原発通信 218号2012/05/25発行
▼行動予定 6月3日(日)午後1時30分 新宿中央公園「水の広場」集合 新宿駅周辺をパレード ▼イベントのお知らせ たくきよしみつ氏講演会 「裸のフクシマ」 『裸のフクシマ』(講談社)『3.11後を生きるきみたちへ』(岩波ジュニア新書近刊)の著者・たくきよしみつ氏を招いて、福島の現状と被災支援のあり方を話していただきます。いわきのNPOを交えたトークセッションもあります。 ◎日時 2012年 5月27日(日)15:00~17:30 ◎会場 東京・広尾「JICA 地球ひろば」3階講堂 東京都渋谷区広尾4-2-24 TEL.03-3400-7717 「ふくしま支援・人と文化ネットワーク」定時総会付帯イベント 会員無料。一般の方は参加費1.000円 詳しくは右記へ http://www.support-fukushima.net/ 政策決定の透明性=「見える化」こそ最重要 毎日新聞5月25日付経済面に「経済観測」というコラムがあります。そこに経営共創基盤CEO冨山和彦さんの、「原発を科学的な政策論争の地平に」と題した一文がありました。経営共創基盤がどういうところで何をしているところか知りませんが、福島原発事故の際、避難のバスを出動させた当事者だと書いてありました。 国会事故調を画期的なもので、報告書を期待していると言います。米のチャレンジャー爆発事故調査委員だったノーベル賞学者ファインマン教授が、NASA、米政府全体の組織的・構造的問題として切り込み報告書に添付資料として出されたことを引き合いに書いています。そして、この事故調、委員の多くが政治的な思惑や利害関係のしがらみのなかで「空気を読むことに熱心な中、客観的事実と真摯に対峙した科学者であった」と評価。 ここまではいいです、次、ひるがえって今回の福島第一原発事故をめぐって、わが国の原発問題は「絶対安全神話」と「絶対危険神話」の間でイデオロギー的、神学論争的に揺れ動いていると危惧し、科学者である黒川委員長に、自然科学、社会科学、人文科学の英知を総動員して科学的政策論争の地平に解放してくれることを切に期待していると書きます。 こういう一見客観的な装いをもっての「意見」が出てくることを「危惧」していました。同様に今日の毎日新聞社説は、核燃「秘密会議」について「透明性の徹底図れ」と訴えています。核燃サイクル秘密会議については本日も報告があるので、そこを読んでいただくとして、社説は「中立・公正であるべき政策決定」とまず決めつけています。さも、政策は公正に中立的に決定されなければならないと。 しかし、思うのです、そもそも政治とは何かと。政治は一つのイデオロギーの現れです。そこに「中立・公正」というもの自体がそもそも存在するのかと。私は、そんなものを願うのは“ないものねだり”だと思っています。必要なのは透明性です。政策決定のまさにはやり言葉でいえば「見える化」です。 そのことを徹底的に追求していくということ以外にないと思っています。そして市民のリテラシー、とりわけメディアリテラシーをいかに強化し、力をつけていくかということです。 第1回は12月8日。太平洋戦争開戦日、脱原発派への“宣戦布告”か ▶<核燃サイクル秘密会議>原子力委員長も出席 昨日の第1報に続き、本日の毎日新聞続報に「秘密会議」参加者の名前が出ていましたので追加します。わかっているだけで20回開かれ、しかも、本来の内閣府原子力委員会・小委員会の審議時間を上回って相談していたというのですから。 第1回秘密会議は太平洋戦争開戦記念日(真珠湾攻撃)の12月8日に行われていたようです。まるで脱原発派への“宣戦布告”のようです。でも、先の大戦も「布告なき戦争」ともいわれていました。今回もまさに“秘密”に集まってというのですから、似たようなものです。きちんと論をはることもせず(できず)、ごまかし、事実と向き合うことをせず、なんとなく…、ということをたくらんでいるのでしょう。 そして、先の布告なき戦争の結末が、数百万の人命を奪い、国土を焦土と化し、誰も責任を取ることなく、みんなが悪かったのだと総懺悔です。今回もそんなシナリオをたくらんでいるのでしょう。数万の原発事故「難民」を生み出し、国土を放射性物質で汚染しても、今現在誰も責任を追及される「個人」は出てきていません。戦争で負けたのはまるで“自然災害”だとばかりに納得したように…。それは、今回のまき散らした放射性物質を「無主物」だと開き直る神経に通底するものがあります。 【秘密会議は20回以上開かれ、高速増殖炉の研究開発などを担当する文部科学省職員が出席していたことも新たに判明した。正式な議事録は作成せず、配布された資料の多くは事務局を務める内閣府原子力政策担当室職員が回収する取り決めだった】 ▼出席者 進行役:内閣府原子力政策担当室 山口嘉温(よしはる)上席政策調査員(日本原子力発電からの出向者) 原子力委員会 近藤駿介委員長 鈴木達治郎委員長代理 秋庭悦子委員ほか 文科省 原子力課課長補佐 経済産業省・資源エネルギー庁 香山(かやま)弘文・原子力国際協力推進室長 苗村(なむら)公嗣・放射性廃棄物等対策室長 (1回あたり平均5.6人) 「日本原燃」(青森県六ケ所村の再処理工場を経営) 田中治邦常務 「日本原子力研究開発機構」(高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営) 幹部(1回あたり平均4.4人) 電気事業連合会(電力会社10社で構成) 幹部(1回あたり平均7.4人) 他 ▶核燃サイクル秘密会議:「表」の会議上回る20回45時間 12月8日の第1回から4月24日の第20回までの日時と出席人数の表が掲載されています。 ▶核燃サイクル秘密会議:原子力委員長「あいさつしただけ」 【記者が同席者の名を告げて重ねて問うと「みなさんにお集まりいただいて、あいさつをし、資料の作成や提供をお願いした記憶はある」と】 何のため、「勉強会」? そう、核燃サイクル推進するための「しっかりした資料を作るため」です。 ▶核燃サイクル原案:秘密会議で評価書き換え 再処理を有利 秘密会議でどのように書き換えが行われたかを図式。 http://mainichi.jp/graph/2012/05/24/20120524k0000m040125000c/002.html ▶<安全委>文書、黒塗りせず国会事故調へ 例の黒塗りで出した安全委専門家会合の議事録と手書きのメモです。原発の全交流電源喪失を考慮すべきかどうかを検討していた安全委員会作業部会の議事概要など。個人名も出るということですので、誰が言ったのか確認しましょう。 【内閣府原子力安全委員会は24日、国会の東京電力福島原発事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)に対し、要求された文書の個人名などを黒塗りせずに提出することを決めた】 原発が稼働しての財政力全国トップレベルは、一皮むけば自立できないという現実 ▶玄海原発:町、廃炉後の現実に不安「国は支援を」 電源三法交付金という麻薬を打ち続けた結果、原発に依存せざるをえなくなった立地自治体。その責任は、推進してきた歴代自民党政権に最大の責任があるわけです。薬物依存からの脱却プログラムがあるように、今後、原発立地自治体をどう支えていくのかというプログラムを早急に立てないのは、無責任というものです。 再稼働しないと日本経済がどうのという話は二の次、三の次。そのことがあらためて明らかになりました。 【岸本英雄町長は取材に「まったく原発に依存しないではやっていけないことが分かった。町民に犠牲になってもらうことが多くなる」と打ち明け、隣の唐津市との合併も「将来考えなければならないかもしれない」と可能性を否定しない】 【福島大の清水修二教授(地方財政論)は廃炉の場合でも「廃炉作業にともなう雇用は維持される」と述べた上で「国は早く脱原発に向けた計画を立て、立地自治体の財政が急激に落ち込むようなら法律を変えて電源三法交付金を充てられるようにすべきだ」と話す】 ▶玄海原発:全廃で13年度は3割減収 町財政試算 【固定資産税や原発関連基金からの繰入金などを含めると、11年度は町予算のうち原発関連マネーが約6割を占め、原発依存度が高い。逆に財政力は全国トップレベルで、95年度から地方交付税は支給されていない】 【現状維持でも固定資産税の減少で18年度には2割近く減り、財政の逼迫(ひっぱく)は避けられない。原発に依存する立地自治体財政の脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りとなった】 さまざまな再生可能エネルギーが試され始めようとしています これまでも言われてきましたが、原発マフィアの「妨害」等で予算も付けられず、研究もままならなかったものがようやく3.11以降日の目を見るようになってきたということです。 ▶再生可能エネルギー:海洋発電を推進 政府が方針案 【来年度以降、大規模な実証実験海域「実証フィールド」(仮称)を全国の自治体から公募して設定し、海洋発電の早期実用化に政府を挙げて乗り出す】とのこと。 【試算によると、日本の全ての海岸線に打ち寄せる波の潜在的な発電能力は、原発36基分に相当するエネルギー量】とも。 ▶小水力発電:愛知県、日本一を目指す 豊富な用水路活用 【愛知県が農業用水を使った小水力発電の発電量日本一を目指して取り組みを進めている】 【木曽川水系で87カ所、豊川水系で40カ所、矢作川水系で20カ所の計147カ所をリストアップした。全てで発電すれば一般家庭2万2000世帯分の電力となる】 再稼働するにあたって「国民も心の準備がいる」??? ▶大飯再稼働:時期、夏までに判断…首相 野田首相、【「真夏になってからの判断では企業もいろいろ準備がある。国民も心の準備がいる」と述べ、電力需要がピークを迎える夏場までに決める必要があるとの考えを強調】とのことですが、彼の発言を聞いていると、何か地についていないというか、ベクトルが違うというか、ようは“変”なのです。「国民も心の準備がいる」…? わかりません。 ▶福島第1事故:放出の放射性物質は90万テラベクレル 東京電力の発表です。2、3号機から放出された量が多いということです。3号機はプルトニウムを混ぜたMOXを燃料としている原子炉です。【放射性物質の総量(ヨウ素換算)は推定約90万テラベクレル(テラは1兆倍)と発表した。東電が総放出量を公表するのは初めて】 ちなみに総放出量をめぐって他の政府機関は以下のように推計していました。 ・経済産業省原子力安全・保安院:77万テラベクレルとの推計(昨年6月)今年2月には解析条件を変えて48万テラベクレルと推計。 ・内閣府原子力安全委員会:57万テラベクレルと推定(昨年8月) ▼ことば:テラベクレル 毎日新聞 2011年04月13日 東京朝刊 ◇テラベクレル ベクレルは放射線を出す能力(放射能)の強さを表す単位。テラは「1兆倍」を表す。1テラベクレルとは、1秒間に1兆回の原子核崩壊が起きる際の放射能の強さ。一方、シーベルトは放射線の人体への影響を示すもので、1ベクレルの放射性ヨウ素を経口摂取した場合の人体への影響は、0.022マイクロシーベルトとなる。 ▶「脱原発」で自民後退 エネ政策幹部会合 党内反発で文言削除 【党総合エネルギー政策特命委員会が十八日に示した原案では、中長期的な方向性として脱原発を選択肢に含めていたが、党内の反発を受け、脱原発の記述を削除した修正案が了承された】 そのわけは、 【原発立地県選出議員や電力会社と関係が深い議員などから「脱原発という表現を使うのは慎重にすべきだ」などと批判が相次いだ】ためと。 ▶「脱原発」遠ざかる自民 エネ政策で迷走 【特命委委員長の山本一太前参院政審会長は「(脱原発派に)共感できるところはあるが、最大公約数(の意見)をとらなくてはならない」と存続派に配慮する意向を示し、脱原発は削除された。脱原発派の一人である柴山昌彦衆院議員は脱原発の言葉が消えたことについて「再び原発を推進する余地を与えかねない」と疑問を示した】 リトアニア:日立が計画の原発、反対65% 【日立製作所が原発建設計画を進めるリトアニアで、民間の調査会社が今月実施した世論調査で、原発建設を「支持しない」との回答が65%に上った。「支持する」は21.5%。24日のインタファクス通信などが伝えた】 これも、「情報化社会」の進化ゆえということでしょう。さまざまな情報がその日のうちに、リアルタイムで駆け巡る時代になったからということでしょう。福島第一原発事故を知れば当たり前です。チェルノブイリ事故の時のソ連ではないのですから。 ▼どうでもいい話 朝日新聞五十嵐浩司、饒舌に言論の中立性を説く 年をとってくると朝が早くなるといいますが、夜が明けるのが早くなったということもあり、何気なくテレビをつけ、あちらこちらの局を見ていると報道ステーションに出てくるあの五十嵐某が出ているではありませんか。何を言うのかと思ったら、ここ数日来問題になっているNHKの数土経営委員長の東電社外取締役内定問題についてです。原発問題では口をもごもごさせている彼ですが、威勢良く、マスコミの信頼性だの、中立性だのと、誰でも言えるようなことを力んで、シッカリ、ハッキリ叫んでいました。こういう、人の問題だと、鬼の首でも取ったように自信たっぷりにいうところが気に入りません。そして、これこそ大きなお世話、どうでもいいことなのですが、あのむさくるしい“無精ひげ”何とかなりませんか。あれも勘違いだと私、勝手に思っています。 | ||