原発通信 309号2012/10/02発行
「10.13さようなら原発集会 in 日比谷」詳細はこちら 枝野経産相「2030年代に原発ゼロにすると決めたわけではない」 野田内閣改造で、動いたここ数日間です。原発問題についての報道は、大間原発工事再開と原子力委員会が「原子力政策大綱」策定を中止したということがあるくらい。地方版を見ると、各原発立地自治体、予定自治体では動きがみられるのですが、全国版に掲載されることはないようです。地方版だからたいしたことない記事かというとトンデモナイ、原発マフィアの「再稼働」が着々と準備されていることがわかります。 枝野経産相は、「2030年代に原発ゼロにすると決めたわけではなく、原発ゼロを“可能とするよう”あらゆる政策手段を投入することだ」と発言。いったいこの夏の話はなんだったのでしょう。こういうことを「めちゃくちゃ」というのです。まるで「子どもの喧嘩」です。 オスプレイがとうとう沖縄に配備されてしまいました。安全を証明するために「試乗」したり、事故原因は「人為ミス」だったと言っていますが、それがどうして安全という結論になるのかさっぱり理解できません。「人為ミス」でない事故であったら、そのもの(機械であったりシステムであったり)がペケというものです。 オスプレイ墜落事故はヘリコプターモードから飛行機モードに変わるときの操縦ミスによって起きた、ということで幕を引こうとしているのでしょうが、まさにこの軍用機の売りであるところで起きていることが大問題です。 「安全だと言っているから安全」と、ここでもアンゼン教が顔を出します。いったいこの国は、国民の命をどう思っているのでしょう。 似たような話ですが、原子力規制委員会の田中俊一委員長が、今日の毎日新聞に原発の「不完全性」について語っています(電子版にアップされていないようなのです)。明日、紹介したいと思います。 ▶<原子力委>原子力大綱を廃止 エネ環会議に移管 【内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)は2日、国の原子力政策の基本方針となる「原子力政策大綱」を策定しない方針を決めた】 「勉強会」と称した秘密会議が暴露され、「うまく丸め込むよ」と請け負った近藤委員長でしたが、この6月以降の脱原発という国民の声を無視できなくなってしまったということでしょう。最後は、「俺、しらね」ですか。 ▶原発稼働ゼロ“実現に向け努力” 【枝野経済産業大臣は2日の閣議のあとの記者会見で、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう取り組むなどとした政府の新しいエネルギー政策について、実現は難しいと述べる一方、国民の協力も得ながら実現に向けて努力していく考えを改めて強調しました。 この中で枝野経済産業大臣は、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう取り組むなどとした新しいエネルギー政策について、「私も難しいということは一貫して言っている。しっかりとした目標を掲げ、難しいという前提を置いて最大限、やっていく」】 【枝野大臣は、「使用済み核燃料の最終処分地を決めずに原発を使ってきたこれまでの原発政策に矛盾がある。その矛盾を解決するスタートラインに立っている」と述べました】 ▶大間原発“事業者が地元理解を” 【枝野経済産業大臣は、青森県の大間原子力発電所の建設工事の再開に対し、周辺の自治体から反対の意見が出ていることについて、事業者の「電源開発」が主体となって工事再開への理解を得ていくべきだという考えを示しました】 【また、枝野大臣は、大間原発の建設再開が新しいエネルギー政策に矛盾するのではないかという質問に対して、「新しいエネルギー政策は、2030年代に原発ゼロにすると決めたわけではなく、原発ゼロを“可能とするよう”あらゆる政策資源を投入するものだ」と述べ、矛盾はないという】 地方版記事にみる原子力マフィアの暗躍 ▶原子力安全協定:今月中旬に協議再開へ 知事、関電側と“確約”/滋賀 【嘉田由紀子知事は1日、関西電力など原発3事業者との原子力安全協定について、今月中旬に協議が再開される見通しを明らかにした】 ▶九州電力:原発やらせメール 県議会原子力安全特別委が質疑、具体的答弁得られず 副知事に再調査を要請/佐賀 都合の悪いことは「覚えていない」「記憶にない」というのは常套句です。「知らない」「やっていない」とはけっして言わないのです。後で、「事実」が判明したときのことを考え、「今は、記憶にない(覚えていない)」と言っておこうという話です。 【県議会の原子力安全対策等特別委員会は1日、九州電力玄海原発(玄海町)へのプルサーマル導入に伴う05年の県主催公開討論会を巡る問題で、県の内部調査を担当した牟田香副知事や当時の県担当者らと質疑した。しかし質問に答えられない場面も多く、牟田副知事は必要に応じて疑問点を調査する考えを示した】 【作成代金の支払いについて、牟田副知事は「県の内部調査は県と九電の関わりを整理するのが目的で、代金の支払いなどは対象外」と答弁。「いつ誰が指示したのか」との追及にも、補助員として出席した当時の担当職員3人は、今村盛史・県原子力安全対策課長を通じて「覚えていない」と弁明した】 ▶九州電力:原発やらせメール 県議会原子力安全特別委が質疑 主なやり取り/佐賀 その時の質疑が、これだそうです。 ▶玄海原発:九電の原発安全協定対応、伊万里市長が批判 福島の事故前と姿勢変わらず/佐賀 【市長によると、古川康知事と県市長会との会合が8月27日にあり、県側は「立地県として協定を締結したもので、各市町が個別に協定を締結するのは構わない」と表明した】 【しかし、九電の鎮西正直副社長は初協議で「県が代表して協定を結んでいる。すべての自治体に事前了解があるのは現実的ではない」と、伊万里市の要望を拒否したという】 【塚部市長は「九電は県の意向を確認しているのか」と批判。「福島原発の事故後、国や県は原発からの距離を基準に防災対策を見直したが、九電は相変わらず立地自治体かどうかで線引きしている」と失望感をあらわにした】 まあ、せっかく立地自治体をカネでたぶらかしてここまで来たのに、それ以上増えたら面倒なことになると思って、30キロ圏に拡大されても知らん顔を決め込んでいるということです。 ▶上関原発建設計画:市民団体、中電本社へ計画中止申し入れ 水面埋め立て免許の失効前に/山口 【中国電力上関原発(上関町)の建設計画に反対する市民団体のメンバーらが1日、中電本社(広島市)を訪れ、計画中止を改めて申し入れた。建設に必要な予定地の公有水面埋め立て免許は7日午前0時に失効するが、免許の延長申請をしないよう求めた。同社広報部門の松岡良典マネージャー(地域共生担当)は「6日までに答えを示す」と話した】 ▶幌延深地層研究センター:詳細示さず決算初公表 住民団体は反発──昨年度分/北海道 たぶん、3.11がなければ、なし崩し的に「最終処分場」にするつもりだったのでしょう。 幌延の話が出るたびに思い出すのが、本通信173号で紹介した「ここには仕事という仕事はない。それで(処分場)お金が入るのならもらって、死ぬ前にいい生活がしたい」という年配女性の言葉です。この発言をただ批判しても何も生まれません。この問題の解決こそが、原発立地自治体が交付金漬けから脱却できるかどうかという根本問題でもあるのですから。 【日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センター(幌延町)が、昨年度の決算額をホームページで公表した。これまで一切公表しておらず、昨年度の総額約33億9000万円については内訳を大まかにしか示しておらず】 【公表されたのは、幌延深地層研究計画関係費31億9000万円と総務関係費2億円。同計画関係の内訳として▽建設費28億1000万円▽研究費1億8000万円▽センター運営費2億円、総務関係の内訳として▽広報活動関係4000万円▽管理費・固定資産税など1億6000万円──とした。また、これらとは別の関連経費としてセンター職員などの人件費4億円が支出され、東京電力福島第1原発事故の対応関連経費などとして国や独立行政法人からの委託を受けて1億1000万円を支出。昨年度の予算は約36億1000万円だったとしている】 ▶3割超「柏は特に高い」 放射線量・首都圏在住者アンケ ホットスポット不安根強く 【回答者の3割超が柏市を「空間放射線量が特に高い地域」と答える一方、ホットスポットは「住むにはためらう地域」と答えた人が69・8%に上るなど、ホットスポットへの不安が根強く残っていることが分かった】 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶福島第1原発:2号機圧力容器の温度計、1台だけに 【東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は1日の記者会見で「圧力容器周辺にある温度計で傾向は把握できており、底部の温度計がゼロになっても問題ない」と】 まさに、何が起きても答えは「No problem!」──その典型です。 | ||