原発通信 348号2012/11/29発行
些細なことどころか、「脱原発」は大きな争点となってきた! 民主党・自民党・公明党、維新の会が何とかして原発問題の争点化外しを企んでいましたが、そうはいかないようです。その意味では、小沢一郎氏のほうが、一枚上手だったといえるでしょう。脱原発へ、滋賀の喜田知事を担いでの新党づくりは功を奏したといえるでしょう。大マスコミ、朝日新聞などは「選挙互助会」だなどと言っています。 ▶未明に泥縄で「原発」。ここでもお得意の後出しじゃんけん 日本維新の会 日本維新の会、当初は原発なんてなどと高をくくっていたのでしょう。しかし、あっちこっちを回ってみると原発問題が“ことのほか”大きいと“自覚”したということなのでしょう。“些細なこと”ではなくなったということでしょう。泥縄的に「原発」をもぐりこませてきました。 「脱原発依存体制の構築」「2030年代までに(原発は)フェードアウトする」などと言っていますが、それこそ政策などではなく、そうなるだろうという“希望”──“人任せ”(「結果として」)です(下記)。「プラン」などもありません。出まかせです。「原発なくして成長なし」的なことをさっきまで言っていたのではないですか。しかも、よっぽど自己顕示欲が強いのか、「先進国をリードする」などという枕詞をつけないと安心できないようです。しかも未明に発表、まさに泥縄です。 ここに集う連中は、人には「汗を流せ」「血を流せ」「一生懸命働け」などと笛や太鼓を打ち鳴らしますが、自分はいつも「安全地帯」で「観戦」です。「国を守る覚悟」だ何だといいますが、「俺が先頭を切って行く、だから続け」とは言いません(もっとも、そう言えばいいのかということでもないのですが)。いつも掛け声だけです。ほら、スポーツ観戦でいるじゃないですか、「そうだ!そこだ!」「何やっているんだ」「ここでがんばらなくてどうするんだ」などと、掛け声(人は応援ともいう)をかける人。「じゃ、あんたがやれば」と、ひねくれて思う時もありますが、そんな無責任さを彼らに感じるのです。 ▶大前研一からも“三下り半” 原発がなければ日本経済が…などと言っていますが、じゃあ、それまでに日本経済の足腰を強くする「政策」を何かお持ち?と。 「プラン」すら独自に出せません。出せるのは掛け声だけ?「キアイだ!キアイだ!」と叫ぶおっさんと同じです。まあ、しかし、彼はまだ、わが娘を差し出しています。維新の連中、わが家族、一族を差し出す、それこそ「覚悟」があってのことかと言いたい。 そんなことだから、大前研一からも「石原さんも橋下さんも、経済や外交問題については何も提案していない」と言われる始末です。(下記) ところで、今週の「週刊文春」によると、石原慎太郎の三男(宏高)は「幸福の科学」に入信とか。「幸福の科学」=「幸福実現党」のビラがときどき自宅に入ってくるのですが、気分はもう「戦争」です。 http://www.zassi.net/detail.cgi?gouno=32592 ▶維新「脱原発」復活 「30年代までに停止」 未明に公約発表 下記の記事と同文なのですが、見出しはこっちのほうがいいので貼っておきます。 ▶<日本維新の会>衆院選公約を発表 「脱原発」の文言が復活 【エネルギー政策では「先進国をリードする脱原発依存体制の構築」をうたい、政策実例として、厳格な安全基準のルールを設け発送電分離などを進めることを明記した。その結果として、「2030年代までに(原発は)フェードアウトする」との見通しを示した。自主憲法の制定も明記】 【維新は旧太陽の党との合流時の合意文書では「脱原発」の文言を外していた】 ▶維新の会:公約に武器使用基準の見直し 【原発政策について維新は、「2030年代までの原発全廃」の年限目標を見送る一方、安全基準などルールを整備して再生可能エネルギーなど新しいエネルギーの供給体制を構築すれば、結果として「原発は30年代までになくなる」との見通しを明記する方向で調整】 ということは、2030年代までに日本の経済が原発なしでも成長できるというプランをお持ちということなのでしょう。見せてもらいたいものです。いい加減口から出まかせはやめろといいたい。 ▶中間貯蔵施設、現地調査受け入れ 福島県知事が表明 【佐藤知事は28日、双葉郡の首長らと協議。その結果をふまえ、▽建設受け入れではない▽地元への丁寧な説明など、設置主体として国が責任を果たす▽調査の状況を適時報告する――の3点を長浜博行環境相に申し入れた上で、調査受け入れを決めた】 気持ちはわかりますが、調査イコール建設ではないなどと言う「言い訳」通るはずもないでしょう。そんなことがそこらじゅうでまかり通ったら、税金の無駄遣い、地域活性化のために、調査、ウエルカムというになってしまいます。そこにも見え隠れするのは、俺は責任ないんだという逃げです。 ▶中間貯蔵施設:福島県など現地調査受け入れを決める 【今年8月、現地調査の候補地として、福島第1、第2原発の立地する大熊、双葉、楢葉町の計12か所を提示。首長らは当初、慎重姿勢だったが、大量の汚染土壌などを保管するために必要との認識で一致。県内各地から、早期建設を望む声もあがっていた】 一方、署名活動までして誘致しているところ、大熊町もあるのです。 ▶原子力規制委:東京電力の幹部招致へ 原発でのミスなどで 【東京電力の原発でミスやトラブルが相次いでいるため、原子力規制委員会の田中俊一委員長は28日の記者会見で、「東電の安全対策の取り組みに疑念がある」として、東電経営陣から事情を聴く方針を明らかにした。規制委事務局の池田克彦・原子力規制庁長官が29日、広瀬直己社長らに面会する】 【田中委員長は「東電では、制御棒脱落事故(07年発覚)など福島事故前からいろいろな問題が発生している。どこかおかしいのではないか。(作業を)下請けに任せっぱなしにしていないか」と指摘。「次々と際限なく繰り返す体質にメスを入れなければならない」と】 【28日の規制委の定例会では、全議題が東電のミスやトラブルに関係する内容だった】というのですから、何をか言わんです。 ここだけを切り取って聞けば、まったくその通りでございます。しかし、「人のふり見てわがふり直せ」「隗より始めよ」ではありませんが、自分たち規制委、規制庁も自分に「メスを入れなければなりません」。 東京朝刊の見出しは、 原子力規制委:東電社長ら面会へ 「安全対策に疑念」 ▶原発燃料集合体変形:規制委、東電以外でも調査へ 【東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)5号機で、原子炉で使った燃料集合体の部品が変形していた問題について、原子力規制委員会は28日、点検した燃料集合体47体のうち18体に変形があったとの東電の調査結果を報告した。変形はいずれも、集合体を覆う金属カバーを再利用して装着する際に起きており、同様の事例がある東電以外の5電力会社に対しても、変形の有無を年明けまでに報告するよう指示することを決めた】 【田中委員長は会合で「組織上の問題があるとの疑念が払拭(ふっしょく)できない。経営層に話を聞きたい」と】 これについても、田中委員長が申しているとおりです。 ▶原子力安全基盤機構:事故報告書要約を2300万円で外注 【政府や国会などが設置した事故調査委員会の報告書を要約するだけの業務4件を計約2300万円で外注していたことが28日、分かった】 要約するだけで、いい仕事です。しかし、なぜ要約が必要なのでしょうか。仕事をつくるためにつくっているということでしょう。 ▶選挙:東京都知事選 きょう告示 原発政策も争点 【これまでは都政を約13年半率いた石原慎太郎氏への評価が主な争点とみられていたが、28日に脱原発の勢力結集を目指す新党「日本未来の党」が候補予定者の支持を決め、原発政策も争点としての重みを増した構図となった】 ▶海抜18メートルの防波壁=前国際エネルギー機関事務局長・田中伸男 【総選挙に向けて脱原発は有権者の耳に快く響く。だが国民に不人気だからと言って原発ゼロのリスクを説明しないと東日本大震災と津波を想定外とした過ちを繰り返すことになる。日本国民は3・11から何を学んだのか。 海抜18メートルの防波壁は大津波だけでなくイラン危機からも日本を守る】 だそうです。こっちが聞きたいです。3・11からあなたは何を学んだのですかと。 ▶福島警戒区域:再編4市村の避難区域 年末年始の宿泊許可 【政府は28日、福島第1原発事故による警戒区域が再編された4市村の避難区域について、特例として年末年始の自宅の宿泊を許可すると発表した。 期間は、12月29日~1月2日の最長5泊6日。対象は南相馬、飯舘、川内、田村の4市村の避難指示解除準備と居住制限の両区域、約8890世帯2万7650人。帰還困難区域は含まない。楢葉町も再編されたが、「除染やインフラ復旧などが遅れ困難」として実施しない】 除染が進んでいるということを示したいだけでしょう。OKとなっても多分「宿泊」する人は、年配者が多いのでは。その後、何か出てきても、歳ですからということで…。 ▶地震研究:計画を見直し 古文書の記録調査を重視 【文部科学省は28日、東日本大震災と同規模のマグニチュード(M)9級の超巨大地震の仕組み解明や予測研究を強化するため、地震研究計画を見直すことを決めた。これまで軽視されてきた古文書などに残る地震や津波の記録調査を重視するのが特徴】 【これに伴い、これまでの計画に沿って、千島海溝や南海トラフで行われている一部の大学などの研究を中止または縮小する】 要は、現在、現時点での「知見」より、「事実」がものをいうということの再認識でしょう。現代の“シッタカサン”より、歴史的事実のほうが価値があるという当たり前のことを。 ▶北海道暴風雪:28日も停電続く 全面復旧は30日か テレビでは、「オール電化にしてしまって後悔しています」という声が紹介されていました。まったくその通りなのです。阪神大震災でライフラインの大切さ、それが一つしかない場合の危機について学んだはずなのですが、その後、原発発電の余剰電力の捨て場として、電力会社の甘い言葉にのってしまった人たちの不幸でしょう。今からでも遅くないと思います。ライフラインの多重化を検討したほうがよいでしょう。 ▶ツバメ:「減った」4割 野鳥の会全国調査、過去10年で 本通信208号(2012年5月)でも報告しましたが、野鳥の会の調査結果です。 【調査はインターネットなどを通して5~10月に実施。すべての都道府県から8402件の回答が寄せられた。それによると、過去10年間のツバメの増減について、39%が「減った」と回答。「増えた」の3%を大きく上回った。「変わらない」「不明」は各29%だった】 【このほか、チェルノブイリ原発事故後、繁殖率低下などが報告されているため、東京電力福島第1原発事故による放射性物質の影響も調べた。福島、宮城両県と全国平均で異常の発生率に差はなかったが、立ち入りが制限されている警戒区域などが含まれていないため、精査が必要】 ▶三菱重工・日立、電力事業統合へ=競争力強化で海外勢に対抗 【両社が共同出資で設立する新会社に、2014年1月1日をめどに同事業を統合する。新会社の出資比率は三菱重工が65%、日立が35%の予定。原子力発電向け事業は統合の対象から除外する】 原子力発電向け事業は統合の対象から除外──日立から見ると、儲けは独り占め?、しかし三菱から見ると、リスクの回避? さて、どちらなんでしょう。いずれにしてもこれからは、火力のほうがリスクが少なく、拡大すると市場は示しているということですか。 ▼寄せられた情報 人がとても近づけないようなところに、いくらロボットを導入したとはいえ、それができるのは「状況」を見るだけなのでは。解体等、作業できるロボットというのがあるのでしょうか。たとえあったとしても、その後どうするのか…。何にも決まっていません。「除染」後の土すら持っていくところないのですから。そんなとんでもないモンスターをつくってしまったということです。この狭い日本に54基も…。 ▶3号機で4780ミリシーベルト=昨年11月より高く、福島第1-東電 【東京電力は28日、福島第1原発3号機原子炉建屋1階の北東エリアにロボットを投入し、放射線量を測定したところ、床表面付近で毎時最高4780ミリシーベルトに上ったと発表した】 野田の「冷温停止」から一年。4.78シーベルト。ミリシーベルトじゃないですよ。 http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2012112800887 大前研一、橋下を見限り、石原には、中国で日系企業が困っているのはお前のせいだと。 ▶原子力規制委員長候補は“お調子者”? 【私はもともと、田中氏は炉心のことがわかっていないので、今回の福島第1原発のような過酷事故の際には不適だと思っていた。しかも、自分のことを認めてもらうために、「活断層があったら即停止」などと、いい加減なことを言っている。この人、ちょっと調子がよすぎるんじゃないかと思う】 【被災した柏崎刈羽原発の揺れは、設計時の最大想定値を大きく上回り、原子炉のある建屋で最大加速度680ガル、3号機のタービン建屋では2058ガルという最大級の揺れを記録した。これは想定の2・5倍だ。さらに、一番上のクレーンのところでは3500ガルだったともいわれる(ガルは地震の揺れを表す加速度の単位)。 しかし、このような人類史上観察されたことのない加速度でも、原子炉には影響がなかった】 【「活断層があったら、即止めます」などと語るのは、「私の頭は動いていません」と言っているに等しい。活断層があるから危ない、と言ってしまったら、日本の原発は全部ダメということになる】 【いずれにしても、原子力規制委員会のメンバー候補には炉心のプロがいない。炉心のプロでないと、原子力安全委員会の班目春樹委員長のように、「海水注入で再臨界が起きる可能性はゼロではない」などと語って官邸を大混乱させたような事態になる】 訳のわからないことをべらべらしゃべるお人です。その時々の流れに身を任せ泳ぎ渡ってきた人です。原発事故を目の当たりにして、自分がやってきたことへの自信がなくなり、自信を回復したいがゆえに、ああでもないこうでもないと屁理屈を並べているのでしょう。口はうまい。いくぶんか正しいところはありますが。しかし、原子炉設計にかかわったものとして、自分たちはすごいんだぞっと言いたいだけでしょう。何しろプライドだけは人一倍大きそうですから。 ▶石原氏と組み迷走する橋下氏をわたしは見限った 【国政進出を宣言してからの橋下さんは私のアドバイスも耳に入らない。私は橋下さんが石原さんと組んで国政に進出した時点で見限った。完全に選挙だけに焦点を当て、迷走状態に陥ったからである。】 【なぜ国政進出を急ぐのか。やはり自分が見えなくなったのだろう。維新人気が高かった今夏、自分たちで政権が取れると思ったのではないか】 【石原さんも橋下さんも、経済や外交問題については何も提案していない。近隣諸国に対して主張できるような強い日本を作る、ということしか言わない。だが、そもそもいま日本企業が死ぬ程の苦しみを味わっている中国問題は石原さんが火をつけたもの。そのことについて、自分はどのくらい責任を感じていて、今後どうするつもりなのかはきちんと話さなければいけない】 この指摘は正しい。いずれにしても、大前研一も見限ったということです。 | ||