原発通信 328号2012/10/31発行
![]() 時間:13:00~ 国会・霞が関周辺デモ 「計算条件の設定などは、規制庁がJNESに指示」した。だから丸投げではない? 拡散予測のミスの原因について、原子力規制庁の言い分です。 自分たちは間違っていない、悪いのは向こうだと、人のせいにするのは得意です。どうやるかを指示したのだから俺のせいじゃないなどと言っていますが、そもそも、仕事を「発注」する際は、「こうして、ああして」などとリクエストを出すのは当たり前でしょう。請け負ったほうが“勝手”にするわけがありません。いまは「アウトソーシング」などとしゃれた言い方がありますが、要は下請けに回したということで意味は同じです。それとも、官庁では、「これを行います」とだけ決めて、どうやろうと請け負ったほうが“勝手”に行なうことができる、ということなのでしょうか。 日立、850億円で買収 「国富の流出」か。 浜岡原発5号機と同じ改良型沸騰水型(ABWR)だそうです。 「国内の原発事業が赤字に転落した日立は、海外で収益源を育てる狙い」とか。儲かるからやるのです。エネルギーがどうのこうのという話ではないのです。身もふたもない話。でもそれがホンネでしょう。 ▶<原発事故>防災重点地域30キロ圏内に拡大 対策指針決定 【原子力規制委員会は31日の定例会で、原発事故の際の防災重点地域を、原発から半径30キロ圏内(現行8~10キロ)に拡大することなどを盛り込んだ「原子力災害対策指針」を決定した。放射性物質の拡散を予測するSPEEDIの新たな活用方法など、6項目を今後の課題に挙げて議論を続ける】 【指針は「原発事故などに起因する放射性物質、または放射線の異常な放出により生じる被害」を原子力災害と規定。その収束対応に当たっては「原子力事業者が一義的責任を有する」と定め、初めて電力会社の責任を明記した。原発事故時は、すぐ避難する5キロ圏の「予防防護措置区域」(PAZ)と、事故が悪化すれば避難対応する30キロ圏の「緊急防護措置区域」(UPZ)の2段階で対応】 【しかし、避難指示を発動するかの目安とする放射線基準と、事故の拡大状況を見極める基準の策定や、甲状腺被ばく対策を重点的に進めるPPA(放射性ヨウ素防護地域)の範囲設定などについては、SPEEDIの活用方法とともに決定を保留】 吉岡斉さんが言っていましたが、国のバックアップがなければ成り立たない事業。リスクは電力会社に、となると撤退するだろうと。さて、そのようなことになりますか。でも、「一義的責任」とはどこまでをいうのか。また、引っかかるのは、「放射線の異常な放出により生じる被害」とあるが、「異常な放出」とはどういう状態を指すのかです。私たちがその文言を聞いて想像するようなものと、彼らの想定とはだいぶ開きがあります。 ▶日立製作所:英の原発事業会社買収を発表 850億円で 【日立製作所は30日、英国で原子力発電所の建設を計画する原発事業会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」を、設立母体で株主の独電力大手エーオン、RWEの両社から買収すると正式に発表した。買収額は6億7000万ポンド(約850億円)で、2020年代前半の運転開始を目指す。東京電力福島第1原発事故などの影響から国内の原発事業が赤字に転落した日立は、海外で収益源を育てる狙い】 【今後、英国西部の2カ所で、130万キロワット級の原発を計4~6基建設する方針だ。英国のキャメロン首相は「日立を英国エネルギー分野の新たな主要事業者として歓迎する」とのコメントを発表した】 【炉型は、中部電力浜岡原発5号機などと同じ改良型沸騰水型(ABWR)とする。英国では日立と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社が「高経済性・単純化沸騰水型原子炉」(ESBWR)と呼ばれる次世代炉の設計認証を申請中だが、日本国内で建設実績があるABWRの方が、建設認可を得るには有利と判断した。ただ認可には5年程度かかる見通しという】 ▶拡散予測:ミスの原因、規制庁がJNESに報告要請 【原子力規制庁の池田克彦長官は30日、計算作業を担当した独立行政法人・原子力安全基盤機構(JNES)の中込良広理事長に対し、ミスの原因究明と再発防止策を報告するよう求めた。規制庁の内部調査も含め、2週間以内に公表する】 【規制庁の前身の経済産業省原子力安全・保安院は今年1月から予測地図の作製を始めたが、実際の計算作業はJNESに委託。JNESは今春、各電力会社から、原発所在地の気象データを取り寄せたが、16方位を表す数字コードを東西南北などに変換する際、一部がずれたという】 【金子修一・規制庁原子力防災課長は30日の記者会見で「計算条件の設定などは、規制庁がJNESに指示し、JNESが主体で計算した」と強調、他機関への「丸投げ」を否定した】 ▶<福島第1原発事故>規制委が検証チーム…解明へ来月発足 【原子力規制委員会は、東京電力福島第1原発事故の検証チームを11月にも発足させる方針を固めた。政府や国会など四つの事故調査委員会が解明しきれなかった事故原因などについて、継続して検証する。 各事故調は既に調査を終え、報告書をまとめたが、原子炉内は放射線量が高くて十分な調査ができていない。例えば、地震によって重要機器が損傷した可能性については、政府、民間、東電の各事故調は否定する一方、国会事故調は「可能性を否定できない」と指摘、食い違っている。 このため、政府事故調が最終報告書を発表した7月、細野豪志・原発事故担当相(当時)は、規制委の事務局である規制庁に事故原因を継続して調査・検証するための部署を設ける考えを示した。しかし、9月の規制庁発足後もたなざらしになっていた。 チームは、規制庁職員のほか、外部から専門家を招く方針で、人選を進めている】 国会事故調、政府事故調と食い違いがあるなどといっていますが、当たり前です。事故当事者である東電、正確データなど出していないし、実際のところどうなっているかもわからないわけですから。こういう時、自分に都合のいいもの、責任を追及されそうなものは出さないのは「普通」です。そこを出させることができるのは「権力」ですが。 最近、『検証福島原発事故 官邸の100時間』(木村英昭著 岩波書店)を読み終えたのですが、東電のデタラメさ、原子力行政のいい加減さが浮き彫りになっています。そういうところにメスを入れないと、到底「真実」など明らかになるとは思えません。 双葉町の井戸川克隆町長、「(事故は)許せない殺人的な行為だ」 先週の金曜日官邸前・国会前抗議行動の報告の際、報告するのを忘れていました。井戸川町長と福島集団疎開裁判の柳原弁護士さんが一緒に訪欧、国連人権理事会で発言すると言っていました。子どもたちの集団疎開の即時実現を求める緊急署名を行っています。 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/ ところで、下記の時事通信と共同通信の記事の内容読み比べてください。 「47NEWS」は共同通信社が地方の加盟新聞社に記事を配信しています。福島県では『福島民報』『福島民友新聞』が加盟しています。したがって福島の方々は下記の共同通信配信の記事しか目にしていないと思います。 共同電には、時事通信にある【「(事故は)許せない殺人的な行為だ」と訴えた」/町長は、町を襲った津波や被災住民の様子などを写真で紹介しながら、「望んでいない被ばくをしても誰も謝罪しない。(悔しい)思いは決して晴れることはない」と強調。「町の形を守るより子供の健康、生命を優先した」と住民避難で苦渋の決断を迫られた】という発言がありません。 共同のニュースを読む人は、したがって、井戸川町長らが向こうへ行って「原発事故は終わっていない」というこれまた当たり前のことしか言っていないという情報しか入っていないでしょう。こうした情報、いろいろ比べないとわかりません。「メディアリテラシー」が問われてきます。 「みんな楽しくHappyがいい」に井戸川町長の報告(音声)と書き出しが掲載されています。 *時事通信配信 ▶原発事故「許せぬ殺人行為」=住民避難は苦渋の決断―福島・双葉町長 【東京電力福島第1原発がある福島県双葉町の井戸川克隆町長は30日、ジュネーブの国連欧州本部でNGOが開いた会合で原発事故後の福島の現状を報告、現在も放射能の被害は続いており「(事故は)許せない殺人的な行為だ」と訴えた。 町長は、町を襲った津波や被災住民の様子などを写真で紹介しながら、「望んでいない被ばくをしても誰も謝罪しない。(悔しい)思いは決して晴れることはない」と強調】 *共同通信配信 ▶福島双葉町長、国連で訴え 原発事故は終わっていない 福島民報(2012/10/30 23:40カテゴリー:国際) 【【ジュネーブ共同】国連人権理事会で日本の人権状況を審査する会合が開かれるのを前に、東京電力福島第1原発事故で警戒区域となっている福島県双葉町の井戸川克隆町長が30日、ジュネーブの国連欧州本部で、非政府組織(NGO)主催の会合に出席し、日本政府は収束宣言を出したが「原発事故はまだ終わっていない」と訴えた。 31日の人権に関する「普遍的審査」制度に基づく対日作業部会では、各国から原発事故後の日本政府による健康対策が取り上げられる可能性もある】 ▶東日本大震災:震災関連死2303人 半数が福島県民 【東日本大震災の影響で体調を崩すなどして死亡した震災関連死者が9月30日現在で2303人に上り、うち福島県民が約半数に当たる1121人だったことを平野達男復興相が30日、明らかにした】 【復興庁などによると、今年3月11日~9月30日に40人が震災関連死で亡くなり、うち35人が福島県民だった。福島第1原発事故に伴う避難区域に指定された自治体で多く、南相馬市336人▽浪江町192人▽富岡町119人】 2,303人中1,121人、49%、約半分が福島の方々です。そして、記事にあげられている原発周辺のところがその半数を占めています。 これも原発事故のためといえるのではないでしょうか。櫻井よしこや勝間和代らは「原発事故で死んだ人はいない」などと言っています。 ▶福島第1原発事故 18歳以下の甲状腺検査、保護者ら対象に説明会──県と県立医大 /福島 【県と県立医大は11月、原発事故の影響を調べる県民健康管理調査のうち18歳以下の甲状腺検査について、保護者らを対象に県内各地で説明会を開く。受診者の約4割に小さな結節やのう胞が見つかったが、大半が2次検査の必要がない経過観察と判定され、「検査結果が分かりにくい」などの声が保護者から上がっているのに応えるため。 子どもの甲状腺検査は8月末現在で8万174人が受け、このうち結節やのう胞が認められたのは3万2003人。約99%が大きさから「通常の診療でも異常や治療を要する所見とはされていない」として14年度以降の検査まで経過観察とした。 あのデタラメ男=山下俊一がまた暗躍するのでしょう。 ▶福島第1原発:廃炉へ議論深まらず 県と周辺13市町村会合、規制委案で意見/福島 【県から「原子力規制委員会がもっと積極的に関わるべきだ」などの意見が出た一方、市町村からは「専門的でよくわからない」「案をまとめる前に聞くべきだ」などの声が続出し、議論は深まらなかった】 【案に対し、県原子力安全対策課の小山吉弘課長は「抽象的で、事業者に預ける部分が多すぎる」とし、東電の実施計画任せにせずに、規定段階から規制委が積極的に関わるべきだとの意見を表明。一方、13市町村のうち、国からいわき市への説明はこの日が初めて。市の担当者は「何か作る前日に集めて話を聞くのは旧態依然としたやり方」と批判、「地元と普段から円滑な連携を」などと】 「何か作る前日に集めて話を聞くのは旧態依然としたやり方」といわき市。そう、直前に話を持っていくのは、なにも「中間貯蔵施設」だけではなかったのですね。そして、後はカネ、カネと。そうして全国に54基もつくってしまったのです。 ▶線量管理「不適切」19件 東電・元請けに調査指示 【東京電力福島第一原発の被曝(ひばく)隠し問題で、厚生労働省は30日、データの誤入力や線量計の未装着など19件の不適切な事例が新たに見つかったと発表した。ただ、調査対象は極めて限定的で、全容解明にはほど遠い内容だ】 TVでは、コメンテータと称する訳知り顔で自説・持論(?)を展開する連中がいますが、「正しいこと」しか言いません。「厚労省は、東電はきちんと…」。こんなこと何べん言ったって何にもなりません。下請け仕事をしたことあるならば、すぐわかります。「いやならいいよ。やるとこあるから」で、チョンです。単純労働になればなるほどそうなるでしょう。そうした労働でしか原発労働はなりたたっていません。この意味でも脱原発しかないのです。 ▶原発停止に伴う電力9社の追加コストと平均年収 昨日の本通信で報告した「電力:高人件費にメス 政府、厳格査定…値上げ全国拡大 毎日新聞 2012年10月29日」の記事の追加です。電子版には下記の表が添付されていませんでした。 ![]() 毎日新聞10月30日付 ▶選挙:七尾市長選 志賀原発「安全協定締結すべき」 初当選の不嶋氏が方針表明/石川 【新市長となる前副市長の不嶋豊和氏(63)は29日、北陸電力志賀原発を巡り、県や志賀町と同社が結ぶ安全協定と同様の協定を七尾市などが求めてきた問題で、毎日新聞の取材に「市民の安全・安心を守るという観点から、協定を締結すべきだ」と答えた。締結を求めてきた武元文平・現市長の姿勢を継承する方針を示した】 ▶インドの原発放射能漏れ事故にIAEAが調査に 毎日新聞10月29日(時事) 時事通信によると、今年6、7月と続けて放射性物質が漏出事故が起きたインド西部ラジェスタン州のラジェスタン原発に調査に入るとのことです。 ▼いま中国で ▶北京のタクシー、窓開け禁止=党大会控え警戒強化?-中国 11月8日からの党大会を前に、タクシーの後部座席の窓の開閉ハンドルを取り外し、開けられないようにしているらしいです。なんでもビラまきを防ぐためとか。 【タクシー運転手が同紙に語ったところによると、最近、タクシーの後部座席から反体制ビラをまいたり、ビラを取り付けた風船を飛ばしたりするケースが相次ぎ、北京市当局がタクシー会社に「ハンドルを取り外す」よう通知】だそうです。 | ||