原発通信 325号2012/10/26発行
![]() 「11.11反原発1000000人大占拠」詳細はこちら 10.26官邸前行動に行ってきました。 10月も末、来週は11月、すっかり秋めいて行動の終盤あたりになると肌寒く感じる季節となりました。夏の驚くような参加者の数からみると結構少なくなってきていますが、思ったほど減っていません(まあ、私の超個人的感想ですが)。帰ってきたばかりなので、大急ぎで忘れないうちに報告させていただきます。首相官邸前にちょっといて、その後は、仲間と国会正門前に移動しました。以下は国会前でのことです。 ▶東京のガレキ焼却灰、多摩・日の出の処分場に 東京・町田市の方からの報告です。先日、市のお知らせで1行、「これから東日本大震災被災地のガレキの焼却処分をします」という一文が、スラッとあった。焼却灰をどこに処分するのかと問うと、多摩の日の出村の処分場に廃棄するとのこと。そうしたなし崩し的なことが着々と進んでいるという報告がされていました。新聞等では全く報道されていないという話です。無責任にも昨日辞任した石原の“置き土産”だといっていました。 この日の出村のゴミ処分場は、以前から汚水漏出等の問題が指摘され、反対運動が起きています。 石原知事の辞任表明の翌日ということもあり、今日のコールには「石原いらない」「石原戻ってくるな」とのコールが付け加わっていました。 また、福島の子どもたちについて、「子どもたちを守れ」というコールの中身を考えてみようとの提起もされました。今福島は「放射線管理区域」と同じ線量下で生活することを余儀なくされている。「放射線管理区域」で生活を余儀なくされている子どもたちの命・未来を守るということはどういうことか、私たちに何ができるのかということを考えてほしいという提起です。 新党という新馬とはいえない馬にまたがって──石原の何が許せないか 昨夜のテレビニュースや本日の新聞は、石原慎太郎が都知事を辞任して新党を立ち上げて代表に就き、次期衆院選に立候補する話でいっぱいです。
しかし、この手も10年前にとっくに見てしまっています。小泉劇場で。 自民党のある議員は「奴だけは許せない」といっているそうです。人には、後になって許せる人間とどうしても許せない人間があるようです。あとになって、自分の許せないと思っていたその人間と同じような年になったとき、「ああ、なるほどね、ただ○○だっただけだ」と思い、あるとき拍子が抜けたように「許せる気持ち」になれる人。それとはまったく逆に何年経とうとも許せない相手はいるものです。石原慎太郎などはまさにその典型です。少なくとも私は。 それはなぜなのだろうと考えるのです。 人の痛みを感じることができない無神経さ、人を陥れることを平気で言える神経、挙げたらきりがありません。要は自分(と自分の家族)以外の人間を人と思っていない言いぐさが許せないのです。 これも今日の毎日新聞に出ていたことですが、石原知事と森自民党元首相との間で、先の自民党総裁選挙での裏取引があったというのです。森は伸晃と応援して、総裁、総理にすると。しかしふたをあげたら地元の東京都でも伸晃の票はまとまらない。そして、「俺しかできない」と豪語していた尖閣問題は野田政権に「さらわれて」しまった。そこて“プッツン”してしまったというのです。 その記事を読んでさもありなんと思いました。今日の国会前コールではありませんが、「シンタロー、戻ってくるな!」です。 ▶放射能予測 これで稼働できるのか 東京新聞社説は明快です。 【原発の稼働は無理に近いことがこれではっきりした。原子力規制委員会が公表した放射能の拡散予測は、自治体の地域防災計画作りがいかに困難かを示す。脱原発のピッチを上げるほかない】 【今回の予測は、山や谷などの地形を考慮していないし、大ざっぱな気象条件を基にはじき出した目安にすぎない。現実に事故が起きれば、風の向きや強さ、爆発の規模によっては放射性物質がもっと遠くへ、もっと異なる方角へ、と飛び散る恐れが多分にある】 【有事の際、住民にどう情報を伝えるか。避難経路や輸送手段、避難所は確保できるか。被ばく医療体制は整えられるか。政府が自治体の防災計画作りを支援するにしても、難航は必至だろう】 【安全神話の虚構を作り上げて原発建設を推し進めてきたツケである。災害対策とともに、政府は原発の廃炉計画を作るべきだ】 東京新聞、四の五のといいません。当たり前の判断をしています。それがなぜできないのかが問題といえば問題なのです。原子力マフィアの根の深さです。 ▶社説:放射能拡散予測 危険度評価の一助に 【私たちはこれまで、原発のリスクを横並びで判定し、リスクの高いものから廃炉にすることを提案してきた。拡散予測地図は、相対的なリスク判定の手がかりにもなるだろう。リスクの「見える化」は、人々の意識も変える。限界を知った上で、有効利用していきたい】 ▶検証・大震災:福島の放射能除染 持って行ってもらえない 「ブルーシート」住民不安 【住民の不安を解消するには最低でも仮置き場の設置が必要だ。だが、渡利地区では決まっていない。住宅が点在し、民家から遠い候補地が少ないのだ。そのうえ、地区内の道路部分だけでも総延長が100キロ以上あり、側溝やのり面の土砂だけでも2万平方メートルの仮置き場が必要だと試算している。 市は候補地の測量も実施しているが、決定したとしても難点が残る。道路など現場で保管できない土砂を運び出すのが最優先で、残ったスペースに住宅除染の除去土を入れるからだ。渡利地区の住宅全ての除去土を持ち込める余裕があることが、ブルーシートが消える条件になる。 市職員が苦しい胸の内を明かす。「最初に手掛けた分だけ運び出すと、住民間で不公平になる。痛み分けじゃないが、我慢してもらって現場保管でいくしかないと理解をいただくようにしている」】 ▶原発と最終処分場=前岩手県知事・増田寛也 こちらの話も、その通りでございますという域を出ていません。 前岩手県知事を務めた増田寛也さん(1951年生まれ。東大法卒、建設省入省)。安倍、福田内閣で総務大臣を務め、新しい日本をつくる国民会議副代表です。 この方もご多分に漏れず、「東大話法」の使い手です。さすが東大卒というだけあっていろいろとご存知です。で、今回の「原発と最終処分場」という一文。 核のごみの最終処分、地中埋め立て処分についてどうなのかということに関しては触れずに、自分の得意分野についてのみ知識を披露し、官僚・知事だったときの経験を踏まえて展開しています。そして、 【フランスには2006年の原子力透明化法により、同様の「地域情報委員会(CLI)」が設けられ機能している。高レベル放射性廃棄物の最終処分地の立地箇所を決定しているスウェーデンでは、「知識向上委員会(LKO)」という同様の組織が設けられ、住民の知識向上や情報の共有化などが図られている。ちなみに最終処分場の場所選定は1970年代から始まり多くの反対運動と30年以上の苦しい経験を経て、2009年にようやく決定された。私は昨年、調査のため同国を訪ねたが、その理解の素地にLKOの活動があったと担当者が答えてくれた】という話を披露します。まるで、国や自治体、関連組織が丁寧に説明すれば済むかのような印象を与えます。 しかしです、スウェーデンで最終処分場が決まったといって、そうした手法が日本でも当てはまるかというと、根本的に違うと思うのです。そもそも地層処分ですが、スウェーデンの地層と日本の地層とでは年代区分がまったく違うということを無視し、単なる手続き論に終始している点が問題です。 ▶見直し迫られる核のごみ 「地層処分」の危うさ 地底は未解明/「核燃サイクルが前提」にも批判 【「地震や火山活動で地下に異変が起き、埋めた核のゴミが地上に出てきたらどうなるのか。現状では、地層処分に適した安全な場所が日本にあるとは言い切れません」】とは、日本学術会議の「高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会」委員長を務める、今田高俊・東京工業大大学院社会理工学研究科教授です。 この「核のゴミ」、【ガラス固化体(直径43センチ、高さ134センチ、重さ500キロ)は、作った直後には1時間あたり約1500シーベルトの放射線を放ち、近づくと20秒弱で即死するという恐ろしい代物である。当初は高熱を発するため、30〜50年間、地上施設で冷ました後に地層処分をすることになっているが、50年後でも同160シーベルトの放射線を放ち、数万年後にようやくウラン鉱石と同様のレベルに下がるという。一般公衆が浴びてよいとされる線量限度は「年間」1ミリシーベルト。まさに桁違いの量】です。 【「被ばくするので人はガラス固化体に近寄れませんから、ロボットを遠隔操作して輸送し、地下の広大な施設に埋めると言いますが、本当にそんなことができるのでしょうか」】とは、「地層処分問題研究グループ」事務局長の志津里公子(しづりきみこ)さん。そして、「そもそも再処理はプルトニウムを取り出すのが目的」と。 ▶横須賀で原子力艦防災訓練、小学校も初参加/神奈川 【米海軍横須賀基地(横須賀市)で空母ジョージ・ワシントン(GW)をはじめとする原子力艦を原因とする事故が起きたと想定した防災訓練が25日、同市内で開かれた。東京電力福島第1原発のような過酷事故が発生した場合、4原発で半径30キロ圏外にも放射性物質の拡散が及ぶとした予測を原子力規制委員会が公表したため、訓練では横須賀市の対策をただす声も上がった】 「東京湾に浮かぶ原発」といわれている米原子力艦船です。 ▶福島第1事故 県の情報発信大半が不満 福島大意見募集 【県の情報発信が「適時適切にされている」と答えた人が2.9%にとどまることが分かった。否定的な見方の人が圧倒的に多く、県の情報発信に対する不満が表れている。 県の情報発信に肯定的な答えはほかに「必要最低限の情報は得られている」が14.0%あっただけ。それ以外は「信用性が薄い」(16.9%)「質・量ともに不足」(15.3%)「県民の望む情報とずれがある」(14.0%)と否定的な意見が相次いだ】 ▶原発:建設の是非問い、ブルガリアで国民投票へ 【ブルガリアは伝統的に原発賛成派が多い。住民投票は、建設中止に反対する野党の社会党が実施を求め、ボリソフ首相は国民の意見を尊重したいと述べていた】 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶燃料プール映像を公開 福島第一原発1号機 【崩れ落ちたコンクリート製の天井や壊れた大型天井クレーンも確認できました。映像について、東京電力は、大きながれきがプールに落ちていないことが分かったとしています】 ▼愚か者にはなりたくありません。 東京都知事を4期もさせてしまった愚かな東京都民ですが、選挙で落とせなかったことは返す返すも悔しいです。私の周りに石原ファンっていないんですけどね…、でもこれが事実でした。 ▶石原新党:都知事辞職、衆院選出馬を表明 後継は猪瀬氏 【任期を約2年半残して知事を辞職することには「仕方ない。都民のためにもっと役に立つ仕事をしようとしてるんだから」と】 ▶石原新党:有権者は「やり散らかした」「行動力に期待」… 【「知事として五輪招致で騒ぐよりも、防災対策や被災地支援に力を入れてほしかった」という。尖閣諸島を購入しようとした点には「中国に進出している日本企業や民間交流に悪影響を与えるなどやり散らかした印象で国際感覚も疑問」とばっさり】 【「維新の人気は下火になっているし、効果がどこまであるか分からない」といい、「気力は認めるが、80歳という年齢は年を取り過ぎている。国政は次の世代に任せておいた方がよかったのでは」と】 ちなみに、千葉の森田知事、神奈川の黒岩知事、埼玉の上田知事らは応援するとのことです。 ▶坂村健の目:ネット犯罪の本質 人のパソコンに入り込んで脅迫文を送りつけたという事件。犯人と名乗る本人が出てきて、逮捕されていた人たちは釈放、起訴取り消しになって何よりです。これがなければ、どうなっていたかというより、間違いなく冤罪でやられていたでしょう。往生際悪く、誘導尋問などしていないと言っていますが、していないわけないだろうと。ところで、この件について、このジャンル、電子頭脳の第一人者ある坂村健さんが毎日新聞10月23日付に書いています。 要は、ネット社会、使う方の問題という、極めて原則的、当たり前のことをおっしゃっています。坂村さんは言います。「システムの最も弱いパーツは依然人間というわけだ」。もっともです。原発でもそうです。 そして「被害を防ぐために必要なのは常識とバランスだ。『疑わしきは罰せず』との原則が、なぜ今回機能しなかったのか。それが最も恐ろしい『ネット』の魔法だろう」と。 優等生のお答えです。「常識とバランス」、その通りでございます。ただどうやればそのバランスが取れるのか。坂村さんは理科のほうの専門家で、社会や権力という人文社会方面については疎いようです。司法についても、高校の社会科で習ったような原則しかご存知ないようです。それができていたなら、何も問題は起きません。なぜできないのか。高等教育を受けてきた方々に解明してほしい点はそこなのです。犯罪と裁判ということについて高校程度の知識でいわれてもそれはそうですとしか言いようがありません。 | ||