原発通信 119号2011/12/19発行
金正日が「列車内で心筋梗塞で」死亡 昼食をとりに行った食堂で知りました。韓国では全軍が非常警戒態勢に入ったと伝えています。何事もなければいいのですが、さて、…。 ●「冷温停止」ではなく「冷温停止状態」だと 人を馬鹿にした話です。TVで誰かが言っていましたが、こんなことを言って納得するとでも思っているのか、またどういうふうになるのかということの想像力が働いていないのではないかと言っていましたが、まったくその通りです。今の民主党執行部、「感電した」連中ばかりなのでしょう。今回の福島第一の事故はすべて「…のような感じ」「…のようなもの」「…かも」といった、まったく根拠なし・不明だらけのうえに立った「お話」だということです。当然、海外メディアからも信用されていません。 班目原子力安全委員会委員長、その後、あのにやにやした顔で「炉の中がどうなっているかわかりません」と。東電の松本に至っては2号炉では400度近いところがあると。はたまた汚染水が漏れただのなんだのと、これで事故が収束とは何を言っているのだ、野田!(しゃれている場合ではありませんが) 野田の会見でNHKがカットしたという箇所がアップされているとの情報を寄せていただきましたので下に貼っておきますが、そこで野田が言ったのは「圧力容器全体の温度を総合的に判断して」のことだと言っていたのが、どうして400度近いところが出てくるのだということです。 それと、日曜日のTBS関口宏のサンデーモーニングを見ました。出席者のみなさん(佐高信を除く)、政府が悪いと、東電のことは言わずじまい。それにしても時々出る佐高信さんですが、あのそっぽ向いた顔で3歩ぐらい先の話、どんなもんでしょう。佐高さんが、この番組から嫌われ「干されている」ということは何かで読んだことがありますが、せっかく出ているのです。3歩も6歩も先の話(ちょっと…、かなり斜に構えた話ばかりなのです)ではなく、出ている奴らに噛んだ話でバシッと言ってほしいと思うのですが。 「原発復旧・復興特需」と原発輸出で得をする奴は誰か、しっかり見ていかねばなりません。黒幕は、そいつらだということは間違いないでしょう。 ●静岡・吉田町議会が「浜岡廃炉決議」 ▶藤枝市議会は「再稼働は認めない」と決議 浜岡原発から20キロ圏にある吉田町ですが、「16日の定例会本会議で、東海地震の震源域にあり危険として同原発の廃炉を求める意見書と決議を全会一致で可決した」とのことです。国が新たに設定する方針の緊急防護措置区域(UPZ)30キロ圏内の自治体で廃炉を求めた意見書を可決したのは初めてだそうです。 同じ30キロ圏にある藤枝市では、同日、市議会が全会一致で「絶対的安全対策がなされ、市民の安全と安心が担保されない限り再稼働は認められない」とした。 9月に、牧之原市議会では「浜岡原発永久停止」決議が可決されていることはご報告した通りです。 ●中川恵一「放射性セシウムでは生物濃縮は起きない」 毎日新聞連載19回目の記事です(12月18日)。「水銀とセシウムの違い」とのタイトルで、水俣病は水銀が魚を汚染し、高濃度に濃縮されてそれを食べたためになったが、放射性セシウムでは「こうした『生物濃縮』は起きません。…有機水銀と異なり、身体の蓄積していくことはありません」といい、最後は持論の「放射性カリウムが多くても、果実・野菜は逆にがんを防ぎます」と結んでいます。 食物連鎖は起こらないと言っています。しっかりと覚えておきましょう。 ●ロシアのルミャンツェフ教授、セシウムによる内部被曝は今も続く ロシア連邦立小児血液・腫瘍・免疫研究センターのセンター長を務めるルミャンツェフ教授が11月18日に千葉市のホテルで開かれた「チェルノブイリと小児がん 命と絆を守る」シンポジウムでの講演内容が12月16日付の毎日新聞に大きく紹介されていました。内容は、事故から25年たった今もセシウム137による内部被曝が汚染地帯に住む543人の子どもを調べた結果として平均で約4500ベクレルあり、7000ベクレル以上の被曝があった子どもは17%に上ったと報告しています。 また、舌がん患者では、血液中の活性酸素の濃度が高くなっており、濃度を下げるのはビタミン剤の摂取が有効であるといいます。そして、日本の子どもたちも汚染されていない食品を取るとともにビタミン剤を摂取して年2回は検診を受けることを勧めています。 しかし、上記の中川センセイ、「セシウムはカリウムと同様、尿として排泄されていき(中略)身体に蓄積していくことはありません」と。 ●栃木の「大気中の環境放射線量」 文科省の発表ですが、福島の「大気中の環境放射線量」が高く、毎時1.30マイクロシーベルト前後を記録していることはご存知かと思います。そして、栃木なのですが、同様に0.11前後を推移しているのです。周辺の茨城は0.086、群馬は0.09、埼玉0.046、東京0.07、千葉0.067、神奈川0.048という具合なのです(12月14日)。 ●双葉町、除染モデル事業実施を見合わせ 毎日新聞12月16日付によると、除染モデル事業実施を見合わせたことについて、「本当に効果があればいいが、家の中を完全に除染するのは不可能ではないか。技術が確立されていない状況で膨大な経費を使うことに同意できない」との町の担当者の言葉を紹介しています。 一方、大熊町、この国のモデル事業に積極的です。この事業、大熊町のほか、田村氏、川俣町、川内村、葛尾村の5市町村だけで行われています。この事業を国から委託されているのが日本原子力研究開発機構です。この除染に使った水、どうしているのでしょうか? そのことが伝わってきません。「バケツにでも保管」しているのでしょうか。 ●ヤクザと原発 ~福島第一潜入記~ 鈴木智彦 ずさんな工事や線量管理の実態、福島第二原発への不安など重要な内容ということです。作業後のスクリーニングのずさんさ。必見とのことです(長いので、私、まで全部見ていません)。東芝と日立の違い、ものすごい量の汚水水タンクの群れ。 http://www.youtube.com/watch?v=llO7pq70Vsc&feature=youtu.be 福島第一原発 潜入記!冷温停止宣言の裏に潜む「ずさん工事」の現状 http://mapingtokyo.com/archives/688.html ●TBS、こんな時間にやっていました。 (目が覚め、眠れなかったのでTVをつけたらこんな番組が。なかなかの番組でしたが)でも、こんな時間じゃ…。 「報道の魂 3・11大震災-記者たちの眼差しPARTIII」 ●なぜか、急に大熊町民の声が… ドジョウの野田がいい加減な「冷温停止状態」なるものを宣言した翌日の12月17日付毎日新聞です。社会面に大きく「わが家 あきらめた」との見出しで事故後、住み慣れた街・大熊町を追われた大熊の人たちばかりの記事が“突如”大きく掲載されているのです。大熊町、全町民が町を離れ、ある人は町民が集団避難している会津若松や新潟はじめ全国各地(たぶん)に避難しています。双葉町と並んで「もしかしたら戻れないかも…」と「帰宅困難区域」に指定される町の人たちです。その人たちの声が本当に少ないのです。でも、記事になるのですからどこにいるかなどは把握されているということです。この2町と浪江町など5町村が一番の被害を受けているところなのですが、なぜかこの2町の声が少ない、マスコミに登場することはまれなのです。 12月17付には6町村長の声が掲載されていました。大熊町の渡辺町長だけが、前向きで「前倒しで復興計画をつくりたい」と述べています。 しかし、本日12月19日付の毎日新聞に各町村長の声が載っていたのです。「居住制限」「帰宅困難区域」等に指定されるであろうところの首長たちです。そこには、双葉町長は出ていたのですが、大熊町町長はないのです。そして、各首長たちは言います。「町を分断することは許さない」と。それは汚染の度合いによって同じ町内で差が出ているという「事実」です。気持ちはわかるのですが、現実・事実に目をつむり、「みんな一緒」という同調圧力がここにも働いているのでしょう。汚染マップが公表された時、放射能物質は県境や市町村の境界線で止まるわけではないという声があり、全体の状況を公表しろという声が大きかったわけです。現実・事実をどう受け入れていき、どうしていくべきかを考えるのが政治(国だけではなく各自治体も)だと思うのですが、同調圧力、内橋克人さんが言う「頂点同調主義」が強力に前面に出、人任せになっているのではないかと思うのです。そして、責任があいまいになっていく、「みんながそうしたから…」と、わけのわからない「雰囲気」だけが残るのです。根本の問題を追及することなく。 ▼住民が避難している市町村をあげておきます(毎日新聞12月17日付) 人口 避難者数 田村市 39547 400 南相馬市 66422 14300 川俣市 15175 1300 楢葉町 7367 ほぼ全員 富岡町 14826 全員 大熊町 11038 全員 双葉町 6426 全員 浪江町 19412 全員 川内町 2705 400 葛尾町 1484 全員 飯館村 5990 全員 合計 19万0392人 約8万3000人 ▼寄せられた情報 ●NHK「冷温停止宣言」野田首相記者会見中継を打ち切られた部分 - YouTube 先の「冷温停止宣言・記者会見」は内閣がNHKと事前に打ち合わせた情報操作の疑いが。NHKが放送しなかった部分を視ておきましょう。(ここまで) http://www.youtube.com/watch?v=MxUQKJwkIeY * 「フリージャーナリスト神保哲生が指名された直後、NHKは中継を打ち切りスタジオでの解説を始めた。その放送されなかった」といいます。野田、圧力容器全体の温度から判断しただと。核燃料棒の件など重要なことには答えず。この会見、最後を見ておくといいですよ。たぶん大マスコミの連中だろうと思いますが、会見が終わったらさっさと帰り支度。こんな会見に何ら疑問を呈することなくです…。(A) ●「絆」再考 ―― 絆から連帯へ 前号で、「絆」について書いてみました。震災以後、思い立ったかのように「絆」「絆」の連呼です。自民党も「絆」を震災以後シンボル漢字としています。その大切さを感じますし、大切にしたいと思っています。 しかし、です。何か違和感を感じるのです。そんなところ、毎日新聞12月11日付に精神科医の斎藤環さんが、私同様に『「絆」連呼に違和感』と題した一文がありました。「絆」が今年の流行語大賞に入賞。昨年は「無縁社会」がノミネートされていたことを考えると、震災が人々のつながりを取り戻すきっかけになったと希望的に考えてもみたくなると言っていますが、斎藤さん、語源などをたどりながら、絆は基本的にはプライベートな「人」や「場所」などの関係性を意味しており、パブリックな関係をそう呼ぶことはないといいます。絆に注目しすぎると、「世間」は見えても「社会」は見えにくくなると。そして彼は、それを「絆バイアス」と名付けようといいます。 彼は言います。「私には絆という言葉が、どうしようもない社会を前提とした自衛ネットワークにしか思えないのだ」。黙々と復興にいそしむ人々を強力に支えるであろうが、「社会やシステムに対して異議申し立てをしようという声は、絆のなかで抑え込まれてしまう。対抗運動のための連帯は、そこから生まれようがない」とも。そして危惧します。「本来は政府の仕事である弱者救済までもが『家族の絆』にゆだねられてしまいかねない点だ」と。 まったく同感です。そうしてみると、小さな政府をうたっていた自民党(今はどうかな?)が「絆」と書いた壁紙をバックにたわごとを言っているのも合点がいきます。そもそも、絆は言い方を変えれば、地域のしがらみ、家族、一族のしがらみと言い換えることもできるのです。そういったものを「封建制の遺物だ」「村落共同体だ」などと言って批判し、そこから脱却(抜け出す)ことに、少なくとも戦後という時代はあったのではないでしょうか。少なくとも「絆」のようなものは、“自由をめざす”ものには自分を束縛するものと感じていた人は多かったのではないでしょうか。それが戦後社会の高度成長を支えるひとつの推進力にもなっていたと思うのです。学生運動(全共闘運動か)などもそうだったと思います。そういえば、「家族帝国主義粉砕」などと言っていました。 一方、それは同時にアトム化された諸個人を生み出すことにもなったのですが。でも、多くの人が「望んでいたという事実」(しがらみから解き放された都会生活への憧れという形をとって)だけは消せないことです。 この一文で、斎藤さんは、批評家の東浩紀(私は好きではないですが)の言葉を引用して言います。「本当は絆など、とうにバラバラになってしまっていたという現実を受け入れるべきなのだ。その上で私は、束縛としての絆から解放された、自由な個人の『連帯』の方に、未来をかけてみたいと考えている」と言います。同感です(蛇足ですが、斎藤環さんから、このような発想が出てくるとは「想定」できませんでした)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||