原発通信 246号2012/06/28発行
6.22報道ステーションで古舘伊知郎の突っ込みに寺島実郎タジタジ 6.22当日の夜のテレ朝の報道ステーション、首相官邸前での抗議行動をようやく報道。ゲストに日本総研の寺島実郎が出ていました。古舘氏、「これだけ国際社会に迷惑をかけて、放射能汚染の広がりがあった時に、日本が原発を脱して、国際社会にそういう国になるんですって見せる」などといい、寺島は例によっていつもの原子力技術を保持して云々の話、歯切れ悪くしかめ面。私も首相官邸前に言っていたので見られず、探していたらほとんどが削除されていました。ようやく見つけたところも今日はもう削除されていました。(下記に文字起こし) 寺島にとって、世界とはイコール・アメリカでしかありません。寺島実郎(1947年生まれ)、1969年の第二次早大闘争時、反全共闘派としてスト解除に動いていたとのこと、本人が言っていました。卒業後、三井物産入社。一時、まともなこと言っているなあと思っていましたが、原発問題で、化けの皮がはがれてきたというところでしょう。 ところで、きょうの週刊文書の新聞広告に「絶好調テレ朝激震!『報ステ』古舘伊知郎が『俺は辞める』宣言」と。何やら嫌なにおいがします。見出しだけしか見ていませんが、この手のもの要注意かと思うのです。古舘氏のこの間の原発報道のスタンス、気に入らない連中がいるはずです。本人が辞めるなどといっていなくても、ガセネタをリークし外堀を徐々に埋めていき、いつの間にか辞任という雰囲気をつくり、本当に辞任せざるを得ない空気をつくっていくということなどよくあることですから。 ▶<東京電力>原発輸出事業から事実上撤退 事故対応を優先 東電、【福島第1原発事故の対応で手いっぱいのため、日本の原発を新興国に売り込む国策会社「国際原子力開発」(東京都千代田区、資本金・同準備金2億円)が進めるベトナムでの原発建設計画への参加を断念する】ことになったとのことで、日本の原発輸出ビジネスが見直しが迫られるというのですが、先日、日立がリトアニアと原発建設で合意というニュースもありましたが。 同記事によると、これまでは東電がリーディングカンパニーだったが、フクシマがあるので、関電に代わってもらうとの経産省の声もあるとのこと。どうなったら懲りるのでしょうか、この連中=原子力マフィアは。 ▶<核物質管理センター>電力会社などからの賛助金を全廃 【核物質の軍事転用防止のための検査を文部科学省から委託されている公益財団法人「核物質管理センター」(松浦祥次郎会長)が、検査対象の電力会社などから賛助金を受け取っている問題で、センターが来年度から検査対象機関からの賛助金を全廃することが分かった。センターは「検査の公正性に影響はない」と主張していたが、「国民の理解が得られない」と方針転換した】とのこと。この「核物質管理センター」ですが、毎日新聞の調べによると、【年間1億円近い賛助金の大部分を原子力業界から受け取ったり、役員の半数が同業界関係者で占められたりと、運営に利害関係者が関与している】ところとのことです。要は、天下り先、“渡り鳥”の受け皿組織だということでしょう。 大荒れの各電力会社株主総会 ▶東電:「国有化」を議決 値上げに非難集中 株主総会 テレビで、株主総会の様子が映し出されていましたが、東電勝俣会長、年老いて、滑舌の問題が見受けられましたが、なんのなんのカエルの顔に何とかで、いい根性しているという感じでした。なんと言われようと、自分たちの利益を守ることだけです。まさに、産業資本と金融資本が一蓮托生とがっちりマフィアのごとく〈団結〉しているということです。 関電の副社長、原発を稼働させないと燃料費が9000億円もかかると言ってましたが、じゃあ、核燃料の処理にはいくらかかるのですかです。天文学的な金額と、10万年ですか。 関電の会場、最後、いろいろ怒号が飛ぶなか、緞帳がするすると降りて、閉幕ですという様子を見ていると、この連中には、「話し合い」ということ自体無意味だと思ってしまいます。しかし、こうしてテレビで映し出されることで、世間に連中の生態が伝わっていくことは、意味があるかもしれません。 国有化問題、賠償問題等山積するなか、ボーナスなど枝葉な問題に流されがちだとの意見もありますが、報酬・給料は出るは、ボーナスは出るはとなったら、到底「庶民感覚」では了解できないということです。東電、これで、賠償、廃炉問題など、国に負わせることができるということでしょう。国、つまり、東電の不始末を税金=血税で始末するということです。「到底了解できるものではない」と思います。他のマスコミがどう報じているか、下記にいくつか貼っておきました。 ▶「東電病院なくせ」東電株主総会で猪瀬副知事 東京電力病院、東電の社員とOB専用の病院で、現在113床のうち約20床しか使われていないそうで、社員以外は診ない病院だそうです。 ▶東電病院 稼働率2割でも 一般患者受け入れず 【稼働率は二割未満。東京都が二〇〇九年に定期監査に入った当時も百九十二床の設置許可を受けながら、六十人余りしか入院しておらず、ベッド数を減らすよう指導】 【JR信濃町駅から徒歩五分、慶応大学医学部に隣接する一等地にあり、資産価値は百二十億円を超えるとみられる】 【都内にはNTTやJR、東芝といった大企業の病院もあるが、社員に限定せずに一般患者も受け入れている】 ▶「東電値上げなら給与3割削減を」消費者庁検討チーム 【家庭向け電気料金の値上げについて、消費者庁の検討チームは27日、料金算定の基礎になる「原価」に盛り込む社員の給与・賞与を少なくとも30%程度削減すべきだ、などとする意見をまとめた】 ▶東電:広瀬社長、柏崎刈羽の「再稼働ありき」否定 毎日新聞のインタビューに応じ、【柏崎刈羽原発の再稼働を13年度以降と記したことについて、「仮置きの形であって、稼働ありきではない」と強調】 広瀬 直己新社長、76年一橋大社会学部卒 ▶関電株主総会が大阪市の提案否決、橋下市長は原発リスク訴える 【質問に立った橋下市長は、「衰退産業が歩んできた道を今、関西電力は歩んでいると思う」と発言。その上で「衰退産業もその時に、時代の転換を読めずに、そして経営を誤った。今がまさに時代の転換だ。エネルギー供給体制の転換だ」と訴え、「リスクをしっかり念頭に置いて、新しいエネルギー供給体制を目指してほしい」と】 この意味では、橋下の言っていることは正しいです。 それにつけても、八木社長、「(関電は)地域に根差した企業であり、地域、自治体からの信頼を得ることは大変重要」と、自治体との連携に意欲を示した」と…? こういう厚顔、上から目線、どの面下げてと言いたくなります。 ▶週刊茨城ニュース:「脱原発」「脱東電」と節電の夏 PPS切り替え相次ぐ/茨城 【液化天然ガス(LNG)基地を茨城港日立港区(日立市)に建設する東京ガスの岡本毅社長は19日、県との土地売買契約が正式にまとまったお礼に県庁を訪問。計画を立てた震災前との状況の変化に「エネルギー転換への期待は大きく、応えることは事業者としての責務」と】 【県内の自治体でも、福島第1原発事故、電気料金値上げにより、東電への不信感や経費削減のため、電力の購入先を「特定規模電気事業者」(PPS)に切り替える動きが相次いで】いるとのこと。【現在、県と9市町がPPSと契約しており、さらに9市町村が近く購入を始めるそう】 ▶福島原発:中間貯蔵施設誘致を要望へ 大熊町の住民団体 6.22首相官邸前での抗議行動に参加した翌日の記事だったようです。見逃していました。それにつけても、大熊町というところがわかりません。私にとって不思議の町=大熊町なのです。大熊町に関する情報に接するたびに思うのです。「この町に何が起き、何があったのかと」 【福島県大熊町の住民団体「町政研究会」は、町内への早期建設を求める署名と要望書を7月にも政府に提出する。前町議の木幡仁代表は「苦渋の決断。町に帰れないなら施設を受け入れ、生活再建できる補償を受けた方が復興は進む」と】 【中間貯蔵施設を巡っては、同原発が立地する双葉、大熊、楢葉の3町が設置を要請されているが、いずれも受け入れを表明していない】 ▶福島第1原発:1号機圧力抑制室外側で高線量を検出 単位が違いすぎます! 【東京電力は27日、福島第1原発1号機の原子炉建屋内にある圧力抑制室外側で毎時1万300ミリシーベルト(毎時10.3シーベルト)の放射線量を検出したと発表】【放射性物質を含む水が外に漏れているのが原因とみられる】 【松本純一原子力・立地本部長代理は27日の記者会見で、「これだけの高線量下では、ロボットに作業を頼らざるを得ない」と】、きっとシラッとした顔で言ったのでしょう。ロボットができることって、どんなこと、どの範囲なのでしょうか。それ以外は…。 ▶「壊れない」ことにされていた原発の格納容器 このまま事故調査報告が出たら世界の笑いものに 『原子力防災』の著者、松野元さんの指摘です。 【「現在の立地審査指針は格納容器が壊れないことを前提にしています。格納容器は壊れないことにして安全評価を行っている。格納容器は英語では“container”=『放射性物質の封じ込め容器』です。壊れると中から放射性物質が漏れ出す。それは『ないこと』にしてしまった。だから『原発から煙のように放射性物質が噴き出す』なんていう事態は考えていない。考えなくていいことになっている」】 【「半径1キロなら、原発の敷地内だけで済んでしまいます。半径10キロは砂漠や荒野を持つ国の基準です」】 その他、避難経路の問題、オフサイトセンターの問題等興味深いことが書かれています。ぜひ一読を! 原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶道原子力防災専門委座長 原発関連企業から寄付 4年で550万円、現在も受領 カネをもらっても影響はない、だとするなら、恩知らず、泥棒の類です。どこに、見返りを求めないでお金を出す企業があるというのでしょうか。ところでこういうお金、経理上はどう処理されるのでしょうか。 【泊原発(後志管内泊村)の事故を想定した道原子力防災計画の課題を整理する有識者専門委員会の座長を務める島津洋一郎・福井大付属国際原子力工学研究所教授が、北大教授だった2006~09年の4年間に三菱重工などの原発関連企業から計550万円の寄付を受けていたことが27日、わかった】 【島津教授は北海道新聞の取材に対し、寄付の事実を認めた上で、委員会の議論への影響は否定】 20120622 古舘伊知郎 官邸前 再稼働反対抗議行動 45000人 寺島実郎 テレビ朝日6月22日 寺島実郎の「持論」、「核技術をしっかり持ち続けること」に、古舘が「寺島さんとは意見が違いますが」と反論。確かに、今後、使用済み核燃料の始末や、廃炉の問題があるので、その筋の専門家の育成は必要なのですが、寺島の言っていることは、どうもきな臭いのです。パワーバランスのうえでの核なのです。 ▶6月22日首相官邸前に4万5000人が集まった日の報道ステーション(文字起こし) ゲストに日本総研の寺島実郎 寺島実郎、反論されるとは思っていなかったのでしょう。しかめたり、唇をかんだりの顔が見ものだったのですが、動画は、次々と削除されています。そういう私も、昨日ようやく見つけることができた次第です。TBSサンデーモーニングでいかにも分け知ったり顔で余裕たっぷりに話す彼とは大違い、しかめたり、言葉が詰まったり(まあ、しどろもどろともいう)、論旨が取りにくくなったりと、さんざんでした。 この時の話を文字起こししてあるところがありましたので、使わせていただきます(丸G体部分と文中の太字部分は私です)
(6.22首相官邸前での抗議行動がヘリからの映像流れる) 古舘「あの…寺島さん。この、大事な世論の、まあ一部、というか多くというか。それが今の政治の動きに全く反映されないというなかで、こういううねりがどんどん広がっているように私は思うんですが。デモに関して。」 寺島「ええ」 古舘「寺島さん、どういう印象」 寺島「僕はね、この市民が発言する力っていう問題意識の高さってすごく大事なことだから。我々は(噛む)間違いなく注目しなきゃいけない。だけどその市民の側もね、僕はそのおとといまで海外動いてたから。そう感じるんですけども。不可解な日本という印象を世界に与えてることについて、もう少し我々自身が理解を深めなきゃいけない部分があると。なんだって言うとですね。日本政府はね、今、限りなく原発に依存しない社会なんて言葉を使ってですね、ひょっとしたら2030年の、電源のゼロですね、でん…原子力をゼロにしようってことさえ可能かもしれないっていう空気を漂わせながらね。その一方でつい先月ですよ。オバマ大統領と面談してる首相、日米共同声明の中で、日米連携の柱の一つとしてね、日米原子力協力っていうのをうたってるわけですよ。」 「それは外から見るとどう見えるかっていうと。自分の国ではね、子供たちの未来のために原子力の危うさ、やめようっていう動き見せながらですね。外にはね、日米で協力して原発を大いに外の国に売り込もうとしてる日本っていう姿が見えてきちゃうわけですよ。ですから、その純粋に日本の原子力のあり方についてね、情熱を燃やして議論するのも大事なんだけども。それに加えてね、日本という国が世界に対してね、持ってる位置。例えば現実問題として日米原子力共同体って言葉があるんですけども。東芝がねウエスティングハウスを買ったと、2006年に。で、GEと日立のいわゆる原子力のジョイントベンチャーができてると。日本自身が世界の原子力産業の中核地帯になっちゃってるわけですよ。」 (聞かれていることには答えることができず、話を得意の「昨日まで○○に行っていて、向こうの人の話を聞くと……)と、ずらし、アメリカのエージェントぶり発揮」) 古舘「リトアニアに売ることが決まりましたね」 寺島「で、現実にそういう状況になっている日本がね、日本の国内で、エネルギー政策をどういう選択をしてくるのかっていうことを、息を呑むように見てるってのが世界の空気なんですよ。だからこそね、我々はこれ、議会も議論もする場もなくね、要するに国際社会に対してそういうスタンスを見せてるっていうことについて、しっかりした問題意識を持って。その原子力発電の問題と、昨日の夜この番組でまさにそこに突っ込んでましたけども、いわゆる安全保障とか国防っていう問題がね、原子力っていうのは、絡みついてきちゃうわけですよ。軍事っていうものとね、それからその平和利用の原子力発電っていうものが絡み付いてくる。それをどういうふうな位置関係で整理してね。アメリカとの関係ってのがすごく重く出てきちゃうんだけど、ここでも。日本人としてこれ本気でね、原子力、の問題について、きちっとした考え方を政府が示さないとね。これは、あの、この種のいらだちっていうのが、繰り返されると思いますね」 古舘「もういらだちを私は超えてると思うんです。あの、原子力基本法の問題くる、今日は時間がなくてできませんけれども。国会が会期延長するならば、これについて、ちゃんと1から話し合ってもらいたい、っていう気持ちを強く持ちます。 ※唇が乾く寺島実郎 古舘「で、先ほどのお話に戻りますが。海外、外国、国際社会から見た時に日本の二枚舌の政治、一方で原発をどんどん外に売ろうとしていながら、国内では違うことを言ってる。不可解な国日本、分かるんですね。で、そっから私生意気ですが、寺島さんと全く意見が違っていて。海外に原発を売ることもさることながら、国内で福島の事故が起き、そして東電・政府はじめ、そういうところの情報隠蔽、全く、不信感が募りってなった時に、ここは原発を、とにかく脱していくっていう方向が模索できないかを、ちゃんと話しあわなきゃいけないという考えなんですが」 寺島「ん、そうですね。僕のポイントはですよ、原子力の技術基盤を、日本が失ってはいけないと。例えばアメリカと向き合う時、国際社会のエネルギー戦略に向きあう時に、原子力の専門性の高い人材を失うっていうことはですね。ほとんど、この国の発言力を失わせるっていう意味でね。技術基盤の蓄積っていうことがポイントで。じゃあ、その視点に立った時に、発電のどれぐらいを原子力でやるのがギリギリなんだろうかってのが僕ね、まさに、その論点でぎぢ(噛む)、きちっとした議論をすべきだってのが僕が今、言ってるとこなんです。エネルギー調査会なんかで」 古舘「寺島さんのお考えは分かるんですが。しかしながら、不可解な国日本でいうと、これだけ国際社会に迷惑をかけて、放射能汚染の広がりがあった時に、日本が原発を脱して、国際社会にそういう国になるんですって見せるっていうね。そういう考えも、そこは1つ寛容に、議論していかなきゃいけないと思うんですね」 寺島「その通りだと思います、そこは」 古舘「はい」 | ||