原発通信 86号2011/10/24発行
NHK スペシャル シリーズ日本新生「“食の安心”をどう取り戻すか」 東電や推進派の責任を問わない議論なんて意味あるか! 食品の放射能汚染について、まったく東電の責任や、責任追及というものがまったく出てきませんでした。なんだか、放射能というものに汚染されてしまい、検査する体制がどうのという話や、JR茨城の理事にいたっては山下俊一と同じことを言っている。また、視聴者の意見というのが画面下に出てくるのですが、食べるも食べないの「自己責任」などという表現が目につくのです。これ、勘違いしていませんか? まき散らした張本人の東京電力こそ、自己責任をとって、きちんとやれと言うならまだしも、汚染されたものを食べる・食べないは自己責任とは…。これこそ、「自虐的なものの考え方」です。 こうして責任の所在というのはあいまいにされていってしまうのです。本当に新自由主義者どもに、洗脳されてしまったのだとつくづく感じてしまいます。むしろ、東電に、検査機器を買わせろというならいいのですが、そのような意見あったのかもしれませんが、まったく紹介されていません。気仙沼だったかの漁業者(?)、ネットで消費者とつなぎというようなこと言っていた静岡出身の方ですが、いい話なのですが、放射能汚染とはなじまない、というより自説を福島のところでやるものですから何かトンチンカンです(彼のとりくみはいいんですよ)。 いい川柳がありましたのでご紹介。 東電の物じゃないのか漏れた 「自分のものは、自分で始末しなさい」とは子どものころから言われていることではないですか。持ち主に返してあげましょう!これこそ自己責任で(こういう時にこそ「自己責任」という言葉は使うものと了解しているのですが)。 週刊ポスト、週刊新潮と同類。税金の無駄遣いするなと訴えればどうだ! 今週の週刊ポスト、「それなら国会議事堂も銀座並木通りも『ホットスポット』だ」、だと。ご丁寧に、「さァ、煽り派何とする?」とも。放射線量大したことないし、長年浴びても問題ないじゃないかというのですから、血税を使ってやれ線量計を買えだの、やれ、ヘリコプターでくまなく調査だなどと騒いで無駄使いしていると言って、アメリカの「ティーパーティー」のように税金使うなと「煽れ」ばいいだろうに。彼らの論法でいえば、敵は煽り派ではなく、国や行政だろうに。 九州電力社長の真部のいい加減・無責任発言と再提出問題で、九電の松尾会長、「辞任に値することか、なぜやめねばいけないのか」と発言したとか。この人、長年の習性、骨の髄までしみこんでいて、何が起きているのか理解できないようです。その意味でリビアのカダフィと同じでしょう。九電と放送界の関係、以下の記事も見てください。 放送局と電力会社のただれた関係 電力会社と放送局とのつながりを調査したものが載っていました。民放連に加盟する放送事業者のうち約4分の1が電力会社の幹部らが放送番組審議会の委員になっているとのことです。これこそ「感電」している「証拠」です。テレビ朝日の番組審議委員に東電会長がなっています。なるほど…。(毎日新聞2011.10.22放送と電力会社) 東京新聞は1面トップに! 各地で高線量が検出されています。そこで国は除染支援を盛り込んだ対応方針を公表しました。毎日新聞は、社会面の目立たないところでベタ記事。東京新聞は、なんと1面トップです。住民の不安にどう対応するかという情報をどうとらえているかというスタンスの違いが見て取れます。(東京新聞2011.10.22 ホットスポット対策) 福島県議会決議を無視するマスコミと国会 福島県議会が福島の全原発の廃炉を求めた決議が採択されたことはお知らせしました。「福島の復興なくして日本の復興なし」などと大見得を切った野田さんから一言もありませんし、そもそも、それを訊ねた記者っていたのでしょうか? 福島現地によく「視察」に行く野田さんですが、何を見ているのでしょうか。それも作業服姿を写真にとらせ、何か現場でやっているという雰囲気だけを演出するためにか。(東京新聞2011.10.22 福島県議会決議) あの櫻井よしこが人寄せパンダよろしく顔写真入りの意見広告 朝日新聞10.21日付に、あの櫻井よしこが人寄せパンダよろしく顔写真入りの意見広告が出ていました。福島は人災、女川で日本の技術が証明されたと。だから、選ぶ道は脱原発ではないと。「脱原発」という文言をコピーのトップに持ってくるというのは推進側の焦りでしょうか!? ただ、この広告のいいこと(?)は、「私、原発大好き!」ということを明言した30人の名前の一覧がついていることです。添付しておきますので、名前チェックしてください。朝日新聞に広告料、いくら入ったのでしょうか? それにしてもニューオータニで12000円、ですって! 北海道大学の山口二郎氏が東京新聞で書いています。「一体政権交代とは、何のために起こしたのだろう。自民党がやりたくてもできなかったことを代わりに実現するために民主党は政権をとったのか」(10月23日付)と。これと同じこと、社会党の村山富市がおだてられ、首相の座について(つかされて)、それこそ「自民党がやりたくてもできなかったことを」やり、自滅への道を歩んでいったことは記憶に新しいです。 「福島第一の1号機、非常用復水器損傷確認されず」 なるほど、無事でしたかと読んでみると、「目視できる範囲で設備に損傷はなかった」という話なのです。要は、外見は壊れていないようだけど…、ということで、「損傷確認されず」という見出しは信用できるのかどうかです。このような見出し、結構見かけますので、要注意です。(毎日新聞2011.10.22 福島第一、非常用復水器損傷確認されず) 数値が低いからと安心は早計 「内部被曝生涯3ミリシーベルト」という根拠が、怪しいと言います。そもそも、内部被曝の検査をする機器ホールボディーカウンター(WBC)はガンマー線しか検出できない。セシウム137が出すベータ線は検出できないと。(東京新聞2011.10.22 内部被曝生涯3ミリSv) 原発へのスタンスの違いだけでなく、市民運動のとらえ方の差 9.19のさよなら原発集会の報道、新聞各社によって相当な違いがありました。そのことについて論評しています。(毎日新聞2011.10.22 原発集会報道) 「冷温停止」「5000年に1回」無意味と九大工藤氏ら保安院聴取会で 84号で書きましたが、「冷温停止」です。田中氏だけではなく、九州大の工藤和彦氏(原子炉工学)も田中氏と同様、現在の福島第一原発に適用すべきではないと指摘しています。「5000年に1回」という損傷確立についても、山口彰大阪大学教授・原子炉工学)も「実際に事故を起こした以上、こうした確率論は意味がない」と。当たり前です!(毎日新聞2011.10.23 冷温停止定義に疑問) それでも[手順書]に不備はなかったと 福島第一の1号機が地震以後、運転手順書が使い物にならなかったこと――水没して使い物にならなかったこと、それでメルトダウンを起こしたのにもかかわらず、あの松本純一、「不備はなかった」と言える神経分かりません。これこそ「想定外」です。(毎日新聞2011.10.22東電、手順書、機能せず) ●第3回 部外者の不安に過ぎないのか 今回も観光分野の日本人観です。ドイツの旅行代理店は、大手のDertourが9月に日本旅行を再開し、また文化交流を売り物にする高い Studiosusも12月からの日本旅行を予定しています。フクシマ原発事故以降、日本旅行は全体で前年に比べて60%以上の落ち込みという状況で、今後、旅行業界がどう日本を捉えていくかというのがテーマです。放射線の心配はないのか。政府は大丈夫というが、水、食物、空気中の汚染は考えられないのか。その中で外国人旅行者が、どういうリスクを負うのか。なぜ、日本旅行を回避するのか。 記事は、Frankfurter Rundschau2011年10月15/16日土日版、旅行欄からです。タイトルが注目を引きますが、「部外者の不安に過ぎないのか」(私のほうで意訳してあります)。 このタイトルの説明が必要です。今年の夏に有名なアメリカのポップシンガー・ Lady Gagaが日本を訪れ、世界に「安全です。また日本に旅行しましょう」キャンペーンをしたそうです。閑古鳥が鳴く旅行地の関係者は、それによって一日も早く世界からの観光客が日本に戻ることを期待しています。しかし、疑問は、果たして安全なのか。こういう問題意識を持ってドイツからのジャーナリ ストは定番コースを、いろんな人たちの話をじかに聞きながら取材してきました。記事はその報告です。 部外者の不安に過ぎないのか •1.フランスからの旅行者の例。彼女は石巻で毎日、津波で破壊された町の泥、ゴミを片付ける仕事についています。「友達や家族は、自分のしていることを正気の沙汰ではないと言っている。しかし、何回も日本に来ているが、いつもやさしく親切に迎え入れられ、そのお返しをこういう行為で返したい」が彼女の動機です。4日間で500ユーロの旅行費用だそうです。これを組織したのは、旅行代理店のNippon Travel Agency。その代表者Yoko Ogata氏へのインタヴュー。 • 観光業界は、もちろん、旅行者をそんな仕事に従事させることは理解できません。それに対して彼女は「しかし私たちは、どうしたらその地域が安全であることを証明できるのでしょうか」と答えています。私も、被害をこうむった地域の必死の努力は理解できます。しかし……と、考えるのです。 •2.今、「ガンバロウ!」キャンペーンが、この東北地域で行われていると言います。風光明媚な、食べ物の美味しい地方。そんな印象が私にはあります。このスローガンが建物、ガラス窓、T・シャツに書かれています。しかし、一般市民の受け止めは、「そんなものは、震災後、政府が作り上げたその場しのぎのスローガンで、誰もそんなものを聞きたいとは思っていない。誰がいつもガンバルことが出来るのか」。このキャンペーンをしているのが、JNTO(Japanische Tourismusbehörde)。その副会長へのインタヴューの回答。統計を示しながら、「事実はこうです。線量は東京よりニューヨークの方が高いのです」。だから外国人の日本への不安は、根拠がないと言うのです。ここから、記事のタイトルがきています。では、不安を持つのは単なる部外者の過剰反応に過ぎないのか。 •3.線量に関する情報は、連日マスコミで流されています。しかし問題は、疑い深い原発の安全性、汚染されたフクシマからの肉、ほうれん草、そして静岡のお茶。もう誰も新聞報道を信じなくなり、政府も同じ。何を、誰を信頼していいのか分からない状況になっているのは、彼が話をした人たちから伝わってきます。記者はある駅で「Go Tohoku!」のポスターを見かけたと言います。観光客を呼び寄せるアピールといいます。 •4.記事は次のように続きます。「24時間ライトで照らし出されたスーパーが必要だろうか? 100mごとにすえつけられた冷・温の飲料水自動販売機は、生活の質を落とさないためには不可欠なものだろうか? ガンバロウ!を呼びかけ、歯を食いしばることで何事かをできるのだろうか? 数ヶ月ごとに首相の首をすげかえることに意味があるのだろうか?」。最もな問いだと思います。この間しかし、節電に入っています。以前では考えられなかったことです。 •5.JNTOは、6月に日本へ旅行することができる10の根拠を挙げたリストを公表したと言います。特に、今が料金的にお得、線量の測定報告がインターネットで調べられるからだといいます。しかし、記者の疑問は、数値、理論、アピールだけで深く人々の心に根付いた不安を取り除くことができるのか。数字、言葉ではない保障のないそれ以外のリスクが考えられるわけですから、納得することはできません。 •6.ここから記事の結論が引き出されます。「(そこに住んでいる逃げ道のない―注)日本人にはしかし別の選択がない。同じことは日本旅行をあきらめることのできない外国人旅行者も同じ。ここで重要なことは、日本にあるものは、ただ日本にだけしかなく、それが日本という国を語っているのである。富士山がそうであるように」。11月には富士山の顔が良く見られるチャンスに恵まれる。 以上ですが、非常に事実的であると同時に、日本(人)を理解するうえではかなり比喩・揶揄的な表現を使っています。そこにいろんな意味で「特別」な日本を感じる何かがあるからでしょう。 では、また。 ▼寄せられた情報 10.15反貧困デモで不当逮捕 たんぽぽ舎で活動していた青年が反貧困デモで不当に逮捕されたときの映像です。彼が旗をかざしている時に、スパイがわざと警官の肩に触れさせて逮捕した映像です。皆さんに知らせてください。 http://www.youtube.com/watch?v=L1RMFPQQlOI&feature=related △ 「デモ参加者」に紛れ込んでいる警察のスパイ、はっきりと映っています。昔から言われていましたが、何せ証拠が出せませんでした。しかし、メディア機器の進歩で、こうした映像がとれるようになったのです。デモではなく、パレードなどというようになりましたが、警察権力、あいも変わらずお上にたてつく輩は許さないということなのです。(A) ふげん廃炉 汚染廃棄物は1万トン! どこへ持っていく? これまた、廃炉にしたところで、その壊したものを持っていくところがないという話です。担当者の言、「場所は探している。調整中」だと。これが実態。(東京2011.10.22廃炉ビジネス) 汚染汚泥ですら断られているのに、どうする気でしょうか。(毎日新聞2011.10.22環境省、中間貯蔵) 野田首相、また細川氏と会って脱原発明言を進言されるも応ぜず 84号に書きましたが、19日にも会談し、脱原発をと詰め寄られていたそうですが、助言に応ぜずとのことです。これには“ぶれない”野田首相ということでしょうか。 東電、ウラン権益全て売却へ…売却先は国内企業 読売新聞 10月24日(月)10時39分配信 【東京電力と原子力損害賠償支援機構が、東電が海外に保有する原子力発電の燃料となるウランの鉱山権益の全てを売却する方向で調整していることが23日、わかった。売却額は数百億円を見込み、福島第一原子力発電所事故の賠償原資に充てる。国内原発の多くが停止し、ウランの使用量は減っているが、エネルギー安全保障の観点から売却先は国内企業とする方向だ。 売却が検討されているのは、カザフスタンのハラサン鉱山の2鉱区と、カナダのシガーレイク鉱山だ。ハラサン鉱山については、生産量の1割強を得られる契約だ。生産が本格化すれば、濃縮ウランの原料となるウラン精鉱を、年間600トン輸入できるはずだった。東日本大震災前の東電の年間使用量の2割弱に相当する。シガーレイク鉱山の権益比率は5%で、年間350トンを調達できる見込みだった。】(引用ここまで) | ||