原発通信 339号2012/11/16発行
「冗談よしこさん」です。 「世界最高水準の安全性を目指す」と強調だそうですが、林家三平ではないですが、“冗談よしこさん”です。何を目指そうと勝手ですが、覆水盆に返らず、後悔先に立たずです。レッドカードを突きつけられたのです。しかも、よりによって、身内で固めて、信用・信頼なんてされると思う神経がどうかしています。まさに“正気の沙汰”ではありません。事故を起こした東京電力の人間を入れるのはまずいだろうという気は働いたようですが、これも頭隠して尻隠さず──、いや、頭も隠していませんから、なんて言ったらいいのでしょうか。 「ちゃんと(安全評価を)やろうとしたら、知識のある人間がやらないとできない」などと開き直っています。その意味でいったら、「知識のある人間」といわれている田中俊一原子力規制委員長のほうがまだ謙虚です。自分たちに能力がないといっているのですから。まあ、何に対してということを吟味しないと危ないのですが。 その知識だって、爆発しないと言ったのに爆発し(「あちゃあ」という顔をした班目──『官邸の100時間』p121)、爆発映像を見ても、言い訳だけはすぐ思いつき、「爆発弁」を使ったのだという専門家(「あー、まー、いや、僕は知りませんね。こういう出し方、爆破弁を使って出すというのも、尋常なやり方ではないもので、あの、知りません」(有富正憲・東工大原子炉工学研究所所長の言──『官邸の100時間』p127)、爆発した原発(の映像)を見ても(誰だって爆発したとしか見えない。事実、爆発です)、ベントだと強弁したものもいたそうな(『官邸の100時間』p128)。 これが日本の原子力、原子炉の権威といわれていた連中の程度です。それとも、「班目や有富は程度が低い連中。私たちはもっと高度な知識、知見をもっている」とでも。それこそ、冗談よしこさんです。 ▶原発:電力など123社、安全審査で新機関 独立性疑問も 【電力会社や原子炉メーカーなど原発関連123社は15日、原発の安全性を評価する自主機関「原子力安全推進協会」を設立したと発表した。電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は記者会見で、協会を各社から独立した機関として運用し「世界最高水準の安全性を目指す」と強調した。だが、協会幹部は電力会社役員など、ほとんどが「原子力ムラ」の出身。独立性を発揮できる保証はない】 【意思決定にかかわる理事12人中9人が電力や原子炉メーカー出身、2人が原子力系の研究者で、原子力ムラと無関係なのは、危機管理の観点から選ばれた全日本空輸の元専務1人だけ。脱原発を訴える人は選ばれなかった】 【原子力ムラの出身者が大半を占めたことについて、松浦代表は会見で「ちゃんと(安全評価を)やろうとしたら、知識のある人間がやらないとできない」と】 *理事就任者(カッコ内は出身団体) 松浦祥次郎代表(日本原子力研究所=現日本原子力研究開発機構)▽藤江孝夫理事長(日本原子力発電)▽成瀬喜代士(中部電力)▽大野智彦(同)▽久郷明秀(関西電力)▽岩根茂樹(同)▽大内学(全日空)▽羽生正治(日立製作所)▽深堀慶憲(九州電力)▽福田昭夫(三菱重工業)▽正森滋郎(同)▽横山速一(電力中央研究所) ▶東電、解約金52億円を要求=売電契約終了の都に 【東京都の水力発電による売電事業をめぐり、東京電力が51億8800万円の解約金を都に要求したことが16日、分かった。都が契約期間を6年残し、売電終了を打診したため】 契約通りということを持ち出す神経、並みではありません。確かに「放射性物質をばらまくことがあるかもしれませんが、原発での電気、使います」という契約を私たちはしたのでしょうか。でも、そんなこと、問題にもならないでしょうね。こういう時に専門職の方々、いい知恵、ないでしょうか。 ▶福島健康調査:第2回検討委も進行表 県、一転存在認める 【県は15日、新たに第2回検討委(昨年6月18日実施)の進行表が見つかったと発表した。県が10月に公表した準備会の内部調査結果では、この進行表の存在を「なし」と結論付けていたが、準備会の事務担当の職員が所有していたという。今回見つかった進行表は、タイトルとして「検討委員会シナリオ」と書かれ、分刻みで山下俊一座長や県職員の発言予定内容が記されている】 【10月に情報開示請求が行われた際、準備会の事務を担当していた職員からの申し出で存在が判明した。この職員から聞き取っても、進行表が資料にとじられていなかった理由は「確認できなかった」としている】 ▶選挙:刈羽村長選 立候補者の横顔紹介/新潟 「安全最優先で脱原発を」──元村議会副議長の武本和幸氏(62) 【学生時代から反原発運動に携わり、1975年、運動仲間に推され25歳で村議に。6期24年続けて副議長】 【原発再稼働には「安全確保、村民が一人も被ばくしない防災計画、周辺自治体の了解」が条件だという。クリアされれば「村は水道もガスも広域事業。周辺との協調が大事」と全否定はしない】 「原発と共存共栄を」──4選を目指す現職の品田宏夫氏(55) 【34歳で村議に】 【柏崎刈羽原発については「東電も県も政府もパートナー。共存共栄を図る」】 【再稼働の可否は原子力規制委員会の判断に任せる。「できる限りの防災計画を作る。ただリスクゼロは無理。福島の事故後も今年5月まで原発が動いていた事実を冷静に評価すべきだ」】 ▶原発事故 難航する「指定廃棄物」最終処分場 【環境省の担当者は「安全面は保証できるので(最終処分場建設は)理解してもらえると考えていた。当初思っていたより厳しい」と】 8月3日現在 岩手=315トン◇宮城=591トン◇福島=3万1993トン(旧警戒区域と旧計画的避難区域は除く)◇栃木=4445トン◇群馬=724トン◇茨城=1709トン◇千葉=1018トン◇新潟=798トン◇東京=982トン の計9都県4万2575トンが指定 環境省の役人は「当初思っていたより厳しい」と言ったそうですが、そういうことを正直にというか、なんというか…、本当にそう思っていたのでしょうか。そうだとすると、原発、放射能、放射性廃棄物というものにまったく無関心だったということでしょう。無関心だったとしてもいいです。でも、3.11後から、原発問題がこれだけ大問題になり、「国論を二分する」だの、国家存亡の危機だのと言われた福島第一原発事故から1年半以上たっているのです。その間、十二分に「学習」する時間は、なかったとは言わせません。もしそうだとすると、職務怠慢です。そんなだから、「役人を減らせ!」などというアジに扇動されたりするのです。もちろん、不要な、無能な役人は即刻退場してもらいたいですが。 ▶福島第1原発事故 第2次集団告訴、過去最大の規模に 全国に広がった思い/福島 【福島地検に15日提出した告訴・告発状は1万3262人分に達し、6月の県民分を合わせると1万5000人に迫る】 ▶福島原発事故 1万3262人2次告訴 東電幹部ら33人対象 【東京電力福島第一原発事故をめぐり、福島県民ら全国の一万三千人超が十五日、東電の勝俣恒久前会長など事故当時の経営陣ら三十三人について、業務上過失致死傷などの疑いで、福島地検に第二次の告訴・告発状を提出】 【避難途中の死亡や、避難生活に絶望した自殺など「災害関連死」のほか、子どもたちの甲状腺異常で被害に遭ったとしている】 ▶原発ゼロ目標、言及なし 11年度版エネルギー白書 【経産省は「白書はことし7月末ごろまでの動きを記述対象としているため」と説明】 ▶狩猟解禁 原発事故の影響続く 【栃木県内では、原発事故の影響で、日光市などで捕獲された鹿といのししの肉から国の基準値を超える放射性物質が検出され、検査態勢が整った加工施設などを通した肉以外は食べないよう呼びかけています】 【このため猟をする人が減り、昨年度、捕獲された鹿といのししはおよそ3000頭と、前の年より600頭減っています】 【「狩猟で得た肉を自由に食べられなくなっているので、猟をやめる人もいて影響は大きい。このままでは鹿やいのししが増えすぎてどうにもならない」と】 原発事故の影響、こんなところにも出ています。それでなくとも熊やイノシシによる「被害」が多発している現在、問題はさらに拡大していくでしょう。原発は罪作りです。 まだまだあります。とんだ石原の「置き土産」 ▶石原前知事の側近登用に批判 【自民党の川井重勇議員は、「本来、知事と共に辞職すべき特別秘書を専門委員に登用する石原前知事の人事は、側近を都政に残すようなもので、あってはならないことだ。専門委員の給与は公金で賄われており、そもそも専門委員にふさわしい人物かどうか検討されなければならない」と指摘】 【知事本局の前田信弘局長は、「辞職する知事による専門委員の任命は、東京都だけでなく全国的にも例がないことから、慎重に検討したところ法的に問題はないと判断し、手続きを進めた」と答弁】 | ||