原発通信 213号2012/05/18発行
▼行動予定 6月3日(日)午後1時30分 新宿中央公園「水の広場」集合 新宿駅周辺をパレード 国会事故調に海江田当時経産相が参考人として招致 東電・武黒一郎フェローの奇妙な動き 昨日17日に国会事故調に海江田当時経産相が参考人として招致されたことは、下記の報道のとおりです。そこで明らかになったとは、菅首相ら政府と東電との状況伝達、それを基にしての的確な判断ができていなかったということと、その前日に行われた東電勝俣会長との話の矛盾が改めて明らかになったということです。下記、毎日新聞「クローズアップ2012」に興味深いところが書かれています。東電原発部門の黒幕は武黒一郎フェローだということは以前報告しました(本通信159,198号)。その武黒フェローについて海江田元経産相が言っていることです。 ▶原発国会事故調 政府と東電、相互不信 「撤退問題」真っ向対立 毎日新聞 クローズアップ2012:2012年05月18日 東京朝刊 興味深いのは、「海水注入をめぐって白熱した議論」が続いているさなか、【海江田氏は「菅直人首相(当時)が『再臨界の可能性はないのか』と言い、白熱した議論をしている場所から東電の武黒(一郎)フェローが抜け出て本店に(官邸が再臨界の可能性を議論していると)電話したということだ。」】というところです。 この武黒フェローについては何かの記事で、その人となりが書かれているのを読んだことがあるのですが、どうも茶坊主というか、何かにつけご主人に“ご注進”(チクリともいう)というか、する方のようなのです。それで「海水注入をめぐって白熱した議論」のさなかにそっと抜け出し、東電本店に“状況説明”。そのことが、要らぬ憶測を生み、菅首相の海水注入中止指示という話に結びついていくという話です。 そして、一番の問題は、官邸と東電本店との間に情報が共有されておらず、怒った菅首相が東電に乗り込んだということです。私は、菅がまた瞬間湯沸かし器のように爆発したから作業が遅れたという説より、東電が情報を出さなかった、「東電がこの期に及んで事故を小さく見せるため、ためらっているのかと思った」という海江田の証言の方が、信ぴょう性があると思っています。 この武黒フェローといい、国会事故調で、けだるそうに片肘をついていやいやカッコつけてカラオケで歌うようなポーズをとる勝俣会長と言い、東電に人格者と呼ばれる人間はいないものなのでしょうか。えっ、いたらこんなことにはならなかった…、そう言われればそうですよね。 ▶国会事故調:海江田氏「伝言ゲーム」…情報共有が不足 【福島第1原発と首相官邸、東電本店との連携について「情報共有が決定的に不足していた。三つが伝言ゲームをやっているような状況で、このままではいけないと思った」と述べ、意思疎通を欠いていたと振り返った】。たぶん、そうだったのでしょう。 【「原子力災害対策本部設置の根拠がどこにあるか、というやり取りをしているうちに」】ということは、原発安全神話にどっぷりつかり、危機を想定していなかったということの証明です。 ▶国会事故調:文書提出を要求 東電、文科省などに 国会事故調、【東電と文部科学省、内閣府原子力安全委員会、電気事業連合会から文書の任意提出を受けられなかったとして、事故調査委員会法に基づいて提出を要求することを決めた】とのこと。情報、事実を隠すということは後ろめたいか、都合が悪いかということ以外にありません。その理屈をもっともらしくつけられるのが霞が関の“優秀な”官僚ということです。 ▶保安院、安全委に表明要求 「耐震 旧指針でも問題なし」 【経済産業省原子力安全・保安院が二〇〇六年四月、原子力安全委員会に対し、古い耐震指針に基づき建設された原発でも、安全性に問題はないと表明するよう要求していたことが分かった】 【文書は「旧指針でも耐震性に問題はない」との見解を表明するよう安全委に要求。表明がないと、立地自治体やマスコミの批判が激しくなる▽国会でも原発建設を認めた責任を追及される-などとし、「安全委の有識者はたびたび証人出廷を強いられる」と、安全委を半ば脅すような文言もあった】 難しいことではありません。経済産業省原子力安全・保安院、もう、“余分な”手がかかる仕事はしたくないということの表れでしょう。 ▶原発事故研修 受講幹部 半数のみ 【全国十七の原発に国が配置し、緊急時は最前線で対応する原子力保安検査官事務所の幹部の半数が、事故対応能力を向上させるための研修を受けていないことが、本紙の取材で分かった】 訓練も、研修も受けていない人たちに命を預けているということです。こんなことでは、枕を高くして寝てるなんてできません。 安全を理解していない読売新聞、やる気のない経産省 ▶読売新聞の不可解 河野太郎氏が、原子力規制庁についての5月17日付の読売新聞の社説について、IAEAの安全基準というものを全く理解していない意見だとバッサリです。 関西電力についても、関西電力の電力需給に関する質問主意書への政府答弁と題した5月16日付の同ブログで【このやる気のなさ、情報の隠蔽体質、ひどいものです。原発が止まって、需給が逼迫することをわかっていながら、何も手を打たないできた経産省の崖っぷち作戦が、停電を引き起こす】と。 強欲な米エコノミックアニマル、金融モンスターの前にかすみつつも“夢”が捨てられない日本 ▶ドイツ発「脱原発」 英に波紋 2基建設を断念 欧州危機も影響 【ドイツの「脱原発」に続き、原発大国フランスも「減原発」のオランド大統領が就任したことで、推進国であるイギリスの原発政策に急ブレーキがかかっている。英国内の原発2基を受注したドイツ企業が建設を断念したことに続き、仏企業も建設の遅れを表明した。東京電力福島第1原発事故に加えて欧州債務危機も直撃、英政府も推進見直しを検討せざるを得ない状況】とのこと。 これが“普通”の反応でしょう。にもかかわらず、事故を起こし、事態はまだ進行形だというこの機にでも、やれ、原発を輸出だと、経済が停滞だと、原発技術を売りこめだと、日本はエコノミックアニマル丸出しです。そういえば、エコノミックアニマルという言葉はかつて日本人の代名詞だったのに、最近使われなくなりました。強欲なアメリカのギャンブルエコノミスト(モンスター)、投機屋の前にかすんでしまったということなのでしょう。彼らこそエコノミックアニマルそのものですから。 ▶大飯再稼働「判断近い」=年金改革、撤回含め柔軟対応―野田首相 昨夜のNHKニュース9で、野田首相、【関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について「そろそろ、その判断の時期は近い」と述べ、政府として近く最終決定する意向を示した】 なにを聞かれても、「安全性が最優先」と繰り返し、「(原発の)安全性が最優先。加えて必要性も加味しながら、最後は私のリーダーシップの下で、関係閣僚で意思決定したい」と強調】。何か勘違いしているのでしょう、ベクトルの違う「リーダーシップの下で」では、困るのです。 ▶自殺女性の遺族 東電を提訴 【「妻を失った悔しさと、ただの自殺者で終わらせたくないという思いから提訴しました。私と同じように悲しみ、苦しんでいる家族もたくさんいるので、泣き寝入りしないで堂々と戦うべきだと思います」と】。壁に書き残した「原発さえなければ」、胸にしみます。この現実を前にしても、再稼働だ、安いなどと言っている連中がいること自体信じられません。 | ||