原発通信 362号2012/12/21発行
原発の真下に「活断層」! 今度は東通原発 規制委調査団、活断層と断定 東北電力東通原発 規制委の田中俊一委員長は「原発を動かしたいという地元の要求は、雇用などの経済事情であり科学ではない。(規制委の判断で)仮にもし原発が止まる場合は、科学的に地元に説明するが、安全規制の基本は政治や地元の意見からの独立だ」と語ったそうです。それは一理あります。というよりその通りです。「経済事情」というより単なるカネのためということです。「経済」などというと、何かいろいろ社会的に難しいもののように聞こえますが、要は自分の懐に入るカネのためということです。 活断層判断について、規制庁の島崎委員長代理、この東通原発調査では、歯切れがいいです。他の委員も。もう「膨潤」だなどという論は通らないでしょう。そして、東北電力東通原発のその北隣りには東京電力東通原発が建設予定といいます。そして、その海岸にそっては大陸棚外縁断層が100キロにわたって走っているといいます。 ■自公が、原発再稼働で合意 活断層判断が出たところに、自公は、原発再稼働で合意です(下記)。 「国際基準に沿って安全第一主義を徹底した原子力規制委員会の専門的知見の判断による」などとしていますが、「国際基準」とはなんでしょうか。安全第一主義としたら、動かさないことそれ以外にないし、「原子力規制委員会の専門的知見」と言っていますが、規制委自身、「よくわからない。それが知見だ」とも言っているわけだし、いずれにしても、もう動かしたくて動かしたくてうずうずしているということです。油断してはなりません。 ■人生は過ぎゆく ラ・ヴィ・サン・ヴァ ところで、石原慎太郎が日本維新の会で当選。またバッジをつけるそうな。この石原について書こうと思っていたのですが、なんだかバカバカしくなってきました。ちょうどいい記事がありましたので、それを紹介ということにします。毎日新聞12月18日付夕刊『特集ワイド 日本維新の会、80歳・石原慎太郎代表 「暴走老人」どこへ行く』と題した特集記事です。 「さあ……、彼は都知事以外にポジションがないだろ。プライドを満たすところ、居場所なんだな。小説は大したことないし、総理にはなれないし。」 ──誰が言ったと思います? 先だって亡くなった落語家の立川談志です。 「息子の伸晃さんを自民党総裁にしたくて動いていたって聞いているよ。それがうまくいかず、自ら国政を目指したんじゃないの。親バカっていうかね、これも。ま、国がどうのこうのって、自分の頭の上のハエが追えないんだから、80にもなれば。<暴走老人>と<妄想老人>の間だね。テレビで各党首が討論やってたけど、いかにも老人がぽつんといるだけで迫力がないよ。いまさらバッジつけても」──慎太郎と同じ年の野末陳平だそうです。 ▶東通原発:活断層と断定、敷地内を縦断…規制委調査団 【活断層とされたのは「F-1」から「F-10」の10本で、長さ数百メートル~3.5キロ以上。原子炉建屋から西約200メートルに延びる「F-9」や西約400メートルを南北に縦断する「F-3」などがある。いずれも上の地層がたわむなど変形しているが、東北電は、これらの断層について粘土を含む地層が地下水を含んで膨張する「膨潤(ぼうじゅん)」などが原因で生じたとして「活断層ではない」と主張してきた】 【調査団が13、14日に現地調査した結果、これらの断層が約8万~10万年以内に複数回、水平方向に横ずれした逆断層だと判断。12万~13万年前より新しく、耐震設計上考慮すべき活断層という意見で全員が一致した】 【島崎邦彦委員長代理は会合で「活断層でないという主張は受け入れがたい」と述べた。また「横ずれを示しているものが東北電の調査で見落とされていた」と言及し、同社の調査に不備があったと指摘】 ▶「典型事例」指摘次々 東通、活断層で専門家全員一致 【熊木洋太専修大教授は「過去の地震の起きた断層と非常によく似ている」と指摘。地層のずれについて「粘土層が水を吸って膨張する『膨潤作用』が原因」とする東北電の説明を「そうした痕跡はなく、非常に疑問」と否定】 【千葉大大学院の金田平太郎准教授は「(断層の)変状に膨張がかかわっている可能性はある」としながら「全ての変状を膨潤で説明するのは難しく、一部は活断層と考えられる」と強調】 【東大地震研究所の佐藤比呂志教授も活断層と判断。さらに「下北半島には複数の原子力施設があり、沖合から陸上まで地下構造を調査すべきだ」と指摘】 【一方、東通村の越善靖夫村長は村役場で記者会見し、「活断層ではないと思っている。東北電が26日に調査団に説明することになっており、現段階で軽々しくは言えない」と】 ▶東通原発:活断層認定 運転停止長期化必至 県内に広がる波紋/青森 ◇東通原発と断層を巡る経過◇ 11月 東電が地質解釈見直す5回目の補正 ▶東通に活断層:影響予測難しく、規制委「評価手法を検討」 【「近くの活断層を適切に評価する手法はない」。敷地内に活断層があるとの見解をまとめた調査団の島崎邦彦委員長代理は20日の会合後、近くにある活断層の影響を予測する難しさを口にした】 【ところが、東通原発のように最短で約200メートルという至近にある活断層の揺れを正確に予測する評価手法は、確立されていない。規制委は、別の有識者会合で、こうした近くの活断層の評価手法を見直している】 【評価手法の有識者会合は来年1月にも骨子案を提示する予定。規制委の田中俊一委員長は「基準を作らないと判断できない。(評価手法の有識者会合の)議論を待ちたい」と】 【一方、先の衆院選では、原発の再稼働に前向きな自民党が大勝した。この6施設がある青森2、石川3、福井3の3選挙区でも、すべて自民党議員が当選した。青森2区で当選した自民党の江渡聡徳(えと・あきのり)副幹事長は16日の当選直後、「国会の同意を得ていない(原子力規制)委員が勝手に動くのはどうか」と発言。電力業界からも「専門家の議論がわかりにくい。もっと説明責任を果たしてほしい」(服部拓也・日本原子力産業協会理事長)などの不満】 【規制委の田中俊一委員長は「原発を動かしたいという地元の要求は、雇用などの経済事情であり科学ではない。(規制委の判断で)仮にもし原発が止まる場合は、科学的に地元に説明するが、安全規制の基本は政治や地元の意見からの独立だ」と】 ▶青森・東通原発:活断層認定 規制委調査団の主な発言 ◇島崎邦彦委員長代理 結論として、(東北電の)活断層ではないとの主張は受け入れがたい。考え方を直していただけなければ、同じ土俵で議論できない。活断層があると(建設)前に分かっていればわざわざそこに造らないだろう。 ◇粟田泰夫・産業技術総合研究所主任研究員 敷地のかなり広範囲で断層による変位がある。おそらく隣接する東京電力東通原発の建設予定地まで続いている。活断層ではないと判断するのは困難だ。 ◇金田平太郎・千葉大准教授 一部は活断層と異なる特徴を持つが、東北電力が主張する「膨潤」ですべてを説明できない。少なくとも2カ所は活断層と判断でき、マグニチュード7級の地震を想定すべきだ。 ◇熊木洋太・専修大教授 地殻変動で生じた地形を敷地内に多数確認できた。実際に地震を起こした断層とよく似ており、同じようなことが起きたと考えるのが自然。「膨潤」との説明には疑問がある。 ◇佐藤比呂志・東京大教授 F-3、F-9は火山灰層に繰り返し変位を与えており、活断層と考える。ただ、活動性はそれほど高くはない。今回は敷地内だが、敷地外も含めた断層の調査が重要だ。 ▶東通原発、活断層との意見相次ぐ 早期の再稼働困難か 断層がどう走っているか、東京新聞のほうがわかりやすいです。 ▶「東通」も活断層 疑わしきは動かせない 【東通原発のある下北半島には、原子力関連施設が集中する。極めて危険な使用済み核燃料の再処理工場やウラン濃縮工場などもある。絶対に地震の被害にあってはならない施設が、集中する地域なのである】 【半島の東には、全長約百キロの大陸棚外縁断層が並行して走っており、東通原発内の断層などと連動して大地震を引き起こす危険性をはらんでいる】 【科学と倫理の見地から、危ないものは危ない、動かせないものは動かせないと、科学者たちには腰を据えて訴え続けてもらいたい】 ▶自公、安全条件に原発再稼働を容認…連立最終案 【エネルギー政策では、原子力発電所の再稼働について「国際基準に沿って安全第一主義を徹底した原子力規制委員会の専門的知見の判断による」とし、厳格な安全基準に適合すれば再稼働を認める方針を示した。自民党が衆院選の政権公約で打ち出した「再稼働の可否は3年以内の結論を目指す」との再稼働容認の姿勢が反映されたものだ】 中部電力浜岡原発の「防波壁」工事 浜岡原発は、東南海地震の震源地と目される真上にあるわけです。原発という施設はパイプがジャングルのように張り巡らされているそうです。パイプは折れない? 冷却水の取水口が埋まってしまうのではという指摘もされています。 ▶浜岡防波壁かさ上げ:地元の不安消えず、中電「安心」強調 【御前崎市の石原茂雄市長は「市民の安心感を増す」とかさ上げを歓迎】 【川勝平太知事も「安全対策に万全を尽くされているということが分かり安心する」としながらも、津波の力に耐えられるかなどについて、県防災・原子力学術会議で説明を求める】 【牧之原市の西原茂樹市長は「(かさ上げは)地元への合意形成を得て実施するものではなく、市民の安心感を得られることはないと思う」】 【袋井市の原田英之市長は「福島第1原発事故の検証が済んでいない」として、「かさ上げが完了しても再稼働は認めない」】 【さらに、昨年5月、停止作業中だった5号機で冷却水が通る細管から原子炉施設内に海水が流入し、3、4号機でも最近、低圧タービンの羽根部分でひびが見つかった。津波対策が完了しても、こうしたトラブルの解決にはめどが立たず、地元の不安を招く要因】 ▶浜岡原発防波壁:22メートルに、かさ上げ費数十億円 【中部電は、内閣府のデータを分析し、防波壁に当たった弾みで高くなる分も含め、津波高を最大21.4メートルと推定。防波壁をかさ上げしても、敷地内の冷却用の取水槽から海水があふれるため、海水取水ポンプの防水壁も高さ1.5メートルを3メートルとする】 ▶福島3号機、プール内の鉄骨撤去 がれき撤去中に滑落 【福島第1原発3号機の使用済み核燃料プールに落下していた鉄骨(長さ約7メートル、重さ約470キロ)を遠隔操作のクレーンで引き上げ、撤去した】 【鉄骨は9月、遠隔操作のクレーンで建屋上部のがれきを撤去中、プールに滑り落ちた。その後、水中カメラで確認したところ、ほかにも鉄骨1本が水没している】 【プールには原子炉建屋の水素爆発によるコンクリート片や重さ約30トンの燃料交換機なども水没】 これらの冷却状況はどうなのでしょうか。No problem?と…。 ▶<東京電力>福島第1原発3号機 核燃料プールの鉄骨を撤去 【核燃料プールには使用済み核燃料が残ったまま。今回は作業の万全を期すため、模擬鉄骨を使った撤去訓練を先月から繰り返したという】 ▶避難基準「線量高すぎ」と自治体 批判相次ぐ 【原発事故時に住民が避難を始める基準として原子力規制委員会(田中俊一委員長)の検討チームが示した毎時500マイクロシーベルトの放射線量に対し、原発の立地、周辺自治体から「平常の1万倍の数値で高すぎる。住民の理解は得られない」などと批判が相次いでいる】 ▶帰還宣言は避難指示解除後 大熊町長が見通し 【福島県大熊町の渡辺利綱町長は20日、政府原子力災害現地対策本部が平成29年3月11日としている同町の避難指示解除と、町が帰還宣言する時期について「現時点で同一とする考えは持っていない」と述べ、宣言が解除より後になるとの見通しを示した】 だいたい、なんで「3.11に解除」などということが出てくるのでしょうか。もう、適当という話でしかないでしょう。メモリアルデーにやれば話題づくりになると、まったくもって何かのイベントとしてしか認識していないような精神の貧困です。 ▶東電社員「切り捨て」? 精神的苦痛の賠償終了提示 【東京電力は、福島第一原発事故の避難区域に住んでいた社員に対し、区域内に持ち家がなければ、通勤可能な新居に落ち着いた時点で、精神的苦痛に対する損害賠償を終わらせる基本的な考えを示した。これに対し、避難生活をしながら事故収束に当たる社員からは「会社に切り捨てられた」と失望や怒りの声が上がっている】 【東電は国の中間指針に基づき、避難者に一人当たり月十万円を目安に精神的苦痛への損害賠償を支払っているが、巨額の賠償額を抑えるため、まず社員から削減する考え方になったとみられる】 いつの世も、いつの時代でも最前線でやっているものは切り捨てられる運命になっているということでしょう。 ▼寄せられた情報 このたびの総選挙で自民党が圧勝。活断層問題を抱える原発を抱える青森2、石川3、福井3の3選挙区でも、すべて自民党議員が当選とのことです。福島でも自民党が圧勝。そのことに関してネットでは自民党を勝たせたと福島県民を罵倒する声があるとの情報が福島出身のかたから寄せられました。 確かに、こんなにもなって…と思うところもあります。しかし、それを言うなら日本国中、日本国民すべてが福島原発事故なんて大したことない、経済のためには原発。事故が起きたって大したことないだろうと高をくくっているのです。その結果です。東京では、石原の番頭が430万票を取って当選です。東京都民はまさに馬鹿ものです。 でも、です。そう言って何かが解決するのなら結構です。問題は、情報を寄せていただいた方が、「実現可能性の曖昧な『戦略』をぶちあげるのは、もはや詐欺の類」と指摘する自民党福島の情宣です。えっこれが自民党!?というほど脱原発です。 「過去を水に流してしまうのは一種の県民性と言えるかもしれませんが、県民にとってはわらをもすがる思い、苦渋の選択でもあったのだとも言えます。そうした事情を踏まえない限り、これからの政治戦は勝てないと思います」と言われていますが、まさにそのことをきちんととらえ返し、総括していかないと何にもなりません。また、「過去を水に流す」のは福島県民だけではありません。日本の国民性と言われていることでもあります。どうして忘れっぽいのかと…。がばいばあちゃん(島田洋七『佐賀のがばいばあちゃん』)ではないですが、「過去にはこだわりません」というところですか…。 ▶自民党が圧勝したことで、福島県民を馬鹿呼ばわりするネット 今回の選挙で福島県で自民党が圧勝したことに触れ、福島県民を馬鹿呼ばわりする声がネット上にありますが、私は少し事情が違うように思います。 なにせ、自民県連は選挙戦で「脱原発!!」を謳うリーフレットを大量にまき、夢のような復興戦略をアピールしました。 もともと福島は保守王国。民主党議員にはまともに震災復興に取り組んだ人は少なく、私の目から見ても自民党若手議員の獅子奮迅ぶりは目立ちました。そういう自民党が、原発を廃炉にし、県土を再生し、県内外に避難している県民に対しても支援すると言っているんだからと、甘言に乗ってしまった人が多かっただろうことは、想像に難くありません。 むろんこの災厄はもともと自民党県政が招いたものであり、その責任について一言も語らず、実現可能性の曖昧な「戦略」をぶちあげるのは、もはや詐欺の類ではありますが、これらの詐欺師に対抗して確実な原発対策、復興対策を語れる候補者が少なかったということもあったのでしょう。 過去を水に流してしまうのは一種の県民性と言えるかもしれませんが、県民にとってはわらをもすがる思い、苦渋の選択でもあったのだとも言えます。 そうした事情を踏まえない限り、これからの政治戦は勝てないと思います。 むろん、自民党の策動に対して早くから警告を発する人たちは福島にもいました。 【今日、自民・安倍総裁が福島市で選挙戦第一声を挙げる。ここを第一声の地に選んだこと自体が恥ずかしい。『原発再稼働』を確実に実行する党が、なぜこの地を選ぶのか。答えは明瞭だ。この牙城は崩せると踏んでいるからだ。そして、ここを崩すことで、原発容認の根拠にしようとしているのだ】 (ここまで) ▶玄海原発5次訴訟:新たに570人が佐賀地裁に追加提訴 【国と九州電力を相手取り、玄海原発(佐賀県玄海町)全4基の運転差し止めを求めている訴訟で、新たに570人が20日、佐賀地裁に追加提訴した。5回目の提訴で、原告は47都道府県の計5493人となった】 ▶大飯原発行政訴訟:定検終了証交付の取り消し請求却下 【大阪地裁は20日、訴えを却下した。田中健治裁判長は「終了証交付は検査が終わったという結果の通知で、行政処分ではないため、行政訴訟の対象とならない」と判断】 ▶嘉田知事の辞職勧告決議案、提出検討…県会自民 【同議会では自民党が過半数を占めており、同決議案が提出されれば可決される見通しだ】 どこにもお調子者はいます。物事を考えるということが不得意な連中です。大阪のほうはどうなっているのでしょうか。 | ||