原発通信 295号2012/09/13発行
早速やってくれました、伸晃クン。 本通信前号で、石原伸晃には、喋らせれば喋らせるほど墓穴を掘るかもしれませんと書きましたが、もう早速やってくれました。福島第一原発を「サティアン」と呼んだそうです。どう見てもあまり物事を考えるタイプではなさそうなので、古舘氏のように水を差し向けて喋らせればいいのです。これからももっとあるでしょう。報道ステーションに次に出た安倍晋三のほうが、「経験が」あるせいなのか、言質を取られないような喋り方です。喋り方は、伸晃よりは“上”と感じました。 番組でも長老好きの伸晃、上福岡でいじめで自殺した問題が起きたとき、「僕がいじめたわけではない」と発言するような海部と会っているところが流れていました。 原発問題でも、古舘氏に「阿部さんは原発推進ですが……」と向けられ、安倍はむきになって返答をしようとせず、その意味では伸晃よりややっこしいか。TPP問題でも「国益に反するものは認めない」などとはぐらかしていました。 ▶福島原発は「サティアン」=自民・石原氏 【自民党の石原伸晃幹事長は13日のTBSの番組で、東京電力福島第1原発事故による汚染土の処理に関し「福島県郡山市の校庭では、放射能を浴びた土の表面が取り除かれ山のように隅に置いてある。それを運ぶところは福島原発の第1サティアンしかないと思う」と述べた。オウム真理教が猛毒サリンの製造などを行った施設の名称を引用したもので、原発事故で避難を強いられている被災者の心情を逆なでしそうだ】 ▶核燃サイクル維持 「原発ゼロ」矛盾抱え 最終処分、政策なく 再処理工場・原発、飽和状態 【原発ゼロになれば、再処理でプルトニウムなどの新たな核燃料を作る必要はなくなる。そのため、「原発ゼロ」に踏み込もうとする政府の姿勢を、青森県と六ケ所村は「核燃料サイクルの中止につながる」と批判。使用済み核燃料の受け入れ停止や返却の可能性に言及し、「使用済み核燃料をためる所がなくなり、即時原発が使えなくなる」(枝野幸男経済産業相)可能性を政府に突き付けた】 【内閣府原子力委員会が5月に作成した資料によると、原発を再稼働させても、再処理工場から使用済み核燃料が返されれば▽12年度は九州電力玄海原発(佐賀県)▽13年度は日本原子力発電東海第2原発(茨城県)▽⑭年度は東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)、中国電力島根原発(島根県)──が上限を超え、運転停止に追い込まれる。最も長持ちする東北電力東通原発(青森県)でも27年度までだ】 そもそも解決策などないのに原発稼働に突っ走り、すべて、先送りにしてきたツケが確実に回ってくるということです。それは同時に、隠したいこと、いやな事を、地方、それも過疎といわれる地方に、札束でほほを叩くようにして押しつけてきた日本の戦後秩序=成長が問われるということでもあります。 ▶エネ戦略原案:政府「核燃サイクル維持」 原発ゼロも併記 【原案では、「原発に依存しない社会の一日も早い実現」を掲げ、民主党が提言した▽原発の40年運転制限を厳格に適用▽新設・増設は行わない▽原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼働する──の三つの原則を確認。太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入促進などを念頭に「30年代に原発稼働ゼロが可能となるよう、あらゆる政策資源を投入する」とした。 ただ、原発ゼロの実現方法については「不断に見直す」との規定も盛り込み、安全性が確認された原発を当面「重要電源」と位置づけた。経済界などの反発にも配慮したもので、将来の政策変更に余地を残した】 【高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)については、政策転換を図り、放射性廃棄物減量化を目指す研究炉としたうえで成果が確認されれば研究を終了する方針】 ▶記者の目:トルコなどへの原発輸出=花岡洋二 原発を海外に輸出しようとしている日本メーカーと日本政府。トルコでの反原発運動にかかわっている人たちの報告です。そして、最後に記者は次のように締めくくっています。 【疑念を持たれる原発輸出は長い目で見て日本の国益にかなうのだろうか。日本の「脱原発依存」が進めば再生エネルギーの技術力も格段に高まるだろう。ならば、再生エネルギー分野の技術移転を日本の長期の成長戦略の柱に据えるべきではないか】と。 ▶九州電力:原発やらせメール 県議会原特委、広告代理店招致へ 提出文書、矛盾理由に/佐賀 【県議会原子力安全対策等特別委員会は11日、理事会を開き、10月1日の次回会合で広告代理店STSエンタープライズの担当者を参考人招致する方針を決めた。…同社は、九州電力玄海原発へのプルサーマル導入を巡る05年の公開討論会の企画運営を受託。ただし、同社は今月10日に同委に出した文書で、当時は県側の指示で討論会のシナリオ作成には関わらなかったと回答している。…一方、県に残っている、同社に対する業務委託に関する書類では、同社に支払われた代金には台本の作成・印刷代が含まれており、矛盾が生じている。 同委は、県側の指示を誰が出したのか、作成していない台本代を同社はなぜ受け取ったかなどを改めて同社に文書で問うとともに、委員会で説明するよう出席を要請する。…また、3度にわたって出席を拒否している当時の県原子力安全対策室長、近藤正俊氏に改めて参考人として出席を求める】 ▼いま、フクシマは── 福島第一の1号機で放射性クリプトン確認との報、 ▶「事故後1年半・福島1号機の放射性クリプトン」──京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました 小出:クリプトンという放射性物質の中にもいろいろな番号のクリプトンがありまして、今回問題になっているのはクリプトン85というものです。それは半減期が10.7年という、かなり寿命の長い核分裂生成物なのです。それが多分事故の時に、ま、いっぺんに噴出してきてですね、大部分のものはもう大気中に出てしまったのですが、格納容器と呼ばれている容器の中の一部に、まだ溜まったまま残っているものがあるのではないかと思っています。 特に、サプレッションチェンバーと私が呼んでいるドーナツ状の巨大な・・水槽というか、半分まで水が入っているような構造物があるのですが、それの上部のところに溜まってしまっていて、それが時々外に漏れてくるということだろうと私は思います。 ▶住民被ばく量、推計進まず=問診票回収、2割強で頭打ち―関心も低下・福島 【東京電力福島第1原発事故で、福島県が全県民を対象に行っている健康管理調査の外部被ばく線量の推計が難航している。算出された線量は今後数十年にわたる県の健康対策の基礎となるが、約206万人の対象者に送付した問診票の回収率は2割強で頭打ち。事故から1年半を経て住民の関心も低下しており、県は対応に苦慮している】 【推計線量の通知も遅れ気味だ。人員不足に加え、回答内容に不備が多く、電話での確認作業が欠かせない。これまでに通知を終えたのは3万6761人と回答者の7.8%にすぎない。県民全体では1.8%。56人に1人しか被ばく線量を知らない計算になる。…放射線業務従事経験者を除いた一般住民3万4858人の中で、最も線量が高かったのは先行調査地域の25.1ミリシーベルトだが、県は健康に影響するレベルではないとしている。全体の58.0%は1ミリシーベルト未満、97.4%は5ミリシーベルト未満だった】 ▶福島第1原発事故 富岡町議会、復興計画案を否決 線量、国の方針「NO」 【東京電力福島第1原発事故で全域が警戒区域の福島県富岡町で、町議会(定数14)が12日の本会議で、町の復興計画案を反対多数で否決した。住民帰還の目安となる年間被ばく線量を「除染によって1ミリシーベルト以下を目指す」とした町案に対し、複数議員が「1ミリシーベルト以下にならなければ帰町宣言しない」との修正を求めたが、町は応じなかった。町案は国の方針に沿っており、町議会が国に「ノー」を突きつけた形だ】 原発立地県=福井県の八つ当たりと巻き返し 政府の新エネルギー・環境戦略をめぐり大飯原発はじめ多数の原発が立地する福井県、「原発ゼロ」となったら交付金が出なくなるのではないかと必死です。しかし、原発ゼロとなっても原発はなくなるわけではありません。一度動かしてしまった原発、使用済み核燃料の問題等問題は山積です。じゃあ、これでおしまいとならないのが原発問題です。いいか悪いかは別にしてもこれから原発と付き合っていかなければならないのは事実です。ほかに原発というプラントを移動することもできないのですから。 ▶エネ政策「揺らぐな」と福井県知事 政府の新戦略決定けん制 【政府の新エネルギー・環境戦略をめぐり福井県の西川知事は12日の定例記者会見で、関西電力大飯原発の再稼働決定時に「原発は重要な電源」とした野田佳彦首相の発言を挙げ「それを重く受け止めて大飯3、4号機の再稼働を了解した。揺らぐことがあってはいけない。もう一度しっかり思い起こしてもらう必要がある」と述べ、新戦略で将来的な「原発ゼロ」の目標を盛り込む見通しの政府をけん制した】 事実を直視しなければなりません。大飯がなくても大丈夫だったと、先の関西電力の発表を見てもそれは確かなことなのです。原発ありきからどう抜け出すことができるか、まさにその「新戦略」が同時に求められているのは福井県でもあるのです 【高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)については、核燃料サイクル全体の方向性をまず示すべきだとした上で、運転実績がほとんどないことに対して「システム自体に問題があるのか、運用していた組織がどうなのか、両方の検証をしっかりやらないと解決しない」と】、白々しいことを言っています。 ▶大詰めエネ政策見直し 将来の供給明確化が先だ せっぱつまってくると、地が出るものです。原発立地県である福井県、県財政=お金=の問題だと正直です。「将来のエネルギー」だのなんだのと言っていますが、要は原発があることによって降りる交付金だけが問題なのです。そしてそれに付随する「雇用」等の問題が出てくるからです。「将来のエネルギー」など関係ないのです。 しかも、八つ当たり的に「国民にあっさり判断を委ねてしまった」などといっています。いつ、国民の判断を問うなどと政府から聞かれたでしょうか。「意見」は「聞く」とは言われましたが。 【福井県にとっても大きな問題だけに、将来のエネルギー供給の可能性を見極めた大局的な政治判断が強く求められる】 【一定の民主的手続きは踏んでいるように見えるが、どうだろうか。本来、国の根幹をなすエネルギー政策は政府が責任を持って策定し、国民に理解を得ながら進めていくものではないか。国民的議論、検証会合で公平性、透明性を確保するという手続きは、裏を返せば政府自らの決定を先送りしたにすぎない】【しかも国論を二分する難題にもかかわらず国民にあっさり判断を委ねてしまった】 ▶福井県経団連会長が脱原発危機感 座談会のエネルギー政策で指摘 目新しいことを言っているわけではないのですが、福井県経団連川田達男会長がそういっていたということを記録しておきましょう。 ▶再生エネは基幹電源になりうるか 国民負担増必至、覚悟が必要 「地域の視点からエネルギー政策を研究する県立大地域経済研究所の井上武史講師」というのが原発がないと大変だ、電気代も上がると騒いでいるそうです。 ▶政府エネ政策議論めぐる混乱懸念 美浜町長「冷静さ欠き憂慮」 【福井県美浜町の山口治太郎町長は26日、政府が8月にまとめるエネルギー政策について「冷静さを欠く状況の中で議論が重ねられ、大詰めを迎えようとしていることを憂慮する」と懸念】し、 【「安全性が確認されたものから早期に再稼働すべきだ」とし、「高経年化(老朽化)対策の次の対策は、地域の理解の下に最新の安全設計を取り入れた新型炉へと計画的にリプレース(置き換え)していくことが必要」とあらためて強調】 どっちが冷静さを欠いているのかと思いたくなります。この山口町長、再稼働だけでは飽き足らず、新型炉の導入などといっています。原発交付金は麻薬と同じだとよく言われますが、麻薬中毒も相当進行しているといえ、もっともっとと強力な麻薬をせびるようになった薬物中毒患者と同じ様相を示してきています。 ▶東電 自治体に初の損害賠償支払い 【原発事故の損害賠償で福島県鮫川村が請求した、農家に配るために汚染されていない干し草を購入した費用の支払いに、東京電力が応じていたことが分かりました】 【村は、ことし4月から6月真での購入費用3800万円余りについて、東京電力に損害賠償を請求していましたが、交渉の結果、8月29日に東京電力が全額を負担することで合意し、その後支払われていた】 | ||