼「反原発かごしまネット」事務局長、向原祥隆氏による報告、演説 http://www.youtube.com/watch?v=VerMlbaHSkY ▼反原発・かごしまネット 川内原発「温廃水」訴訟を起こし、たたかっています。 http://www.synapse.ne.jp/peace/minami-index.htm ▶脱原発、再生エネルギーへ 孫社長が韓国で訴え 【10日、韓国政府などが環境問題の専門家らを集めてソウルで開いた「第2回グリーン成長サミット」で講演し、人類は原子力発電をやめ、太陽光などの再生可能エネルギーの利用を拡大するべきだと訴えた】とのことです。 ▼寄せられた情報 32万筆の署名を都庁へ搬入、無事本請求を完了 昨日(11日)32万筆の署名を都庁へ運び込み、無事本請求を完了しました。NHK "ニュースウォッチ9"で5/10に放映された本請求の様子がネットで見られます。(消える前にぜひ) http://www.dailymotion.com/video/xqqo03_yyyyyyyyyyy-yy32yyyyyyy_news この後、知事は意見書を付けて都議会へ条例案を提出。都議会での審議となるわけですが、5/11の記者会見を見ると、この直接請求の意味を全く理解していないことがわかります。 18分過ぎから東京新聞の質問があり、それに対する回答も的外れですが、21:40からの共同通信とのやりとりには唖然とします。意見書が思いやられます…。さて、6月3日の都民投票デモですが、まだコースその他詳細が未定です。決まり次第、ご連絡いたします(T) | ||