原発通信 324号2012/10/24発行
![]() 「11.11反原発1000000人大占拠」詳細はこちら 「活断層の定義の拡大を検討」と「原子力災害対策指針案」 デタラメな人事で動き出した原子力規制委員会と、何のことはないそれまでの安全・保安院の職員が横滑りし、トップに警察官僚を据えて発足した原子力規制庁が、この23、24日と立て続けに「新指針」を発表しています。 23日には、原発の安全審査で考慮する活断層の定義の拡大を検討する方針を固めたといいます。しかし、まだまだ注意が必要なのは、「活断層の定義の拡大を検討するかもしれない」ということを「考えようかなあ」という段階だということです。少なくとも霞ヶ関用語ではなく、一般的に使われている言語ではそういう意味になります。かつ、この発言、島崎邦彦委員長代理の発言であり、例の田中俊一委員長ではありません。(下記) 24日には、まとめられた「原子力災害対策指針案」、原発から30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)に含まれる21道府県ということで、さあ大変、避難計画どうすると大騒ぎのようです。対策ができていない、何十万人もの避難不可能、避難場所が確保できない、決まっていないなどで混乱しているようです。しかし、これとて、IAEAがこれまで言っていたことを、ようやくそれに準じて出そうというだけの話で、目新しいものではありません。 しかし、ここでも注意が必要なのは、田中俊一委員長がUPZについて、原発から半径30キロ圏の範囲で十分」と言っていることです(下記)。つまり、今までよりは拡大したのだから(再稼働等も)いいだろう。避難等の対策については、「俺の知ったこっちゃない。各自治体・国がやればいいことで、俺の仕事ではない」と言外に言っているように受け取れるのですが、いかがでしょうか(手助けするなどといっているようですが、あくまで「手助け」です)。そして、もし何かが起き、それでも不十分だと指摘をされても田中センセイ、ちゃんと準備しています。「IAEAの基準通りにやりました」と。しかも発表されたものによると100ミリシーベルトを超える地域が30キロ圏を越えてあると言います。この100ミリシーベルトという数値が3.11後の状況のなかどんな形で出てきたかをもう一度思い出してください。 また、田中委員長、「ひとりよがりになるのは避けたい」などと、原子力に批判的な人の意見を聞く場を設けると提案し、了承されたと言います(下記)。こんなこと、当たり前といえば当たり前。仲間内でいい加減にやっていたのがこれからは通らなくなったということだけです。しかし、これとて注意してみていかなければなりません。頭のいい連中をそろえているところです。ウルトラCというか、そんな手があったのかというトンデモナイ手が出てくる可能性が十二分にあるわけです。 ちなみに、原子力規制庁が入居している六本木の「六本木ファーストビル」の家賃は月4,400万円だそうです。ひと月ですよ。 「活断層」再定義か? ▶<規制委>活断層定義拡大を検討 全原発、再点検の可能性 【規制委は23日、関西電力大飯(おおい)原発(福井県)の敷地内を走る断層(破砕帯)が活断層かを調べる調査団の初会合を開催。13万~12万年前以降に動いた断層を一律に活断層とみなす原発の耐震設計審査指針について、規制委の島崎邦彦委員長代理は会合後、報道陣に「指針が金科玉条ではない。改定するのを踏まえ、参考にはするがとらわれない」と明言】 【島崎氏は地下にかかる力の加わり方(応力場)が現在と同じであれば、活動時期が13万~12万年前より古くても近い将来に再び動く可能性があるとして、活断層とみなす考えを示唆した】 避難地域拡大と各自治体の避難対策・避難計画は ▶原発事故 影響予測地図を公表 ▶規制委:原子力防災で「新指針」…対象地域拡大 【原子力規制委員会は24日の定例会で、原発事故が発生した際の住民避難などの対応策を定めた「原子力災害対策指針案」をまとめた。広範に放射性物質が拡散した東京電力福島第1原発事故を踏まえ、住民の避難対策などを充実させる地域を、現行の8~10キロ圏から30キロ圏に拡大することなどが柱。また、住民の視点に立った防災対策の必要性と、国や電力会社などに対策の責任があることを明記した】 ①事故の初動時点ですぐに住民避難させる「予防防護措置区域」(PAZ、5キロ圏) ②事故進展の度合いや放射線量によっては避難・屋内退避する「緊急防護措置区域」(UPZ、30キロ圏) の2段階で対応する。 ▶防護計画は30キロ圏内=原発事故で規制委員長 【原子力規制委員会の田中俊一委員長は24日の定例会見で、原発事故などの緊急時に避難や屋内退避ができるよう備える「緊急防護措置計画区域(UPZ)」について、原発から半径30キロ圏の範囲で十分との認識】 ▶4原発、30キロ圏外も避難線量 全原発の拡散予測公表 【原子力規制委員会は24日、全国16カ所の原発で東京電力福島第一原発事故のような深刻な事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測を公表した。関西電力大飯原発(福井県)など4原発が、規制委が新たに防災の重点区域の目安とした原発から半径30キロより広い地域で、避難の基準となる積算被曝(ひばく)線量に達した。原発によっては従来の想定を超えた広い範囲を重点区域にした防災計画づくりが迫られる】 http://digital.asahi.com/articles/TKY201210240130.htmlにも、大飯、柏崎刈羽、浜岡の放射能拡散予想図などが載っています。 ▶規制委:放射性物質拡散を予測…16原発、過酷事故想定 ▶クローズアップ2012:原発事故・線量試算 拡散予測、精度に課題 【山澤弘実・名古屋大教授(環境放射能)も「重点対策を取る範囲の目安にはなる。しかし、被ばく線量の100ミリシーベルト境界線の内側だから危なく外側ならば大丈夫という見方をすべきではない。外側でも避難が必要になる場合があると考えて対応を練ってほしい」と提言】 対応に困惑する各自治体 ▶放射性物質拡散予測:「国の説明ない」…周辺自治体に困惑 ▶立地自治体並み協定を/玄海原発30キロ圏内 対象地区、不安広がる/原発過酷事故 拡張予測 ▶原発避難指針:「手段確保済み」2県のみ…毎日新聞アンケ ![]() ▶伊方原発 事故想定し防災訓練 ▶原子力防災訓練:愛媛・伊方原発で1万3000人避難訓練 大分、山口県が初参加 ▶泊原発:1800人30キロ圏外へ避難訓練…北海道 「再稼働の機が熟すのをのんびり待て」ない大手電力幹部 ▶原発避難指針:再稼働さらに難しく 東電計画見直し必至 【原子力規制委員会が24日、原発事故時の住民避難を充実させる地域を30キロ圏に拡大する指針案をまとめたことで、停止中の各原発の再稼働は今後、一段と難しくなる。電力各社は原発停止長期化を見据え電気料金値上げの検討に入っているが、9月に値上げしたばかりの東京電力にとって再値上げは極めて高いハードルだ。柏崎刈羽原発で過酷事故が起きた場合の放射性物質拡散範囲が30キロ圏を超えると示されただけに状況はさらに厳しく、来年④月以降の柏崎刈羽の再稼働を前提にしていた東電の総合特別事業計画は大幅な見直しを迫られそうだ】 【「再稼働の機が熟すのをのんびり待てない」(大手電力幹部)のが現実】と。 つまり、「時間がたてばそのうち、忘れてくれるだろう。そうしたら再稼働でもすればいいのだから、何も設備投資などしていらぬ金を使うことはない」などと思っていたが、ちょっと風向きが変わってきたかなというくらいのところでしょう。あとはまた、電気が足らない足らないとふれまわればいいし、電気はなくなると病人が困るだのと、思ってもいないことをいって、病人を人質にとればいうことを聞くだろうと思っているということです。 ▶原子力規制委:外部から意見聞く場を設置 批判的意見も 【田中俊一委員長が定例会で「規制委は独立性が重要な一方で、ひとりよがりになるのは避けたい」と提案】、原子力に批判的な専門家も含めた外部有識者から意見を聞く場を設けることが了承されたとのことです。 ▶今年産米で初の基準値超え=須賀川市産、110ベクレル―福島 【福島県は24日、2012年産米の全袋検査で、同県須賀川市で生産されたコメから食品の放射性セシウムの新基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える110ベクレルが検出されたと発表】 ▶日本維新の会:原発「ゼロ」と「輸出」 政策に矛盾抱える 【日本維新の会が次期衆院選で掲げる公約の素案に、「2030年代までの既存の原発の全廃」と「原発輸出容認」が盛り込まれることがわかった】 それに対して、橋下大阪市長、 【「日本で(原発の)プラントは持たなければいい。日本で造らなければいい。日本でなぜダメかというと危険だからでしょう」 記者団に矛盾を指摘された維新代表の橋下徹大阪市長は24日、こう反論した】 しかし、こういうの「反論」というのでしょうか。普通は自分の国だけ良ければいいのか、無責任でないか、といわれるものですが……。 これに対して、飯田哲也氏、 【橋下氏の原発政策を支えてきた「大阪府市エネルギー戦略会議」の飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長は原発輸出に関して「事故を起こした場合の責任や核拡散のリスクもあり、やるべきではない。政府のエネルギー戦略と代わり映えのしない内容で、橋下氏にはよく考えてほしい」と】 ▶中国、原発の承認手続き再開へ 毎日新聞2012年10月25日(共同) 中国国務院、「原子力発電安全計画」と「原子力発電中長期発展計画」を承認。凍結されていた新規原発建設計画承認手続きが再開される見込みと。2015年までは内陸部に建設しない方針。内陸の原発に安全性の懸念があるとの判断かと。▶米は原発1基を来年閉鎖 毎日新聞2012年10月25日(共同) 米発電会社ドミニオンは中西部のウィスコンシン州で稼働中のキウォーニー原発を2013年前半に閉鎖すると発表。天然ガス価格の低下などや需要が少なくなったことで採算が合わなくなったためと。 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶福島第1原発:1号機5階の映像を初公開 バルーンで撮影 【東電によると、撮影は円筒形のバルーン(直径2メートル、長さ5メートル)にカメラと線量計を取り付け、建屋内のハッチを通して1階から5階まで飛ばし】て、撮影したとのこと。そうです、人が近づける線量ではないのです。 ▼愚か者はどっちだ ▶福島第1原発:3都県知事が視察 福島県知事以外で初 【3知事はマスクと靴カバーを身につけた背広姿で約2時間滞在。免震重要棟に入り原子炉の監視作業を見た後、マイクロバスに乗ったまま1~6号機や汚染水処理施設などを視察して回った。視察後、石原知事は報道陣に「事故を起こしたのは大きな反省点だが、せっかく開発した新しい技術体系を放り出すのは愚かだと思う」と】 「マスクと靴カバーを身につけた背広姿で」というところがミソです。先日、重装備でフクイチを視察した野田首相。その重装備姿に、私も咬みつきましたが、「俺たちもそんな恰好でいったら、ほれ見ろ、やっぱりやばいのだろう」となってしまうから、そこは“平服”で行くことが重要なのですと。どうせ、おいらは歳だしと。そうなら、3.11直後に東京都民を守るのだと現地に行ってほしかったと嫌みのひとつでも言いたくなります。 野田首相を持ち上げるわけでもありませんが、野田首相は原子炉、事故現場に足を運んでいますが、知事閣下は背広姿でマイクロバスに乗って、遊覧視察です。 「緻密さや規模から言っても(東電は)日本ならではの対処をしている気がした」などと記者団に語ったそうですが(下記)、「緻密な日本ならではの対処」をなぜ、こんなになるまでしてこなかったのかということが問題なのだということは言いません。これ、「言葉のあや」ではありません。それに知事閣下は「文学者」です。「文学方面はあまり研究もしていないのでよくわかりません」などと知らん顔はできません。そもそも、自分の不始末は自分できちんとするのは当たり前。当たり前のことをやっているだけで褒められることでも、褒めることではありません。 そんな都知事閣下、なんとまだまだ元気で若い者に渡してなるものかと、今度は冗談抜きに新党旗揚げだとか。「近く、石原氏が記者会見などを開いて、新党の理念などについて表明する方向」だそうです。あなたが「理念」を語るのですか…。 と、ここまで書いていたら、今日、突如都知事を辞任して新党をつくり、立候補するだと。どうかしています。これで当選などとなったら…。こっちが愚か者になってしまいます。 *都知事辞任のニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121025-00000097-yom-pol http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20121025-00000041-ann-pol ▶石原都知事、辞任へ 新党結成、衆院選立候補を検討 【東京都の石原慎太郎知事(80)は、新党を結成し、近く都知事を辞任する意向を固めた。25日午後、都庁での会見で表明する見通し。自ら党首に就任し、次期衆院選への立候補を検討する】 ▶福島第1原発:「技術の放棄は愚か」 石原知事ら視察 【石原知事は報道陣に「事故を起こしたのは大きな反省点だが、せっかく開発した新しい技術体系を放り出すのは愚かだと思う」と】 ▶福島第1原発事故 石原知事ら視察 前日申請、慌ただしく 職員ねぎらう/東京 【原子炉などをマイクロバスから窓越しに視察】 ▶北海道電泊再稼働を要求=厳冬の停電「人命に関わる」―米倉経団連会長 「厳冬期の停電は人命に関わる。そうした事態を絶対に引き起こしてはならない」と言ったそうです。いつからそんな心優しい、人思いのおじいさんになったのでしょうか。カネのためなら人の命など…という連中が。方便も休み休みにしていただきたい。 ▶冬の電力需給 泊原発再稼働で命を守れ 本通信の読者は産経新聞など普段読まれないでしょう。その産経新聞、米倉会長と歩調を合わせるように「いのちが大事」キャンペーンです。いや、原発反対ではなく、原発再稼働して命を守れと。 ▼トンデモナイ話 の続き ▶横田基地騒音:都知事発言に住民ら抗議 本通信322号で報告した石原発言の続報です。 【米軍横田基地(東京都福生市など)の新たな騒音訴訟を起こす予定の住民ら9人が23日に都庁を訪れ、石原慎太郎知事への抗議文を提出した】 【横田基地の現状を「飛行機なんか飛んでない」と表現し、騒音訴訟は「エゴ」と批判した】 【しかし、住民らで作る訴訟の準備会によると、夜9時から翌朝7時までの米軍機の夜間飛行回数は月40~70回程度に上り、テレビが聞こえなくなるほどのごう音もあるという。都の騒音測定でも4カ所中2カ所は78年以降、環境基準を上回る状態が続いている】 ▼こっちはどうでもいいかな 民主党衆議院の秘書会、何でも12月1,2日の日程で日光へ温泉旅行だそうです。毎日新聞10月23日付です。「緊張感ゼロ?」の見出しで書かれていました。1日は、JAXAでロケット見学をして湯西川温泉に泊り。日光東照宮や美術館めぐりだそうです。日光ケッコウ、です。政治家ではないので「美術館視察」ではなく、「美術館めぐり」と正直です。 まあ、選挙前の充電と見るか、緊張感なしと見るかで、私にとってはどうでもいいことかな。はっきりしていることは、選挙で「私の先生」が落ちたら、就活が待っているということです。で、その前に…、などと推測するのは「下衆の勘繰り」か。 | ||