原発通信 107号2011/11/24発行
『通販生活』2011年秋・冬号は「原発国民投票」を呼び掛けています 原発に関する記事多です。ぜひ読んでみてください。 前号で「反省」「無念」と言っている元推進者・北村俊郎さんのことを書きました。同時に、『通販生活』2011年秋・冬号に「懺悔している人」後藤政志さんが載っていましたので、この人のことを、次回紹介しようと思って書き置きしていたところ、仲間の二人から『通販生活』のことを紹介しようというメールが入りました。各TV 局がCMを拒否しているという情報も入りました。180円と安いので、ぜひ読まれるといいですよ。 内容は、前原への反論、名古屋大の高野雅夫さんの「『原発なしではまかなえない』のウソ」、諸富徹さんの発送電分離、飯田哲也さん、落合恵子と河野太郎の対談、今日紹介する後藤さんなどの記事が掲載されています。表紙にはズバリ!「一日も早く原発国民投票を」の大見出し。この本の本来の告知文字など一切なしです。まるで「原発国民投票」呼び掛けの冊子かと見間違えます。 それと、今日発売の週刊新潮の新聞広告の見出しに「原発文化人を叩いても週刊金曜日落合恵子の消せない過去」の見出しがありました。また週刊新潮、企んでいるのでしょう。 なんだか、今日の本通信は、3.11が起こるまでは強固な推進論者、実行者であった人たちの反省特集になった感がありますが、読んでいただければと思います。 まず一人、 『通販生活』で、もう一人「懺悔」している人がいます 前号で北村俊郎さんのことを書きましたが、同じく3.11までは原発推進者であった後藤政志さんとジャーナリストの溝口敦さんの対談が『通信販売』2011年秋冬号にありましたので紹介します。 * 後藤政志さん、これまでは東芝で原子炉格納容器の設計をしていた人です。柏崎刈羽原発3号機と6号機、中電浜岡原発の3号機と4号機、東北電女川原発の3号機の格納容器を手掛けたそうです。 後藤さんは言います。「技術は失敗を体験して発展していくものですが、原子力の一番の問題は失敗が許されない技術だということにつきます。つまり、原子力は(その意味で──引用者)真っ当な技術ではない。なぜなら失敗が許されない技術は将来も発展できません。改善し、発展することが不可能だからです」。 また、安全システムが幾重にも施されていてもそれが全滅したときにはどうしようもなくなる。格納容器の圧を下げなければならないときにするベントですが、放射性物質が環境へ放出するのを防ぐためにフィルターを東電は当然付けると思っていたら拒否された。なぜなら、「目立つから」というのが理由だった。それは、原子力は安全と言っているのに目立つフィルターなど付けたら理屈に合わなくなるからとのことであった。(これ、何かに似ている) 一番罪があるのは原子力安全委員会だ。過酷事故は「起こらない」と言っていたのに「起こることもある」と言い換えた。安全委員会にこそ罪があるというのです。(これもどこかと似ている) つまり、事故の確率は無視できるほど小さい → しかし、過酷事故対策については検討が望ましい → 対策は各自が自主的にやってくれ、となる。フィルターでいえば、東電は付けるも付けないも勝手だ → (したがって)付けない、という結論になった。使用済み核燃料についても後で考えようという感覚。異論・反論できない社内の「雰囲気」。何か言おうとするなら、「会社辞めるの?」という感じだったとも。(この感じも、どこかと似ています…) 中越沖地震で柏崎刈羽原発は想定の3倍以上の振れで危なかった。それが今度福島で事故が起きた。黙っていたら後悔すると思い発言した。と、まあこんな内容です。 そう、この感じ、この「雰囲気」、「海軍反省会」とそっくりです。3.11後すぐに反省、後悔しているので、「海軍反省会」の軍令部にいた連中よりは“マシ”なのかもしれませんが(海軍の連中は、戦後45年(!)もたってからですから)、この対談を読む限り思考構造は、何のことはない、軍令部の連中と同じです。今頃言われても困ります、この一言です。 でも、こうした「空気」が蔓延し、「違ったこと」をいえない土壌が醸成されていくのでしょうね。そこに、日本社会の根深い問題があります。 ▶『通販生活 』2011年秋冬号 巻頭特集「原発国民投票」 - YouTube このCMの放映をTV各社がことごとく拒否したそうです。もうはっきりしていますね=原発マフィア http://www.youtube.com/watch?v=-PHunKfcCP8&feature=youtu.be 東大の教授連中、反省を込めたシンポ開催 驚きの発言 東京新聞11月23日付によると、22日に東大本郷で「原子力工学の再考」と題したシンポジウムがあったそうです。福島第一原発事故はなぜ起きたのか、産学官のOBらに原因を聞き取り調査した結果を公表し、主導してきた立場としてあり方を再考したいと教授側からの提案で開催されました。でも、「再考」です。「反省します」「ウソばかり言ってすまなかった」とは言っていないことに注意です。 短い記事ですからこの記事だけで内容を推し量ることはできません。ただ、「忙しさにかまけていた」とかの言い訳が多くなりそうです。東電出身で原子力委員会委員でもある尾本彰特任教授など、「予算が切れたら終わりではいけない」などともっともらしいことを言っていますが、何をばかなことを言っているんだ。当たり前でしょう。自分たちの不始末を自分で始末できなくでどうするのか。こういう「発想」ができるところに、問題の根の深さがあるのです。 そのほか、「専門家がいない」(!)だの、「責任が不明」だの、「汚れ仕事はしたくない」だの、「都合の悪いことは隠す体質がある」だの、まあ、よく言うわの世界。そもそも「専門家がいない」とはどういうことですか。まさに、以前から言われていた自前の技術など、はじめからないという証明でしょう。(東京新聞2011.11.23 東大原子力反省の嵐) トンデモ発言、福士政広 11月23日の毎日新聞です。「除染技術日本が確立を」の見出しで、あの怪しいキョウジュ、福士政広登場です。 あちらこちらでホットスポットが見つかっている状況に、なんと、「見つかったら対応すればいい」と。もぐらたたきと同じです。測定していない、できていないところは知らんと言っています。 とんでもないのは、その次です。「当然(除染は)やればやるほどコストはかかりますし、それを支払うのも市民です」だと! 冗談じゃない。人のうちにゴミをばら撒き、それを金だして掃除・片づけるのは、その家の問題だ、と言っているのです。どこに「人の家にゴミを埋めて見つかったら、見つけた本人のせいだ、見つけた人が処分すればいい」などという道理がありますか。今回のこの問題の責任はひとえに東電にあるという当たり前のことが、この人には通じないようです。(毎日新聞2011.11.23 首都大・福士政広) 小泉政権時代にロシアからの提案(再処理・中間貯蔵問題)を隠ぺい 金ヅルがなくなってしまうことへの危機感からなのでしょうか。本日の毎日新聞1面トップです。 ▶<核燃>ロシアの再処理提案文書を隠蔽 「六ケ所」の妨げと 毎日新聞 11月24日(木)2時30分配信 ロシアが02年、日本の原発の使用済み核燃料をロシアで一時的に貯蔵(中間貯蔵)したり、燃料として再利用するため処理(再処理)するプロジェクトを提案する外交文書を送っていたことが関係者の話で分かった。内閣府の原子力委員会や経済産業省資源エネルギー庁の一部幹部に渡ったが、六ケ所村再処理工場(青森県)稼働の妨げになるとして、核燃サイクル政策の是非を審議していた国の審議会の委員にさえ伝えなかった。当時、漏水事故の続発で再処理工場の安全性を疑問視する声が高まっており、不利な情報を握りつぶして政策を推し進める隠蔽(いんぺい)体質が浮かんだ。 ◇02年、国の審議会にも伝えず 東京電力福島第1原発事故を受けて設置した政府のエネルギー・環境会議は核燃サイクルを含むエネルギー政策を抜本的に見直す方針。情報隠しが判明したことで、政策決定の妥当性に厳しい検証が求められそうだ。 文書は02年10月25日付でA4判2ページ。尾身幸次・元科学技術政策担当相宛てで、ロシア語で書かれており、ルミャンツェフ原子力相(当時)の署名がある。受領した在ロシア日本大使館が日本語訳を付け、内閣府原子力政策担当室(原子力委員会の事務局役)幹部らに渡した。大使館はさらに04年初めまでにエネ庁の一部幹部にもファクスで送ったという。 尾身氏は担当相を務めていた02年9月、モスクワなどでルミャンツェフ氏と会談。文書は「会談は原子力部門における露日の共同活動の最も有望な方向性を明確に示すことを可能にした」とし、「一時的技術的保管(中間貯蔵)および(再)処理のために日本の使用済み燃料をロシア領内に搬入すること」を提案する内容だった。 03~04年、経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」や原子力委の「新計画策定会議」が、使用済み核燃料をすべて国内で再処理する「全量再処理路線」継続の是非を審議していた。約19兆円とされる高コストやトラブルの続発を受け、六ケ所村再処理工場に初めて放射性物質を流す「ウラン試験」開始に異論を唱える委員もいたが、ロシアからの提案は知らされなかった。結局、再処理継続が決まり、03~04年にウラン試験が行われた。 経産省やエネ庁の関係者によると、エネ庁幹部は当時、周辺に「極秘だが使用済み核燃料をロシアに持って行く手がある。しかしそれでは六ケ所が動かなくなる」と語っていた。海外搬出の選択肢が浮上すると、全量再処理路線の維持に疑問が高まる可能性があるため、隠蔽を図ったという。ある関係者は「ロシアの提案は正式に検討せず放置した」、別の関係者も「原子力委とエネ庁の技術系幹部という一部の『原子力ムラ』で握りつぶした」と証言した。 原子力委は委員長と4委員の計5人。他に文部科学省や経産省からの出向者らが事務局役を務め、重要な原子力政策を決定する。【核燃サイクル取材班】(引用ここまで) 総括原価方式、広告費など転嫁認めず 経産省の有識者会議は拠出金や広告宣伝費など絵お電気料金を決める際の限界に参入を認めないことで合意したといいます。どれだけの実効性があるものやら。(東京新聞2011.11.23 広告費など転嫁認めず) 福島第一から50キロに活断層 東電は、これまで活断層ではないと言っていた断層が実は活断層だったと認めました。しかし、「耐震設計上考慮する必要なし」ですと。50キロも離れているからということです。こんなことで納得できますか。問題ありとなったらその改築だけでも大変になるので、そういっているだけでしょう。それは六ケ所村、東通原発などを見れば明らかです。(毎日新聞2011.11.23 湯ノ岳断層は活断層) ▼寄せられた情報 東電が“原発抜きの夏”を試算 今年上回る供給力 原発なしでも問題なし!東電が認めています。 これで東電保有の17基の原発は稼働の根拠を失いました。速やかに廃炉へ追い込みましょう。 http://www.47news.jp/CN/201111/CN2011112201002278.html 今朝のNHK「あさイチ」、この前の番組でのデータねつ造問題に回答 12月15日に検証番組を放映するといいます。あさイチのHPで意見を募集しているとのことですので投稿してみてはいかがでしょうか。いまいち、よくわからないというところです。今日発表した数値ではすべて「ND」でした。福士がした検査はだめだということはわかったのですが…。 http://www.youtube.com/watch?v=zjVSyIzgd-4&feature=player_embedded NHKアーカイブス「シリーズ原子力(3)チェルノブイリ」の教訓を見ました 「1986年のチェルノブイリ原発事故。当時ソ連が情報を隠すなか、徹底した調査報道を行ったNHK特集(53分・モンテカルロ国際テレビ祭ゴールデンニンフ賞)を視聴。ヨーロッパの全域に放射能汚染が広がった深刻な事故を検証する。また、福島の市民との交流のため来日したチェルノブイリの医師をゲストに招き、除染・子どもの健康・食の安全など25年の教訓を学ぶ。福島で収録。【コメンテーター】小出五郎」(NHK番組表から引用) * ベラルーシのジミナ・ナジェージダさんという産婦人科医をゲストに迎えていました。彼女、事故当時は医学生で、のちにホットスポットであったとわかる故郷に帰省中だったといいます。 NHKはよく調査したと思います。福島でもやってくれたらと思うのですが。当時、あれだけのことが分かっていながら、なぜ今回、NHKはできなかったのかということが検証されるべきだと思います。ナジェージダさんは、福島現地を歩いた感想として、「このようなところで生活せざるを得ないことは御気の毒としか言えない」と言っていました。 放射能汚染でナーバスになっているお母さんたちに、イライラしたりしては子どもに影響するので気持ち絵を切り替えてとあの山下センセイのようなことをいうのですが、後が違います(その前も本当にこんなところで…という気持ちが表情に出ているところからして大違いですが)。 ベラルーシでは住民は近くの学校にある放射線検査器でいつでも検査できること、また子どもたちも年に1回(?)ホールボディーカウンターで検査が受けられる体制にあるというのです。加えて、彼女は言います。子どもたちは、年に2カ月ほど、汚染されていない地域で過ごせるようにすべきだと。ここがあの山下などと違うところです。 もう一つ、東京新聞の記事も参考になります。来日しているロシア人医師の講演です。内部被曝についての検討、もっともっとしなければなりません。(東京新聞2011.11.23 チェルノブイリ内部被曝の危険) 枝野、九電の社長に辞めろなどと言っていないと 11月23日の毎日新聞によると、枝野、九電社長の辞任要求指示など出していないと否定したとのことです。これ、後で、私企業への干渉だと言われないようにするためなのか、それとも何かあったのか…。 ▼寄せられた情報 契約延長、損保が拒否 来年1月で切れる「原発保険」、損保各社が、リスクが高いとして延長しない方針を東電側に伝えていたようです。政府や東電が何を言おうが、事実がすべてを語っています。原発は採算も合わないし、危険なのです。 http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20111122/index.html TPPの話が出ていましたので、ネタを三つ。 ・民族派の方々も相当な危機感を持っています(チャンネル桜より)。 http://www.youtube.com/watch?v=f5d7SisU490&feature=related ・総統閣下もお怒りです。 http://www.youtube.com/watch?v=t9G-smFdP_A&feature=player_embedded
・これはよくまとまっています。 http://www.youtube.com/watch?v=cNXEucYUFJ0&feature=related 「グローバリズムによる歪みをグローバリズムで矯正することはできない」 ギリシア、イタリアで表面化した財政危機はスペインそしてフランスにまで及ぼうとしています。アメリカも深刻で、このままでは11月末にもデフォルトしそうなのに、まだ議会で与野党の話し合いが付いていません。日本は言わずもがな、財政赤字は1000兆円を突破しました。 これは何を意味しているのでしょうか。はっきりしているのはグローバリズムとは、ごく一部の多国籍企業、金融資本のみが利益を得るのであって、それを支援した「国家」ですら何の恩恵も得られない(税収増はない)究極の資本主義であるということです。 なお話題に出ていた宗像官房参事官ですが、彼女は経産省のシンクタンクRIETIに所属する経産省主流派のイデオローグです。経産省が「何を考えているか」は、このサイトをフォローしていれば大体分かります。 http://www.rieti.go.jp/jp/index.html 『論座』2002年8月号掲載 http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/munakata/01.html 「原発」の是非を決めるのは誰? 実現させよう!「原発」都民投票 「受任者」になって、署名を集めましょう! 原発の稼働、廃止は私たちが決める! 都民投票実現へ! 都民投票実現のための署名12月1日からです! まずは、やれることはやっていこうと思っていますので、 皆さんに呼び掛けたいと思います。 まず「受任者」になる。それが署名集めの第一歩です ◆詳しくは、下記アドレスをクリックしてください。 「がんばろう!さようなら原発1000万人署名」12・10集会 日時 12月10日(土) 13:30開会 (40分程度の集会の後に、パレードを行います。) 会場 東京・日比谷野外大音楽堂 http://sayonara-nukes.org/ *一緒に参加していきたいと思いますので、本通信で詳しいことなど載せたいと思います。 | |||