原発通信 238号2012/06/19発行
本日は、核燃サイクル秘密会議の内容が暴かれたことと、それと関連してのもんじゅと六ケ所村でガラス固定化試験が再開されたというニュースです。そして、大飯原発再稼働などをめぐっての「トンデモ発言知事一覧」です。 マフィアの暗闘、というより、悪あがき ▶<核燃サイクル秘密会議>「もんじゅに不利」シナリオ隠蔽 毎日新聞が入手した資料によると、内閣府原子力委員会が原発推進側だけを集めて開いた「勉強会」、高速増殖炉(FBR)推進に不利なシナリオを隠すことを決めていたといいます。 【3月8日の秘密会議に四つのシナリオが提示されると、参加者は「小委員会の議論は全量再処理のシナリオ1や全量直接処分の4ではなく必ず真ん中(2か3)に寄ってくる。シナリオ3があると、これを選ぶ人(小委員会のメンバー)が出てくる」と発言。別の参加者が「ここは勝負どころ。シナリオ2が望ましく3はなくすべきだ」と述べ、シナリオ3を外すことを決めた】という、誘導する資料をつくって出していたということです。要はまともに「科学的」議論になったら話にならないFBRだということです。 そして、昨日も報告した17日夜のETV特集です。そのなかで、このFBR、(研究する)スパンを100年、センチュリーで考えなければならないなどとトンデモ発言する原子力委員会(だったか)の委員がいたことです。要は、できないと言ったら沽券に関わるから、「センチュリーの規模で考えなければならないものだ」といっておけば何かすごいことだと思わせることができるだろうという話なのです。そういうところは昔も今も変わらない原子力ムラ――マフィアです。 「関係省庁と利害関係者による意思決定の場だったことは明白」と ▶<核燃サイクル秘密会議>書き換え・隠蔽、ゆがむ政策 【日本はFBR研究に約2兆円を投じており、継続するなら10年でさらに約3200億~3700億円かかる】 【3月8日の秘密会議で参加者は「政府は夏には結論は出せないだろう」と発言した。政府の動きを予想し、シナリオを隠して議論を避け、もんじゅを「延命」させても問題ないと判断した疑いがある】といわせる素地が、次の細田のような発言にもありました。要は、他はみんなシロートだからわかりゃしないよと。 【細野担当相は「核燃サイクルは民間がやっており、事業者から情報を取らないといけないことを理解してほしい」(12日の衆院予算委)】 ▶もんじゅ:試験計画1億円発注 存廃論議中に原子力機構 【「もんじゅ」(福井県敦賀市)の試験運転再開が可能になった場合に備え、日本原子力研究開発機構が今年3月下旬、試験計画作成などの契約を計約1億円で複数のプラントメーカーと結んでいたことが分かった。東京電力福島第1原発事故後の原子力政策見直しに伴い、もんじゅの試験運転再開は今年度予算への計上が見送られたが、今回の契約は昨年度予算を使って駆け込みで行われていた】 どこまで行っても、マフィアの連中の“飯のたね”、骨までしゃぶりつくそうということです。 ▶<核燃料再処理>日本原燃、六ケ所工場でガラス固化試験再開 【試験は、使用済み核燃料を再処理してウランとプルトニウムを取り出した後に残る高レベル放射性廃液をガラスと混ぜて溶かし、ステンレス製の容器に入れる】ことだそうです。で、その後は? 何にも決まっていません。そこが一番大事なのに。できもしない、いや、できない方がいいのです。自分の「研究生活いっぱい」なんだか研究らしきものをやっているという見せかけができ、カネが入るということなのですから。 毎日新聞のこのページには、これまでの六ケ所村核燃サイクルの記事が見られるようになっていますので一読を。 ▶使用済み核燃料再処理試運転再開 見切り発車、前途険しく 【国の核燃料サイクル政策は見直しの公算が大きい。再処理で取り出したプルトニウムの使い道は不透明なままで、見切り発車の印象】 この何が変わろうと変わらない、【原子力を取り巻く情勢が一変した中で、既定路線への強い執着】。そんな硬直した「頭脳」で研究しても何も生まれないでしょう。研究には「柔軟な頭脳と発想が必要」という反面教師として歴史的に「評価」を下しましょう。カネの亡者には言っても無駄ですので、ここは「退場」してもらうしかないでしょう。 「トンデモ発言首長一覧」 奈良県知事 ▶使用済み核燃料中間貯蔵施設:荒井知事、検討を断念 「核燃料の移動大変で不適」 これをお調子者といわずしてなんという。この荒井知事、「使用済み核燃料」のこと、どんなものと思っていたのでしょうか。まさか、消し炭(なんて言っても知らない人の方が多くなったか)と似たようなものとでも思っていたのでしょうか。 【使用済み核燃料の中間貯蔵施設の受け入れ問題で、荒井正吾知事は13日の定例記者会見で「(核燃料の)移動が大変で奈良は適地ではない」と述べ、検討を断念すると表明】 【「核燃料の移動は危険が伴い、不測の事態も生じる。福井県も海べりの方がいいとおっしゃった」と述べ、陸上運搬のリスクなどを挙げて受け入れは困難との認識を示した】 福井県知事 ▶関西電力は細心の注意で再稼働を 福井県知事、万全期した安全確保を要請 【「関西電力が細心の注意と念を入れた体制で再稼働させることが大事」と述べ、安全確保に万全を期すよう事業者に求めた】 【国、県、事業者などが参加して運用の始まった特別な安全監視体制に関しては「あらゆる方法を通した説明が大事」とし、安定運転に至るまでの過程では、十分な情報開示に努める考えをあらためて示した】 【「原子力の意義、重要性を、表面的ではなく科学的、合理的に国として説明することが大事」】 【広域的な原子力防災体制の強化に関しては「国がしっかり関与しないと混乱が生じる」と指摘】 つまり、知事自身も、不十分だということを認めているということです。また、「十分な情報開示」をすれば、安全が担保されるかのような物言い。「原子力の意義、重要性」について、「表面的ではなく科学的、合理的に説明する」? 大丈夫だ、安全だと言って再稼働を容認したご本人ではなく、国(他人)がしろとはいい気なもんです(国の問題は当然ありますが)。再稼働を認めなかったならば、「混乱」することもないのです(核燃料冷却の問題はありますが)。 要は、「科学的、合理的」な判断ではなく、「表面的」なものとして判断したということ。それも「関西圏の経済」を憂いてだなどと“人のせい”して。 佐賀県知事 ▶再稼働問題 佐賀県知事「稼働の方が原発は安全」 【古川知事は期間限定の稼働を求める声について「原子炉はいったん動かしたらずっとフル稼働の状態でいる方が安定できる」と】 この人、トンデモ人間だということは、「やらせ問題」で何度も書いたのでくりかえしません。ただ、飲酒運転している人がいう言い草と似ています。「酒を飲んでいる方が頭がすっきりするんだ」との。 佐賀県 ▶大飯原発再開 知事「再稼働は必要」 前の記事の繰り返しになるのですが、県自民党議員、商工会議所会頭の話などが載っているので。この人らだけではありませんが、まるで日本経済が低迷しているのは、原発が稼働していない(発電していない)からだと言わんばかりです。電気が潤沢にでもあれば、景気がよくなるかのような、経済をきちんと見ることができていない連中のトンデモ・勘違い発言。 愛媛県知事 ▶伊方3号機、再稼働必要=条件整えば― 【四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、「安全性を最優先に、条件を整えた上での再稼働が必要だ」と述べた】 「安全性」ということとはどういうことかを認識できない人に「危機管理」はできません。 大分県知事 ▶知事、原発再稼働に理解 広瀬知事、【大飯の再稼働では、必要な調査・議論は十分にやったと思う】 【県から最も近い四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)については、「県としての独自対策はないが、愛媛から情報を得る協定は結んでいる」】 フクシマを全然学んでいないとはこういうことを言うのでしょう。しかも、「独自対策はない」などと、よくいえたものです。 和歌山県知事 ▶原発再稼働を評価 仁坂知事「期間限定」には疑問符 和歌山 仁坂吉伸知事、【期間限定の再稼働については「技術的には、動かす時と止める時がリスクが高いので、止める必要はないように思う」と】 関西広域連合の会議で、真っ先に再稼働賛成の手をあげた元経産省出身の知事です。フクシマは稼働しているときに事故に見舞われたのですが…。 松江市長 ▶再稼働決定 島根原発、再稼働判断に生かす 知事と松江市長、経過など検証 【再稼働判断へ関わろうとする原発が立地しない周辺自治体の動きについては、「周辺部の心配もよく分かるが、立地自治体の意見を最大限尊重してもらわないと」とくぎを刺した】 「周辺部の心配もよく分かる」から、いっしょに考えていきましょうというのなら、評価できますが…。 兵庫県知事と各市長 ▶再稼働決定 県内でも賛否両論 井戸知事「暫定的判断」と認識 「暫定的判断」と認識の井戸知事と、「国の責任で安全性を確認しての判断であり、尊重したい」との矢田立郎・神戸市長。 ☆がんばれ! 宝塚市の中川智子市長 そんなトンデモ発言を繰り返す各知事・首長のなかにあって、がんばっているのが宝塚市の中川智子市長です。恫喝に負けずに、筋を通していただきたいものです。 ▶再稼働「100キロ圏自治体に説明を」 宝塚市、政府に要望/兵庫 【宝塚市の中川智子市長は9日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を再稼働する場合は原発から100キロ圏内のすべての自治体に事前に説明するよう求める要望書を政府に提出】【申し入れをしたことについて他の自治体に手紙を出し、声を上げてもらうようお願いしていきたい」と】 中川さん、市長に当選する少し前に、ある出版記念会でお会いしたことあります。元気な方です。恫喝に負けずに頑張ってください! ▶福島沖の魚介類、販売再開へ=1年3カ月ぶり―タコなど3種 【福島県漁業協同組合連合会は18日、県内漁協の組合長会を開き、相馬双葉漁業協同組合が同県相馬市沖で始めた試験操業で水揚げされたタコなど3種の魚介類の安全性が確認されたとして、20日操業分から販売を認めることを決めた】 販売が再開されることになったという事実だけをまず。 ▶<再生可能エネルギー>買い取りでの上乗せ額を決定 【経済産業省資源エネルギー庁は18日、7月1日からスタートする再生可能エネルギーの固定価格全量買い取り制度に関し、7月から来年3月までの電気料金に上乗せする金額を1キロワット時当たり0.22円と決めた。従来の太陽光発電の余剰買い取り制度による上乗せ額も加えると、再生エネ普及のための標準家庭(月間使用量300キロワット時)の月間負担増は全国平均で87円となる】 日本ペンクラブ、大飯再稼働反対声明 浅田次郎さんが会長の日本ペンクラブは18日、大飯原発再稼働に反対する声明を出しました。 【野田首相の決断は、根拠のない「原発安全神話」を蒸し返し、政府・電力会社・関連業界と一部の専門家による隠微な「原子力ムラ」を生き延びさせ、「原子力マネー」漬けになった原発立地自治体の自治能力を腐食させることでしかない】 【もし首相が「原子力ムラ」とそこに連なる人々を国民と言いたいなら、私たちをそこに含めないでいただきたい】 【いま野田首相がやるべきは、福島第一原発事故の原因を究明し、そこから教訓を引き出し、首相みずからが宣明した脱原発依存の方針に基づいて、国内の原発をいかになくしていくかの工程表を具体的に明らかにするとともに、代替エネルギーの研究と実用化を促進することである】 【私たちは今回の野田首相の民意を無視した反民主主義的な「判断」についても、強く批判し、撤回を求めるものである】 | ||