原発通信 240号2012/06/21発行
鹿児島県知事選告示 向原祥隆さんの勝利を! 【再稼働決定後、初の原発立地県での知事選。原発再稼働の是非を含むエネルギー政策が最大の争点】 東電、「最終報告書」で開き直り、俺たちに非はない。悪いのは菅と官邸だと! 今朝の新聞(毎日新聞)の1面を見て、怒り心頭です! 東京電力が「最終報告書」を発表したというのです。中身はと言うと、同記事によると「官邸の介入が「無用の混乱を助長させた」と菅前内閣を批判したというのです。そして、自分たちの冷却操作不手際については非を認めず、すべてを想定外の津波と官邸のせいにし、冷却操作の習熟不足や対応の遅れについても「ノープロブレム」とばかりに「その後の対応には影響を与えなかった」と厚顔無恥にも開き直っているのです(下記)。 野田政権のデタラメさを暴き、「原子力規制委員会設置法案」改正案を撤回させよう! 先週の6月15日に衆院で可決された「原子力規制委員会設置法案」ですが、本日寄せられた情報によると、「265ページに及ぶこの法案を、みんなの党が受け取ったのは、この日の午前10時であり、質問を考える時間も与えられなかったと」いう、まさにどさくさに紛れてのとんでもない内容だったということが明らかになりました。それに対し、「世界平和アピール七人委員会」の武者小路公秀氏、土山秀夫氏、大石芳野氏、池田香代子氏、小沼通二氏、池内了氏、辻井喬氏が緊急声明を発しています(下記)。 それによると、この法案の中に、説明なく「我が国の安全保障に資する」という文言が加えられたといいます。寄せてくれた方も言うとおり、これは公然と核の軍事利用を宣言するものです。ベントを誰がするのだ、「菅リスク」だなんだかんだとそっちの方にだけ目が行かされている間に、とんでもない文言が入れられていました。 そんなとんでもない法を、ただただ消費税増税案を通すことしか頭にない野田首相は、自民党・公明党案を丸のみにして消費税増税案と取引し、昨日(20日)、参院で民主・自民・公明3党などの賛成多数で成立してしまいました。 JAXA、軍事・防衛活動可能に もう一つ、この会期末(会期延長になりましたが)というどさくさに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の活動が「平和目的」に限定されていた規定を削除し、防衛利用を可能とする改正機構法が20日参院で可決、成立したとのことです。 ▶「原子力の憲法」こっそり変更 【法案は衆院を通過するまで国会のホームページに掲載されておらず、国民の目に触れない形で、ほとんど議論もなく重大な変更が行われていた】 ▶原子力「軍事転用考えず」=藤村官房長官 「政府として軍事転用などという考えは一切持っていない」と藤村官房長官。そういえば、君が代日の丸法制化の時、当時の野中官房長官の言葉を思い出します。「強制化はない」と…、その後現在の大阪、東京都はじめどうなっているか…。 有事、原発からの撤退や汚染水の海への放流判断、規制委が決定する ▶「ベント判断規制委優先 原発事故対応 何が変わったか」 毎日新聞6月21日付総合面 ベントだ、海水注入だとのことが取り沙汰されていますが、それも問題なのですが、この記事を読んで気になる点がありました。「原発からの撤退」と「汚染水の放流(記事では流出)」についての規制委員会の役割です。 記事によると、事故が起き電力会社が原発からの撤退を検討したとき、撤退するかどうかは規制委が判断し、首相がその決定を覆すことができないということです。私たちの命を規制委が握るということです。そもそも、「総員撤退」となったときは、もうすべてジ・エンドということでしょう…。酷かもしれませんが、そこにかかわっている部隊はだめだとわかっても、そこで抑え込むことで多くの人々が助かるという判断をしなければならないことは十二分に想定できることです。その判断を一技術屋さんや専門家と称する者の判断でということ、私は納得できません。 次は「汚染水の放流」です。フクシマでやったように、「低レベルの汚染水」を海に捨て、高濃度のものを貯めることができるようにあけるというものです。これも、タンクが満杯になってしまい、海に放流するという判断については、規制委の判断が優先するというのです。これとて、高度な政治的な判断が必要な問題だというのに、一技術屋さんや専門家と称する者の判断が優先というのです。 言葉の件ですが、「汚染水の流出」だなどとは私はとても言えません。「流出」とは広辞苑第六版によると「流れて外に出る。流れ出す」こと。なんだか知らないが出てしまった、出ていったというニュアンスです。一方、「放流」といった場合、はっきりと行為の主体が出るのです。広辞苑第六版によると「放流」──せきとめた水を流すこと。「ダムを―する」とあります。こういう言葉づかいにも作為を感じます。 原子力規制委法成立:委員5人の人選、今後の焦点に 【細野豪志原発事故担当相は記者団に「(規制委員は)事故の反省を踏まえた人でなければならない」と強調した】 【国家行政組織法3条に基づく規制委は環境省に設置。5人の合議制で、緊急時には委員長が単独でベントなどの命令権も持つ。原子炉の状況分析などの技術的・専門的な判断は規制委が行い、それ以外の分野では首相の指示権を残す】 細野原発「再稼働」大臣の言いぐさなど、もう誰も信用しないでしょう。 骨の髄まで腐っている東京電力 ▶福島第1原発事故 「混乱助長」官邸を批判 東電が最終報告書 【東電がまとめた最終報告書は、専門家も予測できなかった津波が原因と強調、自身の責任に踏み込まなかった。身内に甘い内容は社内調査の限界と責任逃れの姿勢を露呈】 【津波対策では、文部科学省や経済産業省原子力安全・保安院に現状を説明し、「今すぐ対策を実施するようにとの指示を受けていない」と、政府に責任転嫁】 【山崎雅男副社長は記者会見で「厳しい状況の中、できる限りやった」と、開き直りとも受け取れる弁明を繰り返し】【責任を十分見つめる姿勢なしに】と記者。 ▶福島第1原発事故 東電最終報告書 政府批判に終始 自身は正当化「手順通りできた」 「課題もあるが決められた手順でできた」と言っているそうですが、これってまさに「指示待ち人間」の典型です。「言われたことはちょっと足らなかったことがあったにしてもやったでしょ。文句ある」と言っている“困ったサン”と同レベルの言いぐさです。 「国に制約された」「官邸の許しが出るまで言うな」などとふてくされたように言っているようですが、そもそも原発事故とはどういうことかという想像力がなかったということではないでしょうか。その意味でも「原発をもつ資格なし」です。 本紙同記事に、東電最終報告書骨子が掲載されていましたので下記に記します。 ■東電最終報告書骨子 とまあ、こんな具合らしいのです。 トンデモナイのは、5) です。「津波被害で原子炉の熱除去できず」だと! 沸かしすぎてしまったやかんを冷ませなかったかのような言い方。一事が万事です。このような「表現」でたいしたことはないのだと装っているのです。しかし、私たちは知っています。「原子炉の熱除去できず」爆発してしまったこと、そして大量の放射性物質をまき散らしたことを。 各紙の見出しを読み解く ■「官邸が、官邸が…」と東電、自己弁護ばかり さすがの読売新聞も見出しに【「官邸が、官邸が…」と東電、自己弁護ばかり】と付けなければならないほど言い訳ばかりだということです。 ちなみに、朝日新聞の1面見出しは ■東電、「想定外の津波」を強調 原発事故で最終報告 そうでしょうね、で…、という当たり障りのない「優等生的」見出しです。さすが朝日新聞です。 共同通信配信は ■「東電社内事故調が報告書 「原因は想定外の津波」 “まじめ”です。 で、産経新聞はと見てみると、 ■社内事故調 最終報告 東電、自己弁護に終始 と、産経新聞ですら、東電の俺は悪くないという言い訳はヘンと思っているのです。 では、旗印鮮明な東京新聞はと見ると、 ■東電 責任逃れ記述多く 社内事故調が最終報告 「これでしらばっくれて逃げようとしている」 ▶東電社内調査報告書:「内容甘い」…地元福島から批判 【地元からは「内容が甘い」「まだ隠していることがあるのではないか」と】 【福島県原子力安全対策課の小山吉弘課長は「なぜ十分なものにできなかったのか、できる契機がなかったのかを検証すべきだ」と指摘】 正しいのですが、福島県としても、自分の問題として「検証」してほしいものです。 浪江町の馬場町長は「うそが書かれている」と。 「これでしらばっくれて逃げようとしているのが、ありありと分かる」と見ぬいています。 ▶大飯原発の破砕帯、総点検を 渡辺教授(東洋大)が講演 【渡辺教授が着目するのは、大飯2号機と3号機の間の地下を通る「F6」と呼ばれる破砕帯。岩盤と上部の地層が同様にずれた形跡があり、破砕面に粘土が付着している点から「典型的な活断層の構造だ」とし、国に地質の調査を求めた。調査に必要な期間については「数日で十分やれる」とも話した】 【これまでの国の審査体制について「委員会にいるのは活断層の専門外である地震・地質研究者のみで、変動地形学の研究者が加わってこなかった」と問題点を挙げた】 原子力ムラ 今日の「No problem!」 今日の真打は、先にあげた「東電最終報告書」でしょう。何が起きても、あっても彼らはすべて「ノープロブレム!」 それ以外の4本。 ▶美浜原発:保安院、10年間延長を正式了承 【経済産業省原子力安全・保安院は20日、7月に運転開始40年となる関西電力美浜原発2号機(福井県美浜町、50万キロワット)について、10年間運転を延長することを正式に了承】 ▶原子炉メーカー 日立に 官僚トップ 元経産次官 天下り 原発新増設「計画」まとめた責任者、【望月晴文元経済産業事務次官(62)が、原子炉メーカーでもある日立製作所の鰍社外取締役に、22日の株主総会で就任】 ▶東電役員8人、引責退任後「天下り」 グループ社などに 【27日に退任する東京電力の16人の常勤役員(取締役と監査役)のうち8人が、退任後にグループ企業や業界団体の役員に】 ▶東電:事業報酬、引き続き議論へ…経産省・料金審査専門委 【事業報酬は、発電所など固定資産評価額の一定比率を電力会社の報酬と見なし、電気料金の原価に計上するもの。借入金の利払い費や株主配当の原資などを確保し、経営を安定化させる目的がある。東電は今回、固定資産の3%に当たる2815億円(値上げ期間の3年間の年平均)を計上】 【委員などからは、東電の利益として電気料金の原価に計上される「事業報酬」の圧縮を求める声】 【消費者団体の代表者は「株主責任や貸手責任を明確に問わない限り、上乗せに反対」】 どこまで行っても「総括原価方式」手放さず、自分の儲けだけは死んでも離さないという“固い意志表明”です。カネに関してだけはその執着心見上げたもんです。 大飯原発:保安院が管理職級職員を追加派遣 発表遅れで 【管理職級の職員を現地に追加派遣するなど「特別な監視体制」を強化】だそうです。この想像力のなさ、“脱帽もの”です。問題が何かわかっていないということです。 八戸沖マダラからセシウム検出 【県内漁協に所属する漁船が八戸市沖で漁獲し、八戸港に水揚げしたマダラから、国の新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える1キログラム当たり116ベクレルの放射性セシウムが検出】 先日は、福島第一原発に近い相馬市沖でも量が「解禁」と報じられていましたが。 ▼寄せられた情報 世界平和アピール7人委員会が緊急声明 ▶原子力基本法の基本方針に「安全保障に資する」と加える改正案の撤回を求める 武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 池田香代子 小沼通二 池内了 辻井喬 6月15日に衆議院を可決・通過した「原子力規制委員会設置法案」の第一条に、「我が国の安全保障に資する」という文言が加えられています。これは公然と核の軍事利用を宣言するものです。 これまで日本の原発事業は曲がりなりにも「平和利用」の体裁を保ってきました。それは日本の原子力行政の根幹を定める「原子力基本法」において、特に平和利用に目的を限定する趣旨を明記してあるためで、自民党やタカ派の論客が「核武装」をいくら叫ぼうとも、法的にはありえないこととして認識されてきた経緯があります。ところが今回、その法的根拠である「原子力基本法」をも、その下位に位置づけられるべき個別法で(ついでに)改正(「基本法」2条に2<安保条項>を追加)してしまい、原子力行政の根本を変えてしまうというめちゃくちゃなやり方を押し通そうとしています。 どさくさに紛れて、政府は核の軍事転用の法整備をしようとしています。こんなことを許してはいけません!もはや反原発の闘いは、政府打倒闘争と一体のものとして闘われなければなりません! 『辛坊治郎メールマガジン』より抜粋 ▶電力会社に頼らない電気を探そう! この原稿を書くにあたって、各電力会社の電気代を調べたところ、気が付いちゃったんです。全国の電力会社の中で、例の菅総理大臣が止めた浜岡にしか原発の無い中部電力は、他に比べてもともと原発比率が低かったんです。これに対して、福井県にアホ程作った原発に頼り切っていた関西電力は、実に50%を超える電力を東日本大震災前には原発に頼っていました。 経産省はかねてから日本で原発を推進する最大の理由として、その「コストの安さ」をあげていました。となると、「圧倒的に」原発比率の高い関西電力の電気代は、原発比率の低い中部電力よりも「圧倒的に」安くなくてはいけません。だってそうでしょう。電気代は総括原価方式で決まるんですから、原価の安い原発に頼っている電力会社ほど電気代が安いのは当然です。さあ、どうでしょうか?計算してみましょう。 まず基本料金ですが、確かにこれは圧倒的に関西電力が安いです。全国で一番安い中国電力の319円に次ぐ、320円。私、亀岡の山中に荒れ放題になっている山小屋を持っています。年に一度行くかどうかですが、行った時に電気が無いと不便なので基本契約を継続しているんですが、その理由は、一月の電気代が、全く電気を使わないと320円だけで済むからです。こりゃ安い。これに対して、原発比率の少ない中部電力の基本料金は1092円です。これは東京電力と同じで、一番高い北海道電力の1302円から数えて同順位4番目です。この基本料金の数字だけ見ると、「住んでいる場所によって、電気代って違うのね」と思われた人も多いでしょう。 でもね、ここからが問題です。関西電力は120キロワットまでの電気代が、1キロワットあたり19.05円であるのに対して、中部電力は17.05円です。さらに120キロワットから300キロワットまでの電気代は、関西電力が24.21円であるのに、中部電力は21.09円と格安です。標準家庭の一か月の電力使用量は300キロワットくらいですが、さあ、トータルいくらになるか計算してみましょう。 関西電力は 中部電力は なんと、小数点以下を四捨五入すると、6934円で全く同じじゃないですか!? つまりね、あくまでも「原価を計算して電気代を決めています」というポーズをとるために、あるいは「カルテルだ」って言われないために、各電力会社で電気料金の体系に違いを作っていますが、一般家庭が支払う電気代は、日本国中どこに住んでもほとんど同じなんです。つまり「総括原価方式」自体が神話、というより、電力会社と経済産業省が作り出したフィクションで、本当は、「おいしい」役人の天下り先である電力会社と経済産業省がグルになって共存共栄を図る為に、しっかりと儲かる全国一律の電気料金にしているという事なんです。よく、「原発のおかげで、安定、安価な電気が得られている」って言いますよね。だったら、原発比率の大きい関西の電力料金は安くなくちゃおかしいじゃないですか?我々は、実は、とんでもなく大きな嘘の中で毎日生活しているんだって事が、電気料金一つから透けて見えます。皆さん、こりゃあ、よほどの眼力と覚悟が無いと、この国の既得権益とは勝負出来ないですね。いかん。これに気が付いた私は、消されるかも知れない。 皆さん、今後私に女性や金がらみのスキャンダルが発覚したら、それは間違いなく電力会社と経産省の陰謀です。しっかりと覚えておいてください。 ▼トンデモナイ話 昨日、このコーナーで橋下のことを報告しましたが、ずいぶん殊勝なと思ったのですが、さすが橋下です。甘かったです。 橋下「閣議決定が『地位から排除すれば足りる』というなら、忠実に従う。(政府は)バカですね」 ▶<橋下市長>政治活動の職員、懲戒免職に 【大阪市の橋下徹市長は20日、市職員の政治活動を勤務時間内外を問わず規制強化する条例案について、条例で禁じた政治活動をした職員を原則、懲戒免職とする規定を盛り込む方針を決めた。橋下市長は当初、懲役2年以下などの罰則を検討していたが、政府が「違法」との見解を示したため、見直しを表明していた。総務省によると、自治体が政治活動を理由に職員を懲戒免職にした例はほとんどない。市が条例に基づいて免職にした場合、処分の妥当性が問題になる可能性もある】 【橋下市長は20日、「閣議決定が『地位から排除すれば足りる』というなら、忠実に従う。(政府は)バカですね。政治活動については原則、懲戒免職にして、ばんばん排除していく」と述べ、7月の臨時議会で「懲戒免職」規定を盛り込んだ条例案を提出する方針を示した】 ▶熱血!与良政談:自分の選挙が第一?=与良正男 【有権者はとっくに見抜いているだろう。そして、民主党議員の多くは「国民の生活が第一」ではなく、自分が次の選挙でいかに生き残るか、つまり「自分の選挙」「自分の生活」が「第一」だと考えているのではないかと疑っているはずだ。今の政治不信の根っこはそこにある】 ということで、【「自分の選挙」「自分の生活」が「第一」だと考えている】政治屋さんが使う言葉と「解説」すると―― 【政治屋用語辞典】 選挙:ある人間を高給な議員という職業につかせるために行われるテストのこと、または政治屋の就活のこと。選挙人を「主権者」などとおだて、あなたたちのためにという幻想を振りまき、無給で動員することができる。それをもって、政治に参加していると思わせる仕掛けのこと。選挙後、主客が入れ替わる。往々にして、選挙人は選挙後裏切られる運命にある。しかし、好都合なことに数年もたつと忘れてくれる。 議員任期:都合が悪いことがあっても忘れさせるための期間のこと。4年程度あれば忘れてくれる。議員の証しとしてバッジが支給される。議員でいる間は、「先生」と呼ばれ、高給が受け取れる。また、陳情と称して選挙人たちが頭を下げに来る。 | ||