原発通信 300号2012/09/20発行
10月、11月に大行動が提起されています。参加していきましょう! ▶10.13さようなら原発集会(仮称) 日時:10月13日(土)13:30~14:30 http://sayonara-nukes.org/2012/09/121013/ ▶11.11反原発1000000人大占拠 日時:11月11日(日)午後 会場:東京・日比谷公園集合 主催:首都圏反原発連合 (詳細等、後日お知らせします) 本号で300号になりました。 本通信を出し始めてから1年と3カ月、いまだ、福島第一原発の状況は「収束」していません。 「直ちに影響はない」「原子炉は爆発しません」などとウソばっかり振りまいていた原子力安全・保安院、原子力安全委員会はなくなり、原子力規制庁が暫定発足しました。 一方、この6月末あたりから、脱・反原発社会への希求が大きなうねりとなって政治状況を揺るがすまでになってきています。しかし、油断することはできません。運動にはいくつかの結節点があるものです。その時、何を獲得するのか、以後の展望まで含めての議論をしないわけにはいきません。その議論をするうえでのツール(情報提供)に本通信がなれればと思っています。 これは、もう「科学の話」でも「エネルギーの話」でもありません。 原子力ムラの言い分──あれやこれや言っていますが、これは、もう科学の領域の話でも、エネルギー選択の話でもないのです。そこを理解したほうがよさそうです。彼らは電力が不足すること、人工呼吸器をつけている患者のこと、中小企業のこと、失業中の人のことなどを心配している、わけでは一切ないということです。その証拠に、大飯原発を再稼働させる際、関西電力が「電気が足らないから再稼働するわけではない」とはっきり言ったではないですか。 彼らは単に自尊心を傷つけられただけです。「今まであなたがやってきたことは人類に対する罪」ということになり、「俺の人生、なんだったのだ」という問いかけになってしまったわけです。時代の先端をいく科学技術などとおだてられ、思い込んできた連中です。プライドは想像以上に高いのでしょう。なおさらです。 繰り返しますが、科学の難しい「高度な話」でも、エネルギーの問題でもないのです。小出裕章氏は言っています。「電力が不足しようがしまいが、実質国内総生産が下がろうと下がるまいと、そんなことは一切関係なく原発は即時廃絶するべきもの」「『たかが電力』のために多くの人々の命を差し出すわけにはいかない」(『この国は原発事故から何を学んだのか』)のです。そのことに気づいたからこそ、多くの人々が、毎週、誰に指示されたわけでもなく自らの意思で首相官邸前に集まり、抗議の声を挙げているのです。 人は誰しも、自分の「労働」が価値なきものと思ったら、耐えられなくなるでしょう。しかも、フツー以上にプライドが高い(裏を返せば他者と差別化し、自分が優位だと思い込みたい)連中でしょうから。 だからこそ、向こうも今ここで踏ん張らないと「俺たちに明日はない」と、暗闘しているのです。 しかし、野田首相、原子力ムラから「ゼロから後退」と歓迎されるようでは、もはや信頼を「復活」させるなどということは望むべくもないでしょう。 「俺たちに明日はない」原子力ムラと民主党、「俺たちに明日は来る」と思っている自民党。 自民党4人組、これこそまさに選挙目当ての「反省」です。 その自民党ですが、最近のパフォーマンスまさに「選挙目当て」としか言いようがありません。 安倍は「首相経験者として申し訳ない」と陳謝するときも元首相と付け加えること忘れません。そのぶん責任増えるのだが。石破も「いくら反省しても足りない」と。石原も「責任は私どもにある」といいますが、あくまで、福島の人たちにだけであり、それも避難を余儀なくされた人にだけというセコさです。林にいたっては「安全神話に偏って、必要な備えを怠っていた」と反省なのか、言い訳なのか。いずれにしても、「原発は悪くありません。悪いのは地震と津波です」(ん? どこかで聞いたフレーズです)とばかりは言えない状況になってきたという証拠でしょう。 毎日新聞 2012年09月20日 大阪朝刊 原子力規制委の実態 ▶原子力規制委:原発再稼働、新基準策定まで不可能…初会合 【原発の再稼働について、田中俊一委員長は記者会見で「(再稼働を判断する)現在の暫定基準の見直しが終わるまでゴーサインを出すのは無理」と述べた。新たな基準の策定は10カ月程度かかるとみられ、年度内の再稼働は困難な見通しとなった】 【大飯原発に対する政府の姿勢を、田中委員長は「夏の電力需給などを考えた政治的な判断。防災対応もできておらず、基準には抜けがある」と批判的な姿勢を示した】 【また、原発の運転期間を原則40年までとするルールにさらに20年の延長を認めるかについて、田中委員長は「相当困難」と強調。ただし、40年以上が経過した関電美浜原発1、2号機と日本原子力発電敦賀原発1号機を廃炉にすべきかを問われると「予断をもって言えない」と明言を避けた】 【建設中の原発について、建設自体は止めないが、新たな基準に適合しているかをみる「バックフィット制度」を導入。他原発を含め不適合なら運転を停止させる方針だ】 ▶原子力規制委:「ムラ」批判に反発…田中委員長 田中俊一(67):福島市出身。1967年、東北大工学部原子核工学科を卒業 日本原子力研究所(旧原研、現日本原子力研究開発機構)に。 以後、原子力畑を歩み、同副理事長のほか、内閣府原子力委員会委員長代理などを歴任 99年に発生したJCO臨界事故(茨城県東海村)では、旧原研東海研究所副所長として収束作業に従事。 「原発ゼロ」にはノーコメント 細野豪志・原発事故担当相は、「高く評価している」とのこと。 地元・福島県では「除染が中途半端で線量が下がらない地域もあり、地元を混乱させた」(飯舘村住民)と。 反原発団体は「日本原子力研究開発機構は高速増殖原型炉もんじゅを運営しており、原子力ムラの中心人物だ」と辞任を求める ▶原子力規制委:解説…独立性確保が要 田中俊一:建設中の原発について工事中断を求めないと。 【最新基準への適合を運転認可の要件とする意向を表明し「事業者の判断だが、(基準ができるのを)待った方が無駄がない」と】 更田(ふけた)豊志委員:「政治的、経済的な要件は一切斟酌しない」と強調 ▶日本原子力学会:野村会長、「原発ゼロ」後退を歓迎 野村茂雄会長:日本原子力研究開発機構理事、今年6月、同学会会長に就任 【政府の閣議決定から「原発ゼロ」の文言が消えたことについて「実現性が低い目標を定めて将来の選択肢を狭めるべきではない」と、その骨抜きぶりを歓迎】 【政府が14日に公表した革新的エネルギー・環境戦略について「核燃料サイクルの継続や、将来の原発比率を不断に見直すことをうたっている点は評価できる」と述べる一方、「原発ゼロ」目標に対しては「再生可能エネルギーを過大評価しており、達成可能か疑問だ。原子力研究を担う人材確保も難しくなる」と批判】 「その骨抜きぶりを歓迎」とは、毎日新聞、よく書いたものです。 しかし、安全なものなら、なぜ、「バランスよく」などというのか。やはりフクシマを見てしまったからで、「安全」ではなく「危険極まりない」ものだが…とでも、初めに言うべきです。しかし、時代の先端を行く研究だのと思い込んでやってきたわけで、今、ここで、「あなたのやってきたことは人類に対する罪です」との烙印を押されたわけですから、自尊心が傷つけられたと反発するのでしょう。これは、もう科学の領域の話ではないのです。そこを理解した方がよさそうです。 ブレブレの野田政権・民主党 なにをやっているのか勢いも「覚悟」も感じられない民主党代表選。野田の再選と報じられていますが、いかほどか。それにしても、「2030年までにゼロ」(パブリックコメントの設問)といってみたり、いつの間にか「2030年代」になって、建設中のものはOKだといってみたり、「俺のせいじゃない」「原発も、尖閣も、自民党時代からだと」と急に叫びだしたりと忙しいです。まだまだ椅子に座っていられると思うから、あっちにいい顔、こっちにいい顔となるから、ぶれるのです。 ▶野田首相:「廃炉前倒しも」…建設中の大間、島根原発 【19日夜のテレビ朝日の番組で、建設中のJパワー(電源開発)大間原発(青森県大間町)が稼働した場合、40年廃炉ルールを適用しても50年代まで稼働できることについて「代替エネルギーの状況によって前倒しで(廃炉に)していくことはある」との認識を示した】 ▶野田首相:強気の自公批判 【「財政がこういう状況になったのはだれの政権だったのか。自公政権からだ」と自民、公明両党を強く批判】 【原発政策についても「180度変えなければならない。過去の原子力行政を進めてきた政権はだれだったのか」と指摘】 【尖閣諸島の国有化をめぐっても「領土・領海に無作為で来た政権はだれだったのか。今ごろになって景気のいいことを言うのは大間違い」と】 まったく正しい(財政については自公政権からではなく、自民党政権時代からですが)。そう、民主党が政権を取ってからまだ3年、財政赤字も社会保険の問題も、少子化も、尖閣も、竹島も、そして、何より原発も3年以上前からあった問題です。自民党の総裁選びでも街頭で、ヤジが飛んだそうです。「あんたらのせいだろう」と。 しかし、ならば、なぜもっと批判をきちんとし、自民党との「差別化」をしなかったのか。今ごろ言っても…、と誰しもが思っていることでしょう。 ▶エネ戦略閣議決定せず 原発ゼロに黄信号 「原発ゼロが後退した」との見方が広がり、喜んでいるのは、カネのことしか頭にない財界人です。「原発ゼロ」、再生エネルギー等に関して、「実現性に乏しい」などといっているそうですが、そっくりノシをつけて返したい。 「核の最終処分はどうするのですか」と。これに対して「現実性」をもった施策を提起してもらいたいものです。 ▶社説:原発ゼロ政策 政権の覚悟がみえない そう、「覚悟」がないのです。昨今、この「覚悟」という単語、例のお笑いタレント知事が「俺様を総裁、総理にするのか」と詰め寄った際に使われ、色あせてしまいましたが、今、覚悟を決めてやらなければならないのです。 ▶自民総裁選:5候補徹底比較…政権の枠組み 自分たちが散々いい加減にやってきたことには頬被り、みんな民主党が悪いのだと5人揃って大合唱。しかし、思うのです、一般市民に投票権もないのに、なぜ街頭で総裁選の演説…、民主党もですが。 ▶東日本大震災:がれき焼却開始──福島・いわき 【福島県いわき市は19日、仮置き場に山積みになっている災害廃棄物(がれき)のうち、可燃物の焼却処理と不燃物の埋め立て処分を始めた。津波被害を受けた福島県の沿岸自治体では計約207万トンのがれきが発生したが、本格的処理の開始は、いわき市が初め】 ▶宗教界の脱原発宣言 実現向け問われる「熱情」 事実、僧侶と門徒に温度差があるのは当然でしょう。しかし、僧侶として、門徒に何を発信しなければならないかということなのです。原発となると、「いろいろな考えがある」とやけに「ものわかりがよく」なってしまいます。しかし、問われているのは「熱情」なのでしょうか。脱・反原発社会へ実現への「熱情」は必要でしょう。が、この書き方、原発立地県としての見方として、揶揄しているような表現だと感じてしまうのは、私だけ…。 | ||