原発通信 93号2011/11/02発行
NHK『あさイチ』、視聴者からプロパガンダではとの指摘あり 今日も福島からの放送でした。中抜けで、すべては見ていないのですが、感じたことを。おととい、大熊町のことを書きました。大熊町のこと書いておいたのですが、情報が少ないのと主観的な感想なので、ためらいがあったのです。 ところが、一昨日通信に載せた後、『あさイチ』に大熊町の住民で新潟へ避難している人たちが“急に“出てきたのです。故郷を原発事故で追われた方々として真っ先にマスコミで取り上げなければならない人たちだと思うのです。確かに3月末まではよく取り上げられていましたが、4月以降、なぜか“ぱったり”と報道されなくなったのです。かわりに、双葉、南相馬、特に浪江町が多くなっていくのです。浪江町が取り上げられるのは理由がありました。ホットスポットです。でも、大熊の人たちは…。それが、がんばれ福島の掛け声とともに始まった福島応援キャンペーンとともに再登場してきたのです。なぜ、今? 原発──東電──大熊町 このラインに何があるのでしょうか。原発をめぐる地域の問題が凝縮されてあるのではないでしょうか。 大熊町の件は、主観的な感想ですからおいとくとしても、問題なのは、福島産は安全、放射性物質は検出されていないという報道です。未検出かもしれませんが、問題は、「暫定基準値500ベクレル」というハードルです。チェルノブイリ事故の際、日本政府は設けたハードルは、370ベクレルです。その差はなんなのか? 事故が起きてしまったからということなのですが、370ベクレル以上は危ないといっていたのに、「国の基準値を下回っています」とのアナウンス。基準値500ベクレルですから、例えば450ベクレルでも下回るのですが、370ベクレルよりは上です。どう理解すればいいのでしょうか。ゲストとして出ていた鎌田實さん、早く暫定基準値ではなく、暫定をとった基準値にと、「まったく正しい」ことを言っているのですが、じゃあ、この数字はなんなのかと。500ベクレルでもいいのなら、それこそ週刊新潮や週刊ポスト並みに、いや、中川恵一や山下俊一と一緒になって、大したことはない、くよくよ心配している人にこそ影響が出ますといえばいいのです。 その『あさイチ』の終わりごろに、見出しにあげた声、「何も状況は変わっていないのに、安全キャンペーンはNHKのプロパガンダでは」という声が、NHKに届けられたのです。有働アナ、決してプロパガンダではありません。安全をことさら言っているわけではありませんというようなことを言っていましたが(3人、急に神妙な顔になって)。とにかく、じゃあ、原発事故ってなんだったのだというくらいのそれこそ、大丈夫、大丈夫の大合唱が始まりました。今後の動き、注視です。 * 室井佑月さん、17日の『あさイチ』で「安全コール」に首を縦に最後まで振らず 本通信91号でお知らせした『あさイチ』の番組です。私、通してみていなかったのですが、ゲストコメンテーターとして出演していたのは、安斎育郎さん(立命館大学名誉教授)と作家の室井佑月さんのお二人ですが、室井さん、首都大学東京の福士研究室の安全だという分析データに最後まで首を縦に振らなかったとのことです。 http://nucleus.asablo.jp/blog/ 玄海原発、4号機が、ついに再稼働 とうとうというべきか、再稼働されました。でも、「あやしい」玄海町の町長も佐賀県知事も、「人のせい」にしての再稼働了承です。「国が言ったので」(岸本町長)、「国の責任で…否定することはできない」(古川知事)ということです。こんなんだったら、町長も知事もいりません。地方自治?もう彼らが言う権利はないということです。 2号機で核分裂が 昨夜、玄海原発再稼働のニュースを「怒って」みていました。と、ところがです、朝早く目が覚め(歳をとったのですかね…)、TVのチャンネルをチャカチャカしていたら日テレのニュースで「福島第一原子力発電所第2号炉で核分裂…、ホウ酸水を投入しています」などというニュースです! えっ!えっ!です。だってその前は、冷温停止だ、水素爆発はなかっただの、どうのということで核分裂なんていう話はなかったのですから。本当に東電の言っていることは信用できません。そして発表も真夜中にという、事故当初とまったく同様、大変なことはみんなが寝ているときにというやつです。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111102/k10013667531000.html http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4867319.html 核分裂、まだ続いている?! ▶<福島第1原発>一時臨界の可能性 2号機にホウ酸水注入 毎日新聞 11月2日(水)11時40分配信 2号機の現状 【東京電力は2日、福島第1原発2号機の原子炉格納容器内の気体に、核分裂の際に生じる放射性キセノン133とキセノン135がごく微量含まれている可能性があると発表した。同午前2時48分から1時間、核分裂を抑制するホウ酸480キロを水に溶かして注入した。容器内の温度や周囲の放射線量に大きな変化はないが、東電は同日の会見で「一時的、局所的に燃料が核分裂し、臨界状態になった可能性がある」との見解を明らかにした。(種市房子、関東晋慈、奥山智己、久野華代、中西拓司) 東電は日本原子力研究開発機構に気体の詳細分析を依頼、キセノンが含まれているかどうかの確認を急いでいる。 東電によると、格納容器内の気体を浄化して外部に放出する「格納容器ガス管理システム」(10月28日稼働)を使って1日午後、容器内の気体を調べたところ、2種類のキセノンが1立方センチあたり10万分の1ベクレル含まれているとの結果が出た。一方、核分裂反応で同時に発生する放射性ヨウ素131は検出されず、原子炉建屋1階での調査でも、核分裂反応時に放出される中性子は検出されなかった。 2日会見した東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「キセノン133などが発生しているとすれば、一時的、局所的に燃料が核分裂を起こし、臨界状態になった可能性がある」と説明した。しかし、圧力容器の温度や圧力のデータに大きな変化がみられないことから、臨界が長時間続いた可能性は否定した。 経済産業省原子力安全・保安院によると、福島第1原発1~3号機の原子炉で冷却のため注水量を増やしている。水は中性子を減速させて臨界しやすくする性質があるため、局所的な臨界が起きている可能性は否定できないという。保安院の森山善範原子力災害対策監は「原子炉の温度は安定し、ホウ酸を注入することで大規模な臨界は防止できる」としている。 2号機では5月の解析の結果、格納容器に穴が開いていることが分かった。原子炉内の核燃料の大部分が溶け、圧力容器や格納容器に溶け落ちているとみられている。 一方、圧力容器底部の温度は9月に100度を切り、東電は原子炉の「冷温停止」を達成する目標を来年1月中旬から年内に前倒ししていた。冷温停止の見通しについて松本代理は会見で「保安院と協議する必要があるが、現時点では(圧力容器底部は)冷えており大きな問題はない」と述べ、スケジュールに変更はないと強調した。また、格納容器ガス管理システムが設置されていない1、3号機について「(キセノンが含まれている)可能性はあるが、核分裂反応が起こっていても大量ではない」と述べた。 ◇「誤検出可能性も」保安院 この問題について経済産業省原子力安全・保安院の古金谷敏之原子力事故故障対策・防災広報室長は「燃料が局所的に高温になって核分裂している可能性はあるが、原子炉の温度は変化しておらず再臨界は考えにくい。キセノンの濃度は低く誤検出の可能性もあり、状況を見極めたい」としている。】(引用ここまで) 以下は、2日正午54分配信の日本テレビ ▶2号機、今も核分裂反応か ホウ酸水注入 日本テレビ系(NNN) 11月2日(水)12時54分配信 【福島第一原子力発電所2号機で、核分裂反応が起きたときにできる、半減期の短い放射性物質が検出されたことがわかった。「東京電力」は、核分裂反応が今も起きている可能性が否定できないとしている。 2号機には先月28日、格納容器内の気体を吸い出して放射性物質を除去する装置が取りつけられた。1日、この装置で採取した気体から、核分裂反応が起きたときにできる「キセノン133」と「キセノン135」とみられる物質が検出されたという。これらは、半減期がそれぞれ5日、9時間と短いことから、東京電力は2号機で今も核分裂反応が起きている可能性が否定できないとして、核分裂を止める効果があるホウ酸水を注入した。 東京電力は、さらに詳しく分析することにしている。】(引用ここまで) * 東海村にある日本原子力研究開発機構の再処理施設では、レベル1の事故が。(毎日新聞2011.11.1 東海再処理施設レベル1) 原子力マフィア(原子力ムラ)の辞書には「老朽化」という字はありません 日本の原子力マフィア(原子力ムラ)の連中は、「老朽化」という言葉はなく、「高経年化」と呼ぶそうです。何やら「年をとった」とは言わず「年を重ねた」という言い方に似ていませんか。そして、驚くことに「取り換えれば、理論上、原発は限りなく寿命を延ばせる。老朽化することはない」(原子力安全基盤機構の資料)とまで言い切るのです。 「形あるものはいつか壊れる」「常なるものはない」(無常)などという話は、彼らにとってはまったく無縁のようです。交換ですが、そう簡単に交換できないのが原発じゃないのですか。ここにも根拠のない三段論法が生きているのです。(毎日新聞2011.11.1 この国と原発/第3部/老朽と呼ばぬ) ▼寄せられた情報 今朝ニッポン放送ラジオで、ジャーナリストの富坂さんという方が、「原発を1国で論じてもしかたない、例えば中国は近い将来100基の原発を計画し、最終的には400基の原発を沿岸地帯につくることをめざしている。なにか事故があればすぐに東京にもふりかかってしまいますね」といったような発言。 * 確かに、福島は東側が太平洋だったので、東京は、それで「救われた」ところが確かにあります。しかし、中国や、関電や、中部電力、九電など、西にも原発はたくさんあります。(A) | ||