原発通信 109号2011/11/28発行
「この国は若い人まで道連れにして奈落の底に落っこちようとしているんじゃない?」 本通信前号で吉武輝子さんたちが「脱原発をめざす女たちの会」が旗揚げされたことお知らせしました。吉武さん、「男には後始末の思想がない」と言われたそうですが、本当のそう思います。核廃棄物の問題などその典型です。でも、ちょっとこのことについて思うのです。私たち、どれだけ「使ったのちのこと」「使われたもの」のこと考えていたかということです。たとえば、水。飲む水、上水道に関してはいろいろ考え、やれ浄水器だ、ペットボトルの水だと考えますが、その後の水、下水や下水道のことについて考えたことがあるでしょうか。使い終わった油を排水といっしょに流してしまうなんて言うことありませんか。こんなのは、ほんの身近な例です。私など、高層ビルを見ると、「これ、壊すときどうするんだろう」と思って眺めてしまう癖があります。 この原発の問題で思うのです。この「事業」にかかわったのは、ほとんどが男だと思います。それも生活・家事などまったく考えたこともない企業戦士たちだったのではと思うのです。昔、問題になったCM 「僕食べる人」だったらその後のことなどに想像力が及ぶとは考えられません。だから、当たり前の「後始末」などということにまったく考えが及ばなかった──誰かがやる(片付けてくれる)だろうという感じだったのではないかと思うのです。 毎日新聞11月25日付夕刊「日本よ!」に吉武さん出ていました。彼女、最後に言います。「この国は若い人まで道連れにして奈落の底に落っこちようとしているんじゃない?」。同感です。奴らといっしょに奈落に落ちるのはまっぴらです。 今週木曜日からはじまる「都民投票条例制定署名運動」 今週木曜日からはじまる「都民投票条例制定署名運動」ですが、朝日新聞は11月27日の社説(原発の将来みんなで決めよう)で、東京新聞も同日付の「筆洗」で書いています。朝日新聞は、日本も国民投票を導入すべきだとし、直面している原発問題こそふさわしいと。前提として、「議論する作法を国民一人ひとりが身にけること」と付け加えていますが、「自分たちのことを自分たちで決める。その責任感を国民が持つことが大切なのだ」と。 東京新聞「筆洗」では、『通販生活』原発国民投票号のCMがテレビ朝日に拒否されたことを取り上げて書いています。そして、この国民投票について政治家(これに前号でお知らせした「人民新報」も加える?)の批判的声すらあると書き、「そこには理性的な判断は国民にできないという蔑視が潜んでいるように思える」と書き、「主権者が意思を示す第一歩」と締めくくっています。 また朝日新聞は「人物像や政策の中身に目を凝らそう。その判断材料を提供するメディアの力量は、いっそう厳しく問われる」とも書いています。朝日に“期待”しましょう。そして、まさに一人ひとりに「ウソを見抜く力」「本物を見分ける力」が問われるのです。私が、ときどき人物描写を入れて書くのも「人物に目を凝らさなければ」と思うからです。どんな人物、性格なのかということはとても大切なことです。往々にして“賢い人たち”は、その人物や性格より「中身だよ」と言って「中身」を問題にしますが、分離して判断できないことなのだということを“口が酸っぱくなるほど繰り返し”たいと思います。 中川恵一の〈「健康都市」ヒロシマ〉と内部被曝調査中止 毎日新聞に連載している中川ですが、今回は〈「健康都市」ヒロシマ〉と題して、広島は日本トップレベルの「健康都市」であるとし、被爆ということでの「手厚い医療」がそうさせているといいます。そして、「放射線が被爆者の子孫に与える遺伝子的な報告はこれまでのところ確認されていません」と言います。そして、この「ヒロシマを長寿にしたこの医療に力を、今度はフクシマ」にというのです。なんか変じゃありませんか、この論法。 福島を長寿県にするためにする? 問題のすり替えです。 と、その前日の毎日新聞では、日米両政府が運営し、原爆被爆者の健康を調査する「放射線影響研究所」(放影研)が1989年で、健康調査を打ち切っていたと報じています。1945年から続いていた内部被曝についての継続調査が打ち切られ、健康への影響や実態の解明は進んでいないといいます。この打ち切り、中川のコラムといっしょ(というより中川が関与しているのでしょうけれど)で、被害が確認されていない、研究目的が達成されたからとのことです。ある調査にあたった研究者自身、報告書で「内部被曝の影響は否定できない」「原発事故が起きたときの目安に」などと調査継続を訴えていたとのことです。 とすると、中川の同コラムに書かれていること自体に?マークがつくというものです。(毎日新聞2011.11.27連載中川) 吉岡斉さん、原発と他のプラントといっしょでいいの? 前号に書いた吉岡さんの原発輸出問題についての見解=「国民が賠償負う恐れ」(毎日新聞11月25日)です。吉岡さん、核燃サイクルについて日本企業にサービス提供能力はなく、契約不履行で訴えられる可能性、事故が起きれば損害賠償請求され、経済合理性の判断がつかない、原発輸出は国内市場の縮小に悩む日米双方のメーカー救済策にはなるだろうが、払うリスクが大きすぎるとの見地から「問題あり」として「政府の関与は無期凍結すべき」といます。 これ、前回も書きましたが、他のプラント輸出ならばそうでしょうが、ことは原発ですよと言いたいです。人間と、いや、この地球と原発、核という点にまで踏み込んでいってほしいと思うのですが…。 ちなみに賛成論者として十市勉(日本エネルギー経済研究所顧問 1945年生まれ、東大卒 マサチューセッツ工科大客員研究員を経て現職)は「アジアの発展取り込め」と。反対論として、飯田哲也さんが「現実を見て立ち止まれ」です。経済第一主義者と人間の未来を見据えてのことの違いです。もっと言えば、後はどうなっても知らない、カネが大事ということと、人間の横暴、思い上がりを反省し、地球環境規模で発想・想像できるかの違いです。 1~3号機の温度を上げるそうです。4号機は冷却装置が自動停止 東電、水素額濃度を減らすため=水素爆発の恐れをなくすために圧力容器温度を今の「40~68度から80度程度に上げる」と言っています。東電の松本、「圧力容器温度は制御できる状況」といい、保安院は「妥当」と判断と言っています。本当に「制御できる」状況なんですかね? でも勘ぐれば、「制御できている」とは言っていないですよね?(間インチ2011.11.25フクイチ温度引き上げ)。 と言っているそばから、4号機では、冷却装置が停止と言います。それも今月17日にも同じことがあったがなぜかわからず、「まっいいか」とばかりに修正なしで再起動していたというのですから、何をやっているのかわかりません。(毎日新聞2011.11.26 4号機燃料プール冷却装置自動停止) もんじゅ、廃炉か 細野事故相、「もんじゅ」について「ひとつの曲がり角に来ている」との見解を示したともことです。自民党時代より一歩前進と思うのですが、当然です。しかし、細野事故相、原子力マフィアの毒牙にかからなければいいのですが…。 東芝、川崎の実験炉再稼働 東京新聞11月26日付によると、東芝、川崎市川崎区のある東芝原子力技術研究所の実験炉を28日にも運転を再開するといいます。これ、民間が持つ国内唯一の臨界実験装置だそうです。新横浜の近くにあるそうです。 小倉智昭・加藤浩次のお調子者二人組 寄せられて情報に貼られていたものを見ていると、右に「山本太郎さんが小倉智昭さんと加藤浩次さんを問い詰める」という動画がアップされていたので見てみました。 http://www.youtube.com/watch?v=QrlOpFP-Jk8&feature=related 岩井俊二さん、松田美由紀(夫は故松田優作)と一緒に出ている番組です(スカパーでやっている番組なのかな?)。岩井俊二監督ドキュメンタリー「friends after 3.11」のことを話しに来たそうです。山本太郎さんが、「地上波では放送できない」などと言ったことに加藤が咬みつき、山本太郎さんに問い詰められると、何と「もし間違っているかもしれないことは流せない」だと! 何言っているんだと思います。冤罪でパクられた人のことだって、平気で犯人として決めつけ、その人の周辺を面白おかしく晒しまくっているのはどこのどいつだと突っ込みたくなります。それほどお前ら「正しいこと」だけを「報道」してきたとでもいうのかです。新しいところでは厚労省の村木さんの件はどうなんだと。大間違いだったろうと。何が「間違っていたら」だ、そんなこと何の言い訳にもならん! お調子者二人組でした。でも、その隣の女性司会者(?)山本さんの話にうなずいているのが映っています。 ▼寄せられた情報 「経団連はまず詫びろ」「理解に苦しむ」 原発めぐり孫VS米倉会長がバトル J-CASTニュース 経団連の体質がよく分かる記事。東電がのほほんとしていられるのも経団連ががっちり守っているからで、反原発闘争は、結局ここを相手にすることになるわけです。不買運動等、創意工夫した闘いを考えていきましょう。 http://www.j-cast.com/s/2011/11/27114246.html?p=all 神経疑う東電の答弁書 「飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任を持たない」 もうね、こんな小学生の言い訳みたいな答弁書を法廷に出せる神経を疑うレベル。 ちなみに東電の主張を認めた裁判官は、東京地裁の福島正幸裁判長。覚えておきましょう。 (朝日新聞2011.11.24連載プロメテウスの罠 無主物の責任) (ここまで) * 「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」だと! 同紙は「もう他人の土地にくっついたのだから、自分たちのものではない。そんな主張だ」といいます。水俣のチッソだって、「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」などと厚顔には言えなかったのではないでしょうか。原因が有機水銀かどうかの争いだったはずです。ここでくると、本当に「恐れ入谷の鬼子母神」です。モラルハザードなどと言うレベルで話をするような問題ではないです。 東京新聞11月26日付「こちら特報部」によると、現行の原子炉等規制法では、原発敷地内で排出される放射性廃棄物の処理しか規定されていないといいます。したがって除染の責任主体が明白でない「空白状態」だということで、民主・自民・公明の3党の議員立法として8月に成立し、来年1月から完全施行されるのが「放射性物質汚染対処特別措置法(略称)」と言います。 こんな論理が通るなら、産廃不法投棄問題も、隣近所穏やかに平和に居心地良く暮らしていきましょうという市民生活の根底をめちゃくちゃにするような話です。隣の住人が自分のところへゴミでもなんでもいいですが「捨てて」、そうそっちについたものだから俺のものではないと言われたらどうでしょう。そんな論法だということです。(A) それにつながるのでしょう、毎日新聞11月25日付によると、茨城県大洗の旅館が客が減ったのは原発事故のせいとして訴えた裁判で、東電、「震災が原因」と開き直りというか、カエルの顔に〇〇の例えではありませんが、居直りです。「消費者心理や施設の損壊など震災自体の影響だ」とし、因果関係、賠償を否定したといいます。(A) 「防災圏拡大」を安全委、黙殺 1999年と2000年に国が防災指針を改定した際、意見募集(パブリックコメント)で、原発事故に備えた防災対策の重点区域(EPZ)の拡大を求める声があがっていたのにもかかわらず、原子力安全委員会は黙殺していたということが明らかになりました。 これ、昨夜NHKスペシャルでもやっていました「安全神話」がどのようにつくられていったかでマフィア=ムラの連中が言っていたことです。まさに三段論法を地でいったやつです。(東京新聞2011.11.26防災圏拡大を黙殺、同 安全委耳貸さず) 文科省公表セシウム汚染地図 最後の方で、新聞にも掲載されていました山脈などで遮られたとする立体的に表示されている汚染地図が見られます。 http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/11/1910_1125_2.pdf 「原発」の是非を決めるのは誰? 実現させよう!「原発」都民投票 「受任者」になって、署名を集めましょう! 原発の稼働、廃止は私たちが決める! 都民投票実現へ! 都民投票実現のための署名12月1日からです! まずは、やれることはやっていこうと思っていますので、 皆さんに呼び掛けたいと思います。 まず「受任者」になる。それが署名集めの第一歩です ◆詳しくは、下記アドレスをクリックしてください。 「がんばろう!さようなら原発1000万人署名」12・10集会 日時 12月10日(土) 13:30開会 (40分程度の集会の後に、パレードを行います。) 会場 東京・日比谷野外大音楽堂 http://sayonara-nukes.org/ *一緒に参加していきたいと思いますので、本通信で詳しいことなど載せたいと思います。 | |||