原発通信 346号2012/11/27発行
![]() 「もう勘弁してくれ」と言いたい奴ら ▶放射能拡散は「価値観」で予測するものなのか 私たちは大きな勘違いをしていたようです。昨日の毎日新聞夕刊「特集ワイド」を読んでいて、勘弁してくださいよという気になりました。 なにかというと、原子力規制庁の役人、「いろいろな価値観があると思うが」(下記)などと、客観的な事実をもとにしたものではなく、旧原子力安全委の“価値観に従っ”て放射性物質の拡散予測を行ったと言っているのです。自然現象を現在の知見で「科学的に分析」して規制を行っていると思っていたら、原子力ムラの「価値観」に従ってということらしい。自然、科学の分析をするにあたって、「好き・嫌い」という価値観を持ち出していることに驚きです。いつからこんなデタラメを恥じることなく言えるようになってしまったのでしょうか。自分たちに都合のいいデータをもとに(これが「価値観」なのでしょう)だけ計算しているということが十二分に想像・考えられることですが、こうも開き直られると開いた口がふさがりません。 ▶「政策を語ることではない」と橋下 先日来、橋下の言いっ放しのテキトー語について書くこと自体、敵を利すると思うので嫌なのですが、そういうわけにはいきません。 「政策を語ることではなく、中央の役人を動かすことだ」などと吠えていますが、何のためにです。地方分権? で、何をする? それが政策でしょう。それを語る必要がないなどと言っているのです。これぞデマゴギーのデマゴギーたるものです。 ところが、大阪維新の会の松井はなんと言っているかというと、原発問題で連携を見せている他党に対して、「原発以外にあうものあるのか」などと、自分のところは棚にあげというより、そんなもの関係ないと“大将代理”が吠えていることを知ってか知らずか、いい気なものです。 そもそも「じゃんけんで決める」とはどういうことかと記者に問われ、「言葉のセンスがない」と逃げ切っていますが、センスがないとは、どのようにセンスがないのかと突っ込む記者もいません。橋下、言いっ放しです。そうした「論法」──しゃべり方、橋下と石原、共通しています。 ▶昨夜(11月26日)放送の報道ステーションを見て 総選挙前ということであわただしい政界再編成についての報道でした。大阪維新の会が石原の太陽の党と合体するにあたって、維新の会の原発政策(橋下の言う通りならそんなの出す必要すらないと思うのですが)、「若干後退」などと言っているのです。若干なんていうものではないでしょうにと。また、後藤なにがし(ジャーナリストの肩書、確か共同通信の記者だったのでは、退職か)が、ネットでは、「政治に関心がある若者」に石原や橋下が人気があるなどと「分析」していました。そんなの「ネトウヨ」だろうと思うのですが、「政治に関心がある」といえば、その意味ではあるのでしょうが。その程度の分析しかできないとは情けないです。か、確信犯です。 ▶安倍晋三、子どもに「規範意識を身につけさせる」だと。 これとて、もう勘弁してくださいよの世界です。なんであんたにそんなこと言われなきゃならないのという世界です。 ▶「外交で国守る覚悟示す」 今日付(11月27日)の毎日新聞総合面。「党首に聞く」という欄で石原慎太郎の言です。 先日、本通信で「覚悟」のインフレだ、奴らが国民に覚悟を求める時ほどろくなことはないと書きましたが、言っています。「覚悟を示すのだ」と。しかし、“自分は勘定に入れず”です。 ▶連合東京は、猪瀬「支援」だそうです。 今日付(11月27日)の毎日新聞。支持ではなく支援──何を支援するのでしょうか。まあ、連合は組織労働者の味方ですので、組織労働者の雇用等々にはいいと判断したのでしょう。いずれにしても、私のような未組織末端、“フェアトレード”とも無縁な立場のものには関係ありませんが。 ▶訂正続き、信頼失墜 放射性物質拡散予測地図 「最悪」想定、もっと公開を 【16方位で261の試算値を除くと合計約4000、全体の半分弱を無視することになる。規制委の事務局・原子力規制庁は「いろいろな価値観があると思うが、今回は旧原子力安全委の指針に従った」と説明するが、大気の拡散予測などを手がける民間研究機関「環境総合研究所」(東京都品川区)顧問の青山貞一さんは「極端な値だけを除いたとは言えず、高濃度の試算値を意図的に切り捨てたとしか思えない」と批判する】 ▶3・11後のサイエンス:原発「ゴミ処理」も語れ=青野由利 【今回の事故では、閉じこめ機能のないプール貯蔵のリスクに心底ぞっとした。4号機のプールが空だきにならなかったのは運がよかっただけという話は、以前にこの欄で書いた通りだ。では、乾式貯蔵はどうか。津波をかぶったものの大きな異常は見つかっていない。もちろん、さらなるチェックは必要だ。それでも、プール貯蔵に比べてリスクが低いとすれば、全国の原発でできるだけ早く乾式貯蔵に移行するのが得策だ。世界の潮流も乾式に向かっている】 【こうしてみると再処理は、原発を動かし続けるための装置であり、原発の「ゴミ」処分を永遠に先送りする装置として働いてきたことがわかる】 【衆院選に向け各党が原発政策を打ち出している。焦点はもっぱら原発をゼロにするかどうかだが、核の「ゴミ」をどう処分するのかは原発政策への覚悟を示す指標である。ぜひ、これも語ってほしい】 まことにもって、その通り。“ああいえばジョーユー”(古くなってしまいました)ではありませんが、原発は必要だなどと言っていても、じゃあ、“核のゴミ”をどうするんだということになった途端、「そのうち画期的な科学が出てきて、できるようになる」などと言う夢物語を語らない限りどうしようもないものだということは明らかなのですから。 ▶福島第1原発で注水増加 【福島第1原発3号機で、注水量が毎時5.8立方メートルから7立方メートルに急増し、保安規定で定める1時間当たりの変化量(1立方メートル)を超えたと発表】 「注水量が増えると、核分裂が連鎖的に起こる臨界になりやすい状況になるが」と言っていますが、これまで、そんなこと言っていたでしょうか。制御棒はきちんと挿入され、停止状態、再臨界などありえないなどと、事故後、あの松本純一クンが盛んに言っていたことしか記憶にないのですが。まして、注水量が増えるととなんて…。 これは明白なカルテルでしょう しかも原価に電力出身議員の給料まで組み込んでいるのです。 そもそも、各電力会社はシンジケート。価格はカルテルを結び、原子力ムラはマフィアとも呼ばれ、電力総連は、ミカジメ料取り立て人か用心棒として存在しています。まさに、マフィアの世界と同じ。今、私たちの世界は、禁酒法時代、アル・カポネが跋扈していたシカゴと変わりない様相を示しています。というより、構造はほとんど同じです。カネ…それにつきます。論理はなく、とうてい哲学も倫理もありません。これを現実主義と言っていいのか、刹那主義と呼んでいいのか…。いずれにしても精神の荒廃です。 ▶<関電値上げ>産業界に打撃 4社追随見通し これまで原発に安住し自分たちは取れるだけ取っておいて、今さら値上げとは。これをカルテルと言わずして何と呼べばいいのでしょう。 しかも、朝日新聞26日付トップには、電力会社出身で、議員になっているものが全国で99人おり、議員になってからも電力会社から給料が支払われ、かつ、その「人件費」もきちんと電力価格に反映するコストの中に組み入れている、という記事が出ていました。もう、何をやっていたのかわかったものではなく、信用など、とてもではありませんができるものではありません。 その議員たちは電力総連出身。安倍晋三の日教組批判・民主党批判にならっていえば、「電力会社から金をもらっている。だから脱原発なんてとても言えない、推進だといっている」となるのです。 ▶福島原発事故:「健康調査に不備」国連の専門家指摘 【国連の専門家「健康を享受する権利に関する特別報告者」アナンド・グローバー氏が26日、東京都内で記者会見し「福島県の健康管理調査は(対象地域や項目の)範囲が狭い。子どもの甲状腺検査の診断書を受け取れない親もいる」などと問題点を指摘した。日本政府の反論も踏まえ来年6月、国連人権理事会に報告書を出す】 【「政府は用心深い姿勢に立ち、長期間の調査を行うべきだ」と注文を付けた。同調査検討委員会が秘密裏に開いていた準備会(秘密会)を巡っては「専門家だけではなく地域社会も関わらなければいけない」とプロセスの透明化を求めた】 ▼2012衆院選 ▶嘉田新党:脱原発軸に「非維新」結集狙う 【滋賀県の嘉田由紀子知事が26日、新党結成を目指す意向を固めたことで、脱原発を軸とした勢力の結集が進む可能性が出てきた。日本維新の会が旧太陽の党との合流で脱原発色が薄まったことに対応するもので、第三極のうち「非維新」の部分の結集を狙う側面もある】 ▶社説:自民の「国防軍」 名称変更の意図を疑う 【自民党の安倍晋三総裁は「憲法9条を読めば、軍は持てないという印象を持つ。詭弁(きべん)を弄(ろう)するのはやめるべきだ」と】 まったくその通りです。正しいことを言っています。でも、民主党が政権取ったのは、え~と3年ちょっと前…。自衛隊ができたのは、1954年(前身の警察予備隊はその前ですが)、その時から政権を取っていたのは、翌年保守合同となる自民党だったのでは。そして自衛隊は軍隊ではないと、ず~と言っていたのでは。ということは、自民党は国民をだましていたと──そうはっきり、安倍晋三言いなさい。いや~、諸般の事情で、皆さんを騙していたんですよ、でも騙されるあんたらも悪いんですよとでも。違いますか。 昨年「私は法律違反をやっています」と言って、福島の汚染問題に取り組んでいた東大の児玉龍彦さんにならって、「私たちは憲法違反をしていました」とでも言いなさいと。でも、そんなこと改めてとなど言ってはいけません。彼らに彼らの口から言わせるのです。 ▶衆院選:維新・みんな、合流頓挫 渡辺代表「旧太陽切れぬなら困難」 【渡辺氏は、旧太陽との合流の際にまとめた維新の基本政策について「『原発ゼロ』が反映されていないなど、満足のいくものではない」と批判し、「合流と言われてもなかなかのめる話ではない」と答えていた】 でも、少しは、色気があったのでは…。 | ||