原発通信 311号2012/10/04発行
![]() 「10.13さようなら原発集会 in 日比谷」詳細はこちら 「若旦那、あれがいい、これがいいという生き方はどこにもありません。やるときはひと思いにやるものでございます」 原発再稼働や着工済み原発工事再開などをめぐる泥仕合。貧乏くじは引きたくないとばかり、「いや、規制庁だ」「いや政治判断だ」「お前先に引け」「いや、お前が先だ」と言い合っているのと同じです。何度も書きますが、やはり、原発、何かあったら自分たちの手に負えないということを「よく知っているから」こそ、お鉢の回しあいをしているのでしょう。「国民の生活を守る」だのと大風呂敷を広げていますが、とても腹を据えて言っているようには思えません。本音が見え隠れしています。 尾崎士郎の自伝的小説『人生劇場』の青春篇だったか残侠篇のなかで、吉良常が青成瓢吉にこう言う場面があります。 「若旦那、あれがいい、これがいいという生き方はどこにもありません。やるときはひと思いにやるものでございます」 そう、やると決心したらひと思いにやる時が迫られ、必要な時があるのです。それがトップに立つ者の責任だと思います。今回の原発をめぐっては、「2030年代までにゼロにする」だの、「いやそれは目標だ」の、「判断するのは俺じゃない。向こうだ」などと見苦しいことは言わず、脱原発がいいと決めたら、「原発はすべて止める。今後計画中ものも停止、中止する。原発からの勇気ある撤退。それがフクシマを経験した者の責務だ」と。 そのくらいの決意を示していただきたいものです。野田首相も早稲田大学出身です。 「筋の通らぬことばかり」と嘆き、「右を向いても左を見ても 馬鹿と阿呆の絡み合い」と歌ったのは、鶴田浩二でした。今日の通信で紹介する毎日新聞社説にも「筋」「覚悟」が出てきます。問題は、「説教する人」も周りにいなくなっているという現実です。時代なのでしょうか。 ▶原発再稼働:規制委「判断せず」…長官、政府主導に消極的 【藤村修官房長官は3日の記者会見で、原発再稼働を最終判断する主体について「(再稼働に)地元の理解を得るのは当然、電力事業者が行う。政府の方針は必要に応じ、立地自治体などに政府が説明する」と述べ、政府が個々の再稼働の判断を主導することに消極的な考えを示した】 ▶社説:大間原発 「原発ゼロ」と矛盾する 【政府はエネルギー・環境戦略で、「30年代に原発ゼロ」の目標を掲げている。「原発の運転期間を40年とする」「原発の新増設はしない」との原則も表明している】 【大間原発をこの原則に従って動かせば、30年代に原発をゼロにすることはできず、明らかな矛盾だ。着工済みの大間原発は「新増設」に当たらないとの見方も、詭弁(きべん)にしか聞こえない】 【Jパワーは民間会社であり、政府が着工を止める難しさはあるだろう。しかし、原発の現状は国策の上に築かれてきたものだ。原発事故を受け新たな原発政策を掲げた以上、政府にはゆるがない一本の筋を通してもらいたい】 【原発政策をめぐる矛盾は、これにとどまらない。原発ゼロをめざすにもかかわらず、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して燃やす「核燃料サイクル」を当面続けるという方針もそうだ】 【野田首相は「政治が介入すると規制委の独立性を損なう」との見解を示しているが、政治介入してはならないのは科学的な安全性の判断である。再稼働を認めるか否かは、安全性の判断を元に、国のエネルギー政策を踏まえ、政府が責任を持って決めるべきことだ】 ▶社説:原子力委員会 推進組織は役割終えた 【原子力を、エネルギー政策全体の中でどう位置づけるかを検討する上でも、原子力の推進に特化した機関を存続させておくこと自体がおかしい。エネ環戦略は、廃止・改編も含めて原子力委のあり方を根本的に見直すことも打ち出したが、速やかに廃止するのが筋だ】 【脱原発依存とは明らかに食い違いがある。整合性をどう取るのか、政府の覚悟が問われよう】 ▶クローズアップ2012:原発防災指針、対象135市町村 再稼働、高まるハードル 【原子力規制委員会が3日公表した新しい原子力災害対策指針は、「原発事故は起こりうる」(委員)との基本方針の下、防災対象自治体を21道府県135市町村(現在15道府県45市町村)へ大幅に拡大したのが特徴だ。原発再稼働には周辺自治体の理解を得ることが前提で、電力会社にとって、新指針は早期再稼働へのハードルをさらに高めることになる。一方、対象拡大の結果、原子力防災とはこれまで無縁だった地域も住民避難対策などを進める必要が浮上し、戸惑う自治体もある】 ▶内部告発の受け皿機関もムラ人事のまま 原子力規制委員会 【「原子力施設安全情報申告調査委員会」。長い名称だが、原子力関連での内部告発の受け皿機関だ。有識者会議だが、委員には“原子力ムラ”の住人らが名を連ねる。この組織は、新設された原子力規制委員会の管轄下に入る。だが、委員の変更は当面ないという。看板を掛け替えても、中身は福島原発事故以前と同じなのか。規制行政の先行きを案じさせる】 安倍の「深刻に反省」は選挙向けパフォーマンス これこそ、選挙向けのパフォーマンスでしょ。「深刻に反省」してどうするんでしょうか。そこまで踏み込んでいってもらう必要があります。「リーダーシップ」を発揮して、元の土建屋政治に逆戻り? 60年間の反省をきっちりしてからでしょう。人の頭のハエを追う前にまず、自らです。 ▶福島第1原発を視察=「事故収束とは言えない」―自民・安倍総裁 【安倍氏はこの後、楢葉町にある原発事故対応の拠点地であるスポーツ施設「Jヴィレッジ」で記者団に、「1号機から4号機まで視察し、深刻な状況であることを感じた。政府は(原発事故の)収束宣言をしたが、とても収束したとは言えない状況だ」と】 ▶安倍自民総裁「原発安全神話、深刻に反省」 【安倍氏は「私自身首相だったこともあり、自民党として、原発を安全神話に立って推進してきたことを誠に深刻に反省しなければならない」と陳謝】 ▶<安倍総裁>福島原発を視察 【「復興のスピードが遅すぎる。政治の真のリーダーシップが必要だ」と政権奪還への意欲も強調】 ▶10月にも福島に研究拠点 抗がん剤開発 【東京電力福島第1原発事故を受け、福島県と福島医大が取り組む創薬研究事業の全容が29日、明らかになった。複数の薬品メーカーと連携し、研究費用を抑えて抗がん剤の新薬を開発する。10月中にも福島市中心部に暫定的な研究拠点を設け、遺伝子解析などの専門家ら約40人を常駐させる。研究で得た基礎データを薬品メーカーに提供し、新薬開発を加速させて、関連企業の集積と雇用創出を目指す】 何か恣意的なものを感じます。これでは福島の人たちが「私たちはモルモットと同じだ」と憤る通りです。しかも「雇用創出を目指す」という、取ってつけたような文言。福島には基礎研究、薬剤研究に詳しい方が「大勢いる」とのことなのでしょうか。そんな場当たり的な言葉にだまされてはいけません。そしてあの山下俊一がいるということも忘れてはなりません。 ▶福島県の「秘密会議」と出席した人たちの犯罪性 ちょっとエキセントリックな武田邦彦ですが、原発問題についてはよく言っています。 ▶(自民党)党本部へのデモ 河野太郎ブログ ごまめの歯ぎしり2012年10月03日 05:41 その時間、自民党本部には人はいないそうです。河野太郎さん、各自、地元選出の各議員事務所で直接声を届けてと言っています。 【昨日、2012年10月2日、午後6時から8時まで、自民党本部前で脱原発デモが行われました。ところがあいにくと国会は閉会中、午後6時には議員はほとんどおらず、脱原発派の私一人が党本部に残っている状態でした。7時45分ごろ、勉強会が終了したので、デモ隊にご挨拶にいきました。デモは連帯感を盛り上げるのには役立つかもしれませんが、あの時間帯では議員はおりません。ぜひ、それぞれのみなさんが、地元で、地元選出議員の地元事務所にお出かけいただき、みなさんの声を直接、届けて下さい】 ▶朝まで生テレビ 2012.9.29 激論!~原発ゼロ社会の検証 司会:田原総一朗 パネリスト:福山哲郎、柴山昌彦、飯田哲也、池田信夫、澤昭裕、澤田哲生、須黒奈緒、田坂広志、野村修也、原田裕史、Misao Redwolf、吉岡斉 上記の人たちが出ての「討論」だそうです。私は、見ておりませんが、お時間のある方消されないうちのどうぞ。しかし、この番組の田原総一朗、「原発芸者」だった(今もか)ことを忘れてはなりません。いつもエラそうに言っていますが、お調子もんです。 もう一度貼っておきます。 ▼朝まで生テレビ(3分割されています。これはその1です) ▶<復興予算>使途調査へ…衆院委 「被災地外」に批判 先日も報告しましたが、ひどいものです。「火事場泥棒」という言葉がありますが、まさにその通りです。「理屈と膏薬はどこにでもつく」とも言いますが、まあ、よくも「理由」を思いつくものです。さすが霞が関の官僚どもです。 怒れ、被災地の皆さん! ![]() 第20回 EUストレステスト結果 EUのストレステスト結果がでました。これはフクシマ原発事故を受けて、EUエネルギー委員会が実施していた原発の安全性に関する調査です。結論から言うと、ヨーロッパの原発には、「重大な欠陥」が認められ、原発として「落第」の烙印を押されています。 今回の調査では、ヨーロッパの68基のうち24基がストレステストを受けています。まだ報告書の全部は公表されていませんが、「Die Welt」紙にはその一部が引用されています。 「欠陥リスト」に挙げられているのは、1)地震安全対策、2)非常時電力供給、3)それに加えて、1986年のチェルノブイリ原発事故後に決められた安全対策が、いくつかのヨーロッパ諸国ではまだ実施されていない、ことです。これら全体の対策費用は、100億から250億ユーロが必要と見積もられています。 「緑の党」のヨーロッパ議会女性議員は別に驚くことでもないとして、次のように述べています。 他方でGreenpeaceは、警告を発しています。1)こうした欠陥が指摘されるのは、原発産業が安全性に関心を示してこなかった結果に過ぎない。2)ストレステストの結果は、単なる氷山の一角に過ぎず、3)これまで批判的な質問が、検査の中で黙殺され隠滅されてきたのは、フクシマの危機・安全管理でも明らかになっているところである。 *資料「FR」紙2012年10月1日付 以上ですが、世界のどこを見ても原発の安全などはないということです。それでも日本の原発マフィアは「安全」と言い張るのでしょうか。その意味でも、市民の命がかかった原発の廃棄は、世界的な市民の連帯によってのみ可能だというのが私たちの結論になるように思います。 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶福島原発:2号機の圧力容器底部 温度計2カ所に 【事故で炉内が高温多湿になった影響などで、5カ所で正常に機能しなくなっていた。新しい温度計での計測値は42.6度で、残っていた温度計(46.1度)と同程度だった。東電は「新しい温度計も正常に計測できているのではないか」】と。 「高温多湿になった影響」「正常に計測できているのではないか」、どれもみな推測でしかありません。「計測できているのではないか」とは、どういうことでしょうか。 ▼どうでもいい話 ▶日本維新の会:ドクター・中松氏が商標登録を出願 どうでもいいですが、旗印に書く名称、「船出」からつまずいています。橋下効果も、毎日新聞の世論調査では下降傾向とか。お調子者が当選したくて飛びついたが…、てなことになりそうな雰囲気です。そう願いたいです。顔ぶれ見てもなんだコヤツはという連中ばかりです。まあ、カネで買い取りますか。でなければ、ご本人を名誉総裁か何かにしてしまえば、タダか…。 【発明家のドクター・中松=本名・中松義郎=氏(84)が昨年12月、「日本維新の会」の名称を商標登録するため特許庁に出願していたことが3日分かった。同庁は今年8月に認めない決定をしたが、11月までは中松氏が異議を申し立てることが可能。橋下徹大阪市長率いる新党「日本維新の会」側は困惑】 【松井一郎大阪府知事は記者団に「今から政党名を変えることはできない」】 ▶「原発通信」も本号で311号。あの日と同じ、3.11です。 これからも、脱原発社会の到来まで、希望を持ち続けたいと思います。その日まで!! | ||