原発通信 296号2012/09/14発行
自民党総裁選、脱原発を掲げる候補者は皆無。 自民党総裁選が始まったとか。安倍晋三をはじめ、「強い日本」を売りにという連中ばかりです。こういう時代になると、自分では選べないものを他より「優位」なものと見せかけ登場してくるのが常のようです。各自「出陣式」とやらを行ったようですが、伸晃にいたっては、文字通り「神頼み」とのことのようです。 * 一方、「日本維新の会」なる時代がかった連中が大阪の方から名乗りを上げています。なんでも経費はすべて自分持ちだそうです。千万単位でかかるそうですが、例の橋下、「自腹は当然、当選したらそんなもの直ぐに返せる」と。そう、だから、議員センセイになるための「就活」に精を出しているということなのです。そう言っているのですから、議員数削減だの、歳費削減だのとなったら、どうなるかわからないと自ら言っているようなものです。 そうした熱気ムンムンの「維新の会」ですが、毎日新聞9月12日付夕刊に「橋下政治の4年半 壊すことが『改革』?」との記事が掲載されていました。大阪はよくなったのか確かめるため、足を運んだと記者は言います。 橋本は赤字だった府財政を黒字にしたというが、立命館大の森裕之教授に言わせると目立つのはコストカットで、帳簿上の黒字には意味がないと。府税収入は減り、地方交付税や臨時財政対策債に依存する不健全な財政構造は変わっていないと。【「団体や施設への補助金を打ち切ることで自立を促しているのだろうが、住民が集う拠点が資金不足で廃止に追い込まれると、住民同士の絆が断たれるばかりか、社会的なセーフティーネットまで一緒に壊されかねない。たとえば橋下市長の労働組合への過度のバッシングも同じ。組合が弱体化すれば、セーフティーネットとしての機能を果たせなくなる」】とも。 * また、教育現場にも混乱が生じているといいます。大阪大の志水宏吉教授の言です。 【今年度の府立学校採用試験では辞退者が合格者の13%以上と過去5年間で最高に。就職難の今、これほどの人材流出は異様な事態】とも。 【「大阪維新の会」は先日、道頓堀に1キロのプールを作る▽大阪城に巨大太鼓橋を建設──などの「大阪10大名物創り」を発表した】そうです。 【長年大阪を見つめてきた宮本憲一・大阪市立大名誉教授(都市経済論)は「大阪都構想は、行政の枠組みをどうするかという制度論。制度論の前に、どんな都市をデザインするかが本来の首長の仕事だ。それなのにこんな計画しか出てこないとは」と嘆く】 そして、「痛みが露呈しないうちは橋下人気が続く」のではないかと記者。そう、小泉劇場に拍手喝采し、幕が下りた後、残されたものは…。またしてもその再演になるのでしょうか。 * もう一つ、自分の儲けしか頭にないという典型がアメリカの炭酸飲料をめぐる話です。今朝のTVで見たのですが、アメリカのコーラの紙コップの大きさ尋常ではありません。日本のLサイズが、向こうではSサイズ。LLというのがあるそうですが、なんと1.5L もあるそうです。肥満の原因で医療費の増大を招いていると規制することになったそうですが、業界は反対しているとのことです。この構造も原発と似ています。というより、原発が資本の運動の行きつく先という気がしないでもありません。以前に本通信に書きましたが、「自らの墓掘り人」ということなのでしょうか。 どうでもいいといえばそうなんですが、あんなに肥満が増えたら、世界に冠たるアメリカ軍、機能するようになるのでしょうか。そう、肥満の警官が増えてテロリストと戦えなくなるからと減量しろとタガハメに躍起になっている某国もありましたが。 ▶橋下政治の4年半 コストカット、競争主義…壊すことが「改革」? http://mainichi.jp/feature/news/20120912dde012010007000c.html ▶“維新”との距離感争点?自民総裁選告示で5人乱立 http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20120914-00000018-ann-pol ▶特大炭酸飲料に販売規制=米国初、来年3月から―NY市 時事通信 9月14日(金)5時48分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120914-00000018-jij-int 「原発ゼロ方針」の波紋 ▶原発ゼロ方針:福井知事が批判 副経産相に「再考を」 【西川知事は「高速増殖炉の研究をやめるのか、やめないのか、はっきりすべきだ。矛盾したいろいろな問題をそのまま提示されては、極めて迷惑千万だ。受け入れがたい状況にある」と不快感を表明した。 西川知事は、原発ゼロ目標について、国民への情報開示が不十分と強調、「もう一度考える局面だ」と訴えた。原発の廃炉の難しさも指摘、「即撤去し、更地に戻してもらうことが基本になる。使用済み核燃料の引き取り先の確保など、政府に対応できる見通しがあるのか」と語った】 西川知事、原発のジレンマよくご存じでと。で、原発を推進し、大飯も再稼働を認めたと? ▶この程度の議論で将来に責任負えない…福井知事 【政府のエネルギー政策について「電気料金が上がる影響などを国民に説明すべきだ。この程度の議論では将来の日本に責任を負えない」と批判した。また高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉方針についても「到底受け入れられない」と反対姿勢を示した】 と言ったそうですが、そっくりそのままお返ししたい。大飯再稼働に際してどの程度議論したのかと聞きたい。国民の多くは、電気を安く使うなどということより、「いのち」の方を選択したのです。この記事だけではわかりませんが、「将来の日本に責任を負えない」とは、誰が負えないのでしょうか。他のところを見てもそう表現しているところは見つからないのですが。読売特有の誘導記事か? ▶エネルギー・環境戦略:原発ゼロ方針 欧米、相次ぎ懸念 使用済み核燃料対応で 「政府が近く決定する新たなエネルギー・環境戦略に原発稼働ゼロを盛り込む方針に対し、欧米各国が相次いで懸念を伝えている」そうです。 フランス:【詳細な会談内容は不明だが、マセ大使は政府の「原発ゼロ」方針に懸念。マセ大使は記者団に「日本の決定に絶大な信頼を置いている」と】体のいい恫喝です。 米国:【原発ゼロ方針に重大な関心を寄せている。原発ゼロの方向が明確になれば早晩、核燃サイクル政策の放棄につながりかねないというのが専門家の見方。そうなれば使用済み核燃料に含まれるプルトニウムが行き場を失い、平和目的を前提に保有を認める日米原子力協定の見直し問題が浮上しかねないと】 そして、【新方針に米国の理解が得られなければ軌道修正を余儀なくされる事態も想定される】と、どこまで行っても「米国の核の傘の下」です。これは原発というものに手をつけてしまったものの「宿命」だということです。 ▶エネルギー・環境戦略:原発ゼロ方針 経団連が不快感 経団連の米倉弘昌会長は、「とてもじゃないが了承しかねる」だそうです。失礼ながら、米倉さんに残されている時間ははっきり言って今の子どもたちより圧倒的に少ない。もしも野田のように「私の責任で」などといっても、なんら根拠なし。そもそも原発問題、理解しているとはお見受けできないです。カネの回り方についてはキャリアはおありのようですが。 ▶東日本大震災:放射性廃棄物、群馬県が処分場分散方針を撤回 【群馬県は13日、候補地を1カ所にする方針を決めた。14日に環境省に報告する。県はこれまで、指定廃棄物を保管する6市村ごとの設置を検討してきたが、「国の責任で処理すべきだ」「他の自治体に持っていってほしい」などと反発が相次ぎ、方針を撤回した】 きっと、ぼんやり考えていたのでしょう。いざ、決めてしまおうと思ったとき、現実に目が覚めたというところでしょうか。 ▶セシウム:信濃川河口で検出 豪雨で流入か 【東京電力福島第1原発事故で放出されたとみられる放射性セシウムが、文部科学省の航空機による上空からのモニタリング調査で汚染が認められなかった信濃川河口付近(新潟県長岡市)の海底土からも比較的高い濃度で検出されたことが13日、分かった】 道理というものです。まさに物理学(なんて難しいことでもなく)の基本通り、高いところから低いところに移動するという原理通りにセシウムも動いたということです。 ▶山口市:坂本さんの言動「配慮いただく」 抗議30件 【山口市の山口情報芸術センター開館10周年記念事業でアーティスティックディレクターを務める音楽家、坂本龍一さん(60)について、同市側が政治的な言動について配慮を求めるような市議会答弁をし、13日に抗議約30件が市に寄せられた】 【発端は12日の市議会一般質問。脱原発運動や知事選で特定候補を推すなどした坂本さんについて氏永東光市議が「政治的な言動を慎んでもらいたい」などと述べた。これに対し、市側の伊藤和貴・総合政策部長は「個人の思想、言論の自由は守られるべきだ」と前置きしたうえで「(坂本氏の)発言や活動の影響力は大きい。開館10周年記念事業が高い評価を得られるよう十分配慮いただくよう伝えたい」などと応じた】 【この「配慮いただくよう伝えたい」との部分がネットなどで広がり、市外からを中心に「思想や言論を制限するのはおかしい」とする抗議】が寄せられているということです。当然です。この場面での「配慮いただく」は、それ以外にないということは常識です。ですが、足をすくわれないように使う文言でもあることも事実。 ▶伊方原発:四国電力、周辺地域の訪問対話活動を始める 津波対策など説明/愛媛 きっと「いや、あの時はお世話させていただきました」などと、「補助金」などでシャブ漬けならぬカネまみれにさせておいたことを持ち出し、暗に(いやはっきりか)我々に賛成しなければもう出しませんよなどとやっているに違いありません。 【訪問活動は伊方原発から半径20キロ圏内の2万9000世帯が対象。四電は1日当たり28組・56人体制で、延べ約1500人が約1カ月かけて訪問】 ▶原発事故18カ月:前大熊町長、町民からの電話に涙 【「あんな巨大プロジェクトを小さな町で誘致できるわけない」と多くを語らない。……原発で町財政は潤った。中学生までの医療費無料、小学校入学時に1人5万円の支度金──などが実現した】 多くを語らないところに原発の闇があるということです。そのところが明らかにならない限り、原発・原子力マフィアの息の根を止めることはできないでしょう。例えば西武グループの親分、堤康次郎が暗躍し、塩田を東電に売却しぼろもうけしたといいます。まさに「国土計画」です。 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 原子力レスキュー部隊:県が整備検討準備会/福井 【東京電力福島第1原発事故を受け、電気事業連合会(電事連)が15年度中の設置を決めた「原子力緊急事態支援組織」(原子力レスキュー部隊)】 【同組織を設置して遠隔操作が可能なロボットなどの資機材を集中管理し、現場の偵察やがれきの撤去などを行って、事業者を支援すると決定】 とはいっても肝心のロボット自体が開発途中ですから、その間に起きてしまえば……、です。 半月ぶりに「正常」=福島原発の注水量低下―東電 【東京電力は13日、福島第1原発1~3号機原子炉で冷却水の注水量が一時減少した問題について、半月ぶりに原子炉施設保安規定を満たす正常な状態になったと発表した。現在は流量が安定しており、問題は確認されていないとしている。 | ||