原発通信 112号2011/12/01発行
●青森・東通原発の建設を断念? 東電は今日の記者会見で否定 今日(12月1日)付けの読売新聞と時事通信によると、東電、資金の調達が困難になったということで東通原発1号機の建設を断念したということです。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111201-00000084-yom-bus_all でも、東電、今日(12月1日)の記者会見で、そんなことは言っていないと言っています。 http://savechild.net/archives/12991.html ●言われていた通り! 底が抜けるまであと37cmだと! しかし、どうして東電がそう言えるのかわかりませんとは、京大の小池さん http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111130-00000095-mai-soci 案の定というかやっぱりというか、今になって1号機、圧力容器は破損し、核燃料は底から抜け落ちてしまって、コンクリートを侵食していると言い出しました。大変なことです。しかも、「地震による原子炉の緊急停止から5時間31分後に核燃料の被覆管が壊れ、7時間25分後に圧力容器の底が破損。核燃料の85~90%が格納容器に落下した」!と、いけしゃーしゃーと「発表できる」神経がわかりません。さんざん、「圧力容器は壊れていない」「漏れていない」と言っていたのにです。そして、「2、3号機でも約7割の核燃料が溶けて格納容器に落下した可能性がある」と言っているのです。 以前からも底が抜け、何もないところの温度を測ってどうするんだと言われていましたが、まさにその通りになっているということです。どうか、これで止まってくれと願わずにいられません。 ▶東電発表の「1~3号機の炉心損傷状況の推定について」PDF http://www.mori-yuko.com/activity/files/20111201101711.pdf ▶東電発表についての小出裕章さんのコメント http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=4XokVkxCzAs 「東電は、なんでそんなことがわかるんですか」との問いに、小出さん「わかりません」と! あと37センチあると言っていることについても、その「根拠がわかりません」とも言っています。また、小出さんは、科学的根拠はないのだけれども底が抜け、最後のコンクリートをも溶かしてもその下5~10メートルで止まるのではないかと言っています。溶けた核燃料は、鋼鉄やらコンクリやらを溶かしながら落ちていくので、それによってある一定の状態、もうこれ以上溶けないという状態になるのがそのくらいではないかと想像していると言っています。だから遮水壁をつくってブロックしたほうがいいと。 ●最高裁、「行政庁は基本的に正しい」 原発担当判事が語る 11月30日付の朝日新聞に「もんじゅ」と「女川」の裁判にかかわった最高裁判事が「原発訴訟を語る」のタイトルでインタビュー記事が掲載されていました。「もんじゅ」にかかわった園部逸夫元判事、女川原発裁判にかかわった元原利文元判事です。 園部元判事、最高裁の性格、というより最高裁とはこんなところと正直(?)に言っています。最高裁、「行政庁の言うことは基本的に正しいという感覚」があり、その理屈付けとして「行政庁の自由裁量」と「専門技術裁量」いう逃げ道があるので、それで、うまいことやってきていますという話です。 要は、お役所のやっていることは専門家がそろっているし、庶民のお前らより頭がいいので、お前らよりよっぽどマシだからお前らの話なんか聞く必要なし、と言っているのです。極めつけは、なんと「政治的裁量」だと。これ、「今の私の地位を保証してくれているのはセンセイたちですから、恐れ多くもたてつくなんてめっそうもない」とコメつきバッタみたいにペコペコしている番頭と同じです。だから「失敗したら大変だ」と頭にあるのは保身だけという情けない姿です。これで、三権独立?(これもみんなウソだった)。 そして、そもそも日本では行政を専門に審判するところがない。離婚だ、相続だ、あっちの車がぶっつけたんだとかいうお裁きが専門なのに「急に原発と言われてもわかりっこないしょ」とばかりに正直に言っています。 元原元判事も同様に言っています。失敗したら俺の人生めちゃくちゃになってしまうから前に言っていた人と同じことをやっていればいいんだ(判例主義っていうんでしょうね)、と。でも、ときどき外の元気のいい奴がやって来て、今までと違うことを言うんだ。いつぞや、前に外交官だったのが来て「外国では…」というんだ。俺たち「外国ではっていうのに弱いだろ」、だからだよ、定数訴訟で2倍の格差は違憲だなんていうのが出たのは、と。しかし、いくら欧米好きと言っても、自分たちの権益を危うくすることは、絶対自分から「まね」はしません。 そして、こうも付け加えていました。忙しいので全部なんか見ていませんよ、下の者に見させて、付いてきた「メモ」を見て、これはあっち、あれはこっちと振り分けているだけ。それにどんな裁判やったかということなど、いちいち覚えていませんよ。原発、もっと多く訴訟が起こされていれば、もっとまじめに取り組んだよと。これまた、人のせいです。 ここにも、悪いのは自分じゃない、まわりがそういう空気だったんだという責任の回避、無責任体制を育む土壌が分厚くありました。そして、「理屈と膏薬はどこにでもつく」の例え通りの世界。これが最高裁の判事の姿です。司法の頭脳なんて言ったってこのレベル。事なかれ主義と保身と、人のことだから知ったこちゃないという想像力の欠如人間ということをいみじくも露呈したということでしょう。こんなんじゃたまったもんじゃありません。 ●「ストレステスト」って、誰がどうやっているか知っていますか? 毎日新聞11月30日付夕刊に出ていました。なんでも取材許可(三菱重工)が出るまで1カ月かかったといいます。 ところで、このテスト、誰がやっているかご存知ですか? 東電など電力会社ではなく、原発メーカーだそうです。メーカー、つまり自分の作ったものを売ってナンボの世界です。売れなかったらゼロ、それも原発となると莫大な額です。そんなところがやるテストに信頼性など期待できるのでしょうか。 で、どうやっているかといいますと。20畳ほどの部屋で各担当者総勢10人ほどが機器の名と数字を読み上げ、最終的な限界値というのを確認するらしいです。この繰り返しを連日行っているといいます。1基終わるのに約2カ月かかるそうです。 で、またここでの問題というか、えっ!?それでいいの?というのが、その結果です。「答」を出すまでの過程の計算式などは全く出さずに(企業秘密とかで)、答=結果だけ(まあ、学校の数学のテストだったら、間違いなくペケでしょう)を電力会社に報告し、電力会社は言われているように「表紙だけを替え」(○○電力会社とついた表紙に)、安全・保安院に出せばいいというのです。その後、班目のようなろくでなしが揃っている原子力安全委員会に出し、「あっそう、いいんじゃない」という感じでパス。そんなのがまかり通っているのがこの原子力マフィア=原子力ムラの世界です。 「柏崎刈谷原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」の井野博満東大名誉教授は言います。結果にいたるまでの中身の公開をと。そして「国がテスト結果だけを見て原発の再稼働を認めるなら意味がない」「(国や専門家たちは)信頼が地に落ちているという認識がないのではないか」と厳しく批判。記者も言います。「(この)仕組みである限り、もはや信頼は得られまい」と。まったく同感です。都合の悪い、いい答えが出なかったら、どうする…、人間なんて所詮そんなものです。だから起きるのです。(記事にストレステストを行っている様子を写した写真が掲載されていますが、まるで普通の打ち合わせ会議、楕円のテーブルに向かい合って座り、紙を並べ、電卓を置いての風景です)。 ●給食に放射能基準 1キロ40ベクレル 東日本17都県 http://www.asahi.com/national/update/1201/TKY201111300868.html 【現行の暫定基準は、飲料水や牛乳・乳製品で1キロあたり200ベクレル、野菜や肉、魚、穀類は500ベクレルだが、文科省は「安全サイドに立ち、厳しい方(200ベクレル)の5分の1の数値を採用した」と説明している】そうですが、本当にいろいろ出てくる数値ですが、これはいったいなんなんでしょう。測定機購入の補助金も出すとのことですが、結構な税金が投入されるでしょう。ならば、あの中川恵一センセイ、「なんも心配いらない。広島は長寿県です。無駄なことをする必要はない」と言いますかね? ●電力会社、多額の献金 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111130/t10014315471000.html NHKの調べによると、電力会社、去年までの3年間に、 自民党の「国民政治協会」に1億1700万円。電力会社の子会社からは同じく「国民政治協会」に2億5800万円。 民主党へは、電力各社の労組から複数の国会議員に少なくとも1億円。電力会社子会社・関連会社から民主党の政治資金団体「国民改革協議会」に470万円 だそうです。 この金額からを見ても、電力会社は自民党に復権してほしいということです。でも、実際はもっと…? ●日中韓が原発トラブル情報の共有を確認 日本、中国、韓国の原子力規制機関が11月29日に会合を開き、10項目の行動計画を決めたとのことです。名は、「日中韓原子力安全協力イニシアチブ」。この3国が協調してアジアの原子力規制をリードし、安全の向上を目指すといいます。 ●Jヴィレッジ、汚染ゴミの山 東京新聞11月29日に、町の再生に取り組めないからJヴィレッジから原発対策拠点を移してくれという記事が出ていました。 電力会社の「アメ」の一つとしてできたJヴィレッジ。事故後、同サーカー場のピッチは舗装され、車両やヘリが発着し、福島第一原発との間を往復しているそうです。一日作業員3千人は出入りしているとのこと。防護服などがドラム缶に換算して2万4千本にもなっているとのことです。除染を行なうので、その除染に使った水が外に出ないように回収しているといいます。皆そろいの防護服を着て、マスクという異様な姿ばかりで、寄り付く人はいない。緊急時避難準備区域が解除されても人は戻ってこないと。だから、町では、原発対策拠点をよそへ持って行ってくれと言っているそうですが、無理なようです。 ●▼寄せられた情報 ●「悲劇を忘れないでください」とウクライナの女性が「千と千尋の歌」で ウクライナの女性が、2008年8月6日にNHKの「視点論点」という番組で「悲劇を忘れないでください」とチェルノブイリとヒロシマをつなげ、バンドゥーラという楽器を使って弾き語りで「千と千尋の主題歌」をきれいな声で、日本語で歌い上げている番組が放送されていたといいます。歌っているのは、ナターシャ・グジーさん。チェルノブイリ事故のときは6歳で、お父さんが原発で働いていたということもあり、原発から3.5キロのところに住んでいたといいます。 http://www.youtube.com/watch?v=ry_WACFd8Ds&feature=fvwp&NR=1 ●“どうでもよくない話”を二つ ▶いかに検証し、教訓を導き出すか、オウム事件に見る日米の差 毎日新聞11月30日付に「熱意の差」と題した社会部記者の記事がありました。 彼の手もとにA4約60頁の英文のレポートがあるといいます。「テロリストはいかにして生物・化学兵器を開発したか」というオウム真理教に関する米国ダンジング元海軍長官を中心とした専門家が今夏に書き上げたものだそうです。彼ら(米国人)は、東京拘置所まで出向き、オウムの連中と面会、いかにして技術を入手したか、その過程と心理を探っていったそうです。 そうするうちに彼らと「信頼関係」ができ、彼らから「資料提供」があったといいます。真意はわからないがとしながらも聞く側(米国調査団)の「テロを未然に防がねば」という思いの強さが被告たちの心を揺さぶったのではと。一方、日本の当局がテロ抑止のために拘置所を訪ねたという話は聞かないと。過去の事例から教訓を得ようとする日米の違いは何かと問います。 これ、今現在、福島で起きたこと、起こっていることにもまったくあてはまることと思います。瑞穂の国だと言って、「見たくないものには目をつむり、聞きたくないものには耳をふさぎ」、都合のいいことだけをつまみ食い、後は「終わったこととばかりに水に流してしまう」。そんなことをしては、いや許してはなりません。米国のすごさということはそういうところにもあるのでしょう。(でも、正直、忘れずに、「あの時こうだっただろう」などと“いつまでも”言っていると、“しつこい人”と言われるのがオチというのが日本です…。その空気、なかなか強いです) ▶あの西山元審議官を除染の担当者にするなんて許せないと怒りの声 今日の毎日新聞12月1日付の投書欄に南相馬の女性から怒りの投書が掲載されていました。以前、あの「不適切関係」で干されていた“口から出まかせ男”西山が除染担当となり、福島に赴任したとお知らせしました。その際、スコップでも持ってやれと書いたのですが、南相馬の女性、冗談じゃない、そんな奴が来て福島も見くびられたものだ、また原子力安全・保安院は除染の知識だってないだろうと怒り心頭なのです。こんな男に帰れと言えない佐藤雄平知事に対しても矛先が向けられていました。 ●「原発」の是非を決めるのは誰? 実現させよう!「原発」都民投票 「受任者」になって、署名を集めましょう! 12月10日開始予定 原発の稼働、廃止は私たちが決める! 都民投票実現へ! 都民投票実現のための署名12月1日からです! まずは、やれることはやっていこうと思っていますので、皆さんに呼び掛けたいと思います。 まず「受任者」になる。それが署名集めの第一歩です ◆詳しくは、下記アドレスをクリックしてください。 「がんばろう!さようなら原発1000万人署名」12・10集会 ●日時 12月10日(土) 13:30開会 (40分程度の集会の後に、パレードを行います。) ●会場 東京・日比谷野外大音楽堂 http://sayonara-nukes.org/ *一緒に参加していきたいと思いますので、本通信で詳しいことなど載せたいと思います。 | |||