原発通信 106号2011/11/22発行
「原発を考えることは地球の将来を選択すること」山口二郎(北大教授) 11月20日付の東京新聞「本音のコラム」で山口二郎さんは言っています。 原発再稼働の動きがみられる。福島第一原発が地震で壊れたのか津波なのか、はっきりわからないという基本的な事実さえ確定していない状況のなかで、ストレステストでお茶を濁し再開させようなどという話はあり得ない。原発を考えることは地球の将来を選択することでもあるとし、脱原発の運動もこれからが本番であるといっています。 まさにその通りです。何も変わっていないのに、もう過去のこと、大したことなかったじゃないという空気…。事故処理だって、これから何年かかるか、その費用だって天文学的数字になるだろうと指摘する人もいます。来年、3月、「東日本大震災から1年…」「東京電力福島第一原発事故から1年がたちました」という特集番組などが組まれるでしょう。でも、その時、どれだけリアリティをもっていられる人がいるのでしょうか? 矛盾の深さを知ることが第一歩 ところで、原発とは離れますが、山口さん、その前の上の同コラム(10月30日付)でこう言っています。 「私が大学へ入ったころ、すでに社会主義の失敗は明らかで、マルクスも威信を失っていた。私から後の世代は、読む前からマルクスは古いという常識を唱えていればよかった。しかし、最近の政治を見ていると、マルクスを古いと言っていたことが恥ずかしく思える。政治的発言力はカネの力に比例すると言う鉄則は、まったく古くなっていない。リーマン・ショック以後、資本の運動を放置する高度な資本主義が大きな矛盾を明らかにしているのに、資本家はいっこうに悪びれていない」と。 そして、困れば公的資金をと言って援助を受け、よくなれば法外な報酬を手にする。企業が潤い、GDPが増えても働く者には回ってこないというのは2000年代以降のいざなぎ超え景気を見ても明らか。そんな成長ならいらない。 そして、言います。「マルクスは解決策までは教えてくれないが、ともかく矛盾の深さを知ることが第一歩である」と。 なるほどと思っていたところ、毎日新聞に西部邁が「米国でも反格差運動が盛んです 公正なくして市場なし」の見出しで寄稿していました(11月16日付)。 西部氏言います。「平等の理想と格差の現実の平衡、それが公正という名の道義である」と。今のアメリカの状況は競争に必然の結果ではないとし、「競」「コムペティション」も元来は「おおよそ同等の力量を有したもの同士の間の(ルールに則った)争いを指す」と。漢語の「市」も公正な価格での取引を意味しているとも。資本家統制を野放しにするとき、差別社会が到来し、公正の道義すら破壊されると。社会主義という名のウルトラ近代主義はすでに失敗した。これからは、己のオーガニズム(有機体)を国民的諸組織まで充実させて、資本主義を統治していく以外に道はない。このことを喜んで破壊したのが平成の構造改革であった、と結論付けています。 そして、PTTです。西部は言います。「その暴挙をTPPに延長させるのは『ナントカは死んでも治らない』の見本」と。そう、あのライオンヘアの親父も何とかですが、ジュニアもそうです。 でも、この西部の論理、聞いたこと、見たことありませんか。1930年代の日本で同様なことをぶちあげていた人たちとダブるのですが…。歴史は繰り返すといいますが、ブロック経済圏の構築といい、似ています。 そもそも、思うのです。「公正」などというものがそもそもあるのかと。ありもしないものを基本に据えても意味がないのではと思うのですが。ありもしない公正、それなくして市場なしといわれても困るんですがというのが私のキモチです。そういう時代状況だからでしょうか、最近「正義の話をしよう」だのというあちらのなんだかエライキョージュの話がもてはやされているのは。 そうそう、その偉い先生とTVで「正義について」話していたトーキョー大学の学生さん、目の前の「正義」には無頓着でしたが。(原発に関係ないこと書きすぎました。強引に引っ張れば、「安全」「事故など起きない」としたことと、「公正」論議、似てなくもありませんが。すみません)。でも、このTPPと原発輸出問題リンクする話なので目が離せません。 それと、書いていて思い出したのですが、オバマ大統領、「我が国(米国)の雇用は、輸出はよくなる」とだけ言っており、「各国が…」などと言っているのを聞いていないのです。要は自分の国のことだけしか考えていないということです。 中~大型魚、沿岸の物、底生の魚には注意 海底にもホットスポット有り 石丸隆東京海洋大学教授、セシウムはプランクトンでは減ってきているがスズキなどの沿岸の大型魚では減ってない。セシウムは筋肉に蓄積される。内臓や脂には少ない。放射性物質は消えてなくなるものではないので、最低2、3年は注意が必要。ストロンチウムについては調べられてもいないと。海底ものには注意といっています。 先日、水産庁の漁獲された海域を表示する件で、その海域区分が示されたということお伝えしました。今月からは、大手のスーパーなどでは、今までは表示しなくてもよかった加工品(刺身など)でもとったところ(水揚げされた港ではなく)が明記されるようになってきていること、買い物に行かれている方はご存知かと思います。それだけ、気にかけている消費者が多いということです。(東京新聞2011.11.21 海底と生物の間) ◆11月27日のNHK ETV特集は「海の放射能汚染」(海のホットスポットを追う)が放映されるそうです。 http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/1127.html 食品の放射能:調べるには 厚労省がネットで公開 毎日新聞11月21日付の記事です。 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20111121ddm013100042000c.html 福島第一原発、来年1月には無保険状態に ▶福島第一原発 1200億円保険打ち切り 東京新聞ネット版 2011年11月22日 07時05分 原発の損害賠償保険を引き受けるため、損害保険会社でつくっている「日本原子力保険プール」(日本プール)が、東京電力福島第一原発に対する損害保険の契約を更新しない方針を固めたことが分かった。東電は契約が切れる来年一月十五日までに、保険の引き受け手を見つけたり、保険額(千二百億円)相当の現金を供託したりしないと、福島第一が無保険の「違法状態」となる。 すべての原発は、事故が起きた場合に千二百億円を上限に賠償金が支払われるよう、保険加入などが原子力損害賠償法(原賠法)で義務づけられている。これを怠ると、原発は稼働できない。 地震や津波の場合は政府補償が適用されるが、問題になっているのは運転ミスによる事故などをカバーする民間保険の部分。 福島第一で加入している民間保険は来年一月十五日に契約が終わるが、日本プールは、炉心溶融などの重大な事故を起こした福島第一は、落ち着いてきたとはいえ、通常の原発とは比べものにならないリスク(危険性)があり、千二百億円もの保険は引き受けられないと判断。政府や東電にその旨を通知した。 原賠法は「損害賠償をする資力を確保していなければ原子炉の運転や廃炉作業をしてはならない」と規定しており、無保険の状態では、原子炉の冷却や使用済み燃料の取り出しなど事故収束作業にも重大な影響が出ることは必至だ。このため、原賠法を扱う文部科学省は、東電や日本プールとの間で、対応策の協議を始めた。 保険に代え、保証人(機関)を立てたり、保険額と同じ千二百億円を供託したりする方法もある。ただし、東電は賠償に追われ、全額を調達できる可能性は低い。このため、大幅に減額した民間保険と、東電が「原子力損害賠償支援機構」や主要取引行から融資を受けて供託するなど複数の手法を組み合わせる方向で検討が進められている。東電は「最終的に決まったわけではない。まだ交渉途中なので詳細にコメントできない」としている。(引用ここまで) http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011112290070556.html 首都圏の汚染ゴミ、12月3日から秋田から送り返されることに ▶東日本大震災:焼却灰、首都圏へ返還 DOWAが県などに計画書 /秋田 毎日新聞 11月22日(火)13時5分配信 ◇来月3日から 土壌除染の際の被ばく量が決まった ▶除染被ばく量、年間50ミリシーベルト以下 TBS系(JNN) 11月22日(火)7時33分配信 放射性物質を含む土壌などの除染作業にあたる際の被ばく量について、厚生労働省は年間50ミリシーベルト以下とする方針を決めました。 政府は来年1月から福島県などでの除染を本格化させることにしていますが、それに先立ち、厚生労働省は除染作業にあたる作業員やボランティアの被ばく量について議論を行いました。 その結果、1時間当たり50マイクロシーベルトを超える地域では1人1人が線量計を持って放射線量を測定することを義務づけた上で、被ばく限度を1年間で50ミリシーベルト、5年間で5ミリシーベルトとする方針を決めました。一方で空間線量が1時間当たり0.23マイクロシーベルトを下回る場所では線量の管理は必要ではないとしています。 厚労省はこの基準を来年の1月1日から施行する方針です。(21日21:02)(引用ここまで) * ちなみに空間線量ですが、文科省発表19日の福島1.36マイクロシーベルトあります。 原子力関係の政策仕分け 予算請求と政策提言について表にまとめてありました。(毎日新聞2011.11.21政策仕分け) この仕分けで、金食い虫=もんじゅがあがっていますが、本当に何を考えているのかです。もんじゅ、1兆円使ってこの17年間で動いた日数が2百数十日! 六ケ所村にある「再処理工場」は、1993年に着工したものの竣工できず、使った金2兆円! まだまだつぎ込む気でいます。 3号機で1600ミリシーベルト検出のこと 昨日の通信で寄せられた情報として掲載した福島第一の3号炉で1600ミリシーベルト検出ですが、この3号機、MOX (プルトニウムを混ぜた核燃料)を使っていた原子炉です。この検出された場所に東電は、連鎖的に核分裂が起きる「臨界」を監視するための装置を格納容器につけるところだったということですが、これでは人間が近寄れないのでできないといいます。では、どうなる…、どうする…。 原発推進者、事故起こり無念。フクシマ以後人生・世界観変わったと 東京新聞2011.11.18 推進者の無念 北村俊郎さん、大学卒業後、日本原子力発電に入り、労働安全や地域対策をしていた人。57歳で退職後、交付金で財政が潤沢でサービスもいい富岡町に終の棲家をもちましたが、事故で避難民になってしまいました。それまで、本当に(!)事故など、考えたこともなかったようです。でも、原子力マフィア(ムラ)の連中のいい加減さには気づいていたようで仲間内の冊子のなかではいろいろと書いていたとのこと(外の人は読まないという安心感からか)。 この人、原発はそのうち立ち行かなくなってなくなるだろうと。その理由は避難体制だといいます。人口密集地の多い日本では、全員を避難させることには無理があると。 デスクメモにある、オフサイトセンターの話ですが、こんな何の役にも立たず、事故が起きたら我先に全員が尻に帆を立てて逃げてしまわなければならないようなところに巨額をつぎ込んでつくった張本人の責任、追及すべきです。 この人、ビートたけしよりはよっぽどマシです。なぜなら、安全と言ってきた人間が立地区域に住まないでどうすると思って富岡に住むようになったというのですから。まあ、3.11までは本当にそう思っていたのでしょう。 また、事故後の東電や政府の対応を戦時中の軍隊と同じだとも言っています。前に書きましたが、この人もたぶん「海軍反省会」の本を読んだのでしょう。この本、一読するといいですよ。PHP社からテープ起ししたそのものが出ていますが、厚い本で高価なので、NHK取材班が書いたほう(新潮社)がしゃべった人間のエピソードも書かれているのでいいです。 本当に無責任、それを自覚していない連中(当然反省している人間は、中にはいるのですが)、今回の東電、また推進してきた連中(たけしのような電波芸者も含め)、通じるもの、多です。それが日本人か…。 * この北村さんが危惧している「避難」ですが、20日の日曜日に九州・玄海原発で3万3千人が参加して行われました。避難するのに、原発から遠ざかるのではなく、近づかないと避難できない一部地域のことは以前から問題となっていましたが、その1本の橋しかないところの住民どうなるのでしょうか。 ▼寄せられた情報 TPP問題で 米国のエイジェントか? この通産官僚 昨日の日刊ゲンダイ(11月22日付)に載った通産官僚の実名つき人物紹介です。経歴を見ると完全に米国のエイジェントとして送り込まれたような人物です。老後は米国で暮らすのでしょう。(Tさんより) * 送られてきた記事「TPPの黒幕 経産省女性官僚がやったコト」を読むと、女性の名は、宗像直子・経産省通商機構部長(グローバル経済室室長)だそうです。東大法学部卒。ハーバードでMBA取得。1984年通産省に入省。ブルキングス研究所、ジョージワシントン大学で研究した新自由主義者とのことです。 野田が「言っていない」「じゃあ、これはなんだ」と言い合っている例の「日本はすべての物品サービスを(TPPの)貿易自由化交渉のテーブルに乗せる」という文章を書いたのがこの人だそうです。 この件は、たまたまTVが枝野に張り付いていてカメラに映ってしまったことから明らかになったとのことです。野田、言っていないと言いつつ、米国に訂正も求めないというおかしな話なのです。本当に官僚というのは自分が世界を動かしていると思っているのでしょうね。政治家なんてナンボのものじゃというのが正直なところ。そういえば、今週の週刊サンデー毎日に、『「年次改革要望書」は完全復活していた!』の見出し。そう、この米国から突きつけられている「年次改革要望書」こそ、米国による日本再占拠のシナリオとも言われているもので橋本政権のときに突き付けられたものです。その後、日本で起こったことすべてはこの中に書かれていることなのです。(A) ▼どうでもよくない話 世田谷の例のビン処理に数千万円? 産経新聞(ネット版)によると、世田谷区で見つかった例の放射性物質が入った瓶ですが、その処理費用に保管で数百万円程度、最終費用が数千万円に及ぶ可能性があるとのこと。要は、「たかだか」あの程度の便に入っている放射性物質の便でさえ、こんなにお金がかかってしまうという話です。それに比べウラン、プルトニウムのモンスター級の原発ではと考えると、天文学的な額になってしまいます。その意味でも原発はなくさねばなりません。それでも、原発は発電コストが安いなどと言う人がいたら、これを教えてあげればいい。でも、産経新聞、そこまでは考えていないでしょうね、きっと。 「原発」の是非を決めるのは誰? 実現させよう!「原発」都民投票 「受任者」になって、署名を集めましょう! 原発の稼働、廃止は私たちが決める! 都民投票実現へ! 都民投票実現のための署名12月1日からです! まずは、やれることはやっていこうと思っていますので、 皆さんに呼び掛けたいと思います。 まず「受任者」になる。それが署名集めの第一歩です ◆詳しくは、下記アドレスをクリックしてください。
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