原発通信 219号2012/05/26発行
▼行動予定 6月3日(日)午後1時30分 新宿中央公園「水の広場」集合 新宿駅周辺をパレード 鹿児島県知事選に「原発のない鹿児島をつくる会」代表の 向原祥隆氏が正式に出馬表明 反原発派の出版社社長、鹿児島知事選に出馬へ 鹿児島県にお知り合いなどいらっしゃる方は、応援連絡をお願いします。 ▼イベントのお知らせ たくきよしみつ氏講演会 「裸のフクシマ」 『裸のフクシマ』(講談社)『3.11後を生きるきみたちへ』(岩波ジュニア新書近刊)の著者・たくきよしみつ氏を招いて、福島の現状と被災支援のあり方を話していただきます。いわきのNPOを交えたトークセッションもあります。 ◎日時 2012年 5月27日(日)15:00~17:30 ◎会場 東京・広尾「JICA 地球ひろば」3階講堂 東京都渋谷区広尾4-2-24 TEL.03-3400-7717 「ふくしま支援・人と文化ネットワーク」定時総会付帯イベント 会員無料。一般の方は参加費1.000円 詳しくは右記へ http://www.support-fukushima.net/ 妄想の世界に生きる原子力マフィアたち── 福島第一4号機特集 核燃料プール崩壊危機 ▶松本純一東電本部長代理「破裂ではなく、亀裂」 野ざらしで、青天井のまま置かれている福島第一原発4号機、それは崩壊するとそこに保管されている核燃料1535本が冷却不能に陥り、日本のみならず全世界が危機に陥ると、この間その危険性が指摘されています。その「不安」を解消するためか、25日、東電は4号機の「調査結果」を発表。 松本純一原子力立地本部長代理は「今回の測定結果をもっても、健全性は確認できた。強度の状況も確認できているので、使用済み核燃料を安全に保管できていると考える」と、いつものように涼しい顔で記者会見。それに対して、原発の耐震設計に携わっていた元東芝の後藤政志氏は「壁はあるが、どれくらいの強度を持っているか簡単にはわからない。構造計算をする場合は全データが必要。東電から出てくるデータは『こういう計算をした結果がこうです。だから安全』と言う。第三者がそのデータを基に再計算できるようなデータを一切出さない」と指摘。 また、メルトダウンまでいかないにしても燃料棒が破裂することが判明しました。その燃料棒の耐久性についての実験では、700度以上になると核燃料であるペレットを入れている被覆管が熱で破裂し、穴が開きました。そのことについて、報道ステーションの単独インタビューに応じた松本本部長代理、これまた涼しい顔で「破裂? いや、亀裂が生じることは承知している」と、まさに例の「燃料の損傷」というやつです。 ものは言いようとは言いますが、映像で見る限り、亀裂とは言わないと思うほどの穴でした。一事が万事、なにごとも“たいしたことないのだ”と見せかけようという姿勢です。そして、何を思ってか、「地元の皆さん、帰還しても大丈夫」というような発言をするに至っては空いた口がふさがりません。 そして、安全アピールということで、政府と東電は26日、4号機を報道陣に公開するといいます。細野原発事故担当大臣が建屋の中に入り、安全性をアピールする予定とのこと。 それにしても番組に出ていた元GEで働いていたという東北エンタープライズ社の社長の言葉、「自分たちは被害者でもあり加害者でもある」とはじめに言って、4号機について「リスクがそこにある」と涙声での発言にこそ、真実があると感じました。 また、佐野眞一さんが出演していました。松本の発言を聞いて、何と想像力のない男かと。まるで地球外生物の発言だとも。想像力の欠片もありません。そう、彼ら原子力マフィアの連中は、妄想の世界に生きているのですから。 ▶福島第1原発:4号機建屋を点検 地元の崩壊懸念で 【エレベーター設備や吹き抜けがある建屋西側の外壁には、爆風の影響とみられる幅0.6~3.3センチの膨らみが見つかった。松本純一原子力・立地本部長代理は「建屋全体やプールの健全性に与える影響は小さいだろう」と説明】 原子力安全・保安院、東電に、さらに現場を確認したうえで、改めて耐震性を評価し、来月29日までに報告するよう指示したとのことです。 そもそも、あの屋根が吹き飛び、躯体は形なく折れ曲がった姿を見て、「健全性に与える影響は小さいだろう」などと想像できることのほうが尋常ではありません。まさに「妄想」の世界です。その言い方にしても、もったいぶった、遠回しの言い方、聞いていて、アレ、どこのことがメインの話なんだっけと、軸をずらされてしまっていると感じるのは、私の聞く能力の問題なのでしょうか。 ▶<原子力委>04年にも秘密会議 「露見なら解散」 【毎日新聞が関係者から入手した文書の表題は「第2回原子力を巡る勉強会」。04年1月29日午前8~10時に開かれた。場所は今回発覚した昨年11月~今年4月の秘密会議と同じ中央合同庁舎4号館743会議室。近藤委員長が「表に出た瞬間に勉強会をやめる」と発言したと記載され、存在が露見すればすぐ解散する方針だった】と。まさに後ろめたい、秘密会議だったからこそ言ったということ。 ◎出席者 近藤委員長/斎藤伸三委員長代理/前田肇(はじむ)委員/町末男委員/経済産業省・資源エネルギー庁安井正也原子力政策課長/文部科学省の渡辺格(いたる)原子力課長/東京電力原子力計画部幹部/関西電力原子力事業本部幹部(肩書はいずれも当時) ら15人 ▶<核燃サイクル秘密会議>「委員長は4回出席」官房長官公表 藤村修官房長官、25日午前の記者会見でこの秘密会議を聞かれ、意見を聞くヒアリングであり「問題だとはまったく思っていない」だと。 ▶原子力委員会:細野氏「事務局、電力会社出向者ゼロに」 【担当室には職員21人(無給の行政実務研修員2人を含む)のうち電力会社など事業者、メーカーからの出向者が9人いる。細野氏は「電力会社の皆さんにはしかるべき段階で会社にお戻りいただくことについて検討している」と】 原子力政策担当室、まさに原子力マフィアの政府内出張所そのものです。 ▶核燃サイクル秘密会議:古川国家戦略相、「疑義招き遺憾」 政府の「エネルギー・環境会議」の議長の古川元久国家戦略担当相、「疑義を招くようなやり方がされたことは遺憾だ」と言いつつ、原子力委員会に議論のやり直しは求めないとも。 ▶原発耐震:「旧指針でも安全確保」電事連、安全委に要請 原子力マフィア電力部門のシンジケートである電事連、2004年に、【改定案とりまとめ時に、(旧指針でも安全確保されており)改定は必須ではない▽新指針を既存原発に適用することは必要ない──と表明するよう要請。決定時には「規制行政庁は既設炉が安全上問題となるものではないことを明言していただく」と求めた】 ▶知ってなるほど地震・防災:活断層、連動の経験則「5キロルール」疑問の声 原発、想定外あれば耐震性評価見直し 原発建設にあたって、付近に断層があるとの指摘がされても、短いものだから大丈夫といって無視してつくってきた根拠になるものです。というより、長いものでも分断して、5キロ離れているからとの理屈づけでやってきたのです。 【「5キロルール」は、隣り合う活断層が5キロ以上離れていれば連動の恐れはないとする経験則だ。松田時彦・東京大名誉教授が90年に国内外の12の地震を分析し、連動した活断層間の距離は全て4キロ以内だったと結論づけたことに基づいている】 ▶大飯原発:放射性物質拡散、京都の広範囲影響 滋賀県予測 関西電力大飯原発(福井県おおい町)で原発事故が起きたとの想定で滋賀県が作成した放射性物質拡散予測、京都府は、同県から提供された予測結果データを公表していなかったが、同府京田辺市の女性による情報公開請求に応じて公開。 30キロ以上離れた京都市など広範囲でも、安定ヨウ素剤の投与が必要とされる「50ミリシーベルト以上」と。 ▶再稼働反対80% 大飯原発で県民アンケート 滋賀県がとったアンケートだそうです。 【再稼働に「反対」は、原子力規制庁の設置など「条件が整うまで」を合わせて80%に上り、提言には74%が賛同】 ▶柏崎刈羽の廃炉提案も=株主総会に14議案―東電 6月27日に開く定時株主総会では、原子力損害賠償支援機構を引受先とする1兆円の優先株発行による実質国有化関連議案や取締役選任、柏崎刈羽原発(新潟県)の廃炉や発送電分離を求める株主提案など計14議案が提案される予定とのこと。 ▶もんじゅ、来月中旬にも完全復旧 炉内中継装置、28日据え付け 福井 【日本原子力研究開発機構は25日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉容器内に、落下トラブルに伴い新たに製造した炉内中継装置を28日に据え付けると発表】 その「復旧作業」に要した費用は約21億円! とにかく、何かやればいいのです。そうすればお金が入るという構造です。原子力マフィア、何が起ころうと自分たちの利益確保第一です。 ▶東京湾 再来年4000ベクレルに 【東京電力福島第一原子力発電所の事故で、東京湾に流れ込んで海底にたまる放射性セシウムの濃度は再来年の3月に最も高くなり、局地的に泥1キログラム当たり4000ベクレルに達するとするシミュレーション結果を京都大学の研究グループがまとめ】ました。 【シミュレーションを行った山敷庸亮准教授は「雨の量などによっては放射性物質が東京湾に流れ込む速度が早まる可能性がある。海底への蓄積量を継続的に調べるとともに、魚介類に影響が出ないか監視すべきだ」と】 ▼寄せられた情報 ▶おおい町議会全員協議会での再稼働容認決議 原再稼働を決めたおおい町議会、議長の態度をしっかり見ておきましょう。 動画内で「説明会」の様子が流れますが、実際には原発反対派は会場に入れませんでした。官許の選ばれた人物の質問で、シナリオ通りの結論ということです。これが「民意」「地元の合意」の実態です。 絶対に受け入れられるものではありません。 http://www.youtube.com/watch?v=HoS9pFvp4xQ&feature=related 「議長の態度、しっかり見ておきましょう」というので、見てみました。この新谷欣也議長、番組の司会者が「見ての通り、推して知るべし」と言っていましたが、チャラいというか、大丈夫かという感のするお方です。再稼働を決めた後の議員連中のニヤニヤした笑い顔、何かあったとき責任をとれるのかといいたくなります。昨日、玄海町の財政について書きましたが、おおい町も同様です。電源3法交付金でもっているのです。番組のなかでも言われていたように、要は「雇用問題」なのです。雇用をいかに確保するか、それが確保されれば、原発再稼働反対などという声も消えるのです。その交付金に頼るようにした国の責任を追及することはもちろんですが、交付金に頼らない「脱却プログラム」を立てないことには問題解決にはなりません。 ▼どうでもよくない話 ▶「住民投票は結構ですよ。開かれた社会なのですから」「でも付き合う義理はない」だと 毎日新聞今日(26日)付「石原語録」からです。 それによると、原発住民投票条例直接請求について聞かれ、「まだ見ていない。見たら反論します。日本全体が原子力に関してヒステリーになって」いると。 また、住民投票制度そのものに反対なのかとも聞かれると、「住民投票は結構ですよ。開かれた社会なのですから。しかし、それを受け止めて、決めたり修正したりするのは議会の責任。それが議会制民主主義の主要なメカニズムじゃないの。一部がワーッと言って、それが何十万集まったか知らんけど、それをいちいち斟酌しなくちゃいけない義理はない。そんな形で行政なんて行われるものじゃないですよ」と。 「開かれた社会だから結構だ」と言いつつ、その後は議会の責任だと、自分=知事の責任を棚上げ。彼、よくこの「論法」(というほど立派なものではなく屁理屈ですが)を使います。微妙に“人のせい(責任)”にすり替えるのです。確かに議会の責任ではあるのだけれども、そうであるなら、知事職など不要、議会が決めたことをやっていればいいのだったら、役所の局長クラスがやればいいだけになってしまいます。石原さん、あなた不要ですと。そして、つぎに、制度の問題としてきちんと明記されているものさえ、「義理」に落とし込んでしまう芸当さえ見せます。「義理」ではありません、それは首長の「義務」なのです。 | ||