原発通信 277号2012/08/17発行
オリンピックだ、史上最多のメダル獲得だなどと浮かれている間にとんでもない「合意」が 義父の初盆ということもあり、連れ合いの実家へ行っていました。その間、ロンドンオリンピック、また甲子園の高校野球とテレビ等はスポーツイベント一色の感がありました。まるで、史上最悪の原発事故など関係ないかのようです。しかし、本通信前号にも書きましたが、何も変わっていないとの事実です。 そんななか、とんでもないニュースが報じられていました。ベトナム政府との原発輸出交渉で、枝野がベトナムに飛び、先方と万が一事故が起きたら、その「賠償制度の整備」に日本が協力するというのです。要は、賠償しなければならない事態が生じたら日本政府が補償しますから、どうかわが国の原発を買ってくださいといって、日本の原発マフィアのお先棒を担いでいるのです。「万一」などといっていますが、「万一」(=まあ、彼らマフィアの連中は、地球が隕石とぶつかる可能性と同じだとでもいうのでしょうが)などと根拠のないことだということは明白になったのにもかかわらずです。 枝野がそれこそ、「個人で」補償をするなら、それはそれ(ではないのですが)ともいえるのですが、事、国家間の協定となると、当然ですが、日本国民の税で賄うことになり、原発メーカーなどは免罪されるということになってしまいます。そんなとんでもないことが日本とベトナム政府の間で「合意」されたというのです。フクシマが終わってもいないのに…。 ベトナムもベトナムで、今後原発を10基をつくるなどといっています。しかし、この原発輸出、原発だけではなく、中国に牛耳られてしまったレアアース共同開発をベトナムに求めるという面が一方にあるというのですから、何をかは推して知るべしです。 しかも、この記事、毎日新聞でいえば、「総合・経済」面の下方にベタ記事で載っているという有様です。 * もう一つ、あのデタラメ先生、いや班目センセイですが、急に「健忘症」になられたようです。人は自分に都合の悪いことは、なかったことにして心の平安を保つらしいのですが、班目センセイもそのようです。しかも、いやいや話をさせられた(?)と言っているのです。いつの話かというと、あの福島第一原発が危機的状況化になっている、まさにその時に(下記)。 ▶原発事故の賠償制度整備 経産相、ベトナム側と合意 【ベトナムを訪問中の枝野幸男経済産業相は14日、首都ハノ イでグエン・クアン科学技術相と会談した。東京電力福島第1原発事故の経験を踏まえて、ベトナムが建設を計画する原発の安全性を高め、万一事故が起きた場 合の賠償制度の整備にも日本が協力することで合意した】 【家電やエコカーに必要なレアアース(希土類)をベトナム北部で共同開発する計画に関して、早期の採掘開始を働き掛けた】 ▶原発賠償制度整備に協力=レアアース開発も加速―枝野経産相が越と合意 【ベトナム訪問中の枝野幸男経済産業相は14日、ハノイでグエン・クアン科学技術相と会談し、原子力損害賠償制度整備での協力に合意した。これを受けて両省は覚書に署名し、日本が東京電力福島原発事故の経験を踏まえ、被災者補償の明確化などを支援することが決まった】 「吉田所長につながる携帯電話を渡され、話さざるを得なかった」??!! ▶福島第1原発事故 2号機対応指示「詳細記憶ない」──班目委員長 【東京電力福島第1原発の吉田昌郎所長(当時)に直接電話で事故の対応策を指示し、2号機の空だきを早めたとされる問題で、班目委員長が16日の記者会見で経緯を説明した。詳細について「記憶にない」「覚えていない」と繰り返した】 と、ここまではよくあるパターンです。「記憶にございません」という便利な言葉で逃げ切ったのはロッキード事件の小佐野賢治国際興業代表(当時)ですが、「知らないことにする」ということはよく使う手です。しかし、そんなことよりさらにとんでもないのは、「吉田所長につながる携帯電話を渡され、話さざるを得なかった」などといっていることです。事態が事態です。原子力安全委員会の長として責任ある助言等をするのが当然と思うのですが、このセンセイにとっては違うようです。仕方なしに、いやいや話したといわんばかりです。「アンタ、原子力安全委のなんなのさ」と言いたいほどです。しかも、「まったく覚えていない」などという頭脳(記憶力)の持ち主だとしたら、とてもじゃないですが、これからも、今までやってきたことすべてまともに聞けません。すぐにお忘れになるようでは、とてもじゃないが信用などできるわけがありませんから。 【班目委員長は「政治家から吉田所長につながる携帯電話を渡され、話さざるを得なかった。吉田所長からどんな説明を受けたかまったく覚えていない」と】 ▶東電ビデオ:班目氏 吉田所長への指示「記憶にない」 いずれにしても、とんでもなくいい加減で、無責任で、責任ある地位に何千万円も出して「囲っておく」ことはまったくの無駄だということがよくわかったという話です。役立たずもここまで自分で言うとは情けない話です。 ▶経産省:使用済み核燃料「直接処分」研究費予算要求へ 【経済産業省は14日、原発の使用済み核燃料を再処理せずにそのまま地中に廃棄する「直接処分」について、関連する研究費を13年度概算要求に盛り込む方向で検討に入った】 【経産省が関連費用を計上すれば初めて】 これも、脱原発の声が彼らの想像、「想定外」に高まっていることの証でしょう。 ▶福島原発の再稼働、古川担当相「ない」──川内村意見交換会 伝聞の域を出ませんが、下記のように言ったそうです。本人が本当に言ったかどうか、本人(古川)に確認して書くのが新聞記者と思うのですが、それはしてないようです。 【遠藤雄幸村長によると、古川担当相は、東京電力福島第1原発5、6号機と第2原発について、参加者からの再稼働か廃炉かの質問に対し、「事故の起きたこの地で再稼働はありえない」と述べたという】 ▶記者の目:福島原発・政府事故調報告書=奥山智己 【事務局が「どこからも文句をつけられない内容」と説明するように、無責任なことが書けないのは理解できるが、「他の原発は安全か」「危険ならそう判断できる基準は何か」までは読み取れない】 【畑村氏から報告書を手渡された野田佳彦首相は「再発防止に万全を期す」などとあいさつした後、報告書を机に置いたまま退室した。秘書にさせる仕事なのかもしれないが、政府にとって報告書の重みはその程度なのかと感じた】 そう、野田にとって、原発は、どうでもいいことなのです。それよりなにより、これ、礼儀知らずということです。口先だけとも。 ▶社説:エネルギー大転換 民意の反映 国民投票も選択肢だ 【国政選挙は他のさまざまなテーマも含め政党への審判が下されるのも事実だ。 こうした点を踏まえると、エネルギー政策をめぐる一定の議論の期間を経たうえで国民投票で意見を聞く選択も捨象すべきでなかろう。議院内閣制の補完と位置づけ、結果に拘束力を持たせない「諮問型」が前提となる】 ▶核燃サイクル:秘密会議問題 弁護士の告発受理 守秘義務違反容疑、東京地検が捜査へ 【東京地検特捜部は15日、全国12と道府県の弁護士21人が提出していた告発状を受理した。今後、国家公務員法(守秘義務)違反容疑などで捜査を開始する】 前にも書きましたが、それぞれが「得意とする分野」で原子力マフィアを追い詰めていきましょう。 ▶講演会:原発考える 原研労組委員長が講演──東海で18日/茨城 【日本原子力研究開発機構労働組合の岩井孝・中央執行委員長の講演会「原子力ムラからNO!専門家からの警告」が18日、東海村須和間の中丸コミュニティーセンターで行われる】 【講演では、同労組が4月、国内の原発の再稼働に対して「拙速な運転の再開に反対する」との声明(本通信264号参照)を発表した理由や東海第2原発の危険性などについて解説する】 ▶原発比率:民主に難題…党内の意見集約着手へ 【2030年の原子力発電の比率をめぐって民主党は今月下旬、「エネルギー・環境調査会」を設け、意見集約に着手する】 【脱原発派には「消費増税法の党内論議の時のように、前原氏が『一任』を宣言して議論を打ち切るんじゃないか」との懸念があり、党内の亀裂を一層深める可能性をはらんでもいる】 ▶原子力規制委:発足遅れを懸念…国会混乱で 【池口修次参院国対委員長は8日の記者会見で「ほとんど議論しておらず、党としての手続きは終わっていない」と慎重姿勢を示した。自民党も、人事案に批判的な意見が党内にあるため、対応が決まっていない】 ▶今「原子力」を考える:~2012・夏~/1 志賀原発活断層調査 払拭されない疑念/石川 「これまでの調査は一体何だったんだ」と志賀町の小泉勝町長が言ったそうですが、1983年に行われた講演会で、なにが起ころうとそんなこと知ったこっちゃない。貰えるならもらえという当時の敦賀市の高木市長に拍手喝采した志賀の商工会の人たちのことを思い出します。 【原発行政については「国の出方を見る」という趣旨の慎重な発言が多い谷本正憲・県知事。だが、今回は「国の審査に対する国民の信頼を損なうもので極めて遺憾」と同日、厳しく批判した】 【北陸電の堀祐一副社長は先月19日の記者会見で「安全上、問題はない。廃炉となる可能性は全くない」と断言した。しかし、調査結果が出る前の発言だけに、慎重さを欠く、との指摘がある。志賀原発差し止め訴訟の原告の1人で富山県氷見市の農業、的場新治さん(63)は「こんな発言を聞くと、最初から『運転には支障がない』との結論を出すと決めているとしか思えない」と批判する】 ▶鹿児島・川内原発の熱傷事故:業務上過失致死傷容疑で九電社員ら書類送検へ 危険作業、対策怠る 【10年1月に鹿児島県薩摩川内市の九州電力川内原発1号機で作業員7人が死傷した熱傷事故で、県警は九電社員ら数人を近く業務上過失致死傷容疑で書類送検する方針を固めた。通常と異なる危険な状況で作業させる手順書を作成したうえ、事故を防ぐ適切な処置を怠ったとみており詰めの捜査をしている】 そうです。これも、最近の脱原発の声の高揚に影響されているのではないでしょうか。2年半以上たっているのですから。 ▶佐賀・玄海原発:1号機、安全評価を提出 九州6基出そろう 【九州電力は13日、玄海原子力発電所1号機(佐賀県玄海町)の再稼働に向けた安全評価(ストレステスト)の1次評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。地震や津波に対し「安全性が確保されている」としている。九電の原発5基は5月までに提出しておりこれで全6基の評価結果が出そろった】 【玄海1号機の原子炉圧力容器が予想を上回って劣化していた問題を巡っては、保安院が7月に「2033年までは十分健全」とする見解をまとめた】 何を根拠にでしょうか。というよりそんなこと聞く方が野暮というものです。 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶福島第1原発事故 水素排気ポンプのモーターから白煙 「14日、福島第1原発4号機南側にある放射性汚染水浄化過程で生じる高濃度放射性廃棄物の仮置き場で、排気用ポンプのモーターから白煙が上がったと発表」 【放射性汚染水は、放射性セシウムを吸着させる鉄製容器「ベッセル」を通して浄化する。使用済みのベッセル内の水は放射線で分解され、水素が発生するため、施設外に排気する必要がある】 なるほど、「浄化過程」で水素が発生するということがわかりました。 ▶福島第1原発:4号機の電源室で汚染水漏れ 【14日午前11時15分ごろ、4号機タービン建屋1階にある電源室(約350平方メートル)に深さ約1センチの水がたまっているのが見つかった】 【汚染水の推定漏えい量は約4.2立方メートル。水1立方センチ当たりの放射性物質濃度(セシウム134、137)は7万7000ベクレル。建屋外への流出はなく、4号機の使用済み核燃料プールを冷却する電源系にも影響はないという。穴が開いた原因は不明】 なるほど、原因不明という事象が多くあるということもわかりました。 ▶島根原発:2号機の中性子監視不具合「テープ巻きひび」/島根 【原子炉の中性子の量を監視する装置が動かなくなったトラブルは、装置の周りにテープを巻き付ける作業で生じたひびが原因だったと発表】 なるほど、巻いたテープにひびが入っただけでも動かなくなるほど「精密」な機械だということ、わかりました。 ▶大飯原発:排水漏れ…安全、環境に影響なし 【16日午後8時35分ごろ、営業運転に移行した関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)で、敷地内にある海水淡水化装置からアルカリ性の排水約2トンが漏れ、排水槽の水位の異常を示す警報が作動】 【排水は中和処理が必要だったが、海に流出する前に止まり関電が回収、処理した】 水は漏れるものということです。 ▶福島第1原発事故 県が東電に賠償請求 放射性物質検査などで影響/千葉 【県内で放射性物質検査等の対応を迫られるなど影響を受けたとして、東電に対し約1億4000万円の損害賠償を請求した。県としての賠償請求は初めて】 ▶水と緑の地球環境:「原発のない社会を」 日本版「緑の党」、キックオフイベント 【「原発のない社会」を掲げる日本版「緑の党」の「キックオフ!イベント」が先月29日、東京都内で開かれ、約400人が参加した。 特別ゲストで、ドキュメンタリー映画「第4の革命」を監督したドイツのカール・A・フェヒナーさん(58)が「市民によるエネルギー革命に向けた第一歩だ」と述べた。「ドイツ緑の党」からは、連邦議員で会派副代表のベアベル・ヘーンさん(60)が駆けつけ、「核の平和利用と軍事的利用に境目はない。自然エネルギーへのシフトは電力会社が独占してきたエネルギーを市民の手に取り戻すこと」と強調した】 【緑の党は、地方議員や市民らによる政治団体「みどりの未来」(すでに解散)が準備委員会をつくって基本政策などを練り、先月28日に設立総会を開催。須黒奈緒・東京都杉並区議やオーガニックバーを経営する高坂勝さんら4人が共同代表に就任】 ▼トンデモナイ話 鋸山を核爆発で吹っ飛ばせ! そして東京湾を埋め立てろ! と二兎どころか三兎も追うというお話 ▶幻のネオ・トウキョウ:発掘、核利用の工事計画/2 「放射能は岩と土砂が吸収」/千葉 【「東京湾の建設におきましても、鋸山(のこぎりやま)、房総半島は核爆発でやって、ベルトコンベヤーで泥と岩石を持ってくれば、案外早く埋まってしまいます」】 これ、なんと、1959年3月17日、東京・日比谷の帝国ホテルで講演した日本住宅公団総裁、加納久朗(ひさあきら)の発言で、なんでの東京圏での宅地不足解消作のひとつとして展開された「案」だったとのことです。 【さらに「房総半島の山脈を崩せば太平洋からの空気が東京に抜けるようになり、冬は暖かく夏は涼しくなる」と予想し、埋め立てにより新たな土地を確保できることと併せて「一石三鳥の効果がある」と考えていた】 環境問題などまだまだの時代です。しかし、都市建設、空港建設で使う骨材供給場として房総の山々が注目され、核爆弾を使わなくてもダンプカーで、そう、君津市では「ダンプ街道」と呼ばれるなか、細い道を疾走するダンプカーによって運び出され、山の向こうが見えるまでに削られていると書いたのは佐久間充さんでした(『ああ、ダンプ街道』岩波新書)。1984年のことです。 この世界に深く関わりがあったのは、先日亡くなった千葉の暴れん坊・浜田幸一です。その後を継いだのが息子の浜田靖一(自民・元防衛相)。 | ||