原発通信 261号2012/07/19発行
「いじめは卑怯だ」と野田首相 毎日新聞7月17日付総合面記事です。大津中学生いじめ自殺問題に対して、野田首相が16日にフジテレビで語ったこと。 「弱い者いじめは、とても恥ずかしい行為であり、卑怯だということを理解してもらわなければいけない」と強調。「人間として大事なのは、自分が相手の立場になったときにどう思うかだ。その痛みを感じる心を持ってもらわなければいけない」。そして、いじめられている子には、「あなたは一人ではない。守ろうとする人は必ずいる。誰でもよいから相談してほしい」「一番大事なのは、周りにいる子だ。分かっているならば見て見ぬふりをしないこと」などと殊勝なことを。そして、自分の小学校時代にいじめに対応した教師の「毅然とした態度が忘れられない」とも言ったそうです。 語っていることは、それはそうでしょうという内容です。でも、あなたに言われたくはないという感じがします。いじめを擁護しているのではありません。自分も弱い者いじめをしていて、それはいかんと言っても聞く耳、誰も持たないでしょう。 福島第一原発事故問題、大飯原発再稼働問題に至る道筋などを見ていると、とてもではありませんが、あなたの言うことを真に受けるわけにはいきません。「痛みを感じる心を持ってもらわなければいけない」のは、あなた自身です。「自分が相手の立場になったときにどう思うか」という感性が一番足らないのが、あなたです。 あなたは、首相として1億2千万人に影響がある。しかし、首相官邸前での再稼働抗議に集まってきている人たちのことを「見て見ぬふり」ができ、「大きな音だね」などととぼけたことが言える感性の持ち主です。それはまさに「とても恥ずかしい行為であり、卑怯」なことです。 小学校時代の教師の「毅然とした態度が忘れられない」。まさか、毅然と再稼働を自分の責任で決断したことと二重写して語っているわけではないでしょうね。 そう、この原稿を書いていて、思い出したことがあります。だいぶ前、同じいじめで自殺した埼玉県上福岡の中学生自殺事件です。その時の首相は「僕がいじめたわけではない」などとわけのわからぬことを言いました。その時から、今も、何ら状況は改善されることなく今日まで続いている。その首相の名は海部俊樹といいます。そんなトンデモ総理大臣ですが、桐花大綬章という勲章までもらえるのがこの国です。 ▶大飯原発4号機が臨界到達 国内2基目、25日フル稼働想定 【関西電力は18日午後9時、福井県おおい町の大飯原発4号機(加圧水型軽水炉、出力118万キロワット)の原子炉を起動。4号機は19日午前6時に原子炉で核分裂が連続して起きる臨界に達した】 ▶<原子力委秘密会議>全国18弁護士が最高検に告発状 【内閣府原子力委員会による秘密会議問題で、全国18人の弁護士が18日、最高検公安部に告発状を提出した。近藤駿介原子力委員長ら27人が、「表」の小委員会で使用予定の議案や原発反対派の作成した意見書など計32件402ページの文書を、電気事業者に漏えいした行為が国家公務員法(守秘義務)違反容疑などに当たるとしている】 告発人の紀藤正樹弁護士、よくテレビに出ていました。消費者問題などをやっている人と認識していたのですが、原発問題でも先頭に立っているとは。法の分野でがんばってほしいです。 大飯、志賀の再調査指示問題 これまでのことで言うと、もう再稼働してしまったのだから、いまさらということで、何とか屁理屈をつけてくるでしょう。油断できません。しかし、活断層だとなり、当然廃炉になるわけですから、そのとき、野田首相、「私の責任」、どうとるのでしょう。 ▶大飯、志賀の再調査指示=原発敷地の「活断層」―保安院の評価、検証へ 【再稼働した関西電力大飯原発(福井県おおい町)と、北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の敷地内地下に活断層がある疑いが指摘された問題で、経済産業省原子力安全・保安院は18日、関電と北陸電に対し、敷地や周辺の再調査を行うよう指示】 ▶大飯・志賀原発:活断層か、電力会社に調査指示 【専門家会合で「活断層ではない」との意見が複数出ながらも、資料不足のために「否定しきれない」として再調査が求められていた。 谷本正憲・石川県知事は「調査対象の断層は志賀原発の建設時に国の審査で安全とされており、この断層に疑義が生じたことは国の審査への国民の信頼を損なうもので極めて遺憾」とのコメント】 ▶志賀原発:直下に活断層か 「審査したはずが」動揺、困惑広がる/石川 【志賀町役場には17日午前9時過ぎごろから約30分間、北陸電力の社員2人が訪れ、小泉勝町長らに問題の断層について説明したという。町幹部らの間には「設置許可の時点で審査したはずなのに、なぜ今なのか」などと困惑が広がった】 「設置許可の時点で審査」──昔のことを持ち出してもしょうがないのでしょうが、50年後、100年後にかたわの子どもが生まれてもシカタガナイ。それよりも今金がもらえる方が得だとの高木孝一(当時の敦賀市長)に拍手喝采した町民たちですから。そして、年月がたち、この高木孝一の息子、毅(1956年生まれ)は今は自民党衆議院議員になっていて、昨年福島第一原発事故後、国会で偉そうに政府批判をしていたのをたまたまラジオで聞いていました。自分のことは棚に上げてというやつです。 ▶東電値上げ:5%台まで圧縮可能 有識者試算 【内閣府消費者委員会の外部有識者の水上貴央弁護士ら3人が18日、消費者庁で記者会見し、東京電力が平均10.28%の値上げを申請している家庭向け電気料金について、値上げ幅は少なくとも5%台まで圧縮できるとの試算を公表】 何から何まで、デタラメな連中なのです。真に受けてはいけません。疑ってかかることです。 ▶東電値上げ8.47%=9月1日実施―人件費を圧縮、政府が方針決定 ▶原発依存度「3つのシナリオ」に騙されるな! 現代ビジネス町田 徹のニュースの深層2012年07月17日(火) 【これらの重要な前提を無視して、原発依存度を「2030年に15%」にする選択肢を選ぶことは、自動的に、「すべての原発に設計寿命の40年間の運転を認める」ことになりかねない危うさがある】 ▶橋下市長が政府対応批判 電力社員排除に「違和感を覚える」 橋下、話題になることをいうだけのお人のようです。それがどうのという意味合いはないのでしょう。自分がマスコミに取り上げられ、「橋下氏が…」というように表に出ればそれでいいというだけなのでしょう。そうすると、今までのパフォーマンスが了解できます。要は、ちょっと違う、逆らったことをいえばいいと。そうすればマスコミは飛びついてくるということを知っているのでしょう。そう、犬が人を咬みついてもニュースにならないが、人が犬を咬みつけばニュースになるというやつです。これ、橋下の本能なのかもしれません。 でも、別の件で、話題をつくってしまいました。そして、「茶髪時代の自分と重ねてみてください」だと。納得してしまいます。 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶泊「軟弱な断層、考慮必要ない」 北電報告 保安院は再説明要請 【北海道電力は17日、経済産業省原子力安全・保安院に対して、泊原発1~3号機(後志管内泊村)の敷地内を走る11本の破砕帯と呼ばれる軟弱な断層について「耐震設計上考慮する断層ではない」とする説明文書を提出した。専門家からは「データが不十分だ」などと異論が出て、保安院は北電に再説明を求めた】 何が出ようと、言われようと、まずは「No problem!」と。そう言わないことには、じゃあ、今まではどうなのだとなってしまうからです。 ▶大飯再稼働、作業継続を容認=活断層の再調査「問題視せず」―福井県 【福井県の満田誉副知事は19日、経済産業省原子力安全・保安院が、関西電力が進めている大飯原発4号機(福井県おおい町)の再稼働作業を中断させることなく、大飯原発の敷地内を走る活断層の有無の再調査を同社に指示したことについて「念のための補完調査と承っており、特段感じていることはない」と述べた】 そりゃそうでしょう。「特段感じています」などと言ったら、ちょっと前言ったことはなんなんだとなります。感じていませんと言うしかないのです。原発以外でなら、あ、そうですかで済むのですが、ことは原発です。 | ||