原発通信 83号2011/10/19発行
現在1億ベクレルに下がったというが… 工程表に示された各号機の放射性物質の放出量ですが、3号機については、「暫定値に過ぎない」と書いてあるそうです。つまり、よくわからないということなのです。こんなんでいいのでしょうか。 「レベル7」はチェルノブイリと同様か、それ以上だというのに、新聞の各号機につけられたレベルを見ていると(毎日新聞10月18付)、なんだか、ただの記号に見えてきてしまいます。それが怖い…。それなのに野田首相は増設容認だの、枝野は原発輸出だのと、何を考えているのか、正気なのかと。 昨夜、報道ステーションを見ていると原燃副社長が出てきて、核燃サイクルを得々と話していました。この人、本気というより、正気なのかと思ってみていました。完成すれば(?)人類に数千年(!)にわたってエネルギーを供給できるとの賜っているのです。もう、正気で言っているとは思えません。続いて、また、あの五十嵐です。この人、本当に原発、核について勉強したことあるのかを疑ってしまいます。「高速増殖炉、初めて聞いた」(と私には聞こえましたが)とか、放射性廃棄物をアルミの筒(間違い)に入れるだの、地中深くだの、それらしいことは言っているのですが、それが大問題だということ、知ってか知らずかどこかの受け売りのみ、自分のコメントなんてなし。 ちなみに毎日新聞は、放射性物質がこれほど広範囲に広がることを予測できず、的確な警告を発することできなかったと、新聞週間特集(10月18日付)のなかで自己批判しています。 低線量内部被曝──「毎日少しずつ」の恐怖 【一日に1000ベクレルのセシウム137を摂取するのと、毎日毎日10ベクレルずつを長い間摂取し続けるのでは、どちらが怖いのでしょうか? 1000ベクレルと聞くと、一瞬、大きな数字に驚きますが、実は、後者の方がずっと怖いのです。】と警告する「私設原子力情報室」。 コメや野菜、キノコやお茶、魚など様々なものからセシウムを検出というニュースが途切れません。国の暫定基準は500ベクレル、この数値で大丈夫か。上記のページにアクセスしてみてください。 東電が7000億円の資金援助を申請! 冗談じゃない、その前にやることがある! 東電が7000億円の資金援助を申請するとのことです。賠償が経営を圧迫するからというのが理由らしい。冗談ではありません。自分たちの資産を差し出し、当然役員報酬なんてなしだし、法的にどうかわかりませんが、道義的には過去の役員についても差し出すということをしないと“到底理解されるものではありません”(枝野風に)。しかも、再処理等積立金というのが約2.5兆円もあるというのです。この点については自民党の河野太郎がよく指摘しています。メインバンクの三井住友銀行など、リスクを承知(承知していないとしたら、それこそリスクマネージメントができてないという証明)で融資していたのだから彼らも負わなければなりません。 そして、株主だって、それを承知(というより株取引というのはそういうものでしょう)のうえで投資したのだし、まさにこれが本当の「自己責任」なのですから、損を引き受けなければなりません。逆立ちしても鼻血も出なくなったとき考えることです。(毎日2011.10.18東電、7000億円支援申請) かかった経費(もちろん自分たちの高額な報酬も)全てに儲けを乗せての商売(総括原価方式)を、それも独占してやっているわけですから、彼らに「経営」を説くほうが間違っているのかもしれませんが。 北海道電、プルサーマル一時凍結 北海道電力の佐藤社長、やらせの問題で「立ち止まって整理したい」と述べたとのことです。九州電力の真部のように、北電も第三者委員会のこと、解散しただの、なんだのというようなこともできなくなりましたから。(毎日2011.10.18北電、プルサーマル一時凍結) 「監督官庁には逆らえない」からと九電、佐賀県知事らの関与認定へ 【九州電力は18日、月内にも国に再提出する「やらせメール」問題の最終報告書で、否定していた佐賀県や古川康知事のやらせへの関与を、一転して認める方針を固めた。第三者委員会(委員長=郷原信郎弁護士)の調査の核心部分を認めなかったことを強く批判した枝野幸男経済産業相の意向に沿って、大幅に内容を修正する。 九電幹部は18日夜、朝日新聞の取材に対し「繰り返し(枝野)大臣から批判されており、意向を受け入れるしかない。監督官庁には逆らえない」と述べた。 枝野氏は、第三者委が指摘した佐賀県のやらせ関与を報告書で認めなかったことを「つまみ食い」と表現し、「九電はどういう神経なのか理解不能だ」と厳しく批判した。九電は、監督官庁のトップである枝野氏に報告書を受け入れてもらうには、第三者委の指摘をほぼ全面的に認めた内容で再提出する必要があると判断した。】 http://www.asahi.com/national/update/1019/SEB201110180072.html * 再提出の理由、「監督官庁には逆らえない」、これですか! つまり、「国民、利用者がどうのこうの言ったって、私ら聞く耳などございません!」と言っていることと同じです。 ▼寄せられた情報 ▶スクープ この5月に福島第一原発で死んだ作業員に「たったの50万円」 「週刊現代」の記事。読んでの通りですが、まず、この亡くなった方が東芝の4次下請けだったこと。つまり発注者の東電から見れば5次、東芝との間に利権ダミー会社が介在していればそれ以上の搾取率だということです(おそらく7,8割のハネ率)。いったい何をやっているのでしょうか。この非常時においても、原発マフィアどもは儲けることに貪欲で利権を手放しません。彼らにとっては「事故処理」が長引けば長引くほど、下請けを手配するだけで利益が転がり込む「楽な儲け仕事」が続くことになります(そして末端で死亡した人間に対しては見舞金すら足元を見て値踏みする)。そのおおもとのカネを調達するのが東電の仕事、あろうことか居直り強盗のように国に「援助」を要求し(国民の税金です)、電気料金を値上げすると言うわけです。まさに原発マフィアの実態がここに凝縮されています。(K) ▼ネットから ▶どうにもならない現実を説明する責任が国にも東京電力にもマスコミにもある。 小出裕章 ▶上杉隆「ニュースの深層」〔10月11日)に、鉢呂吉雄(前経済産業大臣)が出演しました。その動画をご紹介いたします http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65769230.html 鉢呂前経産相の辞任問題が起きたとき、早とちりしてしまいました(反省)。彼、反・脱原発派としては筋を通そうとしていたようです。彼が経産相になったとき、「激励」のメールを入れたのですが。嵌められたのでしょう。(A) 【鉢呂「僕はあのああいう福島の原発の事故を直接肌で感じで、やっぱり日本では原子力発電所は設置稼働できないと。これは人間の技術は絶対はないわけで、この地震と津波の大国でこれを継続するというのは、福島の今の事故、それに伴い最大の被害をこれをきちっと受け止めれば、あの、そう結論付けざるを得ないと。これは僕は地元、泊原発の地元でありますけども、言ってます。】 ▶九州電力第三者委員会が突きつけたもの http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-596.html 福島で除染 子どもたちのために学校を除染しているという保護者の姿をTVで見ましたが、大丈夫かと気になってしまいます。朝礼で使うような鉄製の台を、サンダー(電動回転ヤスリ)で表面をなめて(削って)いる場面がありました。さび落としならいいのでしょうが、放射性物質を落とすのだというと心配です、というより、エツ!です。なぜなら、もしその台についていて、それを落とすということでやっていたら、放射性物質、粉じんといっしょに空気中に舞い上がって周辺に散らばってしまうでしょうがと思うのです。きっと一事が万事こんな調子で行っていることと思います。心配です。(毎日2011.10.18福島で本格的除染開始) | ||