原発通信 108号2011/11/25発行
「黙認すれば同意したのだと信じる人々を許容することになる」 私は、サッカーのことはよくわからないのですが、11月24日付毎日新聞「余禄」にブラッター国際サッカー連盟(FIFA)会長の発言がヨーロッパで問題になっていると書かれています。 なんでも「(サッカーの試合に)人種差別などない。不適切な言動があっても試合後に握手すればいい」という発言が取り上げられているようです。これにイングランド代表のファーディナンド選手がツイッターで「サッカーが人種差別根絶の先頭に立っていると思ってきた僕は愚かだった」と述べたそうです。英国閣僚からも批判が出、先週、同会長は謝罪に追い込まれたとのことです。 同会長に悪意はなかったのだろうと余録子は言いますが、人種差別主義者を甘やかす発言とされたようです。20世紀前半の米国女性教育者メアリーマクロード・ベシューンの言葉を引用して言います。「私たちが人種差別に直面したとき、それを受け入れたり黙認すれば、私たちが同意したのだと信じる人々を許容することになる」と。 「人種差別」というところに「原発、原発再稼働」などの言葉を入れてみるとどうでしょうか。今現在、私たちの問われていることはまさにこのことなのです。余録では、最後にこうも言っています。「『水に流す』ことや『寛容さ』が美徳ではなく悪意になる時と場合があることを、日本人も知っておいていい」と、同感です。私、心している言葉があります。このことと同じかと思いますが、「地獄への道は善意で満ち溢れている」という言葉です。良かれと思ってのことが、実は「地獄」への道へ一直線ということはあるものです。己の立ち位置、行動など謙虚に峻別していかなければと思います。 「本物を見分けるチカラ」 先日オウム真理教事件の裁判が終わったとの報道がありました。その特集記事(毎日新聞11月22日付)に同紙専門委員の牧太郎が「ニセモノ見分ける『知力』を」と題して書いています。引用します。 【ただ一つだけ、言えるとすれば、日本人は「ニセモノ」を見分け、これを排除する「知的基礎体力」に欠けていた。 飾った言葉にだまされないチカラに欠けていた。 (略) ゲーム感覚で生きる人々に「知的基礎体力」を求めることはできるのか?】 昔、友人とよく言っていたものです。「本物は何かを見分ける力が大切だ」と。ちょうどその頃TBSラジオでやっていたのが桂三枝の「本物は誰だ」という番組でした。それで、そんなところからよくそのようなことを話し合っていたのを覚えています。 原発事故以降のこと、TPPのこと、「規制緩和」など、今現在進行していることすべてに関係することなのです。まさにというよりますますニセモノ、本物を見極めるチカラが試されていると思います。なにもそれはエセ宗教を見破るときにだけ必要なことではありません、と思うのですが。そのためには、情報の収集、分析が必要なのです。 『通販生活』広告拒否の件です。 以下のメールをいただきました。 【既にご存知かもしれませんがカタログハウスでは通販生活(秋冬号)に原発国民投票の特集を組みましたがそのCMがテレ朝に放映拒否されてしまいました。http://news.nicovideo.jp/watch/nw150482 通販生活(秋冬号)ぜひご覧ください。】 福島・大波地区、進まない除染 なかなか水で洗い流せないようです。アスファルトの表面にこびりついているようです。除染作業業者も安全面のことで33社が予定されていたが2社としか契約できていないといいます。同地区の人の言葉「雪が降る前に終わると期待していたが…」。一度環境に放出されてしまった放射性物質を処理することがいかに困難かということです。(毎日新聞2011.11.24e 大波、進まない除染) その除染を担うのが「原子力機構」、その隠蔽体質とモラルハザード 政策仕分けでやり玉に挙がっている「もんじゅ」を運営する原子力機構、会計監査院がそのでたらめさを指摘。「契約金額の透明性および経済性が確保されていない」と言ったそうです。つまり、そこが出した数字などまったくでたらめと言われていることと同じです。 かつ、せこいことに「もんじゅ」の総事業費から人件費を除いていたというのです(計算が困難だったと理由にならないことを言っています)。これとて基本のキでしょと思います。その後、この人件費を入れると10年度末までの総事業費は1500億円も上回り、1兆810億円になったといいます。泊原発で内部告発をした藤原節男さん、「(都合の悪いことは)一丸となって無視し、隠すのが原子力ムラ」と言います。そんなモラルハザードを起こしているところが除染を担うことになったといいます。福島の除染より自分の垢を洗い落とす方が先でしょと思うのですが。 玄米は注意 東京新聞連載「放射能 本当のことが知りたい」。中沢寛道東大農学部長、研究はまだ途上であり、わかっていない点が多い。100年単位の取り組みが必要とのことです。コメでは、セシウム玄米より白米の方が少ないと。健康志向で玄米食の人、注意です。(東京新聞2011.11.23 百年単位で取り組みを) 本当のことはよくわからないということ 東京新聞連載「放射能 本当のことが知りたい」(この号でとりあえず終了とのこと)の最終回に渡辺直行群馬県立県民健康科学大教授という方が出ていました。2002年から2008年までウィーンのIAEA本部に勤めていたといいます。 「明確な線を引くことはできません」といいます。よくわからないことを、よくこれまでIAEAはやって来れたと思います。核というものに人間が手を付けてしまったのですからそのリスクについても研究をしていたのかと思ったらとんでもない「わからない」というのか結論のようです。わからないのに「放射線の専門家」というのはどういうことなのでしょうか。わかりません。(東京新聞2011.11.24 放射能知りたい渡辺直行) 国際赤十字「被災者救済の視点」に立った初の国際的なガイドラインづくりに 毎日新聞11月23日1面トップには「原発被害 国際赤十字が対策指針」との見出しで、「一定時間に放射線を浴びる許容量や避難が必要な範囲の設定基準などについて『被災者救済の視点』に立った初の国際的なガイドライン作りに乗り出すことを決議するとのことです。IAEAのどの基準は被災者本意ではないことに危機感を持ってのことと言います。 わからないついでにもう一つ 福島から流出した汚染水の量、東電発表に異論 福島第一原発から流出した汚染水ですが、どうも作為があったようです。9月に行われた日本原子力研究開発機構と電力中研の研究者が東電発表の約3倍という試算を学会発表したことで波紋が広がっているとのことです。以前にもお伝えしましたが、フランスの放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が10月に発表した試算値はセシウム137だけで2.7京ベクレル! 東電発表の28倍!になります。なぜかというと、3月に流出した分勘定に入れていないとのこと、理由は「目視で確認していない」からと、トンデモ発言です。そして、今月中に再計算して発表するとのことですが、きっと、また「実は…」となるんでしょう。(東京2011.11.23 海洋汚染再計算) 国内の運転中は10基に (以下、朝日新聞ネット版から) ▶関電高浜原発2号機、定検へ 国内の運転中は10基に 関西電力は24日、高浜原発2号機(福井県高浜町、82.6万キロワット)が25日から定期検査に入ると発表した。電力供給が切迫するなか、18日の予定だった定期検査入りを遅らせ、法定期限いっぱいまで運転を続けていた。 高浜2号機の停止で、関電の11基の原発のうち8基が止まり、国内の商業用原発54基のうち運転中は10基に減る。関電は運転中の残り3基をいずれも法定期限ぎりぎりまで稼働させ、大飯2号機は12月16日、美浜2号機は12月18日、高浜3号機は来年2月20日に定期検査入りする。 高浜2号機は今回の定期検査で2003年以来となる原子炉容器の溶接部の超音波検査をするほか、福島第一原発の事故を受け、非常用電源で動く水位計と監視カメラを使用済み燃料プールに新設する。(笹川翔平)(引用ここまで) * 稼働する原発が減ることはいいのですが、この記事の最後に「非常用電源で動く水位計と監視カメラを使用済み燃料プールに新設」とあります。ということは、非常用電源とはつながっていない、もしくはそんなもの初めからなかったということです。驚きです。これほどまでに「安全神話」に…。ふつう、「○○だ。○○だ。」ということは、○○ではないこともあるということを「念頭」において言っていることが多いと思うのですが、そう思っていたのは甘かったようです。まさに、「非常用のもの」などというのを付けると「危ないもの」となってしまうからというやつなんでしょうね。ここのムラの連中の考え方、尋常ではありません。 「脱原発をめざす女たちの会」キックオフ! 11月23日に杉並芸術会館で行われたそうです。吉武輝子さん、加藤登紀子さん、福島瑞穂さんら約400人が集まったそうです。吉武さん曰く、「男たちには後始末の思想がない。脱原発を高々と掲げ次の世代に引き継いで」とのことです。 琵琶湖の放射能汚染予測システム開発へ 滋賀県の隣りは福井県、そして原発銀座通りです。そこが事故を起こしたら…。ということで琵琶湖を監視するシステムをつくるということです。こういうこと、滋賀県知事である嘉田由紀子さんだからこそだと思います。(東京2011.11.23 琵琶湖予測構築) 吉岡斉さん、原発輸出問題でリスク多いと 今日の毎日新聞に原発輸出問題について3人から意見を聞くという記事が掲載されていました。吉岡さん、事故が起きたときのリスクがあまりにも大きく、そのつけは国民に回ってくると言っています。詳しくは後程紹介したいと思いますが、吉岡さん、どうも“優等生的解答”なのです。原発でなく、他のプラント輸出なら「まったくその通り」と言えるのですが、ものは「原発ですよ」と思うのですが、どうも食い足りません。 ▼寄せられた情報 やはり、危惧していたことが… 「人民新報」、「原発国民投票」はナンセンスと批判しているそうです 【11月17日のたんぽぽ舎メールマガジンに原発都民投票の批判記事がありました。人民新報からの転載なのですが、私の脱原発系の友人たちは若い人が多くこういう昔の左翼的な文章には免疫がありません。これを読んで原発都民投票に批判的になったりして困ったものです。私の感想は、市民のエネルギーをコントロールしようとするなんて、新しい時代の民主主義が解っていない人だなあと思いました。】(ここまで) http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=856 * 「人民新報」ですが、「原発国民投票」はナンセンスであり、「原発の問題をまったく理解していない底の浅い提起」「ギリシャの民主主義のレベルの思想だ」「脱原発運動に亀裂を持ち込むことになる」と批判をしているそうです。 「東京都民に福島県民を犠牲にする『原発稼働』を投票で選択する『権利』などない」、まったくその通りです。 「いま、緊急に必要なことは、被災地の子どもたちをはじめ住民の救援を優先させつつ、脱原発の世論を盛り上げながら、ひとつひとつ、原発立地や周辺自治体に確実に脱原発の橋頭堡を作っていく運動だ。」というのです。 でも、このことと「国民投票」の呼びかけが障害になるという関係が分かりません。人民新報、“頭脳明晰”で、いろいろわかっている方々の集まりなのでしょう。要は、彼らも「民主党、自民、公明党」と、いや石原、橋下同様、人民は無知だと思っているということです。きっと日本人はイタリア人以下であると思っているのでしょうね。「住民の救援を優先させつつ」「盛り上げながら」「作っていく運動だ」…、この思考方法、どこかと似ていませんか。多くの人たちから蛇蝎のごとく嫌われているどこそこの連中と同じです。 【「一票投票」「国民投票」は無前提的に「善」ではない経験を民主主義の歴史は持っている。】そうです、だからこそ、草の根の運動、意識が問われているのです。逆に言えば、代議制、いかに人々は選挙というものによって自らを売り渡してきたかということは歴史が証明しているということをあげれば十分だろう。ボルシェビキ党の歴史、それは「左翼」だけではありません。ナチだってそうです。米英政府によるイラク戦争だって代議制のうえで行われたことです。直接だろうが、間接(代議制)だろうが問題はあるということです。 本号リードでも書きましたが、だからこそ本物、ニセモノを見抜く力をつけて行かなければならないと思うのです。 まあ、いろいろ意見・見解はあるでしょうが原発を止めることに力を注ぎましょう。仲間同士への批判を言うのは簡単なものです(不十分なところをあげつらえば済むことですから)。それよりいかに隣りの人を説得することの方が困難かということです。こんなことに力と時間を割きたくはありませんね。(A) 「原発」の是非を決めるのは誰? 実現させよう!「原発」都民投票 「受任者」になって、署名を集めましょう! 原発の稼働、廃止は私たちが決める! 都民投票実現へ! 都民投票実現のための署名12月1日からです! まずは、やれることはやっていこうと思っていますので、 皆さんに呼び掛けたいと思います。 まず「受任者」になる。それが署名集めの第一歩です ◆詳しくは、下記アドレスをクリックしてください。 「がんばろう!さようなら原発1000万人署名」12・10集会 日時 12月10日(土) 13:30開会 (40分程度の集会の後に、パレードを行います。) 会場 東京・日比谷野外大音楽堂 http://sayonara-nukes.org/ *一緒に参加していきたいと思いますので、本通信で詳しいことなど載せたいと思います。 | |||