原発通信 223号2012/05/31発行
野田首相、「私の責任で」大飯原発再稼働を決意! 昨夜、関係四閣僚を集め(当然、お目付け役の強面の仙谷も出席)、野田首相、なんと「私の責任で」大飯原発を再稼働させると、トンデモナイ“決意表明”! 関係四閣僚、覚えておきましょう。野田首相、藤村官房長官、枝野経産相、細野原発事故担当相。それと仙谷由人ですが、この人、責任はとらない立場でしょう。 それに先立って、関西広域連合の各知事を集めた席で細野原発事故担当相(事故担当であって原発再稼働担当ではない!)が“要請”に行き、わけのわからぬ「現在は暫定的な安全基準」だの、原子力規制庁設置後にはどうのこうのと、何の担保もなく安全だ安全だ、確認したと、それこそ「専門家」でもないのに安全を確認したと見栄を切り、野田は「私の責任で」と、どう責任を取るのかも明確にせず、再稼働を決意したとのことです。せいぜい、何かあったとしても、「議員辞職」でしょう。それ以上のことはできないのですから。ずいぶん、“安く”みられたもんです。日本国民は。 たぶん、引き金は、これまで再稼働反対を表明していた橋下大阪市長の「限定的再稼働も選択肢の一つ」という発言でしょう。橋下の言動に要注意といわれていたことが、一つ明らかになりました。それと、関西電力社長のタイムリミットが近づいていますよ、過ぎたら知りませんよという恫喝が作用していることは間違いありません。 三菱重工の佃和夫会長にいたっては「国民の理解を得られた」から再稼働歓迎だという。いつ、国民は原発再稼働に「理解を示した」というのだ。関西広域連合の各首長が「容認した」からか。 冗談ではない、原発について国民、各自治体の住民が原発再稼働について意見を聞かれたこともないし、再稼働やむなしといったこともない。そんな「選挙」、やったことはないのです。各級議員に白紙委任状でも出したとでもいうのでしょうか。 「みんなで決めよう『原発』国民投票」運動を展開しているところも、先日石原都知事が原発都民投票条例制定直接請求に関して反対を表明した件に、次のように反論しています。 「過去3年間の国政選挙、都議会議員選挙、都知事選挙において、原発の是非は争点化していません」「まして、霞ヶ関の官僚は市民が選んでいるわけではありません」と(下記に石原知事の反論と、それに対しての都民投票を求める側の反論は下記アドレスに)。 来週にも再稼働を判断する方針を表明 正気の沙汰ではありません ▶「総理の責任で判断」来週にも大飯再稼働を決定へ もう正気の沙汰ではありません。どう責任を取るのかということも言わずに、大見栄、啖呵だけは切ります。野田首相、「政治家」になることだけが目的で生きてきた人です(大学を出てすぐに松下政経塾・第1期生)。この人たちの名前、忘れてはなりません。 【野田首相は「立地自治体のご判断が得られれば、それをもって最終的にはこの4大臣会合でしっかり議論し、最終的には総理大臣である私の責任で判断を行いたいと思います」】 「完全な基準」がないなら、なぜ動かす! ▶大飯再稼働:「安全性」地元要望に応え 細野原発事故担当相、「安全性の説明を冷静に受け止めていただいた」だと。昨日の前号で、報告しましたが経済産業省の副大臣・政務官を一定の期間、現地に常駐させるなどの「特別監視態勢」、テレビ会議システムを常時接続したから「安全」だといっています。 細野事故担当相、「『完全な基準』があればいいが、もはやそれはない。常に上を目指すと頭を切り替えてほしい」と。頭を切り替えるベクトルがまったく違うだろうといいたい。 それにつけても関西広域連合の各首長、腰砕けです。 あきれる和歌山県知事のイエスマンぶり ▶大飯再稼働:首相「私の責任で判断」…関西広域連合が容認 毎日新聞 5月30日(水)22時7分配信 毎日新聞 2012年05月31日 01時38分 【広域連合は再稼働について「限定的なものとして適切に判断するよう(政府に)強く求める」との声明を発表。期間限定などの条件付きながら事実上、容認する姿勢を示した】 これら各首長も、要は、俺の責任じゃない、俺じゃないという言い訳を早くも言っているだけです。 どうしようもないのは、和歌山県知事の仁坂吉伸(にさかよしのぶ、1950年生まれ。東大の入試中止で京大に入ったが、東大への夢捨てられず東大へ)です。この男、東大卒業後、通産省に入省。さすが、現経産省で飯を食った人、昨夜の会議の様子をテレビで見たら、下り番頭もいいところ、イエスマンをさらけ出していました。ウィキペディアによると、2009年南海フェリーをめぐる件で、「渋る元気があったら国土交通省の前で割腹自殺でもしたらいい」と発言したようです。ならば、何かあったら経産省の前で割腹自殺でもしてもらいましょう。でも、何の足しにもなりませんが。 しかし、知事より、“格下”の市長の言動が左右するとはどうなっているんでしょうか。 ▶大飯再稼働 政府、最終決定へ 関西連合が事実上容認 ▶橋下市長の理解が決め手、大飯再稼働へ急展開 【橋下市長が理解を示したことで、一気に再稼働容認への流れができた】とは、情けないの一言です。 【橋下市長は声明発表後の報道陣の取材に「知事、市長には(原発を)動かさざるを得ないという考えの人もいる。だが、暫定的な基準に基づく暫定的な安全判断に過ぎないという考えは一致している」と】 こうなると、勢い半減の橋下市長です。それにしても、松井大阪府知事、番頭さんみたいでした。 “覆水盆に返らず” “吐いた唾は呑めぬ” ▶<大飯再稼働>松井知事「容認していない」 松井大阪府知事、【関西電力大飯原発の再稼働に関し、「関西広域連合を再稼働のアリバイ作りに使われた思いだ」【僕は容認したのでも理解したのでもなく、(再稼働までの)プロセスが不十分だと言い続けている」】と、【大筋で理解を得られたとする政府の判断に不快感を示】し、【「事実上容認」とした橋下徹大阪市長との食い違いを見せた】といいますが、俺じゃない、俺じゃないという担保のためでしょう。 ▶安全軽視 無責任歩み寄り 政府・自治体 【これまで距離があるように見えた両者が「猛暑前の再稼働」というタイムリミットを前に、出来レースだったかのように歩み寄った。 政府側は「福井の同意なく再稼働すれば、政権に致命傷になる」(政府関係者)と判断。どちらが一義的な責任を取るかにらみ合いが続いていた。 首相は三十日夜の四者会合で「最終的に首相の責任で判断する」と、いつもよりクリアに「責任」を口にした。だが、首長の歩み寄りを受けてからの発言では、首相としての「責任」を果たしているとは言えない。 政府と自治体。住民の安全を守るはずの存在が、ともに無責任体質をさらけだすような形で、再稼働が既成事実化しようとしている】 三菱重工会長、いつ、どのように「国民は理解」したのか! ▶大飯再稼働:不信感は根強く 【三菱重工業の佃和夫会長は30日、毎日新聞の取材に対し「時間をかけて国民の理解を得られたことは、産業界にとって歓迎できることだ」と強調】 冗談ではありません。国民は理解していません。 福井県、一気に再稼働容認へ突っ走るそうです ▶大飯原発監視体制を国に説明要請 再稼働の早期判断向け週内にも原発相が福井県へ 【課題がクリアされた場合に県は、県会や時岡町長の意向を聞くなど一連の手続きを時間をかけずに進める方針だ】 【細野豪志原発事故担当相は早ければ週内にも来県し、大飯原発の特別な監視体制などを県に説明する見通し。県原子力安全専門委員会は近く会合を開いて報告書をまとめるとみられ、西川知事は県会と時岡忍おおい町長の意向を聞いた上で、早ければ6月上旬には再稼働の是非を判断する見通しだ】 「原子力防災道路」もできていないのに、県はゴーサイン ▶原子力防災道路、来月整備に着手 福井県が4区間のルート決定 【福井県内の原発で深刻な事故が起きた場合に備える原子力防災道路について県は30日までに、本年度から敦賀、大島、内浦の3半島で整備する4区間の詳細ルートを決めた】 何から何まで、異常です。再稼働だけが目的ということです。 今再稼働させないと知らないよ、と関電社長 ▶大飯原発「フル稼働間に合わぬ」 関電社長会見で見通し示す この関電社長の発言が、最後通牒だった。 【関西電力の八木誠社長は28日、大阪市の本店で定例記者会見をした。大飯原発3、4号機の再稼働には配管の点検や水質調整などで約6週間かかるため、節電要請期間が始まる7月2日までに2基ともがフル出力で稼働するのは困難との見通しを示した】 労働者、市民を裏切った労働貴族にこそ報いを!! ▶「裏切った民主議員に報いを」 東電労組トップが不満 【「裏切った民主党議員には、報いをこうむってもらう」。東京電力労働組合の新井行夫・中央執行委員長は29日、愛知県犬山市であった中部電力労働組合の大会に来賓として出席し、そうあいさつ】、そして、【中部電労組の出席組合員約360人からは、どよめきが】起こったそうです。 ▶民主党電力総連組織内国会議員と献金 民主党議員への献金額は、小林正夫議員4000万円、藤原正司議員3300万円、中山義活議員700万円、吉田治議員700万円、川端達夫議員30万円、近藤洋介議員10万円に献金をしていた。(AERA 4月25日号)。そのほか、組織内候補ではないが、支援、応援を受けている議員多数。 ▶「脱原発は困る」 電力労組、民主議員に組織的な陳情 福島第一原発事故後、カネにものをいわせての電力総連の動きが明らかに。 ためしに電力総連のホームページを覗いてみました。以下のことが書かれていました。その一部を。これを誠と見るか、ブラックと見るかは…。お任せします。http://www.denryokusoren.or.jp/ ▼ ・私たちの考え 社会的な信頼回復に向けて 原子力 現在、最新情報はありません ・仲間になろう 電力総連は、組合員とその家族の幸せのために、雇用確保を第一として、労働諸条件の維持向上と安定のために諸活動を展開 ・ふれあいプロジェクトとは? あなたの「温かいハート」と「優しい手」 第14回「人間と地球のふれあいセミナー」( 2010.6.12~21 )では、「LEAF 地球を愛そう、すべての仲間と」題して、日常生活で忘れかけている「優しさ」「思いやり」という人間の持つ感性を再認識 自前の検査組織を持たずメーカー任せ ▶原発再稼働テスト “お手盛り検査”東芝・日立も 原子力行政の欠陥鮮明 ずーっと言われてきたことです。自分で自分を採点する現状です。 【ストレステスト(耐性試験)の実際の作業を、原子炉を製造したプラントメーカー自身が受注して行っていた問題で、東芝と日立も行っていることが30日、本紙の取材で明らかになりました。自社製原子炉の安全性を製造メーカーが調べる“お手盛り”検査の実態は、ストレステスト自体の信頼性をゆるがすとともに、自前の検査組織を持たずメーカー任せで安全審査をしてきた日本の原子力行政の構造的欠陥も浮き彫りに】 原子力官僚の天下り 河野太郎ブログごまめの歯ぎしり2012年05月31日 12:01 【5月26日付の朝日新聞「記者有論」が元経産事務次官の日立製作所社外取締役への天下りを批判している】 何でも2010年7月 に依願退官したその次官、資源エネルギー庁石油部開発課長や大臣官房審議官(原子力安全・保安院設立準備担当)を務め、2001年1月に原子力安全・保安院次長、2006年7月 には 資源エネルギー庁長官になり、2008年7月には事務方のトップの 経済産業事務次官になったという。福島原発事故後も反省することなく、原発ビジネスにまい進しているという。 そこで河野太郎、こういう連中を天下りさせてはいけないと言って、 【原子力ムラの横暴をこれだけ国民も目にしてきたのだから、天下り一般論ではなく、このケースのような原子力関係への天下りを厳しく法で禁止するべきだ】と提起しています。 ▼寄せられた情報 知事の意見書と、それに対する公式反論です ▼転載 すべての原発の稼動をやめさせるため、 その第一歩として都民投票を実施させようではありませんか。 6月5日に審議の始まる都民投票条例案について、意見を付けて提案する立場の石原都知事は、①対案を示さない提案である、②原発YES/NOは国が決めるべきことである、などと述べているようです。しかし、これは詭弁です。 第一の点について。 まず形式論で言えば、「都民投票で賛否を問う」ことを求める条例案であり対案などありえません(あるとすれば「議員に任せよう」になるほかありません)。 実質論で言えば(石原はこの署名がイコール原発反対である、という結論付けを行ったうえで)、対案がないイコール原発がなくなってもいいのか、という恫喝をしているわけですが、原発反対派はそれでいいと言っているのだから的外れです。 発電=電力の消費を現状どおり必要とするか否かを先ず考え、必要とした場合には他の代替発電方法は何が適切かを今後考えればよいことです。 第二の点について。 国が決めることである、そのとおりです。ここでは石原は形式論を用いています。都には権限がない、と。(だからやらない、と)。 国が決めることと都民投票の結果をもって国に要求していくことは何ら矛盾しないことは明らかです(国が決めることについて口を挟むのは石原都知事の十八番ではないのか、自分が発表した「尖閣列島買取り案」と矛盾しないのかは、ここではあえて追及しませんが……)。 石原が国に決めさせようと言うのであれば、都民投票の後に「国民投票で決めよう!」という運動の先頭に立って旗を振ればよいのです。 つまり、結論として石原は「原発推進」を一言も言わずに、反原発運動を妨害しようとしているのです。何を言っているのかに惑わされることなく、何を行っているかに注目すべきです。ここに、石原の反原発勢力に対する恐れ・配慮が垣間見えています。 われわれは、自信をもって「反原発」を高らかに主張しようではありませんか。 なお、都議会の最大会派である民主党(50)は都民投票条例案に賛成との情報があります。共産党(8)と生活者ネット(3)を加えての61議席は、124議席の過半数である63に2議席不足という数字になります。今回のデモの効果が問われる局面です。 6/3デモを成功させ、その力によって都民投票の条例を成立させましょう。 何のための都民投票か、言うまでもなく原発NO!の圧倒的な都民投票を実現し、全国に突きつけるためです。 我々の旗には「許すな原発再稼動 なくせ核兵器」の主張が明瞭に書かれています。すべての原発の稼動をやめさせるため、その第一歩として都民投票を実施させようではありませんか。 | ||