原発通信 321号2012/10/19発行
![]() 「11.11反原発1000000人大占拠」詳細はこちら 「科学者なら誰でも気づくと思うが、40年廃炉ルールの根拠はあまりない」 日本科学者会議福井支部代表幹事であり福井大名誉教授の山本富士夫さんのコメントですが(下記)、正論でしょう。 「40年廃炉ルール」について、「科学者なら誰でも気づくと思うが、40年という数値の根拠はあまりない。なんとなく、出てきた数値」といっています。そういえば、政府事故調委員を務めた吉岡斉さんが1年前に西南大学で行った講演録を紹介しましたが、そこで崩壊した福島第一原発の解体処理に30年かかるだの50兆円かかるだのということが言われているが、そんなのなんの根拠もなく、「ひとつ、二つ、三つ、たくさんで30年ということ」で、「まあ30年以内では片付かないだろうという意味です」と語っていました。費用の50兆円も根拠がよくわからないと言い、桁が違うのではとも言っていました(本通信158号)。 まさに科学者だから真実に基づいて、根拠のあることをいっているのだろうと思ったら大間違いだということです。吉岡さんはさらに先日の「朝まで生テレビ」では「物理をやってきたからよくわかるのですが、計算ほどあてにならないものはない」とまで言っていました(本通信312号)。となると、本当に私たちは何を信じて言ったらいいのかということです。でも、3.11後、はっきり分かったことは、原発はだめだという紛れもない事実です。 ところで、11月11日には大抗議行動が予定されていますが、昨日入った情報によると、鹿児島市でも「100万人行動と連帯するためのかごしま行動」が鹿児島中央駅東口広場で予定されているとのことです。鹿児島の仲間たちも東京・首都圏行動に呼応して取り組みます。 ▶今「原子力」を考える:「国民の安全、守れず」 山本富士夫・福井大名誉教授に規制委評価を聞く/福井 【──規制委をどう見ていますか? 防災、避難など災害の専門家がいない。災害が発生した場合にどのように避難するのか、災害をできるだけ小さくするためにはどうすればよいのか、どうやって住民、国民を守るのか、という観点で専門的に議論できる立場の人が入っていない。 ──規制委は「原子力ムラ」と決別できますか? 規制委の田中俊一委員長は、日本原子力研究開発機構出身で日本原子力学会会長も務めており、「原子力ムラ」の最たる人。変化は期待できない。 ──規制委は40年廃炉ルールの妥当性も検討します 科学者なら誰でも気づくと思うが、40年という数値の根拠はあまりない。なんとなく、出てきた数値に過ぎないと思う。原発に依存して、核のごみの最終処分も決まらないまま延々と原発推進でやっていけるはずはない。だから政府が原発ゼロを盛り込んだことは間違っていないと思うが、可能というあやふやな言葉を使うなど信用できない。 (原発ゼロに向けては)再生可能エネルギーだけではとても持たないので、再生可能エネルギーにシフトする段階ではやはり化石燃料を使わざるを得ない。二酸化炭素排出量が増えても、食料や水、住む場所を絶たれてしまうような原子力災害に比べればましだ。電気料金の上昇も国民が受け入れないといけないだろう】 ▶復興予算問題 各省が正当性を主張 文科相、核融合研究「雇用貢献」 【文部科学省が核融合に関する研究開発費(42億円)を12年度に計上したことについては、田中真紀子文科相が核分裂を利用した原発に代わるエネルギー源として「国際協力を進めていく可能性があり、やった方がよろしい。(被災地の)新たな産業と雇用にも貢献している」と見直しを否定した。平野達男復興相は9月19日の記者会見で「来年度の計上は難しい」との見解を示しており、政府内でも議論を呼びそうだ】 浜矩子・同志社大大学院教授のように、あらためて経済活動は人間の営みだなどと「核心」を確認しなくとも(本通信320号)、人が行うことであるならば、そこで活動=動く人は必要なわけで、それを「雇用」と呼ぶなら、それはそうでしょう。問題はどのような人、人材を「雇用」するか、可能かということです。原子力規制委員会・庁、その意味では「雇用」に貢献しているのです。それと全く同様の話だということです。 というのは表向きの理由、理屈と膏薬はどこにでもつくの例え通り、それこそ「我欲」のツッパリ合いをしているわけです。 ▶クローズアップ2012:復興予算の参院委審査 疑問符付き事業、次々 政府、野党に責任転嫁 【共産党の井上哲士(さとし)氏は、防衛省の13年度予算の概算要求で復興特別会計の中に被災地に関係ないものが多数あると指摘。防諜(ぼうちょう)活動に従事する自衛隊の情報保全隊用連絡機材の整備・更新、車両無線機の更新などの約8000万円】 この場面、TVニュースで見たのですが、森本防衛相の答弁は答えになっていません。東日本で何をやったのかと問われても答えず、それで8000万とは…。 【官庁担当者からは「13年度予算の概算要求でも、一般会計からこぼれ落ちそうな事業は、復興と関連づけて復興特別会計で要求した」との声も漏れる。政府は財政再建を進めるため、通常の予算(一般会計)を抑え込んでおり、各省庁とも一般会計で認められる額には限りがある。これに対し、増税などで財源を確保した復興予算への要求は青天井で認められており、大目に見られそうな復興名目で予算を分捕ったとの見方がある】 当然考えられることです。 ▶JA全中・万歳会長:脱原発へ 農業用水で水力発電 先日の大会で「脱原発」を決議したJAの万歳会長の話です。 【18日、毎日新聞のインタビューに答え、太陽光発電や小水力発電など再生可能エネルギーの事業化に取り組む考えを明らかにした。全国の農村部にある農業用水路の総延長は40万キロあり、原発1基分に当たる100万キロワットの発電が可能】 もうだいぶ前、10年以上は経っているのでしょうか、水田のわきを走る用水路に超小型の水車を設置発電するというNHKのニュースがあったことを覚えています。「これいいな」と思っていました。まだ、「再生可能エネルギー」などという言葉が出てくる前です。なぜ普及しないのかなあと思っていたところに「3.11」が起こり、電力の買取り問題・送配電網の問題があることを知りました。その時も、結局は発電量だということをいっていたと思います。このようなものを全国各地に設置していけば結構なことだと思います。たとえ洪水で流されてしまったとしてもそう高いものにはならないはずですから、再設置可能でしょう。そうした装置、何も日立や東芝、三菱でなくともつくれるものですし。 ▶社説:地震学 「予測」の限界も語れ 日本地震学会は【「地震予知」については、現時点で非常に困難であることを改めて認め、「確率的な予測」の意味で「予知」という言葉を使わない方針を決めた。学会内の「地震予知検討委員会」の名称も変更】 【今回の教訓は「現時点では、直前予知だけでなく、長期予測も信頼性が低い」ということのはずだ地震学会が地震予知という言葉の見直しを強調することが、「直前予知は無理でも、長期予測は信頼できる」という誤ったメッセージにつながるようでは困る】 ▶講演会:雨宮処凛さん「原発は戦争、貧困と通じる問題」 150人聴き入る 【北海道生まれの雨宮さんは、高卒後、1990年代に上京してフリーターとなった。雨宮さんは、講演で「『自分は能力がないからフリーターなんだ』と思い込まされていた」 【個人的な問題だと思っていたそれらの原因が、実は新自由主義的な経済政策にあると知り、運動に加わりました」】 【今の貧困問題について、「若年層の雇用状況は、より悪化したが、メディアの注目度は下がっている」と警鐘を鳴らした。他方、反原発運動で毎週、首相官邸前に万単位の人が集まり続けていることに触れて、「原発の問題は、戦争や貧困の問題にもつながる。皆さんもデモに参加してほしい」と訴えた】 毎水曜日に首相官邸前で行われているという「反貧困」行動、こちらにも参加しなければと思っているのですが…。 ▶関西電力:社債上限3000億円に 投資家の需要旺盛、発行額拡大 【関西電力は17日、償還期間3年の普通社債200億円を発行すると発表した。今回の社債発行で今年度に発行できる社債の上限(1500億円)に達する。関電は投資家の需要は引き続き旺盛とみて、発行額の上限を3000億円に拡大した】 投資すれば儲かるから投資するわけです。決して、慈善事業ではないということを忘れてはなりません。先日のNHKニュースではありませんが、株主も「被害者」だなどとくれぐれも思わないことです。リスクを買って、それ以上儲かると思って自分の金を出すわけですから、まさに「自己決定」「自己責任」の世界です。 ▶長浜環境相:双葉町長と面会 除染の話題避け 【同町と環境省は、除染事業を巡り鋭い対立が続き、除染作業で出る汚染物質を保管する「中間貯蔵施設」の建設協議などが事実上停滞している。長浜環境相は約30分の懇談の場で除染の話題を切り出すことをあえて避け、関係改善に努めた】 ▶福島第1原発事故 東電、観光賠償を東北全域に 1年間の減収5割分 【東京電力は18日、福島第1原発事故で風評被害を受けた観光業への損害賠償について、対象地域を東北5県(青森、岩手、宮城、秋田、山形)に拡大すると発表した。5県以外からの観光客減少を風評被害による損害と認め、震災から約1年間に生じた減収のうち5割を逸失利益として補償する。年内の支払い開始を目指す。 これまで対象地域は福島、群馬、栃木、茨城県の全域と千葉県の一部のほか、東北5県では山形県米沢市と宮城県丸森町に限っていた。補償対象は宿泊業者のほか、観光客向け飲食店、土産物店、観光バス業者などを含む】 こうしたリスクをも含めてもまだ原発の方が安いなどといっているマフィアの連中、正気の沙汰ではありません。 ▶週刊朝日編集長が謝罪コメント 橋下氏連載「次号で『おわび』掲載」 【河畠大四・週刊朝日編集長のコメントは次の通り。 「記事中で、同和地区を特定するような表現など、不適切な記述が複数ありました。橋下徹・大阪市長をはじめ、多くのみなさまにご不快な思いをさせ、ご迷惑をおかけしたことを深くおわびします。私どもは差別を是認したり、助長したりする意図は毛頭ありませんが、不適切な記述をしたことについて、深刻に受け止めています。弊誌の次号で『おわび』を掲載いたします」】 何があったのでしょうか? 佐野眞一さんも執筆といいます。週刊朝日編集長のコメント通りのことだとすると、なんでそれをやったの…と思うのです。橋下本人の評価は別にして。 ▼トンデモナイ話というより、いつわが身に… 「真犯人」、警察・検察を嵌めてやりたかったと。しかし、警察に嵌められた人は、本当に気の毒です。今回の事件で一つ、多くの人にわかってもらえたのは、冤罪です。よく「無実を訴えている事件」で、「本当にやっていないのなら、取り調べの時やっていないと言い張るはずだ。やったから自白したのだろう」ということがよく言われますが、そうではなく、嵌められる―でっち上げられるということがあるのです。それがわかったことが逆の意味で教訓でしょう。 このようなこと、いつわが身に起こるかわかりません。ネット社会のもう一面です。それにしても、警視庁と、神奈川県警、「想定」すらしていなかったとは…。 *PC遠隔操作:大阪地検が起訴を取り消し *PC遠隔操作:三重県警、逮捕の男性に謝罪 *PC遠隔操作:警視庁と神奈川県警、ウイルス検査せず | ||