原発通信 278号2012/08/20発行
米NRCが原発の認可手続きを停止 先週9日にNRC(米原子力規制委)が発表したとのことです。17日の報道ステーションを見ていると、古舘氏が、「なぜ日本のマスコミは大きく報じないのでしょうか」と言って始まったのが、下記の記事です。 要は、「核のごみ問題をどうするか決まっていないので、決まるまで『当分の間』原発の新造や、稼働の期間延長をいったん停止する」という内容なのです。記者から「当分の間」とはどのくらいかと問われ、「わからない」と、短くはないというような返事をしていたかと思います。そしてそのきっかけは福島第一の事故、とりわけ4号炉のプールの冷却水がなくなったことだと言っています。このことは、まさに再稼働へまっしぐらの日本の電力会社、原子力マフィアの連中にとってはまったくもって「不都合な事実」です。 稼働する限り出る使用済み核燃料はもとより、原発は「核廃棄物」の処理が最大のネック。最後は、10万年も「責任をもって」管理などできないという当たり前の問題に突き当たってしまうのです。 NRCの判断には、福島第一原発4号炉の問題が大きかったとのことです。全世界の人々は、福島によって、原子炉のそばに格納プールがあること、その危険を知ってしまったのです。 アリソン・マクファーレンNRC委員長は、核燃料の最終処理問題に関して「皆さんが思っているより大きなものであり、NRCの優先事項である」「福島の事故は使用済み燃料プール問題を際立たせた」と語っています。 【アメリカは、日本の福島第一原発事故後も原発の推進を変えなかった。現在、アメリカには104基の原発がある。30年以上たった古い原発は60基。そのうち13基は40年以上たっている。アメリカは新たな原発の建設を模索している最中だ。しかし、今月7日、NRC=アメリカ原子力規制委員会は、核廃棄物の最終処分が決まるまでは、新たな原発の建設や原発稼働の期間延長をいったん停止することを決めた。なぜ、NRCは核廃棄の最終処分が決まるまで、新たな原発建設などの凍結をしたのか。その裏側を伝える】 ▼動画 テレビ朝日報道ステーション2012年8月17日(尖閣問題の下にあります) ▶米国原子力規制委員会NRC、原発認可手続きを停止 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版2012-08-09 12:47:28 【米原子力規制委員会(NRC)は7日、最近の連邦控訴裁判所の判決で提起された使用済み核燃料政策の問題への対応ができるまで、原子力発電所建設の認可手続きを停止すると発表した】 【控訴裁判所は、必要になれば最終処理場が建設されると見るべき「合理的な保証」があるとしたNRCの見解を退けた。また、使用済み核燃料は原発の認可期間を超える60年間にわたり、プールあるいはキャスク(使用済み燃料用容器)の中で安全に貯蔵できるだろうとするNRCの主張も認めなかった。同裁判所は、プールからの漏れはこれまで害がなかったとNRCが考えたとしても、NRCはこれまで以上の漏れやその他の事故の可能性とその結果を評価しなければならないとした。 NRCの7日の措置により、原発認可の決定は1年ないしそれ以上遅れる可能性がある。その期間は、裁判所が指摘した問題の解決にどの程度時間がかかるかによる。年内は認可決定はないとみられる。ただ、複数年にわたる遅延が起きても、既存原発が閉鎖される事態にはならないだろう。認可期限の少なくとも5年前に延長を申請する限り原発は運転を続けられる】 「NRCは、原発認可停止を求める一連の請願を一部は受け入れ、一部は拒否することとした。/コロンビア州のなんたら裁判所(^_^;は、NRCが、『廃棄物の信頼性に関する決定(Waste Confidence Decision)』と、それに付随する『一時保管ルール』を、2010年にアップデートした際、『国の環境政策法令(National Environmental Policy Act: NEPA)』に違反していたことを見出した。これに従い、これらの決定・ルールを無効とし、それに従って行われていた手続きを、法廷の意見に一致したものとするよう、差し戻すことを命じた。/これに対応してNRCは(1)原子炉の最終認可決定を保留し、廃棄物の信頼性に関するNRCの認定手続きを保留する、(2)環境評価に関するパブリックコメントを募集し、(3)差し戻された手続きに関係した個別ケースについて、最低60日間の考査を行なう。) ▼NRC ▶TBSサンデーモーニングでだんまりを決め込む寺島実郎 19日(日)のTBSサンデーモーニングでは、番組の終わり近くに1週間の出来事の一つとして紹介するのみでした。米国の「エネルギー問題」にも関わる「問題」だというのに、寺島実郎、知らん顔です。得意の「アメリカ政府がですよ…」なんて言うことも一切口にしません。都合の悪いことは「見ないこと」「聞かない」ことに徹しているのでしょう。卑怯な男です。隣に座っている大宅映子もです。 ▶原発、再稼働か廃炉か 活断層、調査に難題 【活断層の可能性を否定できず再調査を指示される原発が相次いでいる。原子炉建屋の真下の断層が活断層と判明すれば、立地不適格として廃炉を迫られる可能性がある。しかし、一部の地層は建設工事のために現存せず、9月に保安院から業務を引き継ぐ予定の原子力規制委員会が最終判断するための基準作りもこれから。廃炉か再稼働可能か、決着の時期は見通せない】 【解釈はなぜ違ってきたのか。当時の審査は非公開で、発言内容を示す議事録は残っておらず理由ははっきりしないが、まず活断層の定義が現在と異なる。06年、阪神大震災(95年)を受けて国は耐震設計審査指針を改定し、考慮する活動時期を、5万年前以降から12万~13万年前以降に広げた】 【当時、安全委で審査委員を務めた専門家は「ずれは断層活動で生じたように見えたが、5万年前より古ければ審査上問題なく、深く追究しなかった」と明かす。通産省の専門家会合では活断層の判読に詳しい専門家は全体の1割。委員の一人は「基本的に聞いているだけ」と述懐し、審査の甘さをほのめかす】 【判断は容易ではない。例えば志賀原発では、図面から活断層と指摘された砂れきの地層が建設工事で除去されている。他原発も掘削調査で有力な材料が得られるかは不透明だ。また、活断層と判明しても、直ちに廃炉とならない。現行の原子炉等規制法で、廃炉を命じる規定がなく、行政指導で事業者に対応を求めるしかないためだ】 この地震大国日本において原発をつくるにあたって、活断層のことは絶対考慮に入れなければならないことは当たり前のはずです。原子力マフィアの連中もそれをよく知っているからこそ、「証拠隠滅」とばかりに「議事録はない」、「指示がなかったから出さなかった」などと口を拭っているのです。 活断層と判断された場合、即廃炉かと思っていましたが、実態はなかなかのようです。志賀原発、つくる時にその地層を剥いでしまったというのです。つまり、「現物」がないということのようです。しかも、「廃炉を命じる規定がなく、行政指導で事業者に対応を求めるしかない」というのですから、原子力マフィア、原発建設当初から骨の髄までしゃぶりつくそうと画策していたということです。 ▶石川県専門委の設置了承 志賀再稼働、疑いの目も/石川 【一方、県議からは「志賀原発再稼働への布石では」といぶかしむ声も上がる。福井県では、専門委による報告書提出のわずか5日後、西川知事が再稼働に同意したためだ。現在、志賀原発の直下に活断層が存在する可能性が浮上し、委員の人選や初回会合の時期を含め白紙状態になっているが、「再稼働のお墨付きを与える組織を作るのではないか」との疑念は絶えない】 ▶東海第二最大揺れ見直し 【東海村にある東海第二原子力発電所について、事業者の日本原子力発電は、これまでの調査の結果、周辺の活断層が連動する可能性は否定できないとして、想定される最大の地震の揺れを評価し直すこと】 【今後、想定される地震の揺れの見直しが行われますが、再評価の結果次第では、原発の耐震性に影響が出る可能性も】 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶東電、六ケ所村に2.7億円 経産省「寄付に近い」 【東京電力が福島第一原発事故後、青森県六ケ所村に約2億7千万円を支払い、隣接する同県東通(ひがしどおり)村の東通原発の建設費として処理していたことがわかった。経済産業省は、東電の電気料金値上げ申請を受けた審査で、この支出を寄付金に近いと判断。今年度分以降について、電気料金算定の基礎となる経費「原価」に組み込むことを認めなかった。 東電は、福島事故賠償に向けたコスト削減策として寄付金の原則廃止を表明したが、原発建設費という別の名目で事実上、寄付を続けていた疑いが強まった】 ▶原発委員:関連団体から5048万円の寄付 11年度 【原発立地(計画を含む)14道県の原子力に関する34審議会で委員を務める国公立大学教員ら173人のうち、16人が原発関連の団体・企業から11年度に計5048万円の寄付などを受け取っていたことが全国市民オンブズマン連絡会議の調査で分かった】 ▶核燃サイクル:秘密会議問題 メモ発見 エネ庁係長3人、7回作成 【これまで「見つかっていない」としてきた秘密会議の議事メモが内部調査で見つかったことを明らかにした】 【3人はメモを提出しなかった理由を「個人的に作成したものなので検証対象にならないと思った」「作成したことを失念していた」などと説明しているという】 しかし、枝野経産相、 【「職員の認識不足と不注意が重なった結果で、組織的隠蔽(いんぺい)ではない」として、関係した職員を処分しない方針を示した】 こんな「重要なこと」、「認識」もなければ、「忘れてしまう」便利な頭脳を持っている「優秀」と言われる日本の高級官僚たちです。 ▶玄海原発:九電「担当者協議を」 原発安全協定、114日目にして回答/佐賀 毎日新聞 2012年08月18日 地方版 【九州電力玄海原発(玄海町)を巡り、九電は17日、県内全市町との原子力安全協定締結を求めている県市長会と町村会に対し「担当者との意見交換の場を設けて協議したい」と伝えた。 九電の長野益徳・佐賀支社長が、市長会長の横尾俊彦・多久市長と町村会長の田中源一・江北町長に回答書を手渡した。横尾会長は「4月の要請から114日目にあたり、時間がかかりすぎだ」と苦言を呈した】 首相官邸前再稼働反対抗議行動、3カ所で展開 ▶官邸『裏』に広がった再稼働反対・金曜集会 【先週あたりからは官邸『裏』でシュプレヒコールがあがるようになった。場所は東京メトロ「溜池山王駅」の出口付近。石を投げれば官邸に届くほどの至近距離だ。高層ビルの公開緑地に40~50人が集まる】 【「官邸前より広い」「野田政権に声が届きやすい」などと参加者には評判がよい。官邸前はひとり当たりのスピーチ時間が2~3分と決まっているが、官邸『裏』は『無制限一本勝負』だ】 確かに、首相官邸の裏手、にぎやかな溜池山王駅の上、見上げれば首相官邸、官邸の建物が真上です。日本庭園が配されているのか竹林も見えるところです。行動が行われているところ、そこには、高層ビル建築に際し公開空地として設けられた一角があるのです。そこに集まっての抗議行動。皆さん、フレキシブルです。 | ||