原発通信 330号2012/11/05発行
時間:13:00~ 国会・霞が関周辺デモ とんだ専門家。「大勢の人に囲まれ、冷静に判断できない」と岡田篤正・立命館大教授 何をガキみたいなこと言っているのでしょう。まわりの目が気になって適当にやってきたことがばれてしまいそうだと、泣き言をいっているのです。ウソをつく人というのは、なんだかんだと言って、密室で、言いたがるものです。その後ばれてしまっても、「俺はそうはいっていない」だの、「誤解だ」の、便利な言葉の典型である「真意が伝わっていない」などと言い逃れができるようにです。そもそもやましいことがあるから、大勢の目があると、「冷静に判断できない」などと言っているのでしょう。(下記) 「福島が新生東電の原点であることを示したい」なら、「脱原発宣言」しかない 東電首脳は「福島が新生東電の原点であることを示したい」ということで、「復興本社」を福島につくり、「約3万8000人の全社員を交代で年2~3回福島に派遣」して、「除染」作業だそうです。除染したもの、「ご迷惑おかけしました」といって、「自分のところ」(さて、これが大問題ですが)に持ち帰ればいいのですが。どうするつもりでしょう。 「復興本社」の話でも、全社員動員して、交替交替で福島での除染をするそうですが、ああ、そうですか、という話でしょう。移転費、電気代に上乗せしてしまえばいいのですから、気楽なものです。 どちらにせよ、人のカネで「賠償」し、これまた人のカネで「復興」支援です。本当に、彼ら、「出すものはベロ出すのも嫌だ」というのを地でいっています。(下記) 「脱原発は選択の問題ではなく、不可避の現実である」田坂広志氏 先日、自由報道協会で会見した内容がアップされています。さすが、これまで原子力村で20年間仕事をしてきた人だけあって真摯です。「みんな楽しくHappyがいい」に書き出しがありますので、ぜひ一読を!(下記) ▶<大飯原発>破砕帯の再調査も 「活断層否定できぬ」 【関西電力大飯原発(福井県)の敷地内の断層(破砕帯)が活断層の疑いがあると指摘されている問題で、原子力規制委員会は2日、初の現地調査を終えた。島崎邦彦委員長代理(前地震予知連絡会会長)は調査後、報道陣に「必要なら再調査も可能性の一つ」と語り、追加調査を示唆した。4日に東京都内で開く会合で結果を評価する】 ▶大飯原発:断層、再調査も…運転継続の行方見えず 【渡辺満久・東洋大教授は「断層は原子炉建屋の方向に延び、局所的なずれではない」として、地滑り説を否定した。これに対し、岡田篤正・立命館大教授は「地層のずれは、地滑りでも起きる。周辺を幅広く調査する必要があり、先走るのは危険」と反論した。重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員は「地質や地滑りの専門家を入れて判断すべきだ」と提案し、調査が長期化する可能性も出てきた】 【一方、地層のずれは、9.5万年前とされる火山灰を含む地層下にあり、年代の分かっている周辺地層との関係から、「12.5万年前以降」との見解で一致した。原発施設の耐震基準を定めた「耐震設計審査指針」では、12万~13万年前より後に動いた断層を活断層としており、年代的には一致する。規制委は数十万年前以降への拡大を検討しており、他原発の再稼働判断へも影響する恐れがある】 それにしてもとんだことを言う「専門家」を選んだものです。 【岡田教授は「大勢の人に囲まれ、冷静に判断できない。情報公開も結構だが、数時間で結論を出すのは無理」と訴えた】 ▶大間原発 電源開発工事の再開めぐり町に抗議殺到 【大間原発の建設工事再開をめぐり、地元の青森県大間町に抗議の電話や電子メールが殺到している。脱原発の立場から理性的に町の姿勢を批判する内容もあるが、多くは事実誤認に基づいていたり、国の原子力行政への怒りをぶつけたりしている。応対した職員が一方的に罵倒されるケースも後を絶たず、町は対応に苦慮している】 それだけ、工事再開に憤っている人々がいるということです。情報は正確につかまなければいけません。下手をすると逆手に取られかねませんから。 ▶日比谷公園、都がデモ制限 市民「集会の自由に反する」 【都が、対応を変えたのは今年8月から。従来、デモ隊は公園の一角に集まり、出発してきたが、都はこれを禁止し、集まる会場として園内の日比谷公会堂や大音楽堂を有料で借りるよう求めるようになった。 突然の変更に、市民団体側は「集会の自由を侵害する」と反発する。首相官邸前で抗議行動を続ける市民団体「首都圏反原発連合」(反原連)のメンバーは先月30日、都が公園内の一時使用を認めるよう、東京地裁に行政訴訟の一環である「仮の義務付け」を申し立てた】 ▶都が日比谷公園からのデモ出発を許可せず 危機に晒される「集会の自由」 【ところが公会堂か野音を利用した後でなければ、デモの出発場所として日比谷公園を使えないことが明らかになった。公園を管理する東京都が手続き規則を8月に変更したことが理由だ。(野音は8万3,500円から、公会堂は15万8,400円からと使用料はバカ高く、最低でも6か月前から予約が必要) 首相官邸前の原発再稼働反対集会を主催する「首都圏反原発連合」のメンバーが11月11日に予定しているデモの出発・集合場所として日比谷公園を使用したいと公園サービスセンターに申し出たところ、「8月に都から『使用の受付はやるな』とお達しがあった」と言われ拒否された】 ▶社説:放射性廃棄物 処分政策に向き合う時 「脱原発」をめぐるJAの動き JA茨城は10月の県大会で脱原発を決議。JA福井は「自治体の考え方を重視したい」。JA愛知は、「無視」 背後にトヨタの影 ▶脱原発:JA愛知、見送り 産業界に配慮、全中と方針そろわず 本通信313号で報告したJA全中の脱原発宣言ですが、足並みがそろいません。 【傘下のJA愛知中央会(倉内巌(いわお)会長、組合員約45万人)が16日決議する独自の活動方針には盛り込まないことが分かった。JA愛知の関係者によると、愛知県内では工場で働く兼業農家が多く、原発停止に伴う電力不足を懸念する産業界に配慮したといい、JA全中と足並みが乱れた形だ。 JA愛知は16日、3年に1回の県大会を開催し、今後3年間の活動方針を決議する。方針には、自由貿易を進める環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の反対などは明記するが、原発に関しては一切言及しない。 JA愛知によると、愛知県内で農業の盛んな地域の一つは豊田市周辺だが、トヨタ自動車など製造業の中心でもあり、「兼業農家が工場で働くなど結びつきは強い」(幹部)。産業界は原発停止を批判しており、こうした事情を背景に脱原発を活動方針に盛り込まないことになった】 【日本原子力発電東海第2原発があるJA茨城は10月の県大会で脱原発を決議している。一方、関西電力大飯原発などがあるJA福井は「自治体の考え方を重視したい」と脱原発は提案しない方向】 JA福井、「自治体の考え方を重視したい」とは聞こえはいいですが、要は、責任が生じるものは避け、「人のせい」にして、スルーしようとする姑息なことを考えているということです。 ▶東電:福島に復興本社 現地に賠償権限移す 【東京電力は福島第1原発事故の被災者賠償や除染体制を拡充するため、福島県内に「福島復興本社」(仮称)を来年1月にも設置する方針を固めた。賠償支払いを判断する権限などを本店(東京都千代田区)からすべて復興本社に移し、復興業務に携わる人員を現行の約3500人体制から4000人体制に拡充し、信頼回復につなげる狙いだ】 【電気料金の値上げ幅圧縮を踏まえ、物品調達や発電所修繕基準の見直しにより年1000億円規模の追加コスト削減に取り組む方針を明記】 ▶<東電>火力を社内分社化…建設・運営で競争、8千億円削減 【火力発電所の建設、運営会社は今後、入札で選び、火力カンパニーもガス、石油会社など外部企業と同じ条件で応札。どれだけ安く建設し、電力供給できるかを競わせ、火力発電所への投資額を10年間で約8000億円圧縮することを目指す】 *社内カンパニー制 【各カンパニーは独自に投資判断を下せるため、意思決定が速くなるとされる。ただし社内の連携が悪くなるなどの副作用もあるとされ、ソニーなど一旦採用した社内カンパニー制を解消した企業もある】 ▶除染手当、作業員に渡らず 業者が「中抜き」か 福島 【環境省は今年1月から作業拠点となる役場などの先行除染に着手。すでに18件(計35億円)を発注し、数千人が働いている。環境省は、通常の給料とは別に現場の線量や原発からの距離に応じて一日3300円~1万円の特殊勤務手当を作業員に支払う契約を元請けの11社・1組合と結び、手当分を含めて除染事業の予算を計上している。 ところが、ゼネコン6社が受注した1億円以上の先行除染の6件すべてで、作業員に手当が適正に支給されていない事例が朝日新聞の取材で見つかった】 ゼネコンはいうのでしょう。「適正に行っている」と。そして、「これは下請けの問題だ。俺は知らないよ」と。 フクイチ、被曝作業問題 ばれちゃったということでしょう。今まで、うまく隠しておいたのにというのが本音。 ▶福島原発作業員、関電工を告発 高線量現場で作業継続 【関電工の2次下請け会社に所属していたが、チームにいた関電工の社員2人から具体的な指示を受けたという。 作業前に「少々線量が高いが支障はない」と説明されたが、汚染水につかった他の3人が180ミリシーベルト前後を被曝。20ミリシーベルトに設定した電子型線量計の警報音がなっていたが、関電工社員は「誤作動もある」などとして作業の継続を指示したという。作業員は水につかって作業するよう求められたが、危険を感じて拒否し、被曝量は11ミリシーベルトだった】 ▶福島第一で大量被曝もう1人 東電、指摘受け一転発表 【東京電力は2日、福島第一原発3号機タービン建屋地下で作業員3人が汚染水に入って大量の放射線を浴びた昨年3月の事故で、もう1人の別の作業員が汚染水に入って被曝(ひばく)していたと一転して発表した】 ▶告発の原発作業員、朝日新聞に語る 【階段下の地下室をヘッドライトが照らした。うっすら湯気の立つ水面が見えた。「あり得ない」】 【作業を開始して数分後、線量計の警告音が次々と鳴りだした。設定は毎時20ミリシーベルト。動揺する作業員に、関電工の社員は「故障もあるし、誤作動もある」となだめた】 【同僚作業員は水深15センチほどの水に足をつけて作業していた。くるぶしまでつかった水は「生温かかった」という】 【「被曝事故は起きたのではなく、起こされた。我々は高線量を浴びさせられて使い捨てか」】 【背景にあるのは複雑な下請け関係だ。今回の事故では現場にいた東電の作業チームは毎時400ミリシーベルトの放射線量を知ってすぐに撤収】 【「私はたまたま、いろんな人の助けがあって訴えることができたけれど、ほとんどの労働者は職を失うから口を閉ざすしかない」。作業員はそう語った】 ▶「脱原発の都知事を」市民ら擁立模索 住民投票実現目指す 【「原発についてわれわれ都民の意見を聞いてくれる人を選びたい。恥ずかしい話ですが、前回の都知事選はだれに投票したか覚えていない。今回は当事者として候補者選びにも取り組む」】 この会の参加者の声にある「強いリーダーシップのある石原さんでいいという雰囲気」で前回の都知事選は石原に投票したという人もいるでしょう。今の政治状況のなかでも変わることなく同じことが言われています。そうした「市民の感覚」をどう突き破ることができるのかです。 なお、この会に参加された方からの情報では、候補者には、湯浅誠、宇都宮健児、菅直人、伊藤真、宮台真司、山本太郎、上原公子(本人辞退)、などの名前があがったそうです。 ▶「脱原発は選択の問題ではなく、不可避の現実である」 田坂広志氏は、福島第一原発事故が起きた際、菅首相に呼ばれ内閣官房参与に任命され、事故対応にあたった方です。本人も「原子力ムラの住人」であったことを認め、事故後呼び出され、「原子力の世界」に戻ってきたといいます。 そういう過去をもっている自分だから、「何か運命的にこの世界に戻って原子力行政と原子力産業の改革という事を論じざるを得なくなった時に、かつて私が見てきたことが何かの意味があるんだろうと思って、今、ささやかな活動をしております」といいます。 自由報道協会での会見では、「本当の原発の安全性というのは、人的・組織的・制度的・文化的安全性の事」と指摘し、「原発に依存しない社会、もしくは原発ゼロ社会というものは、政策的な選択の問題では、もはや無くなっています。これは不可避の現実と言わざるを得ない」と、明確に論を立てます。 全文は、こちらを読んでいただければと思います。下記はその一部です。 【原発ゼロ社会はみなさん選ぶんですか?という論調が今非常に広がっています。特に原発を推進するという立場の方々から、「原発ゼロ社会などを選んだら、この国の経済はおかしくなりますよ」「電力料金は2倍になるし、雇用も減るし、海外に企業が行ってしまいますよ」みたいな事をおっしゃいます。 この議論が正しいかどうか?という事をも、ま、あるんですけれども、それ以前に私が一番申し上げたいのは、今この時点に於いて原発ゼロ社会というのは、政策的な選択の問題ではありません。つまり、ゼロ社会を選ぶんですか?選ばないんですか?という選択問題ではありません。これは不可避の現実だという事を申し上げています】 | ||