原発通信 287号2012/09/03発行
![]() 8.31抗議行動に行ってきました。 先月は仕事で3週続けていけなかったのですが、31日、行ってきました。歩道のわきに警備車両を並べての威圧はなくなりましたが、鉄柵を並べて、檻で囲われている感じです。が、多くの人が集まってきています。コールは、それまでの「再稼働反対」「子どもを守れ」に、「人事案反対」「田中辞めろ」と、原子力規制委員会人事が加わっています。 再稼働反対を言うことは「まぎれもない現実論」 文化人類学者の上田紀行さんが毎日新聞8月31日付夕刊「特集ワイド」原発の呪縛日本よ!に出ていました。紹介したいと思います。 「いま原発を動かすのは非常に危険であり、これ以上、事故を起こすことはできない。そう言うことが精神論なのでしょうか」と上田さんは問いかけます。野田首相が大飯原発再稼働を決めた直後に「精神論だけでやっていけるのか」と再稼働反対論を一蹴したことについて返します。上田さんは、再稼働反対を言うことは「まぎれもない現実論」だと、逆に一蹴します。上田さん自身幼い女の子を持つ父親で、一時連れ合いの実家がある四国に疎開させたといいます。 「乳幼児を持つ親にとっては、景気がどうなるかよりも、子どもの命を守ることの方がよっぽど切実な現実論です」と。 そして、上田さんは震災直後に出した著書「慈悲の怒り」の中で政治学者・丸山真男の「軍国支配者の精神形態」を引用して言います。 【東京裁判で、懸命に戦争に反対したと言いながら、なぜ指導者の一人に自らなったのかと検察官に問われ、戦時中、首相を務めた小磯国昭(A級戦犯として終身禁錮刑を受け、服役中に病死)は答える。 <われわれ日本人の行き方として、自分の意見は意見、議論は議論といたしまして、国策がいやしくも決定せられました以上、われわれはその国策に従って努力するというのがわれわれに課せられた従来の慣習であり、また尊重せらるる行き方であります> まるで原発事故の報告書を読んでいるようだが、丸山はこう考察する。<「現実」というものは常に作り出されつつあるもの或(あるい)は作り出され行くものと考えられないで、作り出されてしまったこと、いな、さらにはっきりいえばどこからか起って来たものと考えられていることである。「現実的」に行動するということは、だから、過去への繋縛(けいばく)のなかに生きているということになる>】 そして、【「今回、原発事故が起きたことの意味は、とてつもなく大きなものとして受け止めなきゃいけない。エネルギー問題だけで片づくものではありません」】と。 上田さん、大学でここ数年前からやっていることを紹介します。就職した会社で不正を見つけたときどうするのかと問うそうです。3.11前までは「告発する」という人は少数であったが、昨年、3.11後は「告発派」が多数を占めるようになったといいます。 そして、【「揺り戻しがあるのではと恐れていたのですが、そうはならなかった。不正を知っても何もしない人間より、自分の名前を出してでも告発する人間の方が格好いいと、若者たちの意識が変わってきたのではないか。今こそ、この日本社会の『変えどき』です」】と。 本特集を書いた記者同様、これからに、未来に「希望」が「輝いて」見えることを願いたいと思います。 防災の日に見たもの 災害時には全車両通行止めになる環状七号線の内側、基幹線近くに住んでいます。9月1日午前9時、買い物に出たら、警察官が多いなあと思って、「あっ!そうか今日は防災の日か」と合点した次第です。周りを見るとカメラを持った人やテレビ局の人がちらほら。私も家にとって帰り、カメラ片手に出直しました。その時撮った写真が下記です。 ![]() 車1台なくなった幹線道路(都心方面を望む) ![]() 白バイ、パトカー、自衛隊バイク部隊の後を疾走する装甲車 3.11東日本大震災での自衛隊の活躍ということもあり、ハードルは低くなりましたが、災害救助に「装甲車」は必要ないでしょう。福島第一原発が爆発したときは、自衛隊員も逃げ出したと聞きます。子どもの頃、自衛隊駐屯地が近隣ということもあり、訓練・演習ということで何台もの戦車が轟音を立て国道を疾走していたことを思い出しました。キャタピラの音がものすごく、轟音が聞こえると、「今日は自衛隊の戦車がまた練習しに行くんだ」と思ったものです。東京と埼玉を結ぶ幹線を、当時は剥き身の戦車が「疾走」(いや、戦車ですので、全速力といっても大したことないのですが)、急な坂をパワー全開で登坂していくのです(当然、その逆も行われるのですが)。 ▶福島第1原発事故 環境省、被ばく影響ゲノム調査 専門家は疑問の声 【同省は「不安解消のために必要」と説明しているが、専門家からは「ゲノムを調べても被ばくの影響は分からず、税金の無駄遣いにつながる」との批判が出ている】 【環境省によると、福島県立医科大と協力して、希望者からDNAを採取、ゲノムを解読して通常と異なる塩基配列や遺伝子の異常などを見つける計画で、必要経費を来年度予算の概算要求に盛り込む方針。額は億単位になるとみられる】 【この計画についてゲノム科学の第一人者、中村祐輔シカゴ大教授は、人は元々少しずつ塩基配列が異なるのに加え、解析装置がエラー(配列の読み間違い)を起こすため、塩基配列の変異があっても病気につながるかどうかや被ばくの影響と断定することは不可能として「荒唐無稽(むけい)な計画」と批判】 この計画は、間違いなくあの「福島は何もしなくても世界的に有名になりました」などと無神経なことを口にできるトンデモ男=山下俊一が絡んでいることは間違いないでしょう。こうして、さまざまなところから金を引っ張り出すことにだけは長けているということです。 ▶HOT TOPICS:福島原発周辺のチョウに異変を確認 ◇Japan's nuclear leaks sparked butterfly mutations Radiation that leaked from the Fukushima nuclear plant following last year's tsunami caused mutations in some butterflies, including dented eyes and stunted wings, according to research published in Scientific Reports. (AP) 毎日ウィークリー9月1日号 ============== 【記事全文は「毎日ウィークリー」本紙でお楽しみ下さい。音声は全文を読み上げています】?? こんなことが起きているというのに、英文和訳のテキスト扱いですか?どうかしています、日本のマスコミ。付け加えて、「お楽しみください」??いくらひな形にただ流し込んだだけとはいえ、無神経では。 ▶福島第1原発事故 IAEA、除染に協力 福島県要請、共同プロジェクト 【東京電力福島第1原発事故で甚大な被害を受けた福島県の佐藤雄平知事は31日、ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部に天野之弥事務局長を訪ね、健康管理や除染分野でのIAEAとの共同プロジェクトの発足を要請し、合意を得た。佐藤知事によると、IAEAは現地へ専門家を派遣するなどしてプロジェクトに協力する】 ▶福島原発事故:土壁の家など高圧放水の除染困難な建物続出 とはいうものの、これが「除染」の実態です。 放射性物質、黄砂と同じなのでしょうか。黄砂は雑巾でふき取りますが、セシウムなどをもですか…。所詮、こんなことしかできないのです。そういえば、1年前も、除染につかった水、どうすれば…との問いに、バケツにでもためておけば等と訳の分からないことを言っていました。 【環境省は崩壊の恐れがある建物も極力「対象外」とはせず、タオルで拭き取るなど簡易な方法を取ると説明】 ▶原子力安全条約:透明性向上へ作業部会設置 特別会合閉幕 【東京電力福島第1原発事故を受け、ウィーンで開かれていた「原子力安全条約特別会合」は8月31日、条約の強化と透明性の向上を目的とする作業部会の設置などを決め、閉幕した。作業部会は原発事故で揺らいだ条約の実効性を高めるため議論を深める】 ▶南海トラフ地震:35市町の本庁舎で津波で浸水 【5、6階に伊方原発で事故が起きた際の対策拠点(オフサイトセンター)が入る伊方町役場の浸水予想は7・7メートルだが、築年数が浅いので移転しない方針という】 浸水予想ではなく、「筑年数」で判断とは。予算等の問題はわかりますが、有事の時、何の役にも立たないものだということだけはわかりました。 ▶東海地方:暑さ平年並み 電力供給は大きな支障なく終わる 【中部電力管内の今夏の電力需要は堅調に推移した。最大需要は7月27日に記録した2478万キロワット。猛暑だった10年の2709万キロワット、11年の2520万キロワットに比べ低かった。浜岡原発の停止が続く中、家庭や企業の節電、火力発電所の稼働増などで乗り越えた形だ。ただ、8月30日に電力の供給力に対するピーク時の需要の割合を示す使用率が今夏最高の95%を記録】 浜岡原発がなくても済んでしまいました。 ▶東電値上げ:標準家庭は9月347円アップ 【東京電力は9月1日から家庭向け電気料金で平均8.46%の値上げを実施する。】 原価総括方式とはいいものです。いくらかかろうと、みんな回せるのですから。経営も、経営努力も、コストも何も考えることはありません。どんぶり勘定です。 ▶原発ゼロ案支持10.3% 日商アンケート 毎日新聞2012年9月1日総合・経済面 日本商工会議所は、政府の2030年におけるエネルギー政策の選択肢について会員企業を対象にアンケートを取ったそうです。そこでは「原発ゼロ案」への支持は10.3%にとどまったと発表したとのこと。 これも、ああそうですか、です。目先のお金儲けしか興味関心がない人たちにアンケートを取っただけでしょうと言い返したいです。パブリックコメントに対して言った野田首相の言葉をそっくり使わせてもらいます。 目先のお金儲けにだけに「関心が高い方が答えられるということで、国民の意見の縮図とは異なる」と。 ▶政府“原発ゼロ”含めて最終調整 【政府は、原発事故を受けてとりまとめを進めている新たなエネルギー政策について、将来原発ゼロを明記することも含め、原発をなくすことを盛り込む方向で最終調整することになりました】 ▶つながる:ソーシャルメディアと記者 取材の裏話も伝えたい=松井豊 この記者、【新聞記事の「分かりやすさ」「簡潔さ」を追求するのは当然だが、紙面からこぼれ落ちる取材の「細事」や「裏話」にも価値があり】といっていますが、その前に「ニュース価値が低いネタはボツ」といっているのですが、3.11福島第一原発以前だったら、そうでしょうねと一言ですが、この間、反・脱原発運動についての毎日新聞も含めてマスコミの扱いを取り上げていうのなら、「ニュース価値が低いネタはボツ」──、つまり、報じるほどのものではないと思っていた?と「嫌味」の一つも言いたくなります。 ▶減税日本:衆院で統一会派「減税日本・平安」を結成 「禁原発」を掲げるそうです。新語がまた一つ増えました。なぜ、脱・反原発といえないのか? そこに原発=原子力問題の暗い根があるのです。だからマフィアが暗躍する世界なのです。 こうしたことを言ったり、するからでしょう、石原都知時事閣下から「名古屋の人は何考えているのかわからんね」などと言われています。 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶福井・美浜原発:ストレステスト、1・2号機も提出 40年超の原発で初 【関西電力は30日、美浜原発1、2号機(福井県美浜町)の安全評価(ストレステスト)1次評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。1号機は70年、2号機は72年7月運転開始で、40年以上経過した原発のストレステスト結果提出は2基が初めて。想定する地震や津波に対する余裕度は、関電の他の原発と同程度だった】 【関電によると、ストレステストでは、老朽化で配管が薄くなったと想定して余裕度を算出した。1号機は、想定する地震の揺れ(750ガル)に対して1・67倍まで、想定する津波の高さに対して4・6倍(11・1メートル)まで、燃料が損傷せずに耐えられると評価した。2号機は同じ想定に対し、地震で1・66倍、津波で4・6倍(同)まで耐えられるという】 ああそうですか、聞かなくても「想定内」のことです。何が出ようと「問題なし」がモットーですから。 ▶志賀原発:1号機の燃料集合体3体で欠損 放射性物質漏れ無し/石川 【北陸電力は29日、志賀原発1号機の使用済み核燃料プール内にある燃料集合体3体で、外側を覆う金属製の筒(縦横14センチ、高さ4・2メートル)の上部にそれぞれ長さ7~12ミリの欠損が見つかったと発表した。放射性物質の漏えいはないという】 【今後、原子炉内にある計1240体について調べ、原子炉への影響がないか、などを確認するという】 燃料棒に傷だか、亀裂だか、わかりませんが、そういうものがあったときはどうなるのかということすらやっていないということです。「フィルターなど付けたら危ないということがわかってしまう」といって、原子炉にベントしたときに放出する放射性物質を捕捉するフィルターさえつけなかった思考と同様です。「安全教」のなせる業です。 ▶柏崎刈羽原発:5~7号機周辺、防潮堤本体完成/新潟 【周辺の地盤は海抜12メートル。高さ15メートルの津波に耐えるため、地盤の上に3メートルの盛土堤を築いた。今後、周辺整備や堤表面の保護の工事を行い、来年3月までに終える予定だ】 ▶福島第1原発事故 東電「賠償難しい」 自主的避難、北茨城市に回答/茨城 【東電側は回答書で、原子力損害賠償紛争審査会の審議内容などを踏まえ「さまざまな要素を総合的に勘案して検討した結果、北茨城市住民の自主的避難などの賠償の対象とするのは大変難しいと判断した」と回答。「原子力発電所から距離が離れており、放射線量も低い」などが理由という】 ▶自民党総裁選:安倍晋三元首相が立候補へ 8日前後に表明 「○○につける薬はない」といいます。「恥の文化」日本ともいいます。こういう人が「美しい日本」などといっているのです。晋三の妻、「脱原発で夫を説得してみます」などとどこかの週刊誌の広告にありましたが、バッチをつけるためには何でもアリというところでしょうか。マヌーバーです。 | ||