原発通信 224号2012/06/01発行
鹿児島県知事選に「原発のない鹿児島をつくる会」代表の向原祥隆氏が正式に出馬表明反原発派の出版社社長、鹿児島知事選に出馬へ。鹿児島県にお知り合いなどいらっしゃる方は、応援連絡をお願いします。http://mukohara.net/ 元スイス大使・村田 光平氏が野田首相へ送った緊急メッセージを末尾に収録本通信、最後の部分を書いているところで、地震! 震源茨城南部で震度4です。東京23区は震度3でした。先日の夜なかにも同様の大きさの地震があり、油断はできません。大きな地震があるたび、福島第一の4号機核燃料プールが気になります。 “覆水盆に返らず” “吐いた唾は呑めぬ”という言葉、進呈する人、また増えました ▶<橋下市長>大飯再稼働容認で“敗北宣言” 【「事実上容認する」と方針転換したことについて、「負けたと思われても仕方ない」と述べ、“敗北宣言”】 【「反対し続けなかったことに責任を感じている」とした上で、「大飯原発は『超』例外」「安全が完全に確認された上での再稼働ではないことを分かってもらうため、今回のようなやり方しかなかった」と釈明】 そう、東電や原子力マフィアの連中、言ってました。福島第一原発事故は想定外の地震、1000年に一度の地震と津波と。言い訳は似ています。 といって、彼らを批判ばかりしていても野田は再稼働へまっしぐらでしょう。権力を持っていない私たちですから、持っている人間を使うか、尻を叩くか、できる限りの方法を使っていかなければなりません。 「私の責任」という無責任 ▶社説:再稼働と原発の安全 危機対応は政治主導で 【結局のところ、「原発を動かさないと電力が足りない」という経済原理や不安解消を優先し再稼働を決めようとしている。原発事故前と根本的に何も変わっていない】 【緊急時の指揮権をどこに持たせるかをめぐって、意見が対立している。 自公は(中略)「素人が生半可な知識で現場に大混乱を起こした」(塩崎恭久元官房長官)ことなどが理由だが、賛成しかねる。 福島のような原発過酷事故で、事業者に「撤退は認めない」と指示を出すような最終判断は、国民の負託を受けた政治家の仕事である。自衛隊や警察、消防の出動なども同様だろう。 福島原発の事故で明らかになったのは、正確な情報を収集・集約し、迅速に対処する体制がなかったことだ】 真っ当な指摘です。 「大飯原発の寿命もせいぜいあと二十年。原発に代わる地域おこしを」と ▶「大飯」再稼働へ 地元の苦悩を思いやれ 【「最後は私の判断で」と野田佳彦首相。無策の政府に、どんな責任がとれるのか。 七月二日から逆算し、早々に再稼働を決めてしまいたいという、つじつま合わせの計算だけが、そこにある。/最後は政治判断と言うものの、責任逃れの応酬は目に余る。福井県は、まず首相に明確な責任ある見解を求めるといい、政府は、地元の同意を待つと、福井県にボールを投げ返す】 関西広域連合にたいしても、【万一、大停電が起きたときの責任も負いたくない】からだと指摘、【大飯原発の寿命もせいぜいあと二十年。未来を生きる世代のために、原発に代わる地域おこしを、考え始めるべきときだ】といいます。まったくそのとおりです。 ▶民主党原発事故収拾対策PT、大飯原発再稼働に「慎重な判断を」と著名活動 毎日新聞2012.6.1総合ファイル 民主党原発事故収拾対策プロジェクトチーム(PT)は、31日大飯原発再稼働をめぐり、「なお慎重な判断」を求め、党所属の全国会議員に著名を呼びかける文書を配布したとのことです。呼びかけ人は荒井聡元国家戦略担当相ら。 原子力規制庁設置法案の成立などの条件が満たされていないこと、「党内合意と国民の理解が不十分」と批判しているといいます。 忠実なイエスマン集団の福井県原子力安全専門委員会 ▶大飯再稼働:福井県専門委「安全」追認 知事決断へ 中川英之福井大名誉教授が委員長を務めているところの話です。何回か本通信でも報告しましたので、聞かなくても結論はわかっていると思います。そう、忠実なイエスマンです。というより、原子力マフィアの一員ですから、望むべくもないことです。 ここは、橋下語録を収録しておきましょう ▶大飯再稼働:橋下市長、一転「事実上容認」 前日発言翻し 橋下市長は市役所で記者団に、 「上辺ばかり言っていても仕方ない。事実上の容認です」 「足りるというのは個人の意見だ。きちんとしたプロセスで確定した数字は前提にしなければならない」 「机上の論だけではいかないのが現実の政治だ。最後は有権者に判断してもらったらいい」、「2年も3年も動き続けるのはあってはならない」 「大飯原発は例外」 原子力マフィアによる「全原発を動かせ」というシグナル ▶関電:大飯再稼働でも「節電15%」維持の見通し 【関西電力は31日、野田佳彦首相らが大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を決めても、節電要請期間に入る7月2日以降、当面の間は10年夏比15%以上の節電目標を維持する見通しとなった】 「大飯原発3、4号機を動かすだけでは足らないよ」とい電力会社・原子力マフィアによる脅しの一つでしょう。 ▶<福島第1原発>線量細かく実測を 避難住民不満 【区割りは賠償金額にも直結する】するため、警戒区域の再編が難航しているとのことです。これは、本通信220号でご報告しました『裸のフクシマ』を著わした、たくきよしみつ氏も講演のなかで話されていました。警戒区域から除外してくれといったいわき市、入れてくれと頼んだ町村。カネをめぐる問題は、今後の生活に直結するだけにさまざまな人間模様(などとのんびり言ってられないことですが)が出てきます。嫉妬、恨み、ねたみ、さまざまです。しかし、問題の本質は、誰がそうさせたのかです。そして、「責任」を取らせること。 ▶<福島第1原発>進まぬ避難区域再編 「平等な賠償」巡り 【除染やインフラ整備が進まない現状で再編されても、大半の住民の帰還のめどは立たず、賠償内容の差が住民に不平等感を生みかねないことに自治体が反発しているためだ。富岡町では「同じ町民を賠償で差別しないでほしい」と署名運動も行われている】 富岡【町の緑川富男・生活環境課長は「除染が進まず、インフラも整わない現状では再編後も多くの住民は帰れず、生活実態は変わらない。それなのに放射線量だけで被害の大小を線引きし、強制的に避難させられた町民を区別するのはおかしい」と指摘する】 【南相馬市は4月、「警戒区域のままでは除染が進まず復興が遅れる」と3区域への再編に応じた】 ▶電事連と日本原燃:原発事故後に最多寄付 青森に13億円 この期に及んでも、事故など関係ないと、過去最多とはもう常軌を逸しています。どちらも薬物中毒患者、依存症にかかっているという証明です。脱出は並大抵のことではできないでしょう。 【財団法人「むつ小川原地域・産業振興財団」に対し、電力10社で作る電気事業連合会と、同県で核燃料サイクル施設を運営する日本原燃が11年度、過去最多の約13億7000万円を寄付していたことが分かった。寄付はインフラ整備などに使われ、電力会社は東京電力福島第1原発の事故後も多額の寄付を続けている】 青森県、原発事故後も寄付額は見直さないそうです。薬物同様、「依存症」からの脱出は難しいという証しです。 ▶原子力委秘密会議:原燃社長が常務の派遣認める 【サイクル施設を運営する日本原燃(青森県六ケ所村)の川井吉彦社長は31日の定例記者会見で、田中治邦常務が秘密会議に出席、「全量再処理が有利」と主張したことを認めた】 ▶敦賀原発:原子炉建屋直下の「破砕帯」調査で市民団体が抗議/福井 「直接の利害関係者である日本原電の調査結果は信用できない」とし、第三者機関による調査を求める申し入れ書を手渡したとのこと。当然です。 ▶川内原発:運転差し止め求め1114人が提訴…鹿児島地裁 ▶川内原発運転差し止め訴訟:「子供たち守りたい」被爆3世の原告団長・森永さん、強い決意/鹿児島 5月30日に川内原発の運転差し止めを求め訴訟を起こしました。 【1114人の原告が九州電力川内原発の運転差し止めを求めた訴訟。原告団長を務めるのは薩摩川内市の自営業、森永明子さん(41)だ。被爆3世で2児の母。30日の提訴後にあった集会で「子供たちのために古里を守りたい。一緒に闘って原発を止めましょう」と訴えた】 吉田昌郎前所長、現在、食道がんで治療中と ▶政府事故調:国会事故調に吉田氏資料を任意提出 政府事故調の資料を、国会事故調の求めに応じて渡したという話なのですが、事故当時福島第一原発の所長であった吉田昌郎前所長、現在、食道がんで治療中とのことです。職務との関連は…。 1Fの事故など何のその、原子力マフィアのネットワーク強固に ▶清水東電元社長、富士石油の社外取締役に 毎日新聞2012.6.1総合 退任する勝俣恒久会長は日本原子力発電の社外取締役に再任。 東電が8.7%の株をもつ会社。アラビア石油と富士石油の持ち株会社、AOCHDが発表。AOCHDには武井優東電副社長がアラビア石油の社外監査役に、荒井隆男東電常務が富士石油の常勤監査役に。高津浩明、宮本史昭両常務も関連会社社長に就任。 「同調する経済人は少ないが、ごまめの歯ぎしりでも訴え続ける」 ▶ひと:吉原毅さん 脱原発宣言を実行する城南信金理事長 【昨年4月、「信金の原点は、助け合って地域社会を守る協同組合運動。見て見ぬふりでは、存在意義がなくなる」と脱原発を宣言した】 【月に4、5回、脱原発の講演に出向く。「企業の人が脱原発を言ってくれてうれしい」。ある母親の言葉が励みになっている】 元スイス大使・村田 光平氏が野田首相へ緊急メッセージを送付 本通信の読者でもある「かごしま・脱原発実行委員会」に、元スイス大使・村田 光平氏から、野田首相に「緊急メッセージ」を送ったとの連絡が入りました。転載します。 野田総理宛緊急メッセージ 野田総理宛緊急メッセージをお届けいたします。 福島事故の深刻さがこれからどんどん表面化して参ります。 再稼働も原発輸出も天地の摂理が許さないと確信いたします。 経済重視から生命重視への転換が福島の教えだと信じます。 村田光平 ▶野田総理宛緊急メッセージ 野田佳彦内閣総理大臣殿 平成24年5月31日 村田光平 拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。 世界中が4号機問題と関連した世界の保障問題として注目する再稼働につき重大な決断をされることになりました。 貴総理がこれに前向きであるとの報道を踏まえ世界の各地で緊急アピールを発出して反対しようとの動きが始まっております。本日ニューヨークから松村昭雄氏を通じ、スタンフォード大学のNISHI TOSHIO博士の指摘「日本の原発は無免許運転」が届きました。アーニー・ガンダーセン氏の「放射能が強すぎて3号機は一切修理、補強されておらず120数本の燃料棒に最悪の事態が発生すればその影響は4号機と同じで第一全体がやられる」との見解、ロバート・アヴァレス氏の「暫定冷却用のパイプが切断することが憂慮される」との指摘など寄せられております。週刊朝日の最新号(6月8日)は「2号機は再臨界する」との警鐘を鳴らしております。さらに「フライデー」は次号で1号機の地下の溶融燃料棒の問題を取り上げるとの情報に接しております。 他方、最近「原子力村」の存在が露呈し「基本計画」の審議中断、原子力35%案の撤回など政府への信頼は失墜の極みに達しております。原発推進が国策でなくなったにもかかわらず、その体制が改革されてないことは「原子力独裁」の存続を許しており重大な問題です。緊急な課題です。 このような状況下で強引に再稼働に踏み切れば川勝平太静岡県知事が浜岡原発の有事に際し米軍に直接出動を要請するとルース駐日米大使に申し入れ好意的反応を得た事例(5月19日付毎日新聞)と同様の動きが出てくることは確実と思われます。 残された日本、そして貴総理の名誉挽回の唯一の道は8月までに脱原発政策を確立することであることは多言を要しないと存じます。 貴総理のご英断を心からお願い申しあげます。 敬具 | ||