原発通信 250号2012/07/04発行
![]() ![]() ![]() 撮影:三島タカユキ(右写真) 資本は自らの墓掘り人をつくり出す──次をどう描くか… ▶「生産」より「生存」条件 経済評論家・内橋克人さん 私も何度も書いていますが原発問題は、権力闘争でも、イデオロギー闘争でもありません。生存のたたかいなのです。内橋さんが言うように「生命あってはじめて生活」(下記)があるのです。 命あっての物種という言葉があります。原発で大儲けをたくらんでいる原子力マフィアの連中も、マーケットだ、グローバルだと叫んでいるウォール街の強欲どもはじめ新自由主義者、TPP推進論者も、そこに人がいるからこそ儲けることができるのです。しかし、彼らの行なっていることは、人間の存在=生存そのものを脅かすものとして目の前にあります。原発、原子力の行きつく先、市場原理主義の行きつく先、暴走する資本には何が待ち受けているのでしょうか。 19世紀半ば、マルクスは共産党宣言に「ブルジョアジーはなによりもまず自分自身の墓掘り人をつくりだす」と書きましたが、まさに、自分自身の墓掘り人をつくり出しているのが、今なのかもしれません。引用した、その次のフレーズは多分にあやしくなりましたが、引用した部分は、今にも通用するのかもしれません。次をどう描くか――問われているのでしょう。内橋さんは、【「FEC自給圏」、つまり食料(Food)、エネルギー(Energy)、福祉(Care)の自給をめざす地域社会をつくるべきだと】言います。 【「首相は『私の責任』と言いましたが、これほど責任のない言葉はない。言葉の矛盾なんです。20~30年後、野田首相は、端的に言えば政権にいない。さらに野田さんがこの世にいなくなってから生まれてくる命へのリスクに、どう責任を取るというのでしょうか。また首相は『国民の生活を守るため』とおっしゃった。これ、言葉をご存じないんじゃないですかね。生活というのは人間の命あってのことです。生命あってはじめて生活なんで、人間の命というものをリスクにさらしながら生活を守るということはあり得ません。この言葉の空疎さ。今ほど、民意と政治がかけ離れた時代はないんじゃないですか」】 【「増税は、財政赤字のツケを次の世代に残さないために必要だ、というんでしょう。ツケを残さないといいながら、原発から出る放射性廃棄物のツケはどうなのか。命をリスクにさらす問題では、これからもどんどん未来にツケ回しする。これはもう政治ではない」】とも。 福島の事故後、ドイツは真っ先に脱原発に舵を切りました。その会議のメンバーには原子力ムラの人間は入っていないといいます。 【委員は、「リスク社会論」で世界的に知られる社会学者、ウルリッヒ・ベック氏のほか、政治、科学、哲学、宗教界などから17人。「メンバーには一人として、日本で言うところの『原子力専門家』と称する人はいない。そしてもうひとつ大事なことは、その提言に数字はほとんど含まれていない。技術者が数字をもてあそんだり、一般国民にわかりにくい専門的な言葉で事実を糊塗(こと)するようなことは一切ない」】と、昨日発表された「原子力規制委員会人選ガイドライン」との違い、それは哲学の違いということなのでしょう。 ▼今後の予定 ![]() ![]() ▶原子力委:策定会議なしの核燃選択肢決定 4人が抗議文 なりふり構わずという言葉がありますが、原子力マフィアの連中のやっていること、そんな程度のことではありません。デタラメ、めちゃくちゃ、ウソを嘘で塗り固める、です。 【内閣府原子力委員会の有識者会議「新大綱策定会議」のメンバー、伴英幸・原子力資料情報室共同代表や金子勝・慶応大教授ら4人が3日、近藤駿介原子力委員長に抗議文を提出 原子力委が策定会議を経ずに核燃サイクルの選択肢について示した決定(6月21日)について「正当性を持ちえない」などとする内容】 ▶大飯原発3号機の再稼動、この数日が正念場 慎重な作業続く 【起動からフル出力運転までの間は、圧力を高めたり蒸気を循環させたりする作業が続くため、配管での水漏れなど、表面化していなかったトラブルに見舞われやすい。実際、再稼働後に調整運転していた大飯1号機では昨年7月、原子炉格納容器内の「蓄圧タンク」の圧力が制限値を一時下回り、手動停止する事態となった】 ▶大飯3号機、5日送電再開=国内の原発で61日ぶり 【送電を5日午前7時に再開することを明らかにした】 ▶大飯原発の破砕帯~関電が資料出さずに審議延期 OurPlanet-TV火, 07/03/2012 - 12:14 【原子力安全・保安院は3日、全国の原子力発電所周辺の断層状の亀裂「破砕帯」について、専門家からの意見聴取会を開いた。当初は、福井県にある大飯原子力発電所の敷地内の破砕帯について審議する予定だったが、関西電力が保安院に十分な資料を提出しなかったため、2日前に審議延期を決定。審議は2週間後に延期】 ▶<原発敷地の断層>美浜など3施設の再検討求める 【原子力安全・保安院は3日、専門家による会合を開き、全国の原発の再点検を始めた。このうち関西電力美浜、高浜原発と日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(いずれも福井県)の3施設については「活断層ではない」とする事業者の主張を根拠不足として再検討を求めた】 【さらに、美浜原発ともんじゅは約1キロ以内に活断層があり、破砕帯が連動する可能性も再検討するよう求めた。今後、追加調査が必要と判断すれば指示する】 【3施設のほか、敦賀原発と東北電力東通(ひがしどおり)原発には既に追加調査を指示しているが、その他の原発については情報収集に努めるよう求めた】 ▶敦賀原発周辺破砕帯の調査に懸念 敦賀市懇談会「きりがない」 【委員から「延々と距離、範囲が広がっている。11月までにきちっと結論を出すべきだ。敦賀にとって(影響が)大きすぎる問題。きりがない」と懸念】したとのことですが、何を「懸念」しているのでしょうか。 そして、問題はもう一つ、原電です。【原電は「専門家の声を受け、動いた年代を調査し、数値で定量的に評価する。心配だからという(感情的な)議論が入り込まないようにしたい」と答えた】というのですが、「心配だからという(感情的な)議論」とは何を指してのことなのでしょうか。わが都知事閣下同様、脱原発・反原発を言うものはヒステリーとでも言いたげです──いや、もう言っていますか。 ▶東電社員の年収、3割削減…料金値上げ幅圧縮へ 【東電は一般社員で20%減などの年収カットを実施しているが、依然として高水準との批判は強い。政府は過去に公的資金の注入を受けたりそなホールディングス並みの割合に年収をカットし、利用者の理解を得たい】からだそうです。そして、【実施されれば、平均年収は500万円前後まで下がる可能性】ということですが、こういう時、毎度というか、どこでもそうですが、割を食うのはいつも中より下です。 朝日新聞(下記)によると、事故前までは平均3000万円だったそうです。事故後半減したといっても1500万円、2割カットといっても1200万円です。現在茶町など7人の役員には支払われていないといいますが、当然なのですが、要はなくても十分、これまで通りの生活が維持できるだけの蓄財がありということでしょう。 東電の社員の皆さん、ご不満ならば、なんで、上層部の不始末を俺たちが取るのだと立ち上がってみてください。そして、上層部、電力総連とも手を切って、生まれ変わることです。 ▶東電役員の報酬、事故後は半減 平均1500万円 原発、一から十まで全部デタラメなのです。 ▶東日本大震災:福島第1原発事故 浪江町長、東電に怒り 新社長行脚、質問状回答「でたらめ」 【広瀬社長が再訪時に持参した回答も同趣旨で、馬場町長は「でたらめ。全部うそです」と反発を強めた】 馬場町長ではありませんが、私も、福島第一原発事故で学んだことは、原発、難しくも何でもないということ、全部金儲けのための数字合わせ、辻褄合わせのデタラメだらけということです。 ▶千葉:手賀沼の泥からセシウム 【手賀沼と周辺の川を県が調査した結果、沼の底の泥から最大で1キログラム当たり1万2200ベクレルの放射性セシウムが検出】 ▶「汚染土東電に返す」 福島・二本松の男性 自宅庭から携え徒歩で東京へ 【放射能に汚染された自宅庭の土をリュックサックに背負い、東京を目指して歩いている。東電と経済産業省の職員に手渡すつもり】 【毎時〇・二七マイクロシーベルト 百五十五日間で一般の人の被ばく線量限度である年間一ミリシーベルトに達する計算】 【環境省と文部科学省によると、放射性物質を含んだ土の遺棄は放射性物質汚染対処特別措置法に触れる可能性があるが、携行を取り締まる法律はない】と。 ▶東電、受刑者も原発賠償 【東京電力福島第1原発事故を受け、福島刑務所(福島市)の受刑者80人余りが東電に住民賠償を請求し、一律8万円の賠償を受けていることが3日、法務関係者への取材で分かった。一部の受刑者が東電から書類を取り寄せ請求。賠償金が支払われたため、所内で口コミで広がったという】 【東電は「受刑者も精神的苦痛、被曝(ひばく)の恐怖にさらされたという意味では住民と同じ」と】 【福島刑務所は「今後も請求する受刑者が増える可能性は十分ある」としており、全受刑者が請求した場合、賠償額は約1億3600万円に】 東電、「受刑者も精神的苦痛、被曝の恐怖にさらされたという意味では住民と同じ」と言っているとのことですが、やけにこのことについては“ものわかりがよすぎます”。 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 敦賀市長、“いいじゃないの、今がよけりゃ”と。 ▶大飯以外再稼働も「暫定基準有効」 敦賀市長が迅速な審査求める 【敦賀市の河瀬一治市長は2日の定例記者会見で関西電力大飯原発3、4号機に続く原発再稼働の手続きが進まない状況について「今の暫定基準は有効だ」と】 早く、俺のとこも動かしてくれということです。頭のなかは、それによって入るカネのことしかありません。“いいじゃないの、今がよけりゃ”の水準です。 原発教の呪文「アンゼンダ、アンゼンダ」の根拠はカラッポ ▶原発事故確率 現実離れ 電力会社「1000万年に1回」 【百万~一千万年に一回しか起きない-。原発で重大事故が起きる可能性をめぐり、電力会社が国などに示してきた確率は、現実的な民間損保会社のリスク判断と比べると、数百~数千分の一と大幅に甘く見積もられてきたことが分かった。再起動に踏み切った関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)も例外ではなく、関電は七百七十万年に一回と強調している】 東京新聞が調べたそうです。 【入手した資料によると、原発一基あたりの年間保険料は平均約五千七百万円と判明し、上限額は千二百億円。このことから、重大事故の発生確率は約二千百年に一回とみなしていることが分かる】 【一見正しいようだが、多くの機器をからめるほど、確率はぐんと低くなるからくり。その結果、一千万年に一回などと、人類の祖先誕生から現在までよりはるかに長い期間に一回、という数字を持ち出している】 【もし、こんな確率が正しいとすれば、たった一万二千円の年間保険料で、千二百億円もの保険金額を引き受けることになる】 このような数字を導き出させるために、計算の得意なものを雇い、洗脳し原発教の信者に仕立て上げていったのでしょう。 ▶原発防災対策専門委寄付問題:国の人選指針参考に 道「審議に影響ない」/北海道 本通信247号で報告した赤旗の記事と同様の件、毎日新聞、報じています。しかし、北海道版のみです。 | ||