原発通信 322号2012/10/22発行
![]() 「11.11反原発1000000人大占拠」詳細はこちら 原発の安全基準を検討するメンバー決まる 今後の原発を左右するような人事が決まったというのに新聞(毎日新聞)ではベタ記事です。しかも、メンバーの一人、大阪大の山口彰教授は原子力ムラの一員としても有名な人ですが、原研や三菱重工から金をもらっていたということが明らかになってもこの程度の扱いです。まるでそんなものニュースバリューがないと言わんばかりです。 ▶原子力規制委:安全基準検討メンバー決定 25日初会合 柏崎刈羽原発で使用済み核燃料に異常が見つかったのですが(下記)、それについて「極めて奇怪だ」と怪奇小説か何かを読んだごとくの発言し、「諸行無常」を理解できない更田委員がメンバーに入っています。原子力ムラオンパレードです 【原子力規制委員会は19日の臨時会で、原発の安全基準を検討する有識者メンバーを決めた メンバーは規制委の更田豊志委員のほか、阿部豊・筑波大教授▽勝田忠広・明治大准教授▽杉山智之・日本原子力研究開発機構(JAEA)研究主幹▽山口彰・大阪大教授▽山本章夫・名古屋大教授▽渡辺憲夫・JAEA研究主席。検討には、原子力規制庁や原子力安全基盤機構(JNES)幹部も加わる】 ところが、そのメンバーの山口彰大阪大教授、原電や三菱重工から2011年度までの5年間に計約870万円の「寄付」をもらっていたのです。何も期待しないでカネをくれるところなどこの世の中にありません。見返りを期待するからこそ出すものです。そんなことはないというなら、教えていただきたいものです。 ▶原電など870万円 山口教授に寄付 毎日新聞 2012年10月20日総合・経済 山口彰大阪大教授が原電や三菱重工から2011年度までの5年間に計約870万円の寄付を受け取っていたことが大阪大への情報国会請求などで判明したそうです。 寄付を受けていると山口教授は認め、規制委員会事務局の原子力規制庁は【ルールに従って選定しており、問題はない】といつもの(規制庁は発足したばかりですが、中身は同じです。包み紙を変えただけ)返事。 これでも問題ないというのですから、到底この連中が出す「報告」など信用に値しません。というより、今頃は、どうその結論になるよう言いくるめることができるかに腐心しているのでしょう。 ▶<原発再稼働>12知事「政府の判断必要」…21道府県で 【原発再稼働の判断を巡る責任の所在について、関係する21道府県のうち、半数余りの12知事が「政府の判断が必要」と考えていることが毎日新聞が実施したアンケートで分かった。「必要ない」と考える知事はゼロだった。野田佳彦首相らが主張する「再稼働は原子力規制委員会が安全基準に基づいて判断するのがルール」という姿勢では、地元の理解や同意が得られない状況が浮かんだ】 ▶<東京電力>修繕費削減へ 値上げ圧縮分穴埋め 【9月から実施した家庭向け電気料金の値上げ幅が当初想定の平均10.28%から8.46%に圧縮され、年840億円の減収を余儀なくされた】といいます。 それで経費削減をするというのですが、その内容、 これまでは【必要性が低くても部品を一定期間で機械的に交換するなどの現状を改め、費用対効果を重視した基準に変更】するというのです。 それでいくらぐらいかかっていたのかというと、【同社の保守・修理費は年約4000億円】も計上しており、その発注先は東電のファミリー企業だというのです。つまり、どうでもいい仕事を、ファミリー企業のためにでっち上げ、その価格も言い値どおりで行い(とは記事に出ていませんが、当然そんなの想定されることです)、持ちつ持たれつの関係を長年維持してきたということがばれてしまったのです。今回の「見直し」でいくら浮くかというと「年数百億円」だというのですから、あきれてものも言えません。 この記事を読む限り、減収になったが、そんなもの今までどうでもいい仕事のための仕事という代物を削ったらどうにかなるということのようです。しかもこれまでのその「保守・点検費」、「電力の安定供給」といういつもの決めぜりふしかないというのですから、さらにあきれます。これで通ると思っている方がどうかしています。 そういえば、東大話法の安富歩さん、『もう「東大話法」にはだまされない』(講談社α新書)で書いていました。どうでもいい「保守・点検」という部署を次から次へとつくり出していく「立場主義」と。まさに。それを地で行っていたというお話です。 ▶<核燃料税>原発停止中も課税へ 鹿児島県が九電と調整 【鹿児島県の伊藤祐一郎知事は19日の記者会見で、九州電力川内原発(同県薩摩川内市)稼働時に徴収していた核燃料税について、停止中でも課税できるよう新たに「出力割」方式を導入する方向で、九電と調整していることを明らかにした】 運転していない原発からはカネが取れない仕組みになっているのですが、今回の事故後、大飯原発3,4号炉以外は止まっており「カネが取れない」状況になっています。そこで思い付いた方策です。以前にも報告しましたが、3.11後、福井や青森でも行っています。原発立地自治体が大消費地へのエネルギーを支えているというのが大義名分ですが、実際に原発は動いていないわけですから、実は「原発があることのみ」に意味がある。原発があることだけでお金が落ちる仕組みに変えてしまえというわけです。目的はお金だけ。この意味でも原発は「エネルギー問題」ではありません。 ▶伊藤知事:川内原発増設、「在任中凍結」再び示す 政権交代時、対応に含み/鹿児島 伊藤知事、【自民党が政権奪還した場合でも3号機増設凍結は変わらないか、との質問には「今後の話。少し時間の経緯を見るしかない」と明確に否定はせず、含みを持たせた】 待てば海路の日和ありですか…。 ▶クローズアップ2012:紛争解決センター1年 原発賠償、進まぬ和解 昨年、東電が賠償すると言いましたが、その手続き書類、誰がこれだけもものを読めるんだというくらいの分厚い書類と、何でも「証拠」を添付しろという東電の言いぐさが問題になりました。そしてできた「紛争解決センター」ですが、機能不全に陥っているというルポです。記事にある、養鶏を営んでいた人の話、東電の「ヒヨコから育てたという証拠を持ってこい」という言い草にはあんぐりを通り越してしまいます。 ▶電力選び 戸別相談 世田谷区、脱原発後押し 【東京都世田谷区は選べる電力への取り組みとして、再生可能エネルギーの導入方法などを区民にアドバイスする「エネルギー・コンシェルジュ(仮称)」制度を導入する方針を決めた。二〇一三年七月にも始める。各家庭の事情に応じて適切な方法を紹介するもので、脱原発を後押しする狙いもありそうだ】 保坂展人区長、がんばっています! ▶県議会:エネ協、震災後初開催 東電社長ら出席/福島 【東京電力の広瀬直己社長らが出席し、福島第1原発1〜4号機の廃炉作業などについて説明。県議から県内の原発全基を廃炉することについて問われた広瀬社長は「(廃炉かどうかは)日本全体のエネルギー政策で決められていくもの。現在どうするかは未定」と明言を避けた】 また、【「原発の安全性に問題はないのか」と質問。東電側は「対策はしているが、住民の不安が続くのであれば十分かどうかはしっかり検証したい」などと説明】 と、安全かどうかを聞いているのに、「不安が続くのであれば」などと、心的問題にすり替えています。 ▶日本ペンクラブ、原発再稼働反対の声明 【日本ペンクラブ(浅田次郎会長)は19日、「原発再稼働への動きに強く反対する声明」を発表した。 声明では、政府が再開した大間原発(青森県大間町)の新設工事をただちに中止することや、大飯原発(福井県おおい町)の停止、すべての原発の廃炉などを求めている】 ▶ピースライブ:「原発反対」熱く──福井 /福井 【原発について考えるイベント「ピースライブ」が20日、福井市のJR福井駅西口広場で開かれた。ステージ上で原発に対する意見を言う1分間スピーチなどが開かれ、市民ら約10人が原発反対などを訴えた】 「原発王国」福井での抗議行動です。何らかの形で原発とつながっているのでしょう。 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶柏崎刈羽原発:使用済み燃料集合体で異常 【5号機の使用済み核燃料プールに保管されていた燃料集合体(長さ約4.5メートル)のうち、2体で内部の部品が曲がっているのが見つかった】 【規制委の更田豊志委員はこの日の臨時会で「極めて奇怪だ」と問題視】 【別の燃料集合体では、本来入るはずのない綿状の異物(長さ3〜4ミリ、直径1ミリ程度)が引っかかっているのが見つかった】 「極めて奇怪だ」と、更田委員が言ったそうですが、「奇怪」かどうかということではなく、「モノは壊れる」「諸行無常」だということです。壊れてしまったら取り返しのつかない代物、それが原子力―原発だという根源的な事柄を理解していない証拠です。 ▶東電、東通村にも「寄付」 原発事故後に7600万円 【東京電力が福島第一原発事故後、青森県東通(ひがしどおり)村に対し、7600万円を支払っていたことが朝日新聞の調べでわかった。東電は東通原発(同村)の建設費として処理したが、経済産業省は「寄付金に近い」と判断している。 東電は2010年度末に6100万円、11年度末に1500万円を同村に支払った。村はこれをアワビの種苗やヒラメの稚魚の購入費などに充てたという】 福島の被災会社には「ヒヨコから大きくなったという証拠をもってこい」(上記)といっておきながなら、東通村にはアワビ、ヒラメ代を配っている。 東電、「誠意」などとはまったく無縁のようです。 ▶このデタラメ加減を見よ! Dr.中川のがんの時代を暮らす:/55 煙突清掃作業員に多発 「東大話法」の使い手の紹介です。 【特定のがんが特定の職業に従事する人々に頻繁に起こることは、200年以上前から知られていました。最も有名なものは、ロンドンの煙突清掃作業員の「陰嚢(いんのう)がん」です】と言って、専門家はよく知っているのですよとまず、かまします。 【1775年、ロンドンの外科医パーシバル・ポットは「煙突掃除人の陰嚢がん」という論文を発表しました。そこでは、若い年齢で発生する陰嚢がん患者は幼少時から煙突掃除をしていることが多いこと、煙突掃除期間、つまりすすがたまる期間と発がんに関連があること、掃除後に体をよく洗った人ではがんは少ないことを挙げ、すすが陰嚢のしわに残り、長く皮膚を刺激したことが陰嚢がんの原因であろうと推測】 【さらに、陰嚢がんができるまでに約10年以上かかること、煙突掃除をやめても、陰嚢がんはできることも記しています。この点は、現代のたばこによる発がんでも全く同じことが言えます】 煙筒掃除をして、体をよく洗わなかった、汚れを落としにくい部位で発がん物質が溜まり、「約10年以上」もたってから発症することもあると言っているのです。 では、放射線被曝についてはどうなんでしょう。「約10年以上」もたってから発症することもあると言っておきながら、今回の福島第一原発事故での被曝問題については早々と「安全」と触れ回っていることについての説明はありません。これをとっても中川センセイのおっしゃっていることはいい加減だと思うのですが。 そして、「東大話法」どおり、「自分たちのシマ」についてのヨイショは忘れません。 【東京大病理学教室の山極勝三郎教授は、すすに含まれるコールタールをウサギの耳に毎日塗り続け、1915年、世界で初めて人為的にがんを作ることに成功しました。がんの発生を確認して詠んだ「癌(がん)出来つ 意気昂然と 二歩三歩」の句が有名で、病理学教室には、今もモニュメントが残っています】 ▼トンデモナイ話 「iPS臨床応用と」大誤報した読売新聞らの病根 山中伸弥さんのノーベル賞受賞に泥を塗ったと騒がれている読売新聞、産経新聞・共同通信の「iPS臨床応用誤報問題」ですが、やはり、人は慣れないことはしないほうがいい。読売新聞、誰もこの新聞にスクープだの、ジャーナリズムだのということは期待していないでしょうと先日書きましたが、その顛末が徐々に明らかになっています。要は、虚言癖のある森口に「ささやかれ」、これで俺もスクープを取れるなどと身の程知らずのものが調子に乗って書いたということのようです。 毎日新聞10月20日付にテレビ報道記者の金平茂紀さんが鋭い指摘をしていますので紹介します(「週刊テレビ評 iPS「臨床応用」誤報」これ、電子版にはないようです)。 彼は言います。 読売新聞より「後追いしたマスコミのほうが深刻さの度合いにおいて無残だと思う」と。共同など、読売新聞があそこまで書いているのだからと裏もとらずに「必死に後追いしろ」と編集部幹部が発破をかけたそうです。そして、読売新聞の検証記事については「記者の専門知識をさらに高める努力」は、むしろ方向が逆なのではないか。素人でもわかるような常識感覚が、タコつぼ化したムラのなかの専門家へのへつらいでまひしていることが問題なのではないか」と、福島第一原発事故後の自分たちの報道姿勢の反省に立って、喝破します。そして、アカデミズムの世界に対しては、研究費を取ってくることに身を汲々とし、「肝心な研究者の資質を見極めるプロセスがほとんど形骸化している」ことが問題たと指摘。ためしに文科省のHPでどんなものが科学研究費取得に申請されているか見てみるといいと言います。彼がいうには「まるで商品広告」のようだと言います。 そして、こうなってしまった原因の一つに国公立大学の独立行政法人化をあげます。 彼は指摘します。 「学問研究の不に企業経営的な効率主義・成果主義を持ち込むことで、むしろ負の効果を生み出していることをそろそろ自覚してもいいのではないか」 新自由主義者ども、市場原理主義者どもの魂胆に気づけと警鐘を鳴らしています。 ▶「眠れないほどの騒音ない」 週刊朝日の橋下記事をめぐって週刊朝日が「お詫び文」を出し、橋下が、「わかった」といって朝日新聞の取材拒否を取り消す。何か、変だというのが実感でした。何かあるぞと。やけに橋下、今回はものわかりがいいのです。なぜ…。そんな時、下記のような意見を書かれている人のブログが紹介されていました。 しかし、わが都知事閣下、この人の口の悪さはとても「文学」をやってきた方とは思えないほど下劣で、品性を疑います。「インチキ野郎」、そっくりあなたに返される言葉でしょう。 http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/11ad05b03d376660cff14b9d359866c8 で、もう一つ、この都知事閣下は文学などをときどきされているようですが、想像力もなく、共感する力もないのでしょう。それは歳をとったというだけではなく、この人の生き様そのもののようです。 その都知事閣下、「横田基地の周辺住民が騒音被害を訴え、国に対し夜間と早朝の飛行停止と損害賠償を求める訴訟を起こすと発表した」ことに関して、「それはエゴの話でね、眠れないほどの騒音があるわけないし、飛行機が飛んでないんだから、あそこ。横田の周りの住民が騒音訴訟を起こすのは、私に言わせればナンセンスだね」だと! 思わず、「お前の存在そのものがナンセンス!」と叫んでしまいました。 自分が掲げた横田基地(飛行場)、米軍との共同使用(軍民共用)が絡んでいるからね。唾棄すべき男です。 http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20121020ddlk13010143000c.html ところで、この「都知事閣下の異常な執着心」から始まったオリンピック再招致活動。本通信319号で報告しました「2020年オリンピックを日本で」横断幕、近隣の小学校に掲げられるようになりました。「雨ニモ風ニモ負ケナイ」ようなしっかりした横断幕です。たぶん全都の学校に掲げられているのでしょう。石原閣下の焦りなのか…。お金、別のところにと思うのは私だけですか? いっそのこと、映画(『博士の異常な愛情』蛇足ながら、この映画には虫歯予防と称しての水道水フッ素化の陰謀がちょこっとえがかれています)のように爆弾にまたがってどこかへ行ってくれれば世話はないのですが。 | ||